静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

 ≪ 今朝の2題 ≫     国民は安倍政治の負の遺産を忘れるな      「日本精神」「日本の美」といった虚妄は教育に不要

2020-08-30 08:06:01 | 時評
★「あなたが残した分断と政策行き詰まりに苦しむのは私たちです」 安倍首相への手紙  吉井里記
https://mainichi.jp/articles/20200829/k00/00m/010/164000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20200830
 少し長いが、まず吉井氏の文面を読まれたい。昨日も書いたが、安倍氏が在任中に遺した負の遺産の元凶は、人事権掌握による官僚支配の強化だろう。森友疑惑など公文書廃棄に象徴される「直答を避ける、誤魔化し逃げ切る」姿勢は、恐怖支配/ソンタクによる官僚側の協力の反映だ。

 安倍氏は知性の低さを恥じるどころか、得意げに国会の内外でそれを露呈した。その典型は吉井氏も取り上げているように、意見や思想の多様性を認めるのではなく、自分と異なる相手を「日教組/共産党/左翼」などと下品な野次で攻撃し、国民を分断に導く手法に顕われている。これは一般人が品格を問われる以上に、指導者としての資質を欠くと断定せざるを得ない。(然も、得票率30%でも多数が握れる選挙制度ゆえ、選挙に負けて失脚しない)。 
  幻の<アベノミクス>を筆頭に、何一つ成果/業績を出せぬまま無駄にした8年、その行き詰まり/負の後始末は国民の肩に被さっている。

★ 松尾貴史のちょっと違和感;「傘かしげ」などの「江戸しぐさ」 うそで教育は反道徳
https://mainichi.jp/articles/20200830/ddv/010/070/019000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=column&cx_mdate=20200830
・ 松尾氏は幾つも「江戸しぐさ」と喧伝される内容の矛盾を例証し、それが看過できない理由を次のように述べる。
 <歴史的にも一切資料がないことについて「江戸しぐさ」を喧伝(けんでん)する人たちは、「口伝で受け継がれてきたものだから資料はない」
「明治政府が江戸しぐさを摘発し、多数の江戸っ子を虐殺したのだ」など、都合のいい説明をするが、荒唐無稽過ぎて話にならない。>

・ <「実在しなかったとしても、役に立つならいいじゃないか」と主張する人がいる。よくない。うそで教育をするというのは反道徳、反知性の
 なせる業だろう。こんな怪しいものが文部科学省検定済みの教科書に載った例はいくつもあるが、関与した人たちはどう思っているのか。
 その多くは、この捏造(ねつぞう)された作法に心酔していた下村博文氏が文科相だった時に起きたという。>

 皆さん。 此の下村氏が何と安倍退陣後の総裁選に出馬か、と噂されている!! 嗚呼、何という集団に日本は牛耳られているのでしょう!
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≪ 安倍総理の辞任 ≫    『病気で・・・お可哀そう!』なんておセンチは無用!   もうすぐやってくる衆院選挙までに   有権者が考えておくポイントは何か?

2020-08-29 08:20:20 | 時評
 昨日の辞任記者会見。皆さんの頭には何がよぎっただろうか? 自民党総裁の任期、そして衆議院議員の任期を睨むと、次に選ばれる自民党総裁=内閣総理大臣の任期は短い。
そこであり得る自民党がとりそうな戦術は、新総裁選出後の解散/総選挙だろう。9から10月にかけて?  そうすれば新しく選ばれる総理も衆院議員も短い人気を気にせずに済むからだ。
 
 無論”コロナ禍の最中だから、総選挙などやっている場合ではない”との判断もあり得るわけで、予断は慎みたい。 だが、衆院選挙の時期はべつにして、我々有権者が今から考えておくべき事は、
① 8年近い安倍政権の業績評価、② それを支えた自公両党&「日本維新の会」への評価③ 頼りないながらも野党勢力との健全なバランスを取り戻すのが日本の為になる、と考えるか否かである。


① 外交・内政ともに安倍氏が公約した課題のうち、何がどう変化・達成されたか? 
   確かに国内外とも、容易な環境ではなく、どの国の指導者も苦しんでいる。  だから<何も変えられなかった・現状維持>でもよし、とするか?  でも、それは評価したことになるまい。

② 公明党が好意的に評価される点は、安倍首相の改憲アピールに実質上のブレーキをかけた事だ。 では、独自の改憲項目を解りやすく提示できたか、といえば怪しい。
  「日本維新の会」は、自民党と明白な違いが判らぬまま存在し続けている不思議な集団だ。違いと呼べるのは【広域自治体再編】【大阪都構想】くらいか。

③ 旧民主党政権の失敗以来まだ続く野党勢力の離合集散と弱体化は人材の払底としか言いようが無い。 が、嘆いていても変わらないので、手元にある人材をどう活用する道筋を編み出せるか?
  この考え方に有権者として支持するのか/やはり自民党しかない、と消去法のままで行くのか?  それでこの国は前に進めるか?

自民党が与党に復帰して以来、約10年の日本政治に大きな影響を及ぼしたのは、よく言われるように内閣人事局創設に拠る「総理官邸の支配力強化」だ。これは改憲へ導きたい安倍氏の企図だ。
弱体化を続けた野党勢力の混迷がこれを助けたが、自民党自体の活力も低下したことに自民党党員は気付いているか? この構造は議院内閣制のあるべき姿に悖(もと)っていないか?

