映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「フォールアウト」サラ・パレツキー

2018年01月31日 | 本(ミステリ)

単身旅先での孤軍奮闘

フォールアウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)
山本 やよい
早川書房

* * * * * * * * * *

窃盗の疑いを掛けられている青年オーガストが、老女優フェリングとともに失踪した。
探偵ヴィクは彼らが向かったと思われるカンザス州の街へと赴く。
オーガストたちは廃棄されたミサイル基地で何かを撮影していたらしい。
調査を進めていたヴィクは殺人事件に巻き込まれ……。
アメリカ中西部に渦巻く陰謀の正体とは?

* * * * * * * * * *

昨年秋にこのV・I・ウォーショースキーシリーズを何作か読んでいたので、
新作が出ていたのは嬉しく思いました。
そういえば2017年の年末、恒例年末発売の
パトリシア・コーンウェル「検屍官シリーズ」の方は出なかったのですね。
それがちょっと寂しかったのですが、
その穴を埋めるのにも余るくらいの、いつもながらの力作でした。

本作は珍しくヴィクがホームグラウンドのシカゴを離れ、
単身(犬連れ)カンザス州へ赴いて仕事にかかります。
失踪した老黒人女優フェリングと映像作家の青年オーガストの行方を捜索するのが彼女のミッション。
ところがこの二人の行方は全くつかめず、
しかし、死にそうな人を3名助け、死体を2体発見してしまいます・・・。
おかげで地元の警察にもしっかり顔なじみになってしまう。
まるでヴィクが疫病神をこの田舎町に連れてきたように思われてしまいます。
そうなればもちろん彼女自身にも殺人の嫌疑がかかったりもして・・・、
いつもながら踏んだり蹴ったりの憂き目に合うヴィク。
彼女を慰めるのは犬のペピーのみ・・・。
いえ、彼女のフランクな性格のお陰で、
じきに気のいい協力者(時にはやりすぎてしまう鉄砲玉のような娘も)ができるのですけれど・・・。


この地には、以前核ミサイルの基地があったのです。
その昔、反核のデモがあったりもした。
だからもしや放射能漏れに関する問題が背後にあるのでは?
と、思えたのですが、いや実はそうではなく・・・。
災いの種は30年前に蒔かれていたのです。
その時に問題隠蔽を図った者たちが、今また問題発覚を恐れて動き出した
・・・と、そういう構図。


相変わらずカンの良さとタフさで、もつれた糸を解きほぐしていくヴィクですが、
今回のヴィクはややメランコリック。
シカゴの親しい友人たちと離れているからということもあるのですが、
何と言っても、恋人ジェイクとの危機が問題。
コントラバス奏者のジェイクはずいぶん長くヴィクとうまく行っていました。
結構恋人が入れ替わるヴィクなのですが、
ジェイクとは多分シリーズ中でも最長の仲の良さだったと思います。
ところが本作冒頭からジェイクはスイスに行ってしまっているのです。
「一緒に来ないか?」とヴィクは誘われたのですが、
彼女は仕事の方をとってしまった。
カンザスに来てもメールは通じるわけですが、
なかなか連絡もなくヤキモキする彼女に、ついには破局を意味するメールが・・・。
いつかこうなるとは思っていましたが、お気の毒・・・。
イヤほんと、いいヤツだったんですけどねえ・・・。
けれどもジェイク恋しさに涙を流しながらも、
結局恋人よりも仕事を選んでしまう、そんなヴィクが大好きです!!

「フォールアウト」サラ・パレツキー ハヤカワ文庫
満足度★★★★.5


スノーデン

2018年01月30日 | 映画(さ行)

職務と正義心の間で

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先に見た「シチズン・フォー スノーデンの暴露」は、
エドワード・スノーデン本人の出演するドキュメンタリー。
スノーデンが香港のホテルの一室で、
アメリカ政府による個人情報監視の実態を暴露するに至る緊張の数日間を描いていました。

 


本作は彼がそのキャリアと幸福な人生を捨て、
世界最強の情報機関に反旗を翻すまでの約10年間を実話に基づいて描きます。
スノーデンに扮するのはジョセフ・ゴードン=レビット。
先のドキュメンタリーを見ていればこそ、その雰囲気が非常によく似ていることがわかります。

 

スノーデンは、9.11同時多発テロの後、テロ防止の役に立ちたいと思い
NSA(国家安全保障局)の仕事についたのですね。
ところが次第にテロの監視というのは名目で、一般市民の個人情報までもを監視、
それは、政府と経済のためのものとなっている現実に気付いていきます。
スノーデンは彼自身の正義心と職務の間で、悩み苦しむようになっていく。
彼のパートナー、リンゼイはリベラルで快活な女性です。
そんな彼女の考え方がスノーデンに影響を及ぼしているというように描かれているのもステキなところです。
もちろん彼は職務上の秘密を彼女に明かしたわけではないのですが。

 

スノーデン自身苦しいので、この仕事を辞めるチャンスは実は幾度かあったわけですが、
しかし、彼が優秀なために、また新たな役割を要請されてしまうのですね。
リンゼイと暮らすための十分な収入も必要ではあった・・・。

 

日本にもいたことがあるというので、また一層身近な気がします。
しかし、日本の米軍基地でもドローンによる爆撃の操作が行われていたようで、それは怖い・・・。 

スイス・日本・ハワイ・・・結局ネットさえ繋がればどこにいても仕事はできてしまう。
ハワイの安楽な生活を捨て、二度と故郷アメリカの地を踏めないことを覚悟しても、
真実を世界に告げようとしたその勇気。
やはり凄いと思います。
先のドキュメンタリーと合わせて、本作もぜひ見るべき作品でした。

 

最後に基地から証拠となるデータをコピーして持ち出すその手段が、
なんともオシャレで、そしてスリリング。
ここのところは創作ではなくて、本当のことなのかしらん? 
だとしたら、凄い!!

