湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

個の詩パート3

2017-10-14 15:56:59 | オリジナル
共通テーマ「個」でAが書いた詩を投稿します。
 
密やかな撥条あるいは死の頁

わたしたちが共にもつ内臓
みたいに濃厚になりたくて
君の匂いがするバスタオルで
全身をくまなく拭く

君は交差点の手前で
向き直って言う
――僕はまっすぐ行くけれど

わたしは信号で止まり
君は信号で進み
お互い 寂しいバネ
みたいな歩みで離れていく
わたしはなぜ信号で
止まったのだろう

道に迷って古本屋に入る
本棚の間でまた迷う
欲しい本が
泣きたいほど見つからない
だって詩集が一冊もないのだ
詩は死の領域にある

紙魚がバネみたいにはしゃぐ
かさついた頁をめくる
君のねじれた螺旋が透けて見える
詰め込まれたわたしの詩が瞬発しそびれ
読まれぬまま浮かんでいる
コメント
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