倒産の危機を乗り越えて――逆境を乗り越える力をくれた教え
http://voicee.jp/2015062011162
経営者となりスケールの大きな仕事をしたい
私は現在、ソフトウェアやシステム開発のサービスを提供する会社を経営しています。
大学卒業後、システムエンジニアとして、地元の企業に就職。地方自治体のシステム開発に関わりながら、「これからは、コンピューターが社会の新しいインフラを作るんだ」とやりがいを感じたものです。
しかし、ある時書店で大川総裁の著書『太陽の法』と出会い、経営者を目指すようになったのです。
「人間は永遠の生命を持っていて、魂修行のために生きている」という教えに触れ、人生の捉え方がガラリと変わりました。
「永遠の生命を輝かせるためにも、経営者となり、社会に貢献できるようなスケールの大きな仕事をしたい!」という情熱が高まってきたのです。
そして、部下や顧客企業の後押しもあって独立。社員7名でスタートを切りました。
「バブル崩壊」のあおりを受け苦境に
起業して1年間は順調でした。しかし翌年、いわゆる「バブル崩壊」のあおりを受け、早くも苦境に立たされたのです。
大手企業も仕事がないほどの深刻な状況の中、設立2年目の会社が簡単に仕事を取れるはずがありません。昔の知り合いや得意先に頭を下げて営業に回りましたが、どこも相手にはしてくれませんでした。
手持ちの資金も底をつき、会社設立2年目で、リストラをせざるを得なくなりました。
四六時中、資金繰りと、リストラ対象の社員のことが頭から離れません。
自らの判断一つで、会社の存続や社員の人生を左右する社長業の責任の重さを、ひしひしと感じます。
「ふがいないリーダーで申し訳ない。どうか、退職後の人生が幸福なものとなりますように」と、心のなかで社員に詫びました。
収入がいい仕事を選んでいただけと気づく
苦しい時期に自分を支えてくれたのは、「人生は一冊の問題集であり、偶然は一つもなくすべてが学びの糧である」という幸福の科学の教えでした。
「試練は自分に足りないものを教えてくれている」ことを心に刻み、私は幸福の科学の書籍や経営書を手当たり次第読みました。
「よい仕事をするためにはニーズ、すなわち他の人々の要求・需要をいち早く察知することが必要」という教えを見つけたとき、私は自分の間違いに気づきました。
「仕事がなかったんじゃない。収入がいい大きな仕事を選んでいただけだ!他社がやらない仕事の中にニーズがあるはずだ!」
そこで、他社が請け負って、うまく稼動していないシステムのメンテナンス等も積極的に引き受けることにしました。これはクレームが多い割に利益が薄く、大手は手を出さない仕事です。
だからこそ、この部分を攻めることで、発展の足がかりがつかめると確信しました。
「小さな仕事でも丁寧に対応する」「トラブルがあっても、お客様のせいにしない」という方針を貫き、社員にも徹底しました。
こうした地道な努力が実を結び、ある時、上場企業の担当者から、「是非御社にお願いしたい」と、新規システム開発の依頼が舞い込んだのです。5年がかりの大きなプロジェクトでしたが、この仕事のおかげで、独立5年目にしてようやく黒字を出すことができました。
二度目の倒産の危機
その後2年間は、順調に発展し、社員も増えました。
ところが再び、危機が訪れたのです。
大手テレビ局のシステムを受注し、2年がかりでプロジェクトを進めていた時のことです。納期まであとわずかという段階でテストしたクライアントから、思わぬ言葉が返ってきました。
「メインプログラムの動きが遅い。こんな品質では、予定通りの稼動は難しい。半年先送りして作り直してもらえないか」
その修正は、主力社員5名を当てても半年を要する大きなものです。しかも、追加費用は一切出せないと言われます。社内で詳細を確認すると、打ち合わせの通りに作ったとのこと。
「システムの運用準備が整っていないから、こちらのせいにして、半年先延ばしにしようとしているんじゃないか」「もっと早くテストしてくれれば……」といった社員からの不満が噴出しました。
相手の問題や責任を追及することもできましたが、それでは、ここまで築き上げた評判や信頼を失い、二度と仕事がもらえなくなるかもしれません。
とはいえ修正の依頼を受ければ、半年間主力社員5人分の売上がゼロになり、資金難に陥ることは明らかです。
さまざまな苦難を乗り越えてきた私も、この時はさすがに参ってしまいました。
自分に足りなかったもの
万が一倒産したら、家族や、社員とその家族はどうなるんだろうかと考えると夜も眠れません。休日に家族と出かけたとき、一瞬景色がセピア色に見えたこともあります。
ある日、帰り道の車中で『常勝思考』の法話テープを聴いていると、ある言葉が深く心に響きました。
「こうした道を歩めたのは、やはり多くの方の協力のおかげであり、また、それ以上に、天上界にある方がたの協力があったからだと思います」という箇所を聞き、「いつの間にか、自分ひとりの力で会社を大きくしたんだと慢心していた。お客様や社員の支え、そして目に見えない応援への感謝が足りなかった」と、反省の涙が次から次へとあふれてきます。「皆さんの恩に報いるためにも、必ず会社を立て直すんだ」という強い決意が湧いてきました。
その日を境に、迷いは吹っ切れました。
一部社員の反対を押し切り、無償での修正を決断。お客様への感謝の思いで、最高の技術を提供しようと社員に呼びかけました。
「お客様のせいでも、みんなのせいでもない。十分に確認をしなかった私の責任だ。苦労をかけて申し訳ないが、力を合わせて危機を乗り切ろう!」
私の言葉に、社員も奮い立ちました。
金融機関の協力のおかげで資金も何とか工面でき、修正したシステムを無事納品することができました。
すると、そのシステムの評判を聞きつけた別の大手テレビ局から、「このシステムのノウハウを一番知っている会社に頼みたい」と、かつてないビッグプロジェクトの話をいただいたのです。
この仕事のおかげで、半年分の赤字を埋合わせて余りある利益を上げることができ、業績は急上昇しました。
「謙虚な思いで、誠実に仕事をやり遂とげた結果、大きなプレゼントをいただいた」と、改めて周りの方々と天上界の導きに感謝の思いを深めました。
仏の教えがあってこそ
高い技術力と細やかなサービスが評判を呼び、今では顧客の8割以上が一部上場企業。会社は安定的に発展し、社員もさらに増えました。
逆境を乗り越え、発展に結びつけることができたのは、仏法真理のおかげです。
「この道は、仏神の目から見て正しい。少なくとも『たくさんの人を幸福にしたい』という動機は間違っていないはずだ」
そう信じることができたからこそ、リーダーとして決断し、行動する勇気がわいてきたのです。
今後も、感謝と愛の思いを忘れず、多くの人々を幸福に導くことのできるリーダーを目指し、チャレンジし続けていきたいと思います。