💛 毎日:「命綱」は切れていない=古賀攻 (専門編集委員) 全文転載
・国連総会の緊急特別会合は、安全保障理事会が大国の拒否権で機能しない場合、世界の平和にとって最後の「命綱」にもなる。特別会合招集第1号になったのは1956年秋のスエズ危機だ。
スエズ運河を国有化したエジプトに英仏などが軍事侵攻。安保理の非難決議案は葬られたが、緊急特別会合で国連緊急軍の派遣を賛成57、反対0で決め、解決につなげた。
・一方、同じ時期のハンガリー動乱に国連は手も足も出なかった。民衆の蜂起を当時のソ連は残酷に鎮圧。安保理不調、緊急特別会合招集までは同じだったが、ソ連軍への恐怖が両者を分けた。
日本の「ミスター国連」明石康さん(91)が57年2月に国連入りし、最初にやらされたのがハンガリー事件の報告書作りだった。「ソ連の実態を暴露はしたものの、第三次大戦を覚悟することなしに
ソ連を実力で懲らしめることはできなかった」と振り返る。
・出口が見えないウクライナ侵攻も根底には同じ問題が横たわる。主権侵害はもちろん病院・学校・避難所への爆撃、原発攻撃、民間人の拉致など国際法違反の限りを尽くすロシアの行為は
「もはや戦争とは呼べず、犯罪行為に等しい」(山添博史・防衛研究所主任研究官)のが実情だ。それでも首謀者のプーチン露大統領を止められない。戦争犯罪人として訴追する展望も開けない。
世界には悲観論が広がる。「問題の本質は国連のみならず米国による戦争抑止も虚構だったということだ。米国は核を持っている国には手を出さないことがはっきりした。このままではNPT
(核拡散防止条約)体制も崩壊する」。穏健派に属する自民党の閣僚経験者までこう話す。もしも「プーチンの戦争」が核大国のやり得になってしまったら、世界の道義は際限なく後退し、
核に頼ろうとする国が続出するだろう。最悪のシナリオだ。
★ しかし、人類がそこまで愚かとは思えない。ロシアの核は確かに厄介だが、国連の緊急特別会合はすでに今月2日と24日の2回、193カ国中141カ国と140カ国の賛成でロシア非難を決議している。
7割超の圧倒的多数だ。可視化されたこの国際世論が、西側にも痛みを強いる経済制裁を支えている。最良のシナリオはプーチン失脚につなげること。「命綱」はまだ切れていない。
明石さんは著書「国際連合」(岩波新書)で国連を「世界の鏡」と表現している。そこに映る世界像は時にゆがんでいるが、国連は「現在われわれが望みうる最良の鏡」であると。
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毎日、ウクライナに関するニュース報道に接するたび、目も耳も覆いたくなるばかり。コロナウイルスで3年越しにどっぷり浸かってきた閉塞感を上塗りする”殺し合い”と”憎悪の応酬”。
国連が機能していないと言われるのは前からなので、希望をもてと言われてもシラケる。 然し、明石氏が言う通り、現在の国連に替わり得る仕組みは無いし、たぶん今後もできまい。
不完全でも「鏡」として大事に使うしかない。其の意味で≪命綱≫と信じるだけだ。
コロナウイルス蔓延、そして突然な【1国内の反政府内戦ではない独立国家間の大規模戦争】の勃発。これは第二次大戦後から昨日まで世界中の誰もが予想しなかった巨大な非日常であり
『世の無常』を万人に思い知らせた。『世の無常』観は既に東洋世界の専売ではない。古賀氏は<最良のシナリオはプーチン失脚につなげること。「命綱」はまだ切れていない>と励ましている。
・・が、失脚せねば? 悪く想像すればキリは無い。死ねない年寄りが居る一方、若者はいっそう世をはかなみ、自殺が増えるのではないか? ・・と萎えそうになる気分を立て直し、前を向こう!
・国連総会の緊急特別会合は、安全保障理事会が大国の拒否権で機能しない場合、世界の平和にとって最後の「命綱」にもなる。特別会合招集第1号になったのは1956年秋のスエズ危機だ。
スエズ運河を国有化したエジプトに英仏などが軍事侵攻。安保理の非難決議案は葬られたが、緊急特別会合で国連緊急軍の派遣を賛成57、反対0で決め、解決につなげた。
・一方、同じ時期のハンガリー動乱に国連は手も足も出なかった。民衆の蜂起を当時のソ連は残酷に鎮圧。安保理不調、緊急特別会合招集までは同じだったが、ソ連軍への恐怖が両者を分けた。
日本の「ミスター国連」明石康さん(91)が57年2月に国連入りし、最初にやらされたのがハンガリー事件の報告書作りだった。「ソ連の実態を暴露はしたものの、第三次大戦を覚悟することなしに
ソ連を実力で懲らしめることはできなかった」と振り返る。
・出口が見えないウクライナ侵攻も根底には同じ問題が横たわる。主権侵害はもちろん病院・学校・避難所への爆撃、原発攻撃、民間人の拉致など国際法違反の限りを尽くすロシアの行為は
「もはや戦争とは呼べず、犯罪行為に等しい」(山添博史・防衛研究所主任研究官)のが実情だ。それでも首謀者のプーチン露大統領を止められない。戦争犯罪人として訴追する展望も開けない。
世界には悲観論が広がる。「問題の本質は国連のみならず米国による戦争抑止も虚構だったということだ。米国は核を持っている国には手を出さないことがはっきりした。このままではNPT
(核拡散防止条約)体制も崩壊する」。穏健派に属する自民党の閣僚経験者までこう話す。もしも「プーチンの戦争」が核大国のやり得になってしまったら、世界の道義は際限なく後退し、
核に頼ろうとする国が続出するだろう。最悪のシナリオだ。
★ しかし、人類がそこまで愚かとは思えない。ロシアの核は確かに厄介だが、国連の緊急特別会合はすでに今月2日と24日の2回、193カ国中141カ国と140カ国の賛成でロシア非難を決議している。
7割超の圧倒的多数だ。可視化されたこの国際世論が、西側にも痛みを強いる経済制裁を支えている。最良のシナリオはプーチン失脚につなげること。「命綱」はまだ切れていない。
明石さんは著書「国際連合」(岩波新書)で国連を「世界の鏡」と表現している。そこに映る世界像は時にゆがんでいるが、国連は「現在われわれが望みうる最良の鏡」であると。
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毎日、ウクライナに関するニュース報道に接するたび、目も耳も覆いたくなるばかり。コロナウイルスで3年越しにどっぷり浸かってきた閉塞感を上塗りする”殺し合い”と”憎悪の応酬”。
国連が機能していないと言われるのは前からなので、希望をもてと言われてもシラケる。 然し、明石氏が言う通り、現在の国連に替わり得る仕組みは無いし、たぶん今後もできまい。
不完全でも「鏡」として大事に使うしかない。其の意味で≪命綱≫と信じるだけだ。
コロナウイルス蔓延、そして突然な【1国内の反政府内戦ではない独立国家間の大規模戦争】の勃発。これは第二次大戦後から昨日まで世界中の誰もが予想しなかった巨大な非日常であり
『世の無常』を万人に思い知らせた。『世の無常』観は既に東洋世界の専売ではない。古賀氏は<最良のシナリオはプーチン失脚につなげること。「命綱」はまだ切れていない>と励ましている。
・・が、失脚せねば? 悪く想像すればキリは無い。死ねない年寄りが居る一方、若者はいっそう世をはかなみ、自殺が増えるのではないか? ・・と萎えそうになる気分を立て直し、前を向こう!