映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

イントゥ・ザ・ストーム

2014年08月31日 | 映画(あ行)
廃墟の街で人はまた25年後に向けて歩み始める



* * * * * * * * * *

牛やトラックが風に巻き上げられて空を飛ぶ・・・
そんなシーンを未だに覚えているのですが、
それは「ツイスター」という、本作と同じく竜巻をテーマとした作品。
しかしそれがもう20年ほども前の作品だというので、
驚いてしまいました。


しかし、本作はその時の竜巻にもましてパワーアップ。
作中でも誰かが言っていたのですが、
以前は一生に一度という巨大な竜巻が、
最近は月に一度起こる、と。
一度大雨が降ればたちまち洪水や土砂崩れに見舞われる、昨今の日本。
異常気象はもはや地球全体に襲いかかっているようです・・・。
そんな意味で、まことに今日的スケールの竜巻を描く作品・・・。



「ツイスター」でもそうでしたが、
観測のために荒れ狂う竜巻にあえて接近しようとする
「ストームチェイサー」たちが登場します。
アメリカ中南部、シルバートン。
そこの高校の教頭と息子たちが竜巻に遭遇。
竜巻のドキュメンタリー制作を目指すピート・ムーアの一行と共に、
竜巻に立ち向かいます。





しかし、幾つもの竜巻が合体し、直径3200メートルの超巨大竜巻となる・・・!?
いくらなんでもありえないでしょ・・・と思いつつ、
まあ、それを否定したら映画になりません。
いや、今や想定外の災難がむしろ当たり前に起こったりするわけですから・・・。
私は、なんだかずっと体を固く緊張させて見ていたような気がします。
飛ばされないように・・・。


本作はこんな風に超弩級の竜巻の描写がすごかったのですが、
竜巻の観測チームだけでなく、高校生ドニーら、
地元の人たちの描写があったのがよかった。
特に冒頭、ドニーは身の回りの人々に
25年後に向けたビデオタイムカプセルを撮影しているのです。
それぞれに自分の25年後を語る・・・。
多かれ少なかれそれは将来への希望であり夢なのです。
ところがそのほんの数時間後に、彼らは生死をかけた体験を積むことになる。
25年後どころではない。
夢も希望も一瞬で飲み込んでしまう
巨大で理不尽なもの・・・。



でも、竜巻の通り過ぎた廃墟の街で、
人々は家や街が破壊された悲しみよりも、
生き残れたことの喜びを噛み締めます。
そんなところでなんだかやっぱり人間っていいなと思わせられるのでした。
ノーテンキな動画投稿オタクたちは、
やっぱりそのノーテンキさ故に一命をとりとめたりするのも面白い。
竜巻の目では、ラピュタを思い出したりして・・・。
父と息子の相克あり。
恋もあり。
意外に楽しめた一作です。


「イントゥ・ザ・ストーム」
2014年/アメリカ/89分
監督:スティーブン・クォーレ
出演:リチャード・アーミテージ、サラ・ウェイン・キャリーズ、マット・ウォルシュ、アリシア・デブナム・ケアリー、ネイサン・クレス、マックス・ディーコン
迫力★★★★☆
満足度★★★★☆
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「グイン・サーガ133 魔聖の迷宮」 五代ゆう

2014年08月30日 | グイン・サーガ
独自の道を歩み始めた・・・

魔聖の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)
天狼プロダクション
早川書房


* * * * * * * * * *

ヤガを脱出しようとして捕らわれの身となったフロリーが、
見知らぬ場所で目を覚ます
──グイン・サーガ130巻『見知らぬ明日』はそんなシーンで幕を閉じました。
そしてそれは栗本薫によるグイン・サーガの最後の場面でもありました。
しかし今、途絶したその場所から物語が動きはじめます! 
〈新しきミロク〉に捕らわれたフロリーとヨナを救出すべく、
スカールが、ブロンが、イェライシャが、ヤガの神秘の深奥にいどむ!


* * * * * * * * * *

語り継がれる「グイン・サーガ」の第3弾。
実は五代ゆうさんの著による「131巻」を、
 私らはさんざんけなしちゃったよね・・・。
まあね。悪いけど、「品格がない。デフォルメしすぎ。」
 なんて感じでね。
だから実のところ本巻を読むのも若干躊躇があったのだけれど、
 気になるものは気になるのだ!!
で、今回は?
なんというか以前ほどの違和感はないような気がする。
 というか、緊迫した場面が多くて
 おちゃらけている場合でなくなったのかもしれないけれど・・・。


場面は大きく3つだね。


スカールはスーティーとともに、黄昏の国へ。
 大鴉のザザと銀狼ウーラに出会う。
なるほど、この展開は悪くないよね。
 これまでのグインの世界がちゃんと生きてる。
 スーティーは無邪気で賢くて可愛くて・・・。
 きっと大物になるよね。
 この物語の将来を握っているのはこの子なのさ!
そしてこの二人はザザに導かれ、また一つ長い旅を始めようとするのか・・・。
それもまた不思議な縁の不思議なストーリーになりそうだな。