スノーデン [DVD]
ジョセフ・ゴードン=レヴィット,シャイリーン・ウッドリー,メリッサ・レオ,ザカリー・クイント
ポニーキャニオン


<WOWOW視聴にて>
「スノーデン」
2016年/アメリカ・ドイツ・フランス/135分
監督:オリバー・ストーン
出演:ジョセフ・ゴードン=レビット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザッカリー・クイント、トム・ウィルキンソン
緊迫度★★★★☆
満足度★★★.5


嘘八百

2018年01月29日 | 映画(あ行)

歴史を作らなければ・・・



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大阪・堺。
千利休を生んだ茶の湯の聖地。
古物商の小池(中井貴一)は、
腕は良いが落ちぶれた陶芸家・野田(佐々木蔵之介)と出会います。
双方ともに、大御所鑑定士・棚橋(近藤正臣)に騙されたことがあり、
協力して棚橋に一矢報いることにします。
「幻の利休の茶器」を仕立て上げて、棚橋から大金を巻き上げようとするのです。
それぞれの家族や友人たち、文化庁までもを巻き込んだ大芝居。
その守備やいかに!



野田は、
「今までにあるものをマネてもダメだ。歴史を作らなければ・・・」
と言います。
だから、今までにこんなものはないのだけれど、
利休ならきっとこうしたものが欲しかっただろう・・・
というストーリーを作って、茶器を造るのですね。
ドキドキさせられるコン・ストーリー。



一応の決着の後にもまた2転3転があって・・・、楽しめました。
ただちょっと、最後の大どんでん返し的な部分が弱いような気も。
あっと驚く予想外!!
というほどでもなかった・・・。
でもまあ、骨董品の良し悪しなど私には全くわかりませんが、
作中にもあったように、あんな器でカフェオレを飲んでみたいです・・・。



中井貴一さんと佐々木蔵之介さんのツーショットというのは、
そういえば今までみたことがなかったかも、です。
おじさんコンビもなかなか渋くてカッコイイ。



<シネマフロンティアにて>
「嘘八百」
2018年/日本/105分
監督:武正晴
出演:中井貴一、佐々木蔵之介、友近、森川葵、前野朋哉、近藤正臣
騙し度★★★★☆
ユーモア度★★★★☆
満足度★★★.5


「砂浜に座り込んだ船」池澤夏樹

2018年01月27日 | 本(その他)

今は亡きものと密かに語り合う

砂浜に坐り込んだ船
池澤 夏樹
新潮社



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札幌近郊の海岸で、砂に坐り込んだような姿で坐礁した大きな貨物船。
その写真を眺めていると、死んだ友人が語りかけてくる。
遊び上手の粋な男で、古い家に母と二人で暮らしていた。
老母を喪ってからその死までの、
案じながら踏み込めなかった友人の晩年に耳を傾け、
自身のあてどなさをあぶりだす表題作など、
生者の同伴者としての死者を描いて、人生の底知れなさに触れる全8篇。

* * * * * * * * * *

池澤夏樹さんの短編集です。


巻頭が「砂浜に座り込んだ船」。
それはつまり、砂浜に座り込んでいるように、座礁した貨物船のこと。
本作の語り手は、わざわざ座礁した船の近くまで行って見てきます。


座礁した船は美しかった。
場違いであることを少しも恥じず、
自分のいるところが世界の真ん中と言わんばかりに堂々と、
周囲をうろつく人間たちを完全に無視して、優雅にそこに座っていた。



そして、自宅に帰ってからその写真を眺めているうちに、
ふと、自分の隣に今はもう亡き友人が座っているのに気づきます。
その友人と会話を交わすうちに、彼の老母が火事で亡くなったことも思い出す。
そして失意の彼がしばらく呆然とし、焼け跡から拾い集めた過去の遺物の整理ばかりをしていたことも・・・。
もしかすると、座礁し動けなくなった船で、
彼のことを思い出したのかもしれません。
池澤夏樹さんの短編を読むと、その詩的感覚を受けて、
静かに心が落ち着いていく気がすることがあります。
その描写の言葉の奥に、深くて静かな精神世界の広がりを感じる・・・。
だからどれも貴重な一作。


「苦麻の村」
震災後にマンションの一室をあてがわれた被災者の老人は、
いつしか無人の電気も通わない故郷の我が家に帰り、
たった一人で暮らし始める。


「上と下に腕を伸ばして鉛直になった猿たち」
広い湖のような、川のようなところを船で渡り、
向こう岸につくと丘があって、その中腹にホテルが立っている。
そのホテルにしばらく滞在することになった男。
そこで彼は、18歳で大きな電車の事故で亡くなった姪と再開する。
・・・この黄泉の国のイメージ、
「DESTINY 鎌倉ものがたり」のイメージと比較すると面白い。


