静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

中国SNSの最新Buzz Word:「歴史的垃圾時間(ゴミの時間)」に込められた若者たちの気持ち

2024-08-24 14:00:14 | 時評
◎【JBpress】習近平の「歴史的ゴミ時間」に堕ちた高学歴ニート、老父母の年金頼みの絶望 (福島 香織)
  中国の青年失業率が昨年4月に20%を超え、6月に21.3%を超えた段階で、中国は公式の青年失業率を発表しなくなった。同年3月に北京大学の張丹丹チームが行った調査研究で青年失業46.5%という数字が出ている。
    昨今の青年失業率問題は高学歴者でも仕事を見つけられないし、卒業後から数年たってもずっと仕事をみつけられない。
☆ 中国若者の最新SNSスラング
「爛尾娃」→ 英語ではrotten-tail kids(なりそこないの子供たち) 
  中産階級家庭で子供の教育に散々お金をつぎ込んで十数年、やっと大学を卒業させたと思ったら、就職先はなく、自立して生活できずに、ついには実家に戻り親の年金を食いつぶす。
  日本語のパラサイトに相当する言葉として2005年くらいから存在していたという「啃老族」ではなく、新たに「爛尾娃」という言葉が誕生した背景を考えると、そこに政治のせいでこうなった、
  という人民のそこはかとない不満がにじんでいる気がする。若者の立場からすれば、勉強や受験だけに貴重な青春のすべてを捧げたのに、という残念感、後悔の怨念がよりこもっている気がする。
「爛尾楼」→ 老後の資産の足しにと思ってローンで購入した投機目的不動産が、資金ショートで未完のまま野ざらしになって価値を失ったもの。
「躺平」(寝そべり、何もしないサボタージュ)       *「内巻」(小さな世界での競争にいやおうなく巻き込まれすり減ること)
「蹭老消費」(老人市場に便乗する消費)→ 老親がもらう年金にたよったり、あるいは養老院や社区(コミュニティ)の老人食堂を利用して生活を維持するしかない現象

「歴史的垃圾時間(ゴミの時間)」→ これは「経済法則から逸脱し、個人にそれを変える力がなく、必然的に失敗の段階に向かう」という歴史の一定時期を指す概念。
 今年の7月ぐらいにネット上に出現しはじめた。「ニセ学術用語」の可能性が高い。だが、誰かがもっともらしく、今の習近平政権の時代は歴史的ゴミの時間だと言い出すと、それがネット上で
 大いに共感を集めたのだった。失業率の上昇に歯止めが利かず、どうしようもない貧困、企業の投資意欲の低下、官僚の怠慢…今の中国の経済低迷は、個人の努力ではどうしようもない。
 なぜなら習近平政権の打ち出す政策が経済法則から完全に逸脱しており、中国は必然的に失敗に向かうしかないから。
  中国の若者たちは今の時代を、日本のバブル崩壊後の失われた30年よりもさらに過酷な「中国の歴史的ゴミの時間」と呼び、一切の努力やヤル気を放棄する「躺平主義」に徹することが、唯一
 自分の心と体を守る選択肢、というわけだ。
  北京日報など中国官製メディアは「ニセ学術用語であり、概念を煽って、人々を焦らせるのが目的」だと批判し、一部学者たちは「中国の発展を否定し、民衆に対して中国が失敗に向かうように
 期待させる危険な流行語」とみなしていた。もっとも、このネットスラングがなぜ若者たちに急拡散されているか、その理由について真面目に分析しようとはしない。

◆ 中国の自由派の政治学者、劉軍寧は「習近平は中国の改革開放の成果を破壊し、10年の統治の間に、自分と異なる意見を徹底排除し、歴史的な3年間のゼロコロナ政策を実施し、中国の多くの産業を
  破壊し、外資の撤退を招いた」「中国民衆と国際社会は習近平政権に対する信用を喪失し、もはや習近平が何をしても、歴史的ゴミの時間を改変することはできない」という。
  ⇒ この劉軍寧氏、どこから発信してる?  身辺は守られているのか? 香港からだと今は逮捕されるのが当たり前になっているようだから、気にかかる。

さらに深刻なのは、中国全国養老保険基金の残高は2035年に尽きてしまう、という推計が出ていることだ。今後10年に退職を迎える老人は3億人とされるが、習近平政権はこれを減らすべく、退職年齢を延長する政策を三中全会でも打ち出している。だが、そうすればますます若者の就職機会が奪われるのではないか、という懸念が社会に広がっている。しかも、高齢者向けサービスは地方政府の財政負担が大きく、不動産政策の失敗で土地譲渡や再開発などの錬金術を使えなくなった地方政府は財政収入の不足を消費増税などで補おうとすると、ますます経済のパイは縮小し、若者の就業は困難になっていく。
 
 こういうまったく希望のみえないゴミの時間を、若者たちは躺平主義でいったいいつまで耐え忍ばねばならないのか。できそこない子供たちは、できそこないのままなのか。
それとも、いつか、何かのきっかけで立ち上がり、この政権を終わらせようとしたりするのだろうか。  ← 「躺平」の若者は立ち上がるか? 大人はそれを支えるか?
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【文科省認可の民族学校】と... | トップ | 熊被害対策は「衰微する過疎... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

時評」カテゴリの最新記事