それから、ヴァレリウス、リギア、マリウスの一行。
パロを脱出して、ケイロニアを目指しているところだね。
 まあ、こちらはメンバー的にもさほど心配はないのだけれど、
 特筆すべきはアッシャという少女の登場。
不思議な力を持っているらしい・・・。
 と、このあたりで栗本グインから離れていきそうなんだけど、
 それもいいかな?という気にさせられました。
そうなんだよね。いずれ、新たな道を行かねばならないのだから・・・。


さて問題は、ブロンとイエライシャという意外な組み合わせの二人が、
 ヤガのミロク教の本拠へ乗り込む所。
 力技では無理なのはわかっているけど、この手は、あまりにもブロンが気の毒というか・・・。
いや~、びっくりしたよね。
 恐れ入りました。
五代ゆうさん、あなたは栗本薫に並ぶ奇想の持ち主です!
前回けなしたことは謝りますです!!
なんでもいいから、フロリーとヨナを助けてあげて・・・


というわけで、ストーリー的にはとてもおもしろくなってきてしまった(?)ので、
 続きもきっと読むと思います。
ただ、描写がかなりグロテスクなところがあって・・・
 そこまでしなくてもって、思わなくもない。
それもメリハリの内、と思うことにしますか・・・

「グイン・サーガ133 魔聖の迷宮」五代ゆう
奇想度★★★★☆
満足度★★★★☆
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喰女 クイメ

2014年08月28日 | 映画(か行)
怖いもの見たさで・・・



* * * * * * * * * *

おなじみ四谷怪談に由来するストーリー。
普段ホラーはあまり見ませんが、
本作、市川海老蔵さんに柴咲コウさん出演、
おまけに三池崇史監督・・・
とくれば、俄然興味が出てしまいます。
実のところ、こればかりは、一人で観るのはしがみつく相手もなし、
やや心細かったのですが・・・。



長谷川浩介(市川海老蔵)は、
舞台「真四谷怪談」で伊右衛門役を務めることになり、
恋人でスター女優の美雪(柴咲コウ)と共演します。
役柄と同じく、不実で心変わりをする浩介、
そして、お岩と同じく嫉妬と疑心を募らせていく美雪。
しだいに劇中劇として語られる舞台と現実が錯綜して行き・・・


本作はそうですね・・・、
怖いというよりも不気味でゾッとするシーンが多いです。

毒薬を飲まされ、まぶたが腫れ上がり、髪の毛が抜けていくお岩。



部屋一面を覆う黒いビニールシート。床には血糊がべっとり・・・。

女の怨念は、ひたすら相手の男に向かっていくわけで、
そういう点では観客としてはそれほど怖くないような気がする。
そうではなくて、不特定多数に向かう正体の分からない何者か・・・
そういうモノのほうが怖いのではないかという気がします。
だから一人でも全然平気でした・・・・。



舞台のセットがなんとも美しくステキでした。
お岩さんの家「民谷家」のセットは、いかにもうらぶれたあばら屋ふう。
しかしキタナイというのとも違うのです。
暗く、すさんだ様子。
これが素晴らしく雰囲気を醸し出している。

一方、伊右衛門がお岩を捨てて結婚しようとする伊藤家は、
いかにも裕福そうで豪奢だ。
ホンモノのこんな舞台をちゃんと通しで見てみたいと思いました。


海老蔵さんはやっぱり所作が美しく・・・、
こんないい加減な男がこんな美しい所作をするものだろうか、
と思ったのですが、
だからこそ凄みが感じられるのかもしれません。
そしてまた、だからこそ、世間知らずの娘が引っかかる・・・。
役柄はぴったりだったと思います。



意外なラストを見て思うのですが、
結局私達が見ていたどこまでが現実だったのだろうかと・・・。
美雪は現実に手を汚したのか、
それとも“念”だけのものだったのか・・・
いや、結局事件は確かあの工事現場のところで起こったのですよね。
浩介はそこで美雪の姿を見たのではなかったのか・・・
そしてその刹那・・・!!

う~ん、謎だ。

「喰女 クイメ」
2014年/日本/94分
監督:三池崇史
原作・脚本:山岸きくみ
出演:市川海老蔵、柴咲コウ、伊藤英明、中西美帆、マイコ

美と醜悪度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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グランド・マスター

2014年08月27日 | 映画(か行)
格調高く、強く、美しく



* * * * * * * * * *

カンフー映画は、特別興味があるわけではありませんが、
ウォン・カーウァイ監督作品ということで、拝見。
ブルース・リーの師匠として知られる伝説の武術家イップ・マンの物語です。



1930年代中国。
引退を決意した八卦掌の宗師ゴン・バオセンは、
一番弟子のマーサンと詠春拳の宗師イップ・マン(トニー・レオン)を
後継者の候補と考えていました。
しかしそんな時、日中戦争が勃発。
それが彼らの運命をも変えていきます。



マーサンがバオセンを殺害。
バオセンの娘であるルオメイ(チャン・ツィイー)は
ライバルでもあるイップ・マンに惹かれていたのですが、
その心を封印し、父の復讐を誓います。
本作はイップ・マンの半生を描いているようで、
実はイップ・マンとルオメイのラブストーリーが軸となっています。