これら、震災や大きな事故等の後の話も色々と感じる所も多いのですが、
他に好きだったのは「夢の中の、夢の中の」。
夢の中で夢を見て、またその夢の中でも夢を見ていて・・・
というマトリョーシカみたいな話なのですが、(映画にもありましたね)、
「今昔物語」ふうに語られるところが鄙びた幻想味を呼び起こして、魅力的です。

図書館蔵書にて
「砂浜に座り込んだ船」池澤夏樹 新潮社
満足度★★★★★


ザ・エージェント

2018年01月26日 | 映画(さ行)
君がいて、僕は完全になる。



* * * * * * * * * *

まだ見ていないトム・クルーズ出演作を発見!


スポーツエージェントのジェリー・マクガイア(トム・クルーズ)は、
今のマネー最優先のエージェントの方法に疑問を感じています。
ある時思いつくままに選手本位の、心を大事した方法の提案書を作り、
会社内に配りました。
ところがそのことがもとで彼はクビ。
ただ一人彼の考えに共感してくれた会計係のドロシー(レニー・ゼルウィガー)と、
独立することになりました。
しかし、多くのクライアントは元の会社から移ってはくれず、
唯一残ったのが落ちこぼれのフットボール選手。
ジェリーは彼一人を武器として悪戦苦闘をはじめます。



本作、スポーツエージェントの話というよりも、
ジェリーとドロシーのラブストーリーとしての比重が大きかった。
ドロシーは、バツイチの子持ち。
シングルマザーとして必死にまだ幼い子どもを育てています。
そんな彼女が安定した以前の職場を去るのは
実はとてもリスキーなことだったのです。
でも、ジェリーの人間味のある主張にかけたのですね。
しかし以前失敗しているからこそ、ちょっと恋にも臆病になる。
恋に逡巡するドロシーの姿は「ブリジット・ジョーンズ」にも通じるところがあるけれど・・・、
本作は1996年。
「ブリジット・ジョーンズ」は2001年。
この後だったんですね。


それでも、2人は互いに心を通わせて、晴れてゴールイン。
けれど物語はそこでは終わらない。
ドロシーは、ジェリーに何か物足りないものを感じてしまうのです。
外みには、妻もその子どもも大事にする優しい夫に見える。
それでも納得できないドロシー。
う~ん、しかし私は普通の結婚生活、夫婦ってこんなものなのでは・・・
と、思ってしまいました。
これ以上のものとは、一体何なのか。


でも最後まで見てなんだかガーンと胸を打たれました。

「君がいて、僕は完全になる。」

そうか、そういうことが本当の結婚と言うものなのか・・・。
この年までわかっていなかったなあ・・・と。
皆さまの結婚はいかがですか?

ザ・エージェント (1枚組) [DVD]
トム・クルーズ,レニー・ゼルウィガー,キューバ・グッディングJr.,ケリー・プレストン
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


<J-COMオンデマンドにて>

「ザ・エージェント」
1996年/アメリカ/138分
監督:キャメロン・クロウ
出演:トム・クルーズ、レニー・ゼルウィガー、ボニー・ハント、レジーナ・キング、キューバ・グッディング・Jr
夫婦観度★★★★☆
ハートウォーミング度★★★★☆
満足度★★★.5

「無花果の実のなるころに」西條奈加

2018年01月25日 | 本(ミステリ)
おばあちゃんが解く日常の謎

無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)
西條 奈加
東京創元社


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お蔦さんは僕のおばあちゃんだ。
もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、面倒くさがりなのに何かと人に頼られる人気者だ。
そんな祖母と僕は神楽坂で暮らしているけれど
幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、
ご近所衆が振り込め詐欺に遭ったり、
ふたり暮らしの日々はいつも騒がしい。
神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する!
あたたかな人情と情緒あふれる作品集。


* * * * * * * * * *

西條奈加さんの、これは「日常の謎」連作短編。
いろいろなエピソードをつなぎながら、全体のストーリーが展開して行きます。
私には非常に馴染み深い形式。


語り手の僕・望(のぞむ)は、中学2年。
両親が仕事の都合で北海道に行っているので、
祖母のお蔦さんとともに暮らしています。
祖母の家は神楽坂にある履物屋さん。
近所の人が何かとやって来て上がり込み、おしゃべりしている昔ながらの場所。
望は、料理が苦手なお蔦さんに代わって料理全般を受け持っています。
そんな望の友人たちやご近所の人々が事件に巻き込まれた時に、
鋭い推理を働かせ解決に導くのは、望ではなくて、お蔦さん。
昔芸者をしていたというお蔦さんは、面倒見のいい女将さん肌。
・・・ということで、なんだか居心地の良い人情と情緒あふれる舞台背景が心地よい。
けれど、誰もが常にいい人であるわけではなく、
時にはほの暗い感情にかられたりもして、事件は起こる。


