◆琴(キン)の琴を弾く女三の宮
紅梅の匂の表着、桜襲の細長このように、膝に乗せて弾くのだそうです。
「人よりけにちひさくうつくしげにて、ただ御衣のみある心地す。にほひやかなる方は後れて、ただいとあてやかにをかしく、二月の中の十日ばかりの青柳の、わづかにしだりはじめたらむ心地して、鶯の羽風にも乱れぬべく、あえかに見え給ふ」
――普通の方より小さくて、可愛らしく、ご衣裳に埋もれていらっしゃるように見えます。匂いこぼれるような艶やかさはお見えにならず、ただまことに優雅でお美しい。ちょうど二月二十日ごろの青柳の糸のようやく枝垂れ初めたような心地がして、鶯の飛び交う羽風にも乱れてしまいそうな華奢にお見えになる――
風俗博物館
紅梅の匂の表着、桜襲の細長このように、膝に乗せて弾くのだそうです。
「人よりけにちひさくうつくしげにて、ただ御衣のみある心地す。にほひやかなる方は後れて、ただいとあてやかにをかしく、二月の中の十日ばかりの青柳の、わづかにしだりはじめたらむ心地して、鶯の羽風にも乱れぬべく、あえかに見え給ふ」
――普通の方より小さくて、可愛らしく、ご衣裳に埋もれていらっしゃるように見えます。匂いこぼれるような艶やかさはお見えにならず、ただまことに優雅でお美しい。ちょうど二月二十日ごろの青柳の糸のようやく枝垂れ初めたような心地がして、鶯の飛び交う羽風にも乱れてしまいそうな華奢にお見えになる――
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