575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

春光の日毎に力増しにけり   岡副佐代子

2016年02月12日 | Weblog
句集「春光」の一句です。
作者は、昭和3年、名古屋生まれ。
初めての句集だそうです。
好きな句をあげてみます。

  蓬摘むうすむらさきの茎寄せて

  葉桜に音なき雨の蒼さかな

絵が趣味の方とあって、モノを見る目が確かです。
しかも、見えないような色を発見しています。
耳も鋭敏です。聞こえない音を聴きます。

  さわさわと青空を汲む新茶かな

  雪と雪触れ合ふ音の静かなる

長年、読書に親しんでみえたということ。
色を発見して、音を聞く。
それを研ぎ澄まされた言葉で表現できる方です。

  水澄めば水の底まで風の音

好きな句の一つ。絵では描けない景。
言葉の魔術、詩としての風の音です。  遅足

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パウンドケーキ    麗

2016年02月11日 | Weblog
祝日の今日いかがお過ごしですか?
春の日差しが降り注いで明るい一日になりそうです。

さて、先日、買い物帰り思わぬ春時雨に遭遇。久しぶりの雨宿りとなり本屋さんで時間をつぶしていました。
目にとまったケーキ作りの本。
なんだか急にケーキを焼きたくなってそのままパウンドケーキの金型まで購入してしまいました。

雨があがって家に帰ってから、早速レシピ通りに作りました。バターを泡立て卵と小麦粉を合わせて型に流し込んで。。。170度のオーブンに入れてっと。
あっ、とんとんと型を落として空気をぬくのを忘れてしまいましたが、まあ細かいことは気にしない気にしない。
30分くらい焼くとオーブンからあまーいいいにおいがしてきました。待つ時間が幸せな一時。

コーヒーを入れて美味しくいただきました。腕はちょっと疲れたけど心もおなかも満たされました。


        春の雨パウンドケーキを焼く時間   麗
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「菠薐草」句会近づく  遅足

2016年02月10日 | Weblog
節分、立春と時は流れ、もう2月の句会です。
今回の題詠は「菠薐草」です。
「寒締めちぢみほうれん草」という新種も店頭に。
寒さに耐え、甘味が増したほうれん草とのこと。
確かに甘味があります。

この季語、意外と手強くて、なかなか手が出来ません。

そこで例句を調べてみました。
まず、ほうれん草そのものを詠んだもの。

  不可もなし可もなし菠薐草甘し  星野麥丘人

ほうれん草を食べる人間に焦点を当てた句。

  金婚夫婦小鳥となれり菠薐草   山本嵯迷

調理している様子を詠った句。

  巡視船菠薐草を茹でてをり  安川掴雲

  ジャズ唄ひ乍ら菠薐草洗ふ  樋口玉蹊子

         

三寒四温の寒の今朝。霜がお向かいの屋根に。
この寒さを耐えて甘くなるものは多くあります。

句会には、どんな菠薐草の句が登場するのか?
楽しみです。             
               遅足


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寄る辺なき民にも昇れ初日の出   亜子

2016年02月09日 | Weblog
亜子さんの句。ここ一年の句を振り返ってみました。

  軍服の坊や銃後の七五三

  七十年戦後史たどる夜長かな

  梅雨寒や白木の箱に石ひとつ

  馬もまた息絶えて浮き原爆忌

  髪洗ふ機銃掃射の夢覚めて

昭和という戦争の時代を詠んだ句が多く見られます。
俳号の亜子の「亜」は「亜細亜」から。
亜細亜の平和を願う気持ちが表れた俳号です。

  大花火この世で逢へぬ人に逢ひ

  咲き満ちて桜はわれに問ふごとく

こうした句にも、戦争の影を感じてしまうのは
考えすぎでしょうか。
日本が再び、戦争への道を歩まぬように。
亜子さんの願いは、私たちの願いでもあります。

           時々

寒い雨が降ってきました。
梅の花も震えています。     遅足


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平和凧たぐり寄せたる細き糸   郁子

2016年02月08日 | Weblog
自由題で最高点を獲得した句。
作者の祖父は、新聞人の桐生悠々さん。
戦前に、新聞社の主筆として健筆とふるいました。
「関東防空大演習を嗤ふ」という記事で軍を批判。
これに対して、在郷軍人会が反発。新聞の不買運動に発展。
主筆を追われる結果となりました。

