◆GDPを1500兆円にする方法はあるのか!? 綾織編集長×鈴木真実哉氏
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アベノミクスはうまくいっていると安倍晋三首相は言うけれど、物価は上がるのに給料は上がらず、うまくいっている実感はさっぱり湧いてこない。この閉塞感、なんとかならないの!?――そう心で叫ぶ読者は多いのではないか。
そんな中、本誌編集長・綾織次郎の著書『GDPを1500兆円にする方法』が12月3日、発売となる。
現在の日本のGDPは約500兆円。安倍首相が掲げている目標は600兆円。そこから見ると、1500兆円とは目玉が飛び出るような数字だが、まえがきで著者は、「本書を読み進めるうちに、1500兆円という数字が小さく感じるようになるかもしれません」と強気の発言。はたして、日本経済の閉塞感を吹っ飛ばす一書となるか!?
今年4月に開学したハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)経営成功学部ディーンの鈴木真実哉氏と、同未来創造学部(2016年4月開設予定)ビジティング・プロフェッサーも勤める著者が、『GDPを1500兆円にする方法』について語り合った。
GDPが伸びていないのは日本だけ
綾織次郎(以下、綾織) 『GDPを1500兆円にする方法』という本を出すことになりました。読者のみなさんがこの本を見たときに、「そんなことできるわけないだろう」と言うのが、初めの感覚としてあると思います。
鈴木真実哉氏(以下、鈴木) この25年間、経済成長をほとんどしなかった日本人からすれば、「GDPが1500兆円」は夢のような話ですよね。ただ、日本には高度経済成長の時代があったし、中国も実際に成長しているわけです。その時の成長率は7%や8%はありました。
金利に直すと分かりやすいと思いますが、例えば金利が5%くらいなら、だいたい20年経てば預けたお金は倍にくらいになるわけです。経済成長率が5%くらいなら、GDPを1500兆にするには約25年です。今までにも経験している成長率ですから、あり得る話です。
綾織 アメリカも1990年頃から今までの約20年でGDPは 3倍になっていますからね。日本の場合はその90年頃からずっと伸びていない。アメリカも中国も伸びているのに日本だけが伸びていないということで、むしろ日本の方が特殊な状況に置かれていると言えます。
鈴木 そう、日本だけですよ、先進国で経済成長していない国は。だから日本独自の経済成長しなかった理由を取り除けば、まだまだアメリカのように経済成長する可能性があるわけです。
「新しい資本主義」とは?
綾織 それをこの本では、3つのステップで構成して書いています。ステップ1は「資本主義の精神を取り戻す」ということで、これは本来、旧アベノミクスの3本目の矢で打ち出していた規制緩和などをやればいいということを言っています。
ステップ2は「『重税国家』から『減税国家』への大転換」ということで、これは安倍政権では手を付けていない、社会保障の抜本的な見直しです。
ステップ3は、これはもう、幸福実現党のオリジナル、「『新しい資本主義』の時代を開く」というテーマ。
今の日本の置かれた状況が、大川隆法・幸福の科学総裁が説かれているように、もう欲しいものがない時代になってしまって、その意味では「資本主義の終わり」を迎えている。
それに対して「新しい資本主義」のあり方を大川総裁は説いているんですが、それを具体的に展開するとこうなるということを書いています。
鈴木 資本主義が行き詰って、成長が止まっていると言うのは、今おっしゃったように「欲しいものがない」からなんですよね。逆に言うと、欲しいもの作れば成長するってことです。それは何かと考えたときに、今から40年前、インターネットがなかった時代には、フェイスブックもその他のITサービスもなかったわけです。その時代の人は、インターネットなんて欲しいとも思っていなかったものが、ある日IT産業ができてワーッと広がった。
つまり、供給側が欲しくなるものをつくったわけです。ということは、今は欲しいものをつくる力が落ちているわけで、人々の購買意欲は決して潜在的には落ちていない。「もうこれ以上、新しいもの欲しくない」なんて思っていなくて、あまりにもそれが提供されなさすぎている。だから経済成長しなかったということです。
日本の家電が良い例です。かつての日本の家電は花形産業でしたが、このところヒットしている家電は、フランスのティファールの湯沸かし器だったり、イギリスのダイソンの掃除器だったり、欲しくなる家電が日本の製品じゃないんです。しかもそれらは決して安くはない。
綾織 今の時代、消費者が強いと言われながら、結局、「資本主義の社会の終わり」を打開するのは供給者側の問題ということですね。
供給側が無邪気につくったものに消費者が飛びつく
鈴木 その傾向はマイクロソフト社のビル・ゲイツや、マッキントッシュのスティーブ・ジョブズのあたりからありますよね。
供給側が面白がってつくったものに消費者が飛びつく。マーケティングによって消費者のニーズを探るという方法はまだまだ有効かもしれないけれど、実は、供給側が子供のように無邪気になってつくったもののほうが消費者の目線になってくるということです。
だから供給側が目線を変えることが「新しい資本主義」につながっていく。
これまでの資本主義社会は基本的には「セイ法則」という「作ったものは売れる」という発想です。
しかしこの論理を超越して新しい法則のもとに生産しなければならない。マーシャルが需要と供給の関係を示したように、需要と供給があってはじめて価格が決まり、均衡量も決まるわけですから、このマーシャルの理論に戻って、これからの経済は、需要と供給の両方が「未来志向型」になるような、そういうものだと思うんですよね。
綾織 供給が未来志向型というのは先ほどのジョブズの例で想像がつきますが、需要が未来志向型になるというのはどういうことでしょう。
鈴木 現状で満足しないということですね。もっと面白いものはないかと考える。必要なものではなくてね。面白いものは必需品になるんですよ。例えば今、スマホを持っている人が多いじゃないですか。でも、スマホは必要だから生まれたんじゃなくて、面白いから生まれたんです。だけど、みんなが面白がっているうちに必需品になった。未来志向型の需要が、新しい時代の製品を探すわけです。
綾織 そういう意味では、企業家ひとりひとりの顔が見える製品が増えていきますね。スティーブ・ジョブズもビル・ゲイツもそうですが、最近ならテスラモーターズのイーロン・マスクとか。面白がって製品をつくっている企業家の顔がもっと見える形になったほうがいいんでしょうね。
鈴木 もちろんこれからも組織は必要だし、マネジメントは必要ですが、個性的な経営者やトップがいるところのサービスや製品がヒットする社会になってくると思いますね。そういう天才を育てるために組織があるとも言えますね。
(続く……次回からは動画でお届けします)
【関連ページ】
幸福の科学出版 綾織次郎著『GDPを1500兆円にする方法』 綾織次郎著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1599
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2015年9月24日付本欄 今さら聞けない、サッチャーは何をした人?――綾織編集長の『未来創造学』超入門【福祉編】
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2015年9月号記事 HSU論壇 - 「経営の成功」から個人および社会の幸福へ - 鈴木 真実哉
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