映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ハングリー・ハーツ

2017年11月13日 | 映画(は行)
新米の母親の危うい物語・・・?



* * * * * * * * * *

ニューヨークで出会い、恋に落ち、結婚した
ジュード(アダム・ドライバー)と、ミーナ(アルバ・ロルバケル)。
子供が生まれ、満ち足りた生活となるはずーーーでした。
ところが、ミーナは外の世界に対して過激な敵意と恐怖心を抱くようになります。
それは妊娠時から徴候があったのですが、赤子が生まれてからは更に激化。
子どもを外に出さないばかりか、検診にも連れて行かず、
おまけに肉類は毒だと思い込む強固な菜食主義となり、
赤子は極度の発育不良に陥っているのです。

ジュードは耐えきれず、「散歩に連れていく」と言って
わずかのスキに栄養のあるものを食べさせたりもするのですが、
それに気付いたミーナは、栄養の吸収を妨げる薬品を赤子に飲ませるのです。
基本的にジュードはミーナを愛していて
彼女の希望を極力叶えようとするのですが、
やせ細っていく赤子にはやはり我慢ならず、役所に相談に行ったりもします。
ところが、「母親の虐待」を証明できなければなんともできないと言われます。
そんな悠長なことはしていられない。
今夜も息子は食事を食べられない・・・。
ついにジュードは赤子を連れ出して、実家の母に預けるのですが・・・。



2人のは出会いはごく普通、と言うか普通よりもユーモラス。
ミーナの精神には何の問題もないと思われたのですが・・・。
これはマタニティブルーなのでしょうか。
それとも育児ノイローゼか、またはある種の宗教? 
ジュードは申し分ない夫だし、収入も十分ではないにしても困るほどではない。
どう見てもこの結婚生活に大きな悩みなどなさそうに思えます。
けれど落とし穴はどこにでもあるということか・・・。

ミーナについては正常なのか、思い込みが強いだけなのか、
それともすでに常軌を逸しているのか、非常に難しい。
・・・いや、少なくとも正常ではないですね。
本当はこの人が何らかのカウンセリングを受けるべきなのだろうな。



でも作中、ジュードは悪戦苦闘、すごく頑張っていましたよね。
仕事を途中で抜けても、様子を見に来たり・・・。
申し分ない夫なのになあ・・・。



しかし、本作、最後まで見てやっとどういう物語なのかがわかりました。
ちょっと虚を突くサスペンス。
単に新米の母親の危うい精神の物語ではなかったのでした。
・・・やられた!!

ハングリー・ハーツ [DVD]
アダム・ドライヴァー,アルバ・ロルヴァケル,ロバータ・マクスウェル
TCエンタテインメント


<WOWOW視聴にて>
「ハングリー・ハーツ」
2014年/イタリア/109分
監督:サベリオ・コスタンツォ
原作:マルコ・フランツォーゾ
出演:アダム・ドライバー、アルバ・ロルバケル、ロベルタ・マックスウェル
異常な育児度★★★★★
意外な展開度★★★★☆
満足度★★★★☆



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おなら (kossy)
2017-11-13 23:42:42
冒頭のトイレに閉じ込められたエピソードが印象的すぎて、
アダム・ドライバーを見るたびに思い出しそうです!
『スターウォーズ』でも・・・
Unknown (たんぽぽ)
2017-11-14 19:34:00
>kossyさま
本当に、この冒頭シーンのお陰で、本作はもっとコミカルな話かと思ったのですが、全然違いました。
思えば、この後2人がどうにもならない隘路にはまり込んでゆくという象徴的シーンなのかしらん・・・?

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