空襲にバケツリレーでは対応できないことを指摘。
常識的な主張も時代の声に呑まれていきました。

平成の今、政権を批判する沖縄の新聞をつぶせという声が。
テレビの世界でも、安倍さんの政治手法に批判的な
3人のキャスターが番組を降ろされようとしています。

戦争は二度としない、と誓った憲法が危機に。
平和を、という声も次第に大きくなっています。
高く揚がる凧は細い糸でしっかりとつながっています。

             

昨日は北朝鮮がミサイルを発射。
日本列島は大騒ぎだったそうです。
私は知らぬが・・・と、
のんびり早春の杜を散歩していました。
今日は誕生日。
世の中が平穏でありますように。  遅足





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妖怪も出ずらくなりし冬座敷  狗子

2016年02月07日 | Weblog
妖怪とは?思い出されるのが東北の座敷童子。
童子が棲みつくと、運が開けるとされていたそうです。
妖怪が棲むためには、闇の世界が不可欠です。
闇を失った現代の座敷には出ずらくなったのでしょう。

その代わりに登場したのが、座敷猫。
三毛猫は、江戸の昔から座敷猫として愛されてきました。
また、座敷犬の狆も江戸城の大奥に飼われていました。
現代では、大型の座敷犬も珍しくありません。
ますます妖怪の出番はなくなりました。

  竜馬らの現れさうな冬座敷   杉江茂義

           

今朝は青空。遠く御嶽が見えます。真っ白です。
庭の紅梅もちらほらと。日射しは春です。
                    遅足


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賑はひは朝陽入る程冬座敷    結宇

2016年02月06日 | Weblog
お座敷は来客を迎えて賑やかに。
朝陽も射し入り、さらに明るい冬座敷に。
  
  声溢る日差しあふるる冬座敷  岡野ひろ子

座敷はもともと、畳を敷いた部屋を意味していました。
やがて、客を迎え酒宴などを開く部屋となります。
さらに床の間がおかれ、襖や障子で部屋が仕切られると、
現代に通じる和室の原型が完成。
床の間の位置によって上座と下座と座る位置も決まっています。

  日の当たる所が上座冬座敷  足利徹

          

前進座の夢千代日記を観てきました。
1980年代にテレビドラマとして放送。
大ヒットしました。

主人公の夢千代は、山陰の小さな町の置屋の女将。
この置屋を舞台に、戦争や原爆という過去を背負った人々が登場。
それぞれの過去と向き合って生きる人間模様を描きだした名作です。

今回の舞台では、30年前の感動はありませんでした。
ひとつには、戦争が遠い存在になっていることに原因があるかも。
諸行無常、時の流れを改めて痛感しました。

安倍さんが国会で9条を変える考えを表明。
それを良しとする時代の空気があること。
それにも一理あると感じました。       遅足


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冬座敷家人は吸わぬ煙草の香    すみ

2016年02月05日 | Weblog
冬座敷に残ったタバコの香り。高級タバコでしょうね。
誰が来ていたのでしょう?想像力を刺激する句です。

何やら、サスペンス、あるいは、よしや、昼顔系?
と、智恵さん。

昼顔とは??さっそくググってみました。
カトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画『昼顔』のヒロインのように、
夫がいない平日の昼間に不倫をする主婦のことでした。
こんな句はいかがですか。

  座布団のふくらんでをり冬座敷   小田島正敏

           

先日の新聞に、自民党がNHKの予算案の了承を見送った、
というニュースが。
タクシー券不正使用や、子会社社員の着服問題など
不祥事への対応について説明が不十分だとしたため。
また「解説委員が無責任な評論家、コメンテーターのような
発言をしている」という批判に対して、出席していた
籾井会長が「偏った者もいる」と述べる場面もあったと。

NHKには、国民が正しい判断を下すために、公平な報道が
必要ですし、放送法にも定められています。
受信料を払っている一人として、公平な報道を目指す
NHKを応援していきたいと思います。
                   遅足

