静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

同じ敗戦国のドイツの凋落:  今日のドイツが明日の日本とせぬよう

2024-08-26 09:16:28 | 時評
◎【現代ビジネス】レストラン店員が客を「お前」と呼び、列車は当然のように遅れる…「勤勉で実直」なドイツの「意外な実態」:在ドイツジャーナリスト熊谷徹氏  要旨抜粋
・ 2022年と2023年にドイツ経済は、厳しい状況にあった。IMFおよび連邦統計局の2024年4月16日の発表によると、2023年のドイツの実質GDP成長率はマイナス0・3%だった。
  G7の中でマイナス成長はドイツだけだ。名目GDPが米中に次いで世界第3位になったことを、喜ぶ空気は全くなかった。多くのドイツ人は「本当か? とても信じられない」と首を傾げていた。
   その理由は、ドイツが2022年のロシアのウクライナ侵攻以来、深刻な景気後退に苦しんでいるからだ。この国では、連日のように不況が市民生活に及ぼす悪影響について報道されている。
  30年住む私も「ドイツが名目GDPで日本を抜いた」というニュースを、一瞬信じられなかった。
 列車の遅れが常態化
・ この国では列車が定刻よりも6分以上遅れて到着した場合を遅延と見なす。DBの統計によると、2023年12月に定刻に目的地に着いた列車の比率は、58・6%にすぎなかった。最も遅延がひどいのは
  ケルン西駅で、2022年の統計によると、定刻に着いた長距離列車の比率は24・6%にすぎなかった。遅れが深刻化している原因は線路やポイントなどの老朽化や、人手不足だ。
 深刻な労働力不足
・ 連邦雇用庁のアンドレア・ナーレス長官によると、ドイツでは約40万人の労働力が不足している。特にIT業界では、13万7000人の労働力が不足している。不足しているのは高学歴で、
  高い専門技能を持つ人材だけではない。スーパーマーケット、パン屋、郵便局なども働き手を募集している。ミュンヘンのレストランの中には、ウェブサイトに「人手が足りないので、
  土・日の営業を取りやめます」と書いている店もある。高齢化・少子化が進む日本と似た現象だ。

* ある時、6人のグループで、ミュンヘンの中心街にあるラーツケラーという伝統的なドイツ料理店に行った。ウエイターがなかなか注文を取りに来ないので、私がウエイターを探しに行ったが、
  従業員の数が少なく、見つからない。ようやくウエイターをつかまえて、テーブルまで来てもらい、注文を取ってもらった。ドイツのレストランでは、テーブルの所にウエイターが勘定書きを
  持ってきて、精算する。3組の夫婦について、別々に精算を頼んだ。ところがウエイターがうまく計算できず、何度やっても計算が間違っている。最後は私がボールペンで筆算して、
  計算を手伝ってあげた。1枚の勘定書きの支払いを済ませるまでに、15分もかかった。
* ドイツの飲食業界では、コロナ禍によるロックダウンの際にバーやレストランで働くのをやめた人々が、なかなか業界に戻ってこないという傾向がある。客の立場からすると、人手不足による
  サービスの悪化は著しい。30年前のドイツの居酒屋では、1枚の勘定書きを3組の夫婦が別々に払う時でも、ベテランのウエイトレスが合計金額をあっという間に筆算したものだった。
  そうしたドイツらしい伝統は失われたようだ。 ← タブレット端末での注文&会計が進む日本だが、人手不足/サービス低下は解決するのか?
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 俄かに信じ難いリポートだが、2020年以降、急激に景気停滞や人手不足が深まったとの指摘に、日本も同じリスクではないかと改めて気づく。競争力劣化の産業構造、少子高齢化で日本はむしろ
ドイツの先を歩んでいる。社会インフラの老朽化も同じであり<目糞・鼻糞を 笑う>になってはいけない。為替に左右されるGDPに一喜一憂せず「全ての産業の競争力」「全産業の労働力不足解消」に
全力をあげなければ、今日のドイツは明日の日本となる。 此の観点こそ、首相選び/政権選びに最も重要であり、有権者が注視すべきポイントではないか?
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