本作中では、振り込め詐欺に関わる話のところが好きでした。
望は、こんなに話題にも上がって注意を呼びかけられているのに、
どうして簡単に騙されてお金を振り込んでしまうのか、と、
騙された人に対しても歯がゆくてなりません。
けれどもお蔦さんは言うのです。
自分の大切な家族が困った立場に追い込まれていると聞かされたら、
人は冷静でなどいられないのだ、と。
実のところ私も望くんと同じように思ってはいたのですが、
確かに、お蔦さんの言うとおりなのでしょう・・・。
だからこそ、やはり家族同士そういうときのための合図を決めておくと良さそうです。


本作はシリーズ物になっているので、近いうちにまた、続きを読みたいと思います。

「無花果の実のなるころに」西條奈加 東京創元社
図書館蔵書にて(単行本)
満足度★★★.5

キングスマン ゴールデン・サークル

2018年01月24日 | 映画(か行)
残虐シーンは悪趣味・・・、私は笑えない。



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「キングスマン」の続編ということで見ました。



本作、惜しげもなくどんどん人が死ぬ。
まずは、イギリスのスパイ機関キングスマンの拠点が、
謎の組織ゴールデン・サークルの攻撃を受けて壊滅。
かろうじて生き残ったのは、今や一人前となったエグジー(タロン・エガートン)と
教官兼メカ担当マーリン(マーク・ストロング)のみ。
2人はキングスマンと同盟関係にあるアメリカのスパイ機関ステイツマンに協力を求めようと、
ケンタッキーに向かいます。
するとそこで、前作で死んだと思われたエグジーの師・ハリー(コリン・ファース)と対面する!!



前作はイギリスのギンギンな階級社会スタイル、
そして本作はアメリカのコテコテ西部劇スタイル・・・、
互いにそれはどうなのかと思っているところも含めて、
文化の差異は面白く拝見しました。



それはともかく、残虐シーンがおもちゃのように扱われているのがなんだか引っかかってしまい・・・。
そうそう、前作でも人の頭部が花火のように爆発したりする・・・
そんなエグいシーンがたっぷりあったのを思い出しました。
もともとそういう作品だったか。
ただ、前作はまあそれも良し、ここまでエグければ笑うしかないと思って見たわけですが、
今回また同様なものを見せられて、なんだか悪趣味だなあ・・・
と改めて思ってしまいました。
ド派手なアクションはまあ面白いけれど・・・、
万が一更に続編ができても私はもう見ない・・・かな?



高級スーツはコリン・ファースが身につければカッコイイけれど、
タロン・エガートンが着ても七五三みたいだし・・・。
そうそう、驚くのはジュリアン・ムーアがこんな役で出演していたということ。
ゴールデン・サークルのトップ、というか彼女が作った組織なのですが。
残虐でちょっとクレイジー。
何もこんな作品に出なくても・・・。
エルトン・ジョンが本人役で出演していたのもまた、ビックリ。
そんなわけで、話題性についてはてんこ盛りなんですけどね・・・。



さて、ゴールデン・サークルはつまり麻薬の密売組織なのですが、
その麻薬にある危険な病原体を潜ませます。
麻薬服用者は発病し、放置すると死に至ってしまう。
組織はそれと同時にこの病気に効くワクチンも作り出しており、
薬物を規制する法律を撤廃すれば、直ちにワクチンを配布する、と政府に迫る。
ところが作中の大統領は、
このままにしておけば麻薬常習者も麻薬業者も一掃されて願ったり叶ったり!!
と、密かに要求を拒否の構えでいるのです・・・。
実はここのところ、私も同感だったりして・・・、
ああ、私は人であったのか!
まあ実際、法で禁じられているから麻薬使用は犯罪なのであって、
禁酒法時代なら私も立派に犯罪者。
タバコの喫煙もいまや犯罪扱いに近い。
麻薬というのは盗みや殺人とは少し違いますけどね・・・。



<シネマフロンティアにて>
キングスマン ゴールデン・サークル
2017年/イギリス/140分
監督:マシュー・ボーン
出演:タロン・エガートン、コリン・ファース、マーク・ストロング、ジュリアン・ムーア、ハル・ベリー、チャニング・テイタム、ジェフ・ブリッジス、エルトン・ジョン

悪趣味度★★★★★
アクション度★★★★☆
満足度★★.5

帝一の國

2018年01月23日 | 映画(た行)
美味しいキャストが活きる



* * * * * * * * * *

全国屈指のエリートたちが集まる超名門海帝高校。
政財界に強力なコネを持つこの学校で、
生徒会長を務めた者には将来の内閣入りが確約されていると言われています。
帝一(菅田将暉)は、総理大臣になって自分の国を造るという夢を持っており、
そのためにはまず生徒会長の座につかなければなりません。
2年後の生徒会長選挙で優位に立つため、
命がけの権力闘争の中に身を投じていきます。


生徒会長になるための政権闘争・・・と、予告を見たあたりでは敬遠していたのですが、
この豪華キャストに目がくらんで拝見した次第。
どんな汚い手を使っても優位に立ちたいと、ギラギラの野心に燃える帝一に菅田将暉さん。