超絶的な技を持った男女が、
店の中の物を壊さないという制約の中で戦いを繰り広げる。
お互いの力と技を確かめ合うように。
それはまるでダンスをしているようでもあり、
言葉を交わさずとも、互いのすべてが分かり合うようでもあります。
空中で互いの身をかわす刹那、
互いの眼差しが交差。
それが、最後まで体を重ねることのない二人の、
最も深く結びつくシーンなのでした。
・・・痺れます。



ほの暗い画面に美貌の男女二人の顔をアップで浮かび上がらせる。
いいですねえ。
戦闘も雨のしずくも、計算されて芸術的に美しい。
まあ、ストーリー自体は平板かもしれませんが、
画面の美しさ、格調の高さは格別です。


結局日中戦争が、武術家たちの生きる場所を奪ったというわけですが、
でも反戦映画ではないので、そのへんはあっさり。
戦後、香港と内陸との遮断があって、
イップ・マンは香港に残り、
だからこそ、ブルース・リーのカンフー映画へとつながっていくのです。
なるほど、歴史ですねえ・・・。


「グランド・マスター」
2012年/中国/123分
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
出演:トニー・レオン、チャン・ツィイー、チャン・チェン、マックス・チャン、ワン・チンシアン
歴史発掘度★★★★☆
映像美★★★★★
満足度★★★☆☆
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「白蓮れんれん」林真理子

2014年08月26日 | 本(恋愛)
朝ドラでは描けない白蓮の真実

白蓮れんれん (集英社文庫)
林 真理子
集英社


* * * * * * * * * *

あまりに名高い「白蓮事件」―、
姦通罪のあった大正十年の人妻の恋の逃避行は命がけであった。
天皇の従兄妹で華族で炭鉱王の妻、
相手は若い熱血の社会実義の闘士。
撃的な大ニュースだった。


* * * * * * * * * *

NHK連続テレビ小説「花子とアン」で、
今また一躍注目を浴びている白蓮さん。
ドラマ中の「蓮子」さんのモデルとなった方ですね。
ついミーハー的興味で読んでしまいました。
本作は1994年に出版されたものですが、
今また売れているでしょうねえ・・・。


本作は著者林真理子氏が、
宮崎龍之介・柳原白蓮の書巻700通(!!)あまりを
宮崎家からお借りするなどした綿密な取材によるもので、
かなり白蓮さんの実像に迫っていると思われます。
私などはつい仲間由紀恵さんのお顔をイメージしながら読み進んでしまいましたが、
まあ、それは自由ですよね。
TVドラマ以上に女のずるさやたくましさが綿密に描かれています。
しかし、華族、しかも天皇の従兄弟という立場が、
単なる「女性」を超えた不思議なオーラを放っている。
誰もが平等というのが当たり前の今でさえも、
このことを否定できません。


いわばお姫様が、無学の大富豪に嫁ぎ、
とうとう相手と相容れることができない・・・
というのは当然ですよね。
そんな無理矢理の結婚がまかり通っていた当時の女性のことを思うと
胸が塞がります。
しかし、彼女の恋の逃避行は、
超弩級のゴシップとなり世間で取り沙汰された。
そんなところは今と変わりませんね。
いえ、今でこそ不倫はどこにでもある話、珍しくもありませんから、
ニュースにはなるけれど、まもなく忘れられてしまうでしょう。
しかしこの時代は「姦通罪」などというものがあった・・・。
世間からのバッシングも相当なものだったようです。
本巻で唯一「村岡花子」の名前が出てくるところがありまして、それが

雑誌や新聞で平塚らいてう、村岡花子など好意的な意見もあったが、
たいていの女性文化人もあき子に厳しい。
未だに多くの特集が組まれ、あき子を弾劾しようとするのだ
。」
<あきの字がどうしても出せない!!・・・火へんに華です>


自分の心のままに自分らしく生きようとした・・・
今でも十分に驚嘆に値する女性だと思います。
彼女にこそ、この歌を捧げよう。
"Let It Go!"


「白蓮れんれん」林真理子 集英社文庫
満足度★★★☆☆
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ザ・イースト

2014年08月24日 | 映画(さ行)
正義はいづれに有りや



* * * * * * * * * *


環境汚染や健康被害をもたらす大企業を標的に
過激な報復活動を重ねている環境テロリスト集団「イースト」。
例えば、海にタンカーの重油を垂れ流して悪びれない企業のオフィスに、
重油をぶちまけたりします。
当然企業はそんなテロ活動を排除したいと思います。
そんなところに着目し、
クライアント企業を護るための活動を商売にするものも現れる。
元FBI捜査官のサラは、そんな会社の勤務についたのでした。
彼女はイーストの組織へ潜入し、情報を得ようとします。



サラは始めのうち、組織の思想に違和感を覚えていましたが、
次第にその理念に正当性を感じるようになり、
カリスマ性を持つリーダー・ベンジーに惹かれていきます。
それはテロ組織というよりもある種、宗教団体のようにも見えます。
何よりも自然環境を守りたいという理念自体は誰しも納得できることで、
正義感の強いサラであればなおさらに、
彼らに同化していくのは当然なのかもしれません。
一方サラの所属する企業側は、
あくまでもクライアントを護ることを目的としているわけで、
それがクライアント以外に関わることなら平気で目をつぶる。
次第にサラの軸足がぶれていくのはしかたのないことなのです。
そして同時に、善と悪、
すなわち正義はどちらにありやということの曖昧さについて、
私達も考えさせられてしまうのです。