野党議員も同じだが、このクニをどうしたいのか? どうすれば活力ある日本を生み出せるのか? 人口減少&首都圏集中が今後も止まらないなか、自治制度/中央集権の歪んだ構造も放置するのか? 
これはクニの形の根本的な問いであり、 これこそが、二院制/選挙の在り方と併せて憲法改正の本筋である。これならば、初めて国民は改憲の議論に乗ってこれるのではなかろうか?
自衛隊の存在意義や位置づけ、名称を変えることは憲法論議に何ら本質的意義がない。それを安倍氏はとうとう理解できないまま、敗れた。
 安倍氏は敗れ去るが、われわれ有権者は改めて『憲法と今後の日本の在り方』を考え続けねばならない。
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≪ 「生きたいと思える社会づくり」:YES!! ≫  だからといって『自裁する自由』を抹殺するな (死にたい&生きたい)どちらにも優劣/勝ち負けは無い

2020-08-24 07:33:41 | 時評
ALS患者嘱託殺人 誰もが「生きたい」と思える社会を:舩後靖彦・参院議員 ← ちょっと待った!
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200819/pol/00m/010/002000c?cx_fm=mailpol&cx_ml=article&cx_mdate=20200823 
★ 小野沢滋・みその生活支援クリニック院長の寄稿<安楽死を望む患者に医師がすべきことは何か>に対し、私は今朝の表題と同じ趣旨の内容を
  本ブログに寄せた(7/29日ご参照)ので、改めて同じ主張を繰り返さない。
  ・・(生きたい)(死にたい)そのどちらもが平等な自由であり権利である。倫理に照らして責められるべき対象でもない。

★ 弱い立場で生きる人々が『安楽死/尊厳死』の公認・法制化により、生きづらくなるプレッシャーがかかるのでは?と恐れる気持ちは想像できるし、
  そうさせてはならない。 其の通りで全く異存は無い。 が同時に、それが重要だから『自裁する自由』を封殺してよい根拠には絶対にならない。
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≪ 愛国とは何か?・・天皇制擁護=クニを愛する事ではない! ≫ 『立憲君主制を採用している ≠ 天皇制絶対』 違う意見を許す中の一つに”天皇制”もあるのだ

2020-08-23 20:34:30 | 時評
愛知知事リコールは「愛国」か 民族派からも疑問の声 トリエンナーレ補助金
https://mainichi.jp/articles/20200822/k00/00m/040/209000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20200823

<明治から敗戦までの天皇制が、その臣民に及ぼした迷惑を繰り返すな>=此の認識を貴方は戦前までの日本史に持つか否か?
A) 此の認識をもつならば、貴方は戦後の新しい日本の歩みを肯定する立場から出発しているので、リコール騒ぎの過ちが判る筈だ。
B) 明治憲法下の天皇と、現行憲法下の天皇は「役割」が違うが<天皇であるがゆえに一切の批判を許されない神聖な立場には変わりがない>
  と思うなら、天皇制だけは戦後の政治の在り方の例外で良いと貴方は思い、結局はリコールを支持する。


「天皇機関説」は、国の統治システムの中で「天皇という名のシンボル」をどのように当てはめ、活かすかと観点から出たものだ。
これは美濃部博士も現行憲法も同じだ。。天皇制は19世紀型「王制/君主制」の絶対支配ではなく、かといって独裁者の専制でもなく、
国論分裂とならぬ着地点に国家運営が落ち着くための助けとして編み出された仕組みである。

従い、為政者に利用された過去のシナリオを二度と繰り返さず明治体制の国家に戻らぬよう・天皇制が再び悪用されないようにとの想いから過去の醜悪な利用のされ方を否定的に象徴する表現は、現在の日本国並びに天皇制への侮辱ではない! 

百歩譲り、仮に出展者が天皇制廃絶論者でも攻撃してはいけないのだ。それが「思想/表現の自由」で、差別を許す言い訳に使われる
「表現の自由」とは対極にある。  皆さん、ここを間違えてはいけませんぞ!

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≪ 山崎正和氏の逝去を悼む ≫    日本社会における 私と公の対峙;  問い続けた『個の確立』

2020-08-22 08:29:57 | 時評
◆ 山崎正和さんが死去 劇作家・評論家、86歳 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO62891170R20C20A8AC8000/?n_cid=NMAIL007_20200821_Y

★ 戯曲に馴染みが薄いからか、劇作家/脚本家としての山崎氏より、日本の中世から近代にいたる文学/文明文化評論の著作に、私は共感と親しみを
 覚えてきた。 また、世界が大きく変化した1990年代以降、其の変質についての歴史評論も示唆に富み、とても参考になった。

◆ 深い感銘を受け得ながら読んだ記憶がある著作を挙げるなら「柔らかい個人主義の誕生」と「不機嫌の時代」。
 この2作に共通するテーマは『私と公の対峙における個人の不在』であろう。無論、此のテーマは山崎氏の他の作品を貫く大きな底流でもある。
  1960年代半ばのイエール大学留学が、恐らく同氏のテーマ形成に大きく与ったのでは? と私は想像する。
 
 生まれは京都市だが、旧満州国で育ち、引揚者となった生い立ちもまた、(国家と個人/公と私)を劇作・評論双方で、氏の表現テーマとなさしめた
 のではないか。 (満州に限らず)敗戦後の引揚体験者全員が同じテーマを抱き続けたとは言えないが、山崎氏のように巧く表現できずとも、
 心の底に同氏と似た情感は多くの人にあったように、周囲の引揚体験者を視ていると私は思う。

● 多くの引揚者は80代以上であり、あとの世代に語り継ぐ機会は減るばかり。願わくば、『不戦の誓い』に終わる国策被害者の体験談だけでなく、
 山崎氏が問い続けた≪明治以来、日本が未だに果たし得ていない社会における個の確立≫についても、想いを語り継いで戴きたい。   合掌。。
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