彼の親友で、ひたすら彼のサポートにつく、ちょっとカマっぽい男子に志尊淳さん。

幼い頃からの帝一の宿命のライバルであるイヤなヤツに野村周平さん。

ドロドロの権力闘争からは一歩引いた、爽やかでカッコイイキーパーソンに竹内涼真さん。

この度の会長選挙で一番有利と言われる金髪ハーフ、氷室ローランドに間宮祥太朗さん。

冷静沈着、聡明でいつも穏やか、ローランドの対抗候補に千葉雄大さん。



この配役を見るだけでなんだかニマニマと笑いたくなってしまう・・・。
見はじめてすぐにこの海帝高校ワールドに魅了されていきました。


しかも、やたらと暑苦しい権力闘争ばかりではなくて、
裏でお金をばらまくようなやり方は、後できっと自分に不利になって返ってくる
ということなども押さえてあったりするのも心憎い。
この高校は男女交際を禁止されているため、
帝一は幼馴染の美美子(永野芽郁)と話をする時には
盗聴を恐れて、糸電話だったりするのがまた、なんともほのぼのしている。



そもそも帝一がなぜそんなにも総理大臣になりたいのか、というその訳も傑作。
いや、それ、手段が違うだろう、と思ってしまいますが、
しかしそれも幼いときの刷り込みというものか・・・。
いよいよもうダメか・・・というときには切腹しようとするのにも爆笑。
菅田将暉さんの顔面アクションが活きる!
そして物語は、そう単純に爽やかには終わらないというのもミソですね。
わ~、面白かった。
劇場に見に行けば良かったなあ・・・。



<J-COMオンデマンドにて>
「帝一の國」
2017年/日本/118分
監督:永井聡
原作;古屋兎丸
出演:菅田将暉、野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大、永野芽郁
権力闘争度★★★★★
ユーモア度★★★★★
満足度★★★★★

「レベレーション 啓示 3」山岸凉子

2018年01月21日 | コミックス
実戦

レベレーション(啓示)(3) (モーニング KC)
山岸 凉子
講談社


* * * * * * * * * *

フランスの王位継承をめぐるイギリスとの百年戦争のただなか。
「フランスへ行け。王を助けよ」との啓示をうけたジャネットことジャンヌ・ダルクは
王太子シャルルに対面し兵を得る。
神の声を聞く娘、ついにオルレアンへ!


* * * * * * * * * *

「レベレーション」の第3巻。
いよいよジャンヌがオルレアンへ向かいます。
ジャンヌ17歳。
バッサリと髪を切って、騎士の姿になったジャンヌはいかにも颯爽として、
まるで宝塚のスターのよう。
カッコイイ!!


オルレアンは城壁に囲まれた都市ですが、
今や四方をイギリス軍に囲まれ、にっちもさっちも行かなくなっているのです。
だからそこへ近づくことがまず危険なのですが・・・。
彼女の気持ちははやり、自ら先頭に立って戦おうとする。
ジャンヌの部下たちはさすがにジャンヌはお飾りと考えており、
軍議から彼女を外したりもするのですが、ジャンヌは納得しない。


ついに闘いの火蓋が落とされた時、
ジャンヌの存在が、兵たちを勇気づけるのです。
「主の旗のもと戦え」彼女の雄叫びは、
自分たちには神が付いているという思いを呼び起こし、
兵たちは、通常では考えられない力を発揮し始めるのです。


ある戦闘では、ついにジャネットは弓矢に射られてしまう。
「あり得ない、矢が当たるなんて・・・」
と、一瞬茫然自失するジャンヌ。
けれど神に守られていると思い込むジャンヌは、
その強靭な精神力で痛みを打ち負かし、
自ら矢を引き抜き、立ち上がって旗を振りさえもする。
そのことがますます、兵の士気を盛り上げる。
そしてまたそのことがイギリス軍の士気を限りなく低下させてしまうわけです。


つまり本作における著者の姿勢は、
ジェンヌは確かに“神の声”を聞く。
(それが事実か、それとも彼女の思い込みかは語られません。)
そしてジャンヌは強い意志でその言葉に従いますが、
彼女自身が奇跡を行ったりはしない。
あくまでも、彼女の周りで起きる出来事は論理的に説明がつくこと。
けれど、周りの人々が勝手にそれを奇跡と思いこんでしまう
ということのようです。


「神に守られている」という異常心理と、少しの偶然も重なって、
勝利するジャンヌの軍隊。
しかしこれは、ジャンヌに少しでも失敗があれば、
信用をなくし、軍の結束も何も一瞬にして瓦解するであろうという・・・
ということを予測させます。
イギリス軍はさっそくにもジャンヌを「魔女」呼ばわりしている。
今頂点に立つジャンヌから、早くも先行きの暗雲が透けて見えます。


どのようにして神の言葉が彼女に届かなくなってしまうのか・・・、
そしてどのように彼女の言葉が人々に届かなくなるのか・・・
待たれる次巻。

「レベレーション 啓示 3」山岸凉子 講談社モーニングKC
満足度★★★.5

ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!

2018年01月20日 | 映画(な行)
彼らのチームワークと豪胆さに乾杯!



* * * * * * * * * *

1995年、紛争末期のサラエボ。
マット率いる5人のネイビーシールズは、
湖の底に重さ27トン総額3億ドルのナチスの金塊が眠っているという情報を得ます。
メンバーの一人が恋に落ちた地元の女性・ララは、
その金塊を難民の救済に使いたいと提案。
敵陣のただ中、水深45メートルの沈んだ村から8時間以内に
27トンの金塊を運び出すというミッションに、彼らは立ち向かう!!