そして最終的にどちらにつこうとするのか、
ラストの彼女の行動に焦点が当てられるわけですが、
これが変にラブストーリーめいた方向に行かないところがいい。
これぞ、自立して生きる女。
現代を生きる女性像を示してくれたのが心地よい。
主演のブリット・マーリングが製作・脚本をも務めています。
なるほど、そういう女性であるからこそのこういう結論か・・・。
納得。



ザ・イースト [DVD]
ブリット・マーリング,アレキサンダー・スカルスガルド,エレン・ペイジ,パトリシア・クラークソン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「ザ・イースト」
2013年/アメリカ/116分
監督:ザル・バトマングリ
出演:ブリット・マーリング、アレクサンダー・スカルスガルド、エレン・ペイジ、ジュリア・オーモンド、パトリシア・クラークソン
「ザ・イースト」
現代の問題提起★★★★★
満足度★★★★☆
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めぐり逢わせのお弁当

2014年08月23日 | 映画(ま行)
歌と踊りがない!!



* * * * * * * * * *

インド作品ですが、ストーリー紹介の前に、予備知識。
ダッバーワーラーについて。
インドの弁当配達人のことですが、
インドではこれが一つの産業となっています。
家で作ったでき立てのお弁当を夫の勤務先まで届け、
その後空容器をまた自宅まで戻す。
5000人のダッバーワーラーが1日20万個の弁当容器を往復配送し、
その誤配送の確率は600万分の1という優れたシステム。
先日TVでその仕組を解説していたのを見ましたが、
袋にわかりやすい宛先識別表示をしているそうです。
でも、その記号が間違っていたら・・・?



ということで、本題。
ムンバイに住む主婦イラ(ニムラト・カウル)は、
夫の愛情を取り戻すために腕をふるってお弁当を作り、
ダッバーワーラーに預けます。
ところがそのお弁当が誤って、
まもなく退職を迎えようとする男やもめサージャン(イルファン・カーン)の元に届いてしまった。
どうやら誤った先に届いたらしいと気づいたイラは
お弁当の中に手紙を潜ませます。
そしてサージャンからも返事が。
こうして手紙のやり取りが続き、二人の気持ちが接近していきますが・・・。


サージャンは妻をなくして一人暮らし。
あまり人付き合いは得意でないらしい。
では本来の彼のお弁当は誰が作っていたのかというと、
それは近所の食堂に依頼していた。
そうそう、こういう配達サービスがあれば
必ずお弁当自体を作る商売もあるはず、と思ったんですよね~。
主婦の手料理の味に飢えていたサージャンには
ことのほかイラのお弁当が美味しく感じられるわけです。
豪華4段重ねのお弁当。
スパイスが効いていて、おいしそ~!



イラは最近夫とうまくいかないことを打ち明け、
サージャンはそんなイラに慰めの言葉を書き記します。
また、イラはサージャンの孤独を感じ取り、思いやる。
そんなやりとりのうちに
サージャンも、周囲の人にも優しくなってくるのです。
人と人、心を通わすことの大切さを実感していく。
今どきSNSではなく手紙、というのがぬくもりを感じさせていいですよね。


しかしサージャンがイラとの関係にあと一歩踏み出せないのは、
自分の老いを自覚するからなのです。
もう若くはない自分。
若さに対して引け目のようなものを感じてしまうというのはわかるなあ・・・。
私自身そういう年齢になってきたので・・・。


インド映画といえば歌と踊りがあって、とにかくハッピー・エンド、
そうしたものだと思っていましたが、
本作はかなり抑えめです。
…でも素敵なラストなので、ご安心を。



作中イラとサージャンがブータンに憧れるところがあります。
国民の幸福感がナンバーワンだという幸せの国。
私はインドも日本から比べたらかなり幸福度は高いのでは?と思っていたので、
ちょっと意外でした。
どこに住んでいても、自分の足元の幸福は見えないのかもしれません。
隣の芝生は青く見える。
もっともムンバイは人口も超過密の近代都市。
人はみな多忙で道路も渋滞。
・・・となれば日本に住む私達と何ら変わらないわけですね。


イラの上階に住む“おばちゃん”は、最後まで顔をみせなかったのが残念!!
ものすごい人生の達人と見ましたが。

歌と踊りがない・・・
と言いつつやっぱり音楽はあるんですよ。
電車の中で子どもたちが歌っていた。
踊りはなかったな・・・
上階の“おばちゃん”なら、
音楽を聞きながら踊っていそう。

2013年/インド・フランス・ドイツ/105分
監督・脚本:リテーシュ・バトラ
出演:イルファン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー

食べてみたい度★★★★★
満足度★★★★☆
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「マスカレード・ホテル」東野圭吾

