静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

≪ 本日:ブリテン連合王国(英国)のEU離脱を迎えて ≫  世界のパワーバランス変化へ 更に大きな拍車となるのは必至

2020-01-31 08:08:06 | 時評
☆彡「英離脱、歴史の過ち」トゥスク前EU大統領 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54972300Z20C20A1FF8000/?n_cid=NMAIL007_20200131_A
・ 今日、2020年1月31日は文字通り歴史的な日となる。 其の重みと意義を 欧州から遠い日本で、どこまで国民は感じているか、甚だ怪しい。
  18世紀から20世紀前半に亘る間、世界の中心だったヨーロッパが、二度の大戦でアメリカに其の座を明け渡し、20世紀後半以降、今では東からロシアと
  中国に侮れない影響力を行使される存在である。 

・ 強大になった米国とソ連(当時)に対抗すべく欧州が結束しようと動いたのは自然な流れであり、其の大きなうねりの中に(通称)英国も居続けた。1950年代
  以降の国際政治を眺めれば、英国もEU結成の効果と存在意義・恩恵に与って来た一員であった事は間違いない。ああ、それなのに、それなのに・・だ。
   前EU大統領の言う「歴史の過ち」とは何か? それは、英国国民が此の巨視的なヴィジョンを失い、難民増加に因る労働市場の混乱や、欧州議会に指図
  されるのを嫌う大ブリテン・ナショナリズムに溺れ、冷静な判断をできなかったミスである。是は、狭いナショナリズムが如何に国を誤らせるか、の好例だ。
   日本の国粋主義者にも是非、肝に銘じてもらいたい。。。

・ トゥスク前EU大統領が苦々しく結んでいるように「此の国民投票によるEU離脱は、現在世界で猛威を奮う大衆迎合<=ポピュリズム>であり、これへの
  対抗策を理性的に講じなければならない。理性的な議論は感情が無いと思われてしまうが、ポピュリズムには感情があると信頼されるからだ」。 
  従い、「中国やロシアへ行きたい移民・難民が居るだろうか?」 ・・・トゥスク氏の この投げかけを梃子にするしかない。


* <政治の世界ではすべて起こりうる。だがこのゲームは終わった。20年後には何か起こるかもしれないが、5~10年先は決まったことだ>
  これは「英国は再びEUに戻るか?」・・竹内記者の問いへの答えである。 前にも触れたが、戻るどころか、スコットランド/アイルランドを始めとする
  連合王国解体への見通しさえ現実的な視野に入る今、世界史から「大ブリテン連合王国(=United Kingdom)」が消滅する日がくるかもしれない。
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 ユーホー日記 ≪8≫   新型コロナウイルス性肺炎   <春節・野味>伝統文化が拡大要因でも 中華プライド捨てて 止められるか?

2020-01-30 08:06:25 | トーク・ネットTalk Net
* 「中国国内で感染拡大の偽わりなき実態は把握できてるのか?」との問いが出るが、中国国内の閉鎖性や強権政治の前に問うべきは、全土の医療機関でどこまで
  感染を確認できる実務能力と医療機関相互の報告体制が在るのか、だろう。  
   しかも都市の大病院ばかりに患者が居るわけではないから、国土の広い中国では更に把握は難しいだろう。

1) 興味深いのは、武漢市当局が危機意識に欠け、初動体制が甘かったのでは? と指摘される例として、発症報告後もなお春節行事で市内に人が集まるリスクを
  無視した事だ。 いや正しくは、春節の中止など誰も言い出せない文化だ、という事だろう。 以下の記事がそれを語っているので引用しておく。
  <武漢で「万家宴」の怪=坂東賢治 https://mainichi.jp/articles/20200123/ddm/002/070/108000c>

2) もうひとつ、サイド情報として重要なものを。 私のような珍食好きには聞捨てならない話である。
  (今回のウイルス源とみなされる蝙蝠(こうもり)は、昔から大陸では広くスープで愛されている。私は星港のチャイナタウンで楽しんでいた。)
  <野味で「庚子の災難」=坂東賢治 https://mainichi.jp/articles/20200130/ddm/002/070/088000c?fm=mnm>

⇒ 「春節」といい「野味」といい、中国の伝統文化に占める比重は大きい。皮肉にも此の二つがエピデミックに留まらず、パンデミックにまで広がる直接/間接の
  原因となったなら、誇り高き漢民族の中華意識が傷つくのか?  いやいや、経済大国になり民族プライドを満たされている今、伝統文化を変えたり捨てたりは
  猶更できまい。 
   経済・金融分野で「国際標準」への追随か、独自標準構築に固執するのか? それを問われているさなか、中華文明意識の中核ふたつを自己否定できるか?

