中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

ミュージアムコンサート

2013-09-02 11:54:06 | 山形弦楽四重奏団
 山形Qの「芸術の秋」スタート。ということで、昨日は酒田市美術館にて「ミュージアムコンサート」。

 「ルーヴルの銅版画展」という特別展示の最終日のイベントとしてお招きいただきました。


 美術にまったく不案内な私は、「版画=複製」という価値観しか持っておりませんでした。生演奏に対するCDのような。刺身に対する干物のような(・・・これはちょっと違うか)。もちろん利便性その他の価値はあるでしょうが、明らかに一段落ちる「代用品」のように思っていました。

 会場でのリハーサルを終えて「まあ、せっかくだから」と、展示されていた、ギュスターヴ・モローの「出現」を見ました。この絵はもともと超有名ですが、ゾラの「制作」(大好きな小説です)の岩波文庫のカバーになっていて、小説の世界観にぴったりだったこともあって、特別な愛着を感じていたのです。

 やっぱりすごい絵だとは思いましたが、係の方に勧められるままに虫眼鏡で細部を見てびっくり。これが「版画」の技術なんですね。計算された細かい線がびっしりと刻まれていて、それが実際の絵の印影やタッチをそのままに、いやそれ以上に再現してるのがわかりました。

 これは気の遠くなるような作業です。そして人間業でない根気と、同時にセンスが必要だったことでしょう。これだけでも十分、人類の遺産と呼べるようなものだということがわかりました。

 「良い仕事」には、「そこまでやるか普通・・・」というレベル以上の手間がかかっているものですね。素人がチラッと見ただけではまったくわからない部分まで、しっかりとこだわることの大切さを勉強させていただきました。


 さて、コンサートですが主催者のリクエストにより、ハイドンの「皇帝」を中心に、クラシカルなプログラムを演奏しました。美術に特別深い造詣を持つ、今井嬢の実直な解説の効果もあり、熱心にそして和やかに聴いていただけました。我々もお客様とともに、芸術作品に囲まれながら豊かな時間を過ごすことができたように思います。

 美術館さまをはじめ、スタッフその他、関係各位に深く感謝いたします。


 さあ、次は同じく酒田。14日の、山形Qの庄内定期演奏会です。昨日も多くの方がチラシを持って帰って下さいました。こちらも良い演奏会になるよう頑張ります。
コメント (8)
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