2014年08月22日 | 本(ミステリ)
今後も楽しみなコンビ

マスカレード・ホテル (集英社文庫)
東野 圭吾
集英社


* * * * * * * * * *

都内で起きた不可解な連続殺人事件。
容疑者もターゲットも不明。
残された暗号から判明したのは、
次の犯行場所が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。
若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。
彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。
次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、
二人は真相に辿り着けるのか!?
いま幕が開く傑作新シリーズ。


* * * * * * * * * *

新たなヒロイン&ヒーローと銘打った、東野圭吾さんの新シリーズです。
捜査の必要のため、
若き刑事新田浩介がホテルマンに扮し、潜入捜査をすることに。
しかしいきなり刑事が「お客様」相手のフロントが務まるはずもない。
フロントクラークとして優秀な山岸尚美が指導に付くことに。


始めのうちは、ホテルを訪れる厄介で我儘な客にどのように対処するのか、
そのような実例のエピソードが幾つか並びます。
始め嫌がっていた新田も次第にフロントとしてのコツを体得し、
ホンモノに近づいていくわけですが・・・。
しかし終盤驚かされます。
ただのエピソードの一つと思っていた出来事が、実は事件の核心であったなどと・・・。
あまり詳しく言うのは、ミステリではご法度なので、やめておきますね。
いやはや、さすが東野圭吾さん。
うまく嵌められました。


ミステリでは、ホテルというのはなかなか面白い場ですね。
まもなく出るシリーズ第二弾は、「マスカレード・イブ」すなわち
本巻の事件以前のことのようです。
本巻を読んでしまった以上、そちらも読みたくなりますね。

「マスカレード・ホテル」東野圭吾 集英社文庫
満足度★★★☆☆
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幕末高校生

2014年08月20日 | 映画(は行)
勝海舟の魅力



* * * * * * * * * *

本作は見ようかどうしようかと、結構迷いました。
タイムスリップものは大好きなのですが、
予告編などを見る限り、ここに登場する教師も高校生も、
やけに馬鹿っぽい感じがしまして、
マトモなSF作品として楽しめるのかどうか疑問でもあったので・・・。



高校の日本史の教師・未香子が
突然3人の教え子と共に幕末の世界へタイムスリップしてしまいます。
4人が降り立つ時期が何故か少しずつずれている、
というところが本作のミソ。
そこで思わぬ歴史のブレが生じてしまうというわけです。
未香子がやってきたのは1868年。
今しも薩長軍が江戸幕府にとどめを刺そうと
江戸に乗り込んでこようとする所。
彼女が出会った勝海舟は、国内での無益な闘いを避けるため、
西郷隆盛との和平交渉をしようとしています。
史実ではそのとおり、勝の働きによって江戸城無血開城となるはずなのですが、
未香子の降り立ったこの世界、
一向に自体は改善せず、江戸の町が戦火にさらされる寸前。
未香子はなんとか歴史を知っている通りに戻し、
3人の教え子と共に未来へ帰ろうと奔走しますが・・・。



ストーリー自体は特別な意外性もないのですが、
ここに描かれている勝海舟がすこぶるいい!! 
玉木宏さんが演じているので、見た目ももちろんいいですが、
その人物像が斬新。

一見飄々として、どこか情けなくも感じてしまうのですが、
次第にその懐の広さと信念を持つ男の強さが表れてきて、魅力を放ちます。
無駄に人の命を失いたくないということで、
鞘から決して刀を抜くことのない殺陣のシーンあり。
・・・るろうに剣心!!
犬に弱いというのがご愛嬌ですが、
そういうトホホ的なシーンでもサマになってしまうのが
玉木宏さんならではなんですねえ。

いやはや、この勝海舟を見るだけでも一見の価値はあります。
西郷隆盛役は佐藤浩市さんで、これもまたカッコイイですよ!!



ただ、せっかくタイムスリップという素材なので、
もう一捻りして何かタイムパラドックス的なことが発生すると面白かったのに、
とは思います。
せっかく車までタイムスリップしたのに、
ほとんど意味なかったですし・・・。


「幕末高校生」
2014年/日本/108分
監督:李闘士男
出演:玉木宏、石原さとみ、柄本時生、川口春奈、千葉雄大、柄本明、佐藤浩市

歴史発掘度★★☆☆☆
勝海舟の人物造形★★★★☆
満足度★★★☆☆
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ピアノ・レッスン

2014年08月19日 | 映画(は行)
物言わぬ女の情念



* * * * * * * * * *

先日見た「ブライトスター」のジェーン・カンピオン監督作品です。


19世紀半ば、スコットランドに住むエイダ(ホリー・ハンター)は、
結婚のために娘を連れてニュージーランドに渡ります。
スコットランドからニュージーランドとはまた大胆な、と思いましたが、
ニュージーランドはカンピオン監督の母国なのですね。
なるほど。
今やニュージーランドは自然が美しい観光の名所という印象ですが、
この当時のニュージーランドは原住民の住む未開の地。
彼女が嫁いだ夫・スチュワート(サム・ニール)はそこの入植者で、
土地の売買をしているようです。
エイダは口を利くことができず、
父親から厄介払いのようにこの地に嫁がされたようです。
6歳から自分の意志で話すことを止めたというエイダは、
ピアノを弾くことで自分の感情を示すのです。
いわばピアノこそが彼女の声であり分身。
ところがスチュワートは重すぎるから、と、
ピアノを海岸へ置き去りにしてしまいます。
確かに家まではろくな道路もなく、
ぬかるんだ森のなかを長く歩かねばなりません。


