中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

ハムレット

2011-08-20 12:30:05 | 山形交響楽団
ポローニアス 「ハムレット様。お妃様がぜひともお話しになりたいことがございます由、それも今すぐ。」
ハムレット  「あの雲が見えるかな、それ、向こうのらくだの格好をしている?」
ポローニアス 「なるほど、いかにもらくだのようで。」
ハムレット  「いや、いたちに似ているぞ。」
ポローニアス 「さよう、背中のあたり、確かにいたちに似ておりますな。」
ハムレット  「待てよ、鯨のようではないか?」
ポローニアス 「おお、鯨そっくりで。」
ハムレット  「よし、すぐ母上のところにまいる。」

 シェイクスピアは悲劇の中でも、こういうやりとりが面白い。皮肉が含まれたウイットがちりばめられていて、何度読んでも飽きません。


 さて、今週の山響は定期演奏会。指揮にアメリカのルバート氏を迎えて、メンデルスゾーンの「イタリア」、リストの「協奏曲2番」、そして同じくリストの交響詩「ハムレット」です。

 イタリア以外は弾いたことはもちろん、聴いたこともありませんでしたが、なかなか新鮮で面白いです。聴きに来てくれたお客さんはいかがたったでしょうか?


 その交響詩「ハムレット」は、やっぱり暗くてドラマティックな曲です。悲劇の最大傑作だし、ホレイショー以外の主要登場人物が全員死んでしまう(まさにバタバタと)というストーリーを考えれば当然でしょう。しかし、個人的にはこの交響詩が、シェイクスピアの「ハムレット」をよく表現しているとは感じません。

 チャイコの「ロミオとジュリエット」についてもそう思いますが、文学を「交響詩」という形で音楽にするのは難しいというか、無理があるような気がしています。もちろん交響「詩」だから、ストーリーと合っている必要はまったくないのでしょうが、「感想文を音楽で書いた」みたいになってしまうと、ちょっと興ざめしてしまいます。


 まあ、音楽は音楽として楽しむべきだし、そういう意味では「ハムレット」も良い曲だと思いますよ・・・いや本当に。演奏する方としては言葉の選び方が難しいですが、聴いてくださるお客さんに楽しんでいただけるように、今夜の米沢での本番も頑張ります。
コメント (2)
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