◆【ニューズウイーク日本版】「セクシー発言」など問題ではない、小泉進次郎が農業改革に失敗した過去をどう評価するか Kazuki Oishi-REUTERS
1)農林中金というの農協系の金融機関。規模としては、預金残高60兆円、総資産100兆円というメガバンクに準ずる巨大金融機関です。2015年の時点で小泉氏は何を問題にしたのかというと、
この巨大な金融機関が、農業融資をほとんどしていないという点でした。現在の日本の農業では、大規模化、機械化など、資金を投入して改革をしないと持続可能性が確保できないわけです。
にもかかわらず、潤沢な資金があるのに農林中金は貸出残高の中で農業融資が0.1%しかない、当時の小泉氏は、そんなことでは農林中金は存在意義がないと迫りました。これに対して全農サイドは
「貴重な農家の資産は大切に運用しなくてはならない」と言って、農業融資の拡大を拒否したのでした。
* その後、農林中金は、世界中で資金を運用するヘッジファンドとしての性格を強めていきました。その結果、今回の米金利高止まりによる債券価格の下落を受けた運用失敗で、単年度
「1兆5000億の赤字」が見込まれ、一気に経営危機に陥っています。そう考えると、9年前の小泉氏の指摘、農協系の金融機関なら農業融資をせよ、そうでないなら存在意義はない、
という指摘は改めて重たいものがあるわけです。
では、小泉氏が日本の農業の持続可能性を確保するための改革の希望なのかというと、こちらは評価が分かれるところだと思います。まず、この農業改革に関しては、9年前の時点で結局は論戦に
負けたのです。改革を唱えたけれども敗北して実現はできませんでした。この敗北した責任ということは、小泉氏として背負わねばなりません。
農林中金が危機に陥り、深刻なコメ不足が起きたことは、小泉氏の主張が正しかったことを示しているとは思います。ですが、そんなことを言っても、農林中金が外債で溶かしたキャッシュは
戻ってきません。また増え続ける耕作放棄地を緑の水田の戻すことはできません。円安の中で食料自給率が上がらないのであれば、国民の生活は成立しなくなります。
⇒ 小泉氏は立候補するなら、公約の中に、9年前挫折した農政改革を掲げなければならない。
2)もう一つ、小泉氏は「補助金漬け農業」への批判を展開、こちらも全農など既得権益代表から激しい抵抗を受けました。ですが、それから9年、現在の日本の農業はコメ不足という深刻な危機に
陥っています。原因は猛暑とインバウンド消費だとされていますが、それ以上に高齢化による耕作放棄の拡大が背景にあります。農業が持続不可能になっているのです。
⇒ これは先日も触れた「減反補助金」+「品種改抑止」による安倍首相時代の米価維持とセットになっている全農票維持の策略である。
そう考えると、小泉氏もまた、当事者として改革の実現に失敗した責任からは逃れられません。少なくとも、今回の総裁選ではこの点について小泉氏の評価が正当になされるべきです。
改革者なのか、それとも改革を試みたが敗者に過ぎないのかということです。少なくとも「セクシー発言」を切り取って、言葉が軽いのどうのという表面的な評価をするのは、公平ではないと思います。
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Kazuki Oishi氏の指摘は小泉氏の能力不足を的確に論証している。農林部会長の権限に限界があったから負けたという釈明は通るまい。9年後の今、小泉氏はどこまで指導力をつけたのか?
「刷新感」「若手イメージ」など、芸能タレント総選挙のような浮ついた語彙で相変わらずメディア各社はふざけている。 何とも度し難い幼稚さと愚かさではないか。これではクニが亡ぶ!
1)農林中金というの農協系の金融機関。規模としては、預金残高60兆円、総資産100兆円というメガバンクに準ずる巨大金融機関です。2015年の時点で小泉氏は何を問題にしたのかというと、
この巨大な金融機関が、農業融資をほとんどしていないという点でした。現在の日本の農業では、大規模化、機械化など、資金を投入して改革をしないと持続可能性が確保できないわけです。
にもかかわらず、潤沢な資金があるのに農林中金は貸出残高の中で農業融資が0.1%しかない、当時の小泉氏は、そんなことでは農林中金は存在意義がないと迫りました。これに対して全農サイドは
「貴重な農家の資産は大切に運用しなくてはならない」と言って、農業融資の拡大を拒否したのでした。
* その後、農林中金は、世界中で資金を運用するヘッジファンドとしての性格を強めていきました。その結果、今回の米金利高止まりによる債券価格の下落を受けた運用失敗で、単年度
「1兆5000億の赤字」が見込まれ、一気に経営危機に陥っています。そう考えると、9年前の小泉氏の指摘、農協系の金融機関なら農業融資をせよ、そうでないなら存在意義はない、
という指摘は改めて重たいものがあるわけです。
では、小泉氏が日本の農業の持続可能性を確保するための改革の希望なのかというと、こちらは評価が分かれるところだと思います。まず、この農業改革に関しては、9年前の時点で結局は論戦に
負けたのです。改革を唱えたけれども敗北して実現はできませんでした。この敗北した責任ということは、小泉氏として背負わねばなりません。
農林中金が危機に陥り、深刻なコメ不足が起きたことは、小泉氏の主張が正しかったことを示しているとは思います。ですが、そんなことを言っても、農林中金が外債で溶かしたキャッシュは
戻ってきません。また増え続ける耕作放棄地を緑の水田の戻すことはできません。円安の中で食料自給率が上がらないのであれば、国民の生活は成立しなくなります。
⇒ 小泉氏は立候補するなら、公約の中に、9年前挫折した農政改革を掲げなければならない。
2)もう一つ、小泉氏は「補助金漬け農業」への批判を展開、こちらも全農など既得権益代表から激しい抵抗を受けました。ですが、それから9年、現在の日本の農業はコメ不足という深刻な危機に
陥っています。原因は猛暑とインバウンド消費だとされていますが、それ以上に高齢化による耕作放棄の拡大が背景にあります。農業が持続不可能になっているのです。
⇒ これは先日も触れた「減反補助金」+「品種改抑止」による安倍首相時代の米価維持とセットになっている全農票維持の策略である。
そう考えると、小泉氏もまた、当事者として改革の実現に失敗した責任からは逃れられません。少なくとも、今回の総裁選ではこの点について小泉氏の評価が正当になされるべきです。
改革者なのか、それとも改革を試みたが敗者に過ぎないのかということです。少なくとも「セクシー発言」を切り取って、言葉が軽いのどうのという表面的な評価をするのは、公平ではないと思います。
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Kazuki Oishi氏の指摘は小泉氏の能力不足を的確に論証している。農林部会長の権限に限界があったから負けたという釈明は通るまい。9年後の今、小泉氏はどこまで指導力をつけたのか?
「刷新感」「若手イメージ」など、芸能タレント総選挙のような浮ついた語彙で相変わらずメディア各社はふざけている。 何とも度し難い幼稚さと愚かさではないか。これではクニが亡ぶ!