さて、スチュワートの友人ベインズが、
土地と引き換えにピアノを譲り受け、
自分の小屋にピアノを運び入れます。
そしてエイダにピアノを習うこととして、彼女を家に引き入れるのですが・・・。


ピアノの鍵盤を1つずつエイダに返すとい約束で、
ベインズはピアノを弾く彼女に触れていく。
おずおずと、はじめは見つめるだけ。
上着を脱がせ、肩に触れ・・・。
エイダは始めのうち、そんなベインズに嫌悪を覚えています。
ピアノを取り戻すためにこんな破廉恥なことをしているのだ・・・と、
自分に言い聞かせている。
しかし、ベインズの視線に、触れる指に、
興奮を覚えずにいられない。
次第にベインズのもとに通う意味の主客が転倒していく・・・。


なんと見事な性愛の描写。
プラトニックとは対局の愛の形がそこにあります。
エイダが物言わぬからこそ、余計にその情念が引き立てられる。
その様子を密かに見つめる娘の視線もまたちょっぴり怖いのですよ・・・。
そして妻の愛を全く受けることができない夫・スチュワートの激情もまた・・・。


う~ん、唸ってしまいたくなるほどの、すごい作品でした。
最後は、結局エイダが“分身”であるピアノと運命を共にするのか?と思わせ、
意外な結末を見せるところがなんとも心にくい。
計り知れないエイダの意志の強さは、
確かにこういうふうに作用するはずです。


映画ファンを自称するなら、本作は外せない作品でした。
見てよかった~。

あのふんわりドレスのスカートの下のホネ
(クジラのひげで作るのではなかったでしたっけ?)を丸見えにして
スカートをまくり上げ、
男が顔を突っ込むというシーン。
なんて淫らなんでしょ・・・。
夫が逆上するのも無理はないと思う・・・。

ピアノ・レッスン DVD HDリマスター版
ホリー・ハンター,ハーヴェイ・カイテル,サム・ニール,アンナ・パキン
東宝


「ピアノ・レッスン」
1993年/オーストラリア/121分
監督・脚本:ジェーン・カンピオン
出演:ホリー・ハンター、ハーベイ・カイテル、サム・ニール、アンナ・パキン

確固たる女性の輪郭★★★★★
大人の性愛度★★★★★
満足度★★★★★
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「お文の影」 宮部みゆき 

2014年08月18日 | 本(その他)
おぞましく、そして切ない

お文の影 (角川文庫)
宮部 みゆき
KADOKAWA/角川書店


* * * * * * * * * *

「おまえも一緒においで。お文のところへ連れていってやるよ」
月の光の下、影踏みをして遊ぶ子供たちのなかに
ぽつんと現れた、ひとつの影。
その正体と、悲しい因縁とは。
「ぼんくら」シリーズの政五郎親分とおでこが活躍する表題作をはじめ、
「三島屋」シリーズの青野利一郎と悪童3人組など人気キャラクターが勢揃い!
おぞましい話から切ない話、ちょっぴり可笑しい話まで、
全6編のあやしの世界。


* * * * * * * * * *

おなじみ宮部みゆきさんの時代モノかつあやかしモノ。
なんというか、怖いというよりも
切なく悲しいものが多いですね。
それはそもそも怪異というものが、
大きな人の悲しみや苦しみから発生するものだからでありましょう。


私が好きだったのは・・・

「博打眼」
これにはいきなり、ゲゲゲの鬼太郎に出てきそうな奇怪な妖怪(?)が登場します。
それを退治するためのヒントをつかむのがお美代という少女。
私は宮部作品に出てくる少年少女が好きなので、つい力が入ります。
妖怪退治の方法は神社にいる古びて汚れた狛犬さんが教えてくれるのですが・・・。
なんだかちょっぴり楽しい、冒険譚のようでもあります。


「ばんば憑き」
湯治の旅に出た若夫婦、佐一郎とお志津。
ある宿で、品の良い老女と相部屋になります。
ある夜、佐一郎は老女の昔語りを聞くのですが・・・。
妻である女性は、我儘で自分勝手。
今まで彼女のそんなところを「甘えん坊でかわいい」と思えていた佐一郎なのですが、
そうではないと思えてきた・・・。
そんな時に聞く老女の話・・・
人の心ねという不思議さにうたれます。
本作では一番おぞましく怖いです。


「お文の影」宮部みゆき 角川文庫
満足度★★★☆☆
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アナと雪の女王

2014年08月16日 | 映画(あ行)
ありのままで



* * * * * * * * * *

何を今更・・・と言われそうです。
皆様、今さらアナ雪のレビューなど読む気になりませんよね。
見たいとは思っていたのですが、
案外早くに字幕版の上映がなくなってしまい、
吹き替え版でもいいか・・と思い始めたらもうDVDが出てしまった
・・・ということで、結局ブルーレイ版視聴です。