リュック・ベッソン原案・製作による、痛快アクション・アドベンチャー。
まずはオープニングエピソードで度肝を抜かれます。
まあ普通、登場人物の紹介がてら、驚きのアクションを繰り広げながらも、
サラッと描かれるところなのですが、
本作のそれは、長くて実にハード。
戦車で敵陣の街を疾走。
橋の上で前後を敵に挟み撃ちにされると、いきなり戦車は川へダイブ。
そこからの脱出劇というのだからボーゼン・アゼン。
なんとも命知らずのヤローどもであります。
彼らのチームワークと豪胆な心臓をまずはしっかりと印象づけますね。



そして、いよいよ湖底からの金塊引き上げ作戦は、
軍の作戦としてではなく、全く彼らの個人的な活動として行われます。
地元のためと言いながらも、もちろん自分たちの取り分も計算済み。
但し軍の機材を使わなければならないので、そこはこっそりと手はずを整えて・・・。
27トンもの金塊を一体どうやって引き上げようというのか、
また、計画の実行が危ぶまれたり、やっと穴を開けた金庫がカラだったり・・・。
数々の困難を乗り越えて計画は進みます。
現場が水中というのも、それだけでスリルたっぷり。
はい、しっかりと楽しませて頂きました。



J・K・シモンズ演じる少将さんがまた、いい味出してるのですワ。
ラストの彼の決着の付け方が、実に絶妙かつ心地よい。



<ディノスシネマズにて>
「ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!」
2017年/フランス・ドイツ/105分
監督:スティーブン・クォーレ
製作・原案:リュック・ベッソン
出演:サリバン・ステイプルトン、チャーリー・ビューリー、シルビア・フークス、ジョシュア・ヘンリー、J・K・シモンズ

痛快度★★★★★
スリル度★★★★☆
満足度★★★★☆

「彼女に関する十二章」中島京子

2018年01月19日 | 本(その他)
今日と明日は違う一日

彼女に関する十二章
中島 京子
中央公論新社


* * * * * * * * * *

「50歳になっても、人生はいちいち驚くことばっかり」

息子は巣立ち、夫と二人の暮らしに戻った主婦の聖子が、
ふとしたことで読み始めた60年前の「女性論」。
一見古めかしい昭和の文士の随筆と、
聖子の日々の出来事は不思議と響き合って……

どうしたって違う、これまでとこれから――
更年期世代の感慨と、思いがけない新たな出会い。
上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説

* * * * * * * * * *

本作は1954年に出された伊藤整「女性に関する十二章」という本が下敷きになっています。
60年以上前のこの本の「女性論」を、50歳主婦の聖子が読んでいくのですが、
不思議と身の回りに起こることとその本の内容が符合していく。
そもそも60年前の女性論など、多分に古めかしい男尊女卑感が溢れていそうに思えたのですが、
これがなかなか、よく読んでいくと現在でも十分通じるところもあるのです。
特に、「日本的情緒」の論。
ここでは、「自己犠牲を称揚する」日本的情緒のことです。
夫を敬え、親を敬え、国家を敬え、
自分のことは犠牲にして敬えと言う考え方。
これを突き詰めたのが、太平洋戦争を支えた精神構造である、と。
伊藤整氏は、これを突き詰めてはマズい、と言っているのです。
1954年といえばまだ戦争の傷跡も生々しい時。
だからこそ伊藤整氏はこれを特に言いたかった。
・・・今またこういうことが「美徳」などとされる向きもあって、
私たちは本当に、心してかからなければなりませんね。


さて、本作はこんなややこしい問題が中心なのではなくて、
50歳を迎えた聖子さんにもまた、人生の大きな展開があって、
その出来事が色々と興味深いのです。

・ずっと彼女もいなくて、ゲイなのではないかと心配までした息子が、
ある日突然彼女を連れて帰ってきた。
しかし、なんだかモッサリとして無愛想な女の子で・・・。

・子供の頃憧れていた人の訃報を聞き愕然とする聖子。
その彼の息子と会うことになったのだけれど、
イケメンの息子は父親の5人の妻のことを語る・・・。

・経理の仕事を手伝いに行った先で、不思議な男性と出会う。
「お金を使うことを拒否している」という彼を初めは怪しんだけれど、
次第に親しく話をするようになって・・・。


今日と明日は違う一日で、それぞれ新しいことを体験する、
それを知るだけでも(生きる)意味はある・・・
そのような気づきに向かう聖子の紆余曲折。
楽しい物語でした。


すごく気に入ったカ所。
オンボロ自転車で、二人乗りする寸前の聖子の心の叫び。

これに二人乗りするというのか。
まじか。
『耳をすませば』の雫と天沢とか、『海街diary』のすずと風太みたいにか。


思わず笑っちゃいました。

図書館蔵書にて(単行本)
「彼女に関する十二章」中島京子 中央公論新社
満足度★★★★★

陽だまりの彼女

2018年01月18日 | 映画(は行)
真緒の秘密とは・・・?



