中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

収録

2009-02-19 07:07:22 | 山形交響楽団
 少し大きめの飲み屋とかレストランで、向こうでウエイトレスの一人がお皿かなんかを落として「ガチャン」と大きな音をたててしまったとします。そういう時に、それぞれの場所にいる他の店員が近くのお客さんに「失礼致しました」と、自然に言うような店は間違いなく「良い店」です。形式的な号令のような「はい、よろこんでー」みたいなのとは違います。自分じゃない他の店員が皿を割って騒音をたてたとしても、「お店側の者」として客に詫びる。その辺の自覚が「自然に」できるのは、それぞれのスタッフがまさに「そこのスタッフであることに誇りを持っている」からでしょう。それ程良い店なんです。

 昨日は山響でNHKの音楽番組の公開収録でした。こういう収録の時はいつもですが、監督を中心とした撮影スタッフのチームワークの良さと、完成された役割分担の見事さには、感動すらおぼえます。「おくりびと」の撮影の時もそうでした。「言われた事だけを怒られない程度にしている人」や「わたしが何とかしなきゃ、とでしゃばる人」はいません。

 そんな中で、その役割のよくわからない人がいました。フラフラとしょっちゅう舞台に出てくるのですが、進行をつかさどるわけでもなければ、道具を用意するわけでもない。出演者にどうでもいい事を話しかけたりしてる。何の人なんだろう?

 しかし、何かの変更やらで間が空いた時にすかさず「ただ今、カメラの打ち合わせ中です。少々お待ち下さい。」と言ったり、マイクの接触のせいでしょうか「ボツッ!」と騒音が出た時に間髪いれず「失礼しましたっ!」など。顔が隠れてしまっている出演者には「恐れ入ります、譜面台をもう少し下げて頂けますか?」

 なるほど、撮影チーム全体と出演者との「つなぎ役」なんですね。確かにその人がいるおかげで、円滑に進みます。ちょっとした事ばかりなんですが、出演者側にとってはその人が「NHKの代表」になりますから、「さすがNHKは気が利くなあ」ということになるわけです。これはカメラや音声の「技術者」だけではできない事でしょう。出演者に話しかけるのも、リラックスして気持ちよくできるようにという気遣いなんですね。

 そういう「プロ意識」はいいもんです。きっとNHKの撮影スタッフであるという事に誇りを持っているんでしょう。それを見た人は「NHKって良い会社なんだろうな」と思ってしまうものです。

 仕方ない、ちゃんと受信料払うかな…。(もちろん、昔からきちんと納めております)

 
 

 
コメント (4)
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