中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

握手

2009-08-29 07:22:56 | 音楽
 選挙戦の真っ只中ですが、候補者たちはみんな、有権者の人と握手したがりますよね。とにかくかたっぱしから。政治家は「日頃から挨拶する時は握手をする習慣を持っている珍しい日本人」、というわけでもなさそうですが、選挙の時だけは別なんですね。

 「握手」は、相手にさわり、さわられるわけですから、皮膚の感覚が呼びさまされて、心理的に「相手を受け入れようとする」状態になりやすい、という話をきいたことがあります。「ふれあう」とはまさにそういう意味で「受け入れあう」ことなんだと。わかるような気もします。視覚で判断すると「いらない」とパッと切り捨ててしまうものでも、触覚で判断しようとする時には「もっと感じよう」としますからね。


 さてさて、上の写真は京野菜のようにも見えますがそうではなくて、昨日演奏会で頂いた花束です。昨日は新山形Qで病院を訪問して演奏して来ました。(「新」の方も活性化しております。らびお氏のヴァイオリンも上達してきました)。

 聴いて下さるのはおもに入院していらっしゃるお年寄りの方々ですが、本当に熱心に、心から楽しもうとして聴いているのが伝わります。するとこちらも「上手く弾こう」ではなくて、「少しでも何かを伝えたい」という気持ちになります。これは、われわれにとっても、心に残る「音楽体験」になります。

 弾き終わって、車椅子に乗ったお年寄りからこの花束を頂きました。そしてもちろん握手。そこでちょっと感動しました。

 こちらはどうしても、ステージマナーというか習慣的・儀礼的に握手の手を出してしまいますが、相手のご老人は違いました。手のひらから本当に心が皮膚を通して伝わってくるような、しっかりした握手でした。こういう握手はなかなかできない。

 山響の定期とかで、最後に指揮者が弦楽器の一列目全員と握手する時がありますよね。常々「握手をすると人間性がわかるものだ」と感じています。もちろんステージ上ですから儀礼的なのは当然なのですが、それでも実があるのが伝わる人もいれば、性根の冷たさが伝わってくる人もいます。(ちなみに今までで一番好きだった握手はボッセ氏)。


 昨日は良い「ふれあい」を持てました。
コメント
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