* * * * * * * * * *

新人営業マンの浩介(松本潤)は、
仕事先で、中学の時同級生だった真緒(上野樹里)と10年ぶりに再会します。
真緒はその頃、学年有数のバカと呼ばれたいじめられっ子だったのですが、
今では仕事のできる大人の女性に変身。
その頃から、浩介にとっては気になる存在だったのですが、
ここへ来て完全に恋に落ち、2人は結婚を決意します。
しかし、真緒にはある秘密があった・・・。



何の予備知識もなく見始めた本作。
軽いラブコメなのだろうと思っていたら、
なんだか私の苦手な「病気の女の子」の話らしくなってきた・・・。
嫌な予感に怯えつつ見ていると、しかし、そうではなくて・・・
ストーリーはファンタジーの方向へ。
予想外がうまくツボにはまりまして、なかなかこれ、良かったのではないでしょうか。
松本潤さんの演技は特別悪いわけではないし、
そこに来てお相手が、すでにベテランの域の上野樹里さんなので、
結構安心して見ることができました。
真緒をかばった浩介が、クラスの中で孤立していくのですが、
それでも彼は真緒を庇い続けるのがいいなあ・・と。
もともと、そういう優しい子だということが、本作のキモであります。



2013年公開の本作。
そう古いわけではありませんが、このキャストがまた興味深い。
浩介の弟が菅田将暉さん。
中学時代の真緒が葵わかなさん。
中学時代の浩介は、北村匠海さん。
北村匠海さんは、私、これまではよく知らなかったのですが、
先日「勝手にふるえてろ」の“イチ”役で拝見しまして、
なんてクールなイケメン!!と、見入ってしまっていたのです・・・。
これじゃヨシカが片思いしたのも無理はないワ・・・と。
それが偶然こんなところで再会できて、嬉しい限り。
こんなハンサムボーイがクラスで爪弾きにされるわけがないじゃない・・・と、
若干リアリティを疑ったくらい。
今後の活躍を期待しています!! 



ところで調べたら、あの「君の膵臓をたべたい」の主役をやっていたんですね。
うわ~、それこそガチで「病気の女の子」の話だから、
こればかりはいくら北村匠海さん主演でも見たいとは思わないなあ・・・。
やっぱり次作を待つことにしよう・・・。



陽だまりの彼女 DVD スタンダード・エディション
松本潤,上野樹里
東宝


<WOWOW視聴にて>
「陽だまりの彼女」
2013年/日本/129分
監督:三木孝浩
原作:越谷オサム
出演:松本潤、上野樹里、玉山鉄二、谷村美月、菅田将暉、北村匠海、葵わかな
ファンタジック度★★★★☆
満足度★★★★☆

否定と肯定

2018年01月17日 | 映画(は行)
ホロコーストはなかった?



* * * * * * * * * *

1994年、イギリスの歴史家デビッド・アービング(ティモシー・スポール)が、
「ホロコースト否定論」という本を出します。
その内容を看過することができないユダヤ人女性歴史学者の
デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)は、
自著の中でアービングの説を真っ向から否定。
アービングは名誉毀損でリップシュタットを提訴。
リップシュタットはイギリスの弁護団とともにアービングと対決することに。



イギリスの司法制度では、訴えられた側に立証責任があります。
リップシュタットは本国アメリカを離れ、
イギリスの弁護団とチームを組むことになるのですが、
始めのうち彼らの方針が納得できません。
彼女はアウシュビッツの生き残りの人を証人に立てたいと思うのですが、
弁護団はそれを拒否。
更には彼女にも法廷での発言を禁じてしまうのです。
こんな手足をもぎ取られたような状態で、裁判に勝つことができるのか、
弁護団を信じきれないリップシュタット。



私もこんな裁判ならきっと実際の収容所体験者談などが必要だろうと思ったのですが、
そうではなかった。
むしろそのような体験談は相手側の格好の餌食になってしまうというのです。
言葉端をつつかれ、辱めるようなことを言われ・・・。
そんな失敗の経験も彼らは持っているわけでした。
そこで彼らの立てた作戦は、
あくまでもアービングの「ホロコースト否定論」の穴を探し出し、
崩し去ろうとすることでした。



リップシュタットには始め彼らがあまりにも理性的で、人の心を持たないように見えた。
けれどもそうではないのですね。
アービングの説のミスを探すためには、膨大な資料の読み込みと点検が必要なのです。
気の遠くなるような量のアービングの日記を読んでいくことさえします。
ひたすら忍耐と根気。
それを支えたのは、単なる職業意識ではなくて、
「ホロコーストはなかった」などというバカな主張がまかり通るのを防ぎたかった、
その意地だったのではないかと思う次第。
そうでもなければ、つづくことではありません。
また一旦決めた方針を、ひたすら突き詰めていく(リップシュタットの情にも流されず)
というチームとしての行動力も凄いなあ・・・と思いました。
自明の理と思うことでも証明するのは案外大変なことなんですね・・・。



それにしても、ホロコーストなどなかった、
犠牲になったユダヤ人は大した数ではない、
ヒトラーは偉大な指導者だ・・・
そんなことを声高に訴えて、それを支持する人もいるというのが、
信じられないし、恐ろしくも思います。
貴重な映画作品でした。


<シアターキノにて>
「否定と肯定」
2016年/イギリス・アメリカ/110分
監督:ミック・ジャクソン
出演:レイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、ティモシー・スポール、アンドリュー・スコット、ジャック・ロウデン
証明の難しさ★★★★★
満足度★★★★.5

「信長協奏曲16」石井あゆみ

2018年01月15日 | コミックス
本能寺の変で死ぬつもりなのか・・・?