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 ユーホー日記 ≪7≫ 今朝の3題噺 

2020-01-29 10:00:20 | トーク・ネットTalk Net
* 米国務長官、意に沿わぬ質問した米ラジオを外遊同行から除外 https://mainichi.jp/articles/20200128/k00/00m/030/197000c?fm=mnm
  <NPRは24日、ポンペオ氏に単独インタビューを実施。上院の弾劾裁判で審議が進んでいるウクライナ疑惑に関する質問をした際、ポンペオ氏は
  「イラン問題で(取材に)同意したはずだ」と反発。インタビューを打ち切り、記者を別室に呼んで大声でののしったという。>

  ⇒ おやおや、少し前も、どこかの国、アメリカ親分の一之子分と自認する国の首相や大臣方も似たような仕儀に及んでたね? 思い出した?
   気に入らない/触れられたくない件の質問で食い下がる記者を締め出す。出入り禁止にする政治家たち。 『トランプ/安倍コンビ』、面目躍如だね!


* 【水説】朝鮮半島と山口県=古賀攻 https://mainichi.jp/articles/20200129/ddm/002/070/027000c?fm=mnm
  朝鮮戦争前夜にまつわる興味深い裏話だ。 私は知らなかった。
  山口県は地理的に半島に近い。近いだけなら対馬/福岡も同じだが、敗戦直後の交通事情を思うと、東京へ夜行列車で駆け付けるしかない。
  古賀氏が描くように、岸/佐藤/安倍と血脈で繋がる戦後政治の本流。その中に75年後の今も日本は、そして日本国民は居る。。

* 米国のシンボル、ハクトウワシ 日本本土で初確認 https://mainichi.jp/articles/20200128/k00/00m/040/150000c?fm=mnm
  <ハクトウワシは、米国の国章や連邦政府や陸軍の紋章などに描かれている。有機塩素系の強力な殺虫剤DDTなどの汚染で個体数が激減したが、
  1972年にDDTなどが使用禁止となって以来、個体数が増加し、07年には米国絶滅危機種リストから除外された。>
 ⇒ いい話じゃないか。 と思う一方で、≪自然保護の進捗+獣害の拡大+生態系/食物連鎖の変化≫への対策を人類は持ち得ているのか? と気になるな。
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≪ 何故それが必要か? を考えようとしない国民/政治家 ≫  理念?それでなんぼ? 銭勘定が全ての”前垂れ商人国家ニッポン”  

2020-01-27 06:56:06 | 時評
 【風知草】「経済立国」の呪縛=山田孝男 https://mainichi.jp/articles/20200127/ddm/002/070/130000c?fm=mnm
・ <令和初の首相施政方針演説は「オリンピック・パラリンピックを成功させ、国民一丸となって新時代へ踏み出そう」という呼びかけで始まった(20日)。
 なぜ一丸とならなければならないのか。一丸となってどこへ行くのか。新時代はどんな時代か。そういう基本的な問題について、国民の間に、政府部内でさえ、
 はたして共通の理解があるのか?

 ⇒ もちろん無い。 此の国の国民・政府は、何事においても「共通の理解」を得る前提の「戦略的な長期ヴィジョン」を創ろうとする意志を放棄しているので、
   「なぜ~は必要か?」の根本を議論しないまま、抽象的で情緒的なスローガンだけを追う。 其のスローガンさえ設定したら事は終わった気になっている。


・ <この疑問は、話題の本を読んで一層深まった。大学入試改革批判の論客、苅谷剛彦(かりやたけひこ)・英オックスフォード大教授(64)=教育社会学=の「追いついた近代-消えた近代」(岩波書店、昨年9月刊)である。> 
  山田氏が例に引いた同書によれば、<英語入試をめぐる昨年末の混乱が、7年前、官邸主導の産業競争力会議で出た文部科学相発言に発したことは周知の事実である。「世界に伍(ご)して成長・発展していく」ために「使える英語力を」と文科相は言い、英語試験の民間委託を決めて頓挫した。
 苅谷教授によれば、民間委託へゴーサインを出した当初の決定には、英語は誰にでも必要か――という根本問題の検討、使える英語力を身につける学習は誰にでも可能か――という現実認識が欠けていた。

⇒ 私の本コラムを前から読んで下さってる方にとり、上の青字部分は何度か耳にしたフレーズだ。 私の海外生活体験から滲み出た語学教育観は、いみじくも上に述べた『「共通の理解」を得る前提の「戦略的な長期ヴィジョン」を創ろうとする意志』を欠いた国民性そのものが生む、現実認識の欠如の指摘である。