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立春    麗

2016年02月04日 | Weblog
今朝はまた冷え込みましたが、今日は立春です。
庭の紅梅がほころび始めました。

昨日は豆まきされましたか?もはや我が家のこの時期のルーティーンになっている節分の豆まき。
寒い夜でしたが、家中の窓を開け放ち「鬼は外~福は内~」。静かな住宅地、夫は「小さい声でやろう」と言いますが、「ダメダメ、大きな声で!邪気を払うの!」と私が仕切ります。

でも外にはたくさん撒きますが、部屋には一粒づつ置くという省エネ豆まき。掃除が面倒というぐうたらから来ています。今朝もピアノの上の一粒、洗面所の一粒と拾っています。

家の入り口に柊の枝に鰯の頭を刺すという節分の風習は柊のトゲと鰯の悪臭で邪鬼を追い払うという意味があるそうです。
鰯の頭も信心からということで鰯も焼いて食べました。

こういう風習や言い伝えも気にすると年中行事的ルーティーンが増えていきますが、新年から1ヶ月経ちなんとなく寒さでよどんだ空気を変える意味でも節目節目は大切にと思うようになりました。
夫が今年前厄だと知り厄払いもしなければと心しています。


       立春や窓開け空気入れ変わる   麗
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唱ふるはハ行とワ行冬座敷   郁子

2016年02月03日 | Weblog
アナウンサーの心得として発声練習は欠かせません。
「ヘイワ」と、はっきり発音するために、ハ行とワ行を念入りに。
唱ふる、に平和への祈りの気持ちも込められています。

  聞こゆるはハ行とワ行冬座敷

と、読者に解釈を委ねる作り方もありそうです。  

  朗々の詠み声高き冬座敷  木村富美子

        

今日は節分。恵方は南南東。名古屋では笠寺観音でしょうか。
子供の頃は畳にまいた豆を拾って齢の数だけ口に。
今では小さなパックに入って衛生的。
また恵方巻も普及してきました。
家庭では豆まきよりも好まれているようです。
伝統行事も時代時代に変化していくもの。

  鬼の世も代替わりあり豆をまく  遅足

冬は今日で終わり、明日から春、立春です。


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たまゆらを姉と弟冬座敷  遅足

2016年02月02日 | Weblog
普段は、主婦として妻として母としての姉。
また、夫として父としての弟。冬座敷で再会。

  父母の忌のはらから集ふ冬座敷   伊藤百江

「姉さん」と呼ばれ、子供の頃の姉弟に。
法事がすめば慌ただしく別れて、帰っていく姉弟。
たまゆらを昔に帰って過ごします。

           
 
私の母は五人姉弟の長女。旧姓は大山。
小柄だったので、大山さんちの小山さん、と言われたとか。
祖母が病弱だったため、母が代役を果たすこともあり、
気の強いところがありました。
そんな母を二人の叔父さんは頼りにしていたようです。

今や三人ともあちらの世へ。戦死した長男を含めて四人。
昔の姉弟に戻って、仲良く暮らしていることでしょう。
次女のおばさんは、この世で元気です。
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ぐうたらを遺影の睨む冬座敷   立雄

2016年02月01日 | Weblog
作者の自画像だそうです。
どなたの遺影かは書かれていません。
多分、お父さんか、お母さん、或はお祖父さんか。
私を見下ろすコワイ存在です。

この句を読んで母の実家の遺影を思い出しました。
戦死した私の叔父さんの軍服姿です。
中国戦線に派遣されて、半年も経たぬ間に戦死。
二階級特進の上等兵の姿。機関銃で胸を撃たれたそうです。
祖父の肖像画とならんで、座敷を見下ろしていました。

  いまもある祖父の眼光冬座敷   浅田光代

以前は「遺族の家」と書かれた小さな札が
玄関先にかかっている家がありました。
遺族の家が少なくなって行くにつれて
戦争の記憶も薄れていきました。

  ふるさとの遺影古びて冬座敷   高畠陽子

         

叔父さんが豊橋の連隊に入営した日。
母は祖父と送っていきました。
見送って帰る二人に北風。
祖父の帽子がころころと転がっていく・・・
母の思い出です。

  入営を見送る父の冬帽子   遅足



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