信長協奏曲 16 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
石井 あゆみ
小学館


* * * * * * * * * *

今は亡き竹中半兵衛が突き止めた「秀吉の真実」は
ついに、サブローの耳へと入る。
早速秀吉を呼び出すサブローに、織田家の主従関係崩壊の危機!?
一方で織田家優勢に傾く中国攻めの戦況に、
毛利方にもついに動きが…!


* * * * * * * * * *

いよいよ、「その時」が迫ってきた感のある、本巻。
初めから、密かに信長への敵意をむき出しにしていた秀吉が、
いよいよ本領を発揮し始めています。
・・・それにしてもこの展開だと、
本能寺で信長を倒すのはどう見ても秀吉ということになってしまう。
・・・ううむ、いったいどんな展開で正しい歴史に結びつくのか、
いよいよ著者の腕の見せ所ですね。


サブロー信長は、おぼろげながら「本能寺の変」で自分が死ぬことを知っています。
しかし、意外にも彼の心境は・・・。
彼は自ら京都の宿舎として「本能寺」を利用することを提案。
事情を知っている明智がいいます。

「本能寺の変で死ぬつもりなのか・・・?」

「いやー、俺だって死にたかないのよ? 
でもさー、本能寺の変で信長は死んどかないと、歴史変わっちゃうでしょ? 
歴史のことよくわかんないけどさ、
一応俺なりには今まで信長の歴史に沿って天下目指して生きてきたつもりなのよ。
なのに本能寺だけちゃっかり避けるっていうのは
なんか申しわけないっていうか・・・
信長の人生がそこで終わるなら、
それに従うべきじゃないかなって。」

ひゃー、サブローはここまで達観した大人だったんですねえ・・・、
というか、もともとこんな風に冷めていたところもあるのか。
けれど、いやしくも「信長」として多くの人を束ね、
多くの戦を勝ち抜いてきたこれまでの経験が、
彼をここまで育てたということも確かです。
そして、同じく未来からきて、この時代で散っていった人物を
見てもいるわけですし・・・。


いいよね~、サブロー信長。
「女城主直虎」に出てきた信長は、ものすご~く怖かったけど・・・。
そうそう、「直虎」つながりで本巻には井伊万千代くん登場!! 
安土城完成のお祝いを持ってきた徳川家のお使い。
著者のサービスでしょうね。
ウレシイ!
万千代くんはサブロー信長と妙に気が合っているようでした。


・・・ということで、目が離せない先行き。
待たれる次巻!!


「信長協奏曲16」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス
満足度★★★★☆


美女と野獣

2018年01月14日 | 映画(は行)
気楽で華やか



* * * * * * * * * *

お正月らしく、気楽で華やかな作品を・・・ということで見ました。


魔女に呪いをかけられ、野獣に姿を変えられた王子が森の奥深くに住んでいました。
魔女が残していった一輪の薔薇の花びらがすべて散ってしまうまでに
「真実の愛」を見つけなければ、永遠に人間に戻れなくなってしまいます。
しかし残された花びらはあと僅か。
希望をなくし、失意の日々を送る野獣と城の住人たち。
そんなところへ、ベルがやって来ます。
自分の価値観を信じているベルは、はじめ野獣の姿に驚き、恐れましたが、
次第に彼の真の優しさに気付いていきます・・・



しかしなんですねえ。確かに面白いのですが・・・。
エマ・ワトソンのベルは可愛らしいし、
お城の住人たち、燭台や時計、ティーポットにティーカップ、可愛らしくて楽しい。
けど、感想を述べようとしてもそれだけだなあ。
よく作られた作品でした。
終わり。



嫌な予感がするのですが、私、アメコミ作品と同様
この手の作品も見られなくなってきたのかも・・・
目を見張るアクションとかCGとか、花とゆめのきらびやかとか・・・
何も考えなくていいから、見るのは楽ですが・・・
せめてひとかけらでも心を揺さぶる何かが欲しい・・・



あ。
唯一気になったキャラクターが、ガストンの子分役の青年。
常にガストンのやることに一言忠告をするのです。
「そんなことはやめたほうがいいと思う。」
「それはひどすぎないかな。」
けれど、ガストンがそんな言葉に耳を貸すはずもなく、
言った言葉は宙に浮き、消え失せて、
結局彼はガストンに付き従うだけで、何も行動しない・・・と、
そういうどうしようもないヤツ。
いつかこの青年がベルを助けるのでは・・・?
と思わせながら結局最後の最後にほんのちょっぴり加勢するだけでね。
情けないやつながら、妙に気になるやつなのでした。
よくいそうですしね、こんな人。



美女と野獣 MovieNEX(実写版) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
エマ・ワトソン,ダン・スティーヴンス,ルーク・エヴァンス,ジョシュ・ギャッド,ケヴィン・クライン
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


<J-COMオンデマンドにて>
「美女と野獣」
2017年/アメリカ/130分
監督:ビル・コンドン
出演:エマ・ワトソン、ダン・スティーブンス、ケビン・クライン、ルーク・エバンス、ジョシュ・ギャッド
おとぎ話度★★★★☆
満足度★★.5