湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

由比ヶ浜の虚子庵

2018-10-22 08:06:05 | 文学
江ノ電由比ヶ浜駅と和田塚駅の間の踏切脇に、句碑を発見。

波音とレールの音が同時に聞こえてくるような、新年の句が刻まれています。
波音の由比ケ濱より初電車

ここは高浜虚子が住んだ場所なのです。句碑の傍らの説明板にはこう記されています。
高浜虚子の住居は虚子庵とよばれており、ここで句会がしばしば開かれました。
高浜年尾は随筆「虚子と家」のなかで次のように記しています。なお文中「原の台」とはこの場所のことです。
 父は自分の家ということに対して執着の少い人であった。大体借家住いで過ぎて居り、鎌倉へ明治四十三年十二月二日に引越して来た時も、小林米珂(帰化英国人)の借家に入ったのであった。そこから三度住み変ったが、結局はじめて入った家が、現在の原の台のあの場所に小林米珂の手で移されたものを、無理に父が買わされたのが、はじめて自分のものとなった家なのであった。

明治43年に鎌倉に移り住んでから同じ由比ヶ浜3丁目内で2回転居したということは、由比ヶ浜もしくは江ノ電が好きだったのかも。
小林米珂が気になってしまったのでググったらウィキに掲載されていました。日本人の小林えいさんと結婚したベッカーさんなんですね。日本で弁護士登録し、鎌倉海浜院ホテル、日清蓄音器、帝国木製、帝国船舶の取締役のほか、鎌倉で不動産業を営んだとあります。彼から家を貸り後にそれを買うとは、虚子は米珂さんのいいお客さんです。買った時には、江ノ電の線路を隔てた場所に曳家されていたようです。近くで反対側に移った家にまた住むって、不思議な感覚でしょうね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする