映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

007 ノー・タイム・トゥ・ダイ

2021年10月04日 | 007

お名残惜しい、ダニエル・クレイグの007

* * * * * * * * * * * *

「007」シリーズ25作目にして、ダニエル・クレイグ版としては5作目。
コロナ禍で上映延期となり、ようやくこの度公開となりました!

現役を退き、ジャマイカで穏やかに暮していたボンド(ダニエル・クレイグ)。
そんなところへ、CIA出身の旧友フェリックス・ライターが助力を求めに来ます。
それは誘拐された科学者を救出するというもの。
その作戦を進めるうちに、ボンドは世界に脅威をもたらす最新技術を有した黒幕を追うことに・・・。

いつもながらオープニング15分くらいがすっごくカッコイイ!! 
もうその後は見なくてもいいと思うくらいです(そこまでは言いすぎ?)

うまくいっていたマドレーヌ(レア・セドゥー)との間に、思わぬヒビ。
彼女の持つ因縁とは・・・!?

恋に破れ、1人淋しく平和な地で暮すボンドには、やはり何か違うと思ってしまいますね。

そんな彼が久々に本部に戻ってみれば、
相変わらずのM(レイフ・ファインズ)や、Q(ベン・ウィショー)や、
マネーペニー(ナオミ・ハリス)だけれど、
なんと別人・しかも女性が「007」を名乗っていたりする・・・。
ダブル・ダブルオーセブン、と私は密かに突っ込んだりする。

DNAにより個人や、その家族、さらには民族などを特定して感染させ、
死に至らしめるという恐ろしい病原体というのがこの度の脅威です。
コロナ禍の元では、余計恐ろしげに感じます。

ダニエル・クレイグは本作で007引退とのことで、とても残念です。
渋くてスタイリッシュ。
歴代の007の中では一番好きでした。

ラストシーンでは、もうジェームズ・ボンドは戻ってこない、と思われる所だったのですが、
まあ、そこはなんとでも理屈を付けて、きっと帰ってくるのでしょう。
そのような予告もはっきりとあったワケですし。

 

<サツゲキにて>

「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」

2021年/アメリカ/164分

監督:キャリー・ジョージ・フクナガ

出演:ダニエル・クレイグ、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、
   ロリー・キニア、レア・セドゥー、ベン・ウィショー、ラミ・マレック

 

 

アクション度★★★★☆

スリル度★★★★☆

満足度★★★★☆

 


007 スペクター

2015年12月02日 | 007
持ってるヤツ



* * * * * * * * * *

さて、007シリーズ第24作目。
 ダニエル・クレイグ版としては4作目になりますね、007!!
前作からはもう3年なんだ・・・。早いなあ。
 相変わらず、ダニエル・クレイグはスタイリッシュでカッコイイわ~。大人の魅力。



本作の冒頭はいきなり、メキシコなんだよね。
 それも「死者の日」の祭り、パレードの最中。
 人々は思い思いにガイコツの衣装やマスクを身に着けて・・・。
 こんなお祭りがあるなんて知らなかったけど・・・。
賑々しいお祭りの中で、ちょっと緊張感を帯びたマスク姿の男女が、ある建物の中に入っていく。
 ふむふむ、これこそが、ジェームズ・ボンドなんだねえ。
で、そこから続くオープニングの度肝を抜くアクションに次ぐアクション!! 
 ビルは爆破されて倒壊するワ、ヘリコプターの上で格闘するワ・・・
これがオープニングだなんて、なーんて大盤振る舞い。もったいない!!
いやもう、ここでがっしりハートをわし掴みされちゃいます。



さて、なぜ彼がメキシコなんぞにいたのか。
 それは仕事ではなく、彼の個人的活動だったのだけれど、
 ・・・後にこれは、前任のM(ジュディ・デンチ)が言い残したことと関係することが分かるんだな。
だからこれは単なる前フリではないわけだ。
その後ローマ、オーストリアなど世界各地を点々として、
 ボンドは巨大な悪の組織「スペクター」の存在を知ることになる。
スペクターは、以前のシリーズにも出てきた宿敵の名前なんだよね。
 そしてまたそれは、前作「スカイフォール」のラストで焼け残った写真と、
 これもまた関連することがわかってくるんだね。
それはボンド自身の過去に関係している・・・。
おお!!ミステリアス!!



えーとつまり前作と本作は対になっているんだよね。
 前作「