もちろん!! 楽しみましたよ~。



ものを凍りつかせてしまう秘密の力を持つエルサは、
その力で妹アナを傷つけてしまうことを恐れ、
城の一室に閉じこもって暮らします。
やがてエルサが女王の座に付くことになり、
戴冠式の日、久々にエルサは人々の前に姿を表します。
しかし、ふとしたことで氷の力が暴走。
王国は氷付き、エルサは単身山へ向かいます。
山奥で自らの力を開放し、
ありのままの自分でいられることに喜びを見出すエルサでしたが・・・。



冒頭仲の良い姉妹が引き裂かれてしまったり、
両親が亡くなってしまったり・・・
まず、そんな導入部から泣かされてしまいます。
ドア越しにアナがエルサに話しかけても返事はない。
ドアのむこうではエルサもまた涙に暮れているのです・・・。



大人気の“Let It Go”の歌は、
もっと心弾むシーンで歌われるのだと思っていました。
確かにエルサが自分を解き放つ曲なのですが、
本作の場合、それは同時に孤立をも意味します。
自分らしくあろう、ありのままで・・・、
だけれどありのままであることの代償があまりにも大きい。
そういう覚悟をも秘めた壮絶な曲でもあるのです。
そう考えながらあの美しいシーンを見ると、
ものすごく胸に迫ってきます。



またこの作品は、普通のファンタジーの定石を
あえて外しているところがまた心にくいですね。
エルサとアナは「善」と「悪」の立場で対立するわけではないし、
「真実の愛のキス」という言葉は出てくるけれども、
一筋縄ではいかず、意外な方法で解決します。
王子様との出会いも皮肉な結果になるし、
三角関係なんて、普通のファンタジーには出てこない。
・・・まあ、あったその日に婚約なんて、やっぱりダメですね・・・。


人物配置からするとクリストフとアナが結ばれる?と思うのに、
いきなり王子様が登場してアナと婚約したりしてしまう。
その成り行きもまた気になります。
そして、トナカイのスヴェンや雪だるまのオラフが心を和ませてくれる。
実に、引きこまれ、時を忘れて楽しめる一作でした。



さてこの猛暑の夏、エルサがいてくれたらいいのに・・・、
そう思うのは私だけではないのでは?
ありのままでも大歓迎・・・

アナと雪の女王 MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
イディナ・メンゼル,ジェニファー・リー,ジョン・ラセター
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


「アナと雪の女王」
2013/アメリカ/102分
監督:クリス・バック
出演(声):クリステン・ベル、イディナ・メンゼル、ジョナサン・グロフ、サンティノ・フォンタナ

意外性★★★★☆
音楽性★★★★☆
満足度★★★★★
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この空の花 長岡花火物語

2014年08月15日 | 映画(か行)
復興と追悼と祈りの映画



* * * * * * * * * *

大林宣彦監督作品。
先日「野のなななのか」を見た時に、本作が姉妹作であるとあったので、
興味を持ってみました。
2011年作品。
あの東日本大震災があった年です。


舞台は新潟県長岡市。
これまでに大きな災害を幾度もくぐり抜けてきたのです。
古くは戊辰戦争。
そして、1945年8月1日、まもなく終戦を迎えようとするところですが、
大空襲があり街は壊滅。
2004年7月には集中豪雨の被害があり、
同じ年10月には中越地震出大きな被害が。



しかしこの町の人達はその都度必死に立ち上がってきた。
そうして、東日本大震災のおりには、
いち早く被害者を受け入れたといいます。
長岡市では、敗戦後2年目の夏から2004年の中越地震を経てこれまで、
毎年8月1日夜10:30分、あの空襲のあった時間に花火を打ち上げ続けてきたのです。
それは復興と追悼と祈りの花火。
本作は熊本天草の地方新聞記者・玲子(松雪泰子)の取材という形をとって、
この町のこうした歴史を紐解いていきます。



登場人物は自らの戦争体験等を語る語り部として饒舌です。
多くは実際に地元の人たちの経験談をそのまま使用しています。
「なななのか」でも感じたことですが、
作中の言葉はそのまま「祈り」となって宙を漂うような気がする。
よく以心伝心とか、目がモノを言うなどといいますが、
まあそれはあくまでも男女の「愛」について。
本作は、言葉は口に出すことによって初めて力を持つ・・・
ということが実感される作品です。
だからこの作品があって、その先に「なななのか」があるということが
非常によく納得出来ました。
「言霊」について言えば「なななのか」はさらにパワーアップしています。



本作は戦時中の過去と現在、登場人物の幼少期や現在、
洪水の時のこと、震災の時のこと・・・
様々に時空を行き来します。
軸となるのは“花”という不可思議な少女。

一種ファンタジーめいた部分もありますが、
それがまた本作の雰囲気を独特なものとしています。



そして、これまで続けられた花火大会と花火師の方のエピソードにも心打たれます。
夜空に打ち上げられるあでやかな花火も
こうした背景を知れば一層胸に迫ります。
長岡の花火が復興と追悼と祈りの花火であるなら、
この映画もまた復興と追悼と祈りの映画にほかなりません。



「戦争にはまだ間に合う」

「世界中の爆弾を花火に変えて打ち上げたら世界から戦争がなくなるのに」

など忘れがたい言葉も。

じみ~に、キャストが豪華です!!
誰がどの時代の誰になって登場するのか、
などという楽しみ方もできます。


8月15日。
期せずしてタイミングの良い視聴となりました。


この空の花 -長岡花火物語 (DVD通常版)
松雪泰子,高嶋政宏,原田夏希,猪股南
ビデオメーカー


「この空の花 長岡花火物語」
2011年/日本/160分
監督:大林宣彦
出演:松雪泰子、高嶋政宏、原田夏希、猪股南、寺島咲
   筧利夫、笹野高史、片岡鶴太郎、尾美としのり、草刈正雄、柄本明、富司純子

歴史発掘度★★★★☆
メッセージ性★★★★★
満足度★★★★☆
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サンシャイン 歌声が響く街

2014年08月14日 | 映画(さ行)
適度に鄙びた街と曲が心地よい



* * * * * * * * * *

スコットランド版「マンマ・ミーア!」などともいわれる本作。
それというのも、オリジナルではなく、
既成のバンドの曲を用いたミュージカル仕立てとなっているためです。
スコットランドの人気バンド・プロクレイマーズが1988年に発表したアルバム
「Sunshine on Leith」の曲が使われており、
大ヒットした英ミュージカルを映画化したもの。
とは言え、私には馴染みはなかったのですが・・・。


私は、「マンマ・ミーア!」を見た時に、
キラキラしすぎて居心地悪い感じがしたのですが、
本作はその点では、舞台の街も曲も程よく鄙びていて、気に入りました。
田舎町といえば、日本だと、さびれたシャッター商店街とか、
あるいは田んぼの広がるお年寄りばかりの町を思い浮かべてしまいますが、
このスコットランドの街・リースは
古くからの歴史を感じさせる家並みの美しい街。
いやちょっと、憧れてしまうのですが・・・。
なぜここを捨ててアメリカなどへ行こうとするのか、と疑問に思わなくもありませんが、
そこはそれ、自らのキャリアを磨き、夢をかなえるためとあれば・・・。
とかく若い人は自分の足元の良さなど見えないものです・・・。



さて、この街に住むロブとジーン夫婦は、結婚25周年を迎えた所。
そこへ息子デイヴィーと娘リズの恋人アリーがアフガニスタンの兵役を終えて帰還。
お祝いムードになるのですが、そんな時に問題が噴出。
ロブに隠し子がいたことが発覚したり、
リズの将来の夢と現実、

そしてデヴィーと恋人の気持ちの行き違い・・・。
3組の男女の騒動が巻き起こります。



私は冒頭の兵士たちの不安を歌った曲と、
その次の故郷に帰還したデイヴィーとアリーの歌が好きでした。
冒頭、観客の心をぎゅっとつかむ、いい曲ですよね。
実際、このストーリーのために描かれた曲としか思えないくらいに、
それぞれの曲がそれぞれのシーンにマッチしていました。



欧米のドラマを見て時々思うのですが、
女達の感情のなんとストレートなこと。
夫がかつて浮気した女性との間に子供ができていたと知った時の妻の怒り。
また、母が心配だから故郷のイングランドに帰るけれども一緒に来る?
とイヴォンヌに言われ、
いきなりの事だったので拒んでしまったデイヴィーに対するイヴォンヌの仕打ち。
いやはや、私にはどちらも過剰反応に思えてしまう。
相手の事情などお構いなし。
とにかく自分の感情第一。
欧米ではそれが当たり前なのかな?
私なら実際頭にくるとしても、
相手の気持とか、自分がダメだったのかとか・・・
鬱々と考えこんで落ち込んでいてしまうような気がする。
イヤ、これは日本人だからというわけではなくて、全く個人的な傾向なのでしょうか? 
皆さんはいかがですか?
第一イヴォンヌの件については納得出来ない。
だって親が心配で、親元にいたいと思うのはデイヴィーだって同じじゃありませんか。
彼が即答できなかったのは当然だと思えるのです・・・。



ま、そんなふうに若干納得出来ないところもありますが、
作品としては楽しめると思います。
アリーはカワイソウ・・・。

「サンシャイン 歌声が響く街」

2013年/イギリス/100分
監督:デクスター・フレッチャー
出演:ピーター・ミュラン、ジェーン・ホロックス、ジョージ・マッケイ、アントニア・トーマス、ケヴィン・ガスリー、フレイア・メーバー

街の雰囲気度★★★★★
満足度★★★★☆
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青い池 ひとくちジュレ

2014年08月13日 | インターバル
最近人気の北海道美瑛にある「青い池」。
数年前に訪れた時のことはこちらを・・・→青い池


このたびは、そこを訪れた方におみやげをいただきました。




取り出すとこんな感じ

まさに、池はこんな色なんですよ!!
うまくできているなあ・・・とつい感心してしまいました。


袋からとりだしたところ。
ぷるるんとした一口大のジュレです。
お味は、まあ、ブルーハワイですね・・・。


ヨーグルトに浮かべてみた・・・。
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