・ 山田氏<抽象的な理想や見込みから発想し、希望的観測で突き進んだ。そんなことが通用したのも、それが「世界に伍して成長・発展していく」という
 経済ナショナリズムと結びついていたからである。>
 <世界一豊かになった日本の新たな針路について、当時から多くの議論がなされた。「経済中心から文化重視へ」と説いた大平正芳首相の施政方針演説
 (79年1月)や政策研究会報告書はその一つである。以後も、根本的な問題を問う報告書が繰り返し登場した。
  が、現実は、つい最近まで「もっと追いつけ追い越せ」の経済ナショナリズムに支配された。その揚げ句が大学入試改革の迷走だと教授は見る。

 
★ <教育に限らない。「観光立国」「環境立国」「科学技術立国」などのスローガンは一見、大胆な改革をめざしているようで、
  実はGDP(国内総生産)拡大を促す経済ナショナリズムに縛られている……。>

  ↑ 「~立国」と「~大国」は裏腹であり、経済的地位の上下すなわちクニの上下、となるから国家主義に傾く。 きわめてナチュラルな流れではないか?
   だから<、国民一丸となって>というスローガンが首相のクチから出る。たぶん安倍晋三は≪経済的地位イコール日本の威信≫を疑っていない。


<超高齢化と人口急減の日本は、昭和の高度成長を繰り返せない。気候変動と大災害、海洋汚染、新型感染症など、軍事力も経済力も及ばぬ歴史的難問が次々押し寄せている。 日本は、今度こそ「追いつけ追い越せ」式の思考から抜け出さなければならない。難問解決へ国際協調を促す責任がある。>
 ← これこそが政治家のミッションであり、有権者と一緒に考えねばならぬヴィジョンではないか。
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 ベートーヴェン・生誕250周年に想う 

2020-01-25 20:50:40 | 文芸批評
 年が明けてこのかた、クラシック音楽の番組は専ら<ベートーヴェン・イアー>がメイン企画だ。 西洋音楽の歴史を紐解けば、知る人ぞ知る、フランス革命がヨーロッパ全体に与えた社会全体へのインパクトを象徴する劇的役割を果たしたのがベートーヴェンであった。 
 短く言えば、革命で崩壊した王侯貴族階級の閉ざされたサロンから流れ出た音楽を大衆が待つコンサートホールへ導く先駆者こそ彼だった。 

 モーツアルトまでがそうであったような、貴族のリクエストに応じて曲を創り報酬をもらう立場ではない最初の作曲家に彼はなったのだ。頼まれたのではなく、自分が作った曲を自分で演奏し、其の楽譜は貴族に売るのではなく、大衆向けに自分で出版社に売り込む。 この一連の流れはベートーヴェンに始まった。自立する作曲家である。
 然も、革命後の急激な社会変動で血沸き肉躍る19世紀。産業革命が生活時間をスピードアップし、都市化が進行し、目まぐるしい世の中になる。ベートーヴェンの曲に立ちのぼる<せっかち/熱気/怒り/叫び/嘆き>。。。これらは、ベートーヴェンがまさに19世紀という”嵐の時代の子”であったことを物語る。

 然し、時が下り、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ショパン、ブラームスの音楽には<せっかち/熱気/怒り/熱気/嘆き>よりも寧ろ<近代の憂愁>ともいうべき近代化の哀しみが加わる。 だが、チャイコフスキーまで含め、全般にヨーロッパ人、特にドイツ人の音楽が秘める『しつこさ』『粘っこさ』は、<近代の憂愁>とのバランスを保ちながらも続いたようだ。 
 他方、同じドイツ人ながら、18世紀前半までに活躍したテレマン・バッハ・ヘンデルにはベートーヴェンと同質/同量の『しつこさ』『粘っこさ』を(私は)感じない。 貴族の為の音楽だから?という時代差なのか、ベートーヴェン固有の性格・気性に由来する差異なのか? 

 さてさて、ベートーヴェンには、武骨そうな人相やスマートとはいえない生活エピソードを裏切るかのように優美な旋律も多い。そこはブラームスも似ているが、あのエネルギー溢れる作風は、若い頃はともかく、こちらが年を重ねると疲れてしまうようになった。 聴くのも、演奏するのも。 
 「ホラ、何してる!! 最後まで手を抜かないで、もっと頑張れ!」と、あの怖い顔でどやされている感がするのだ。  ・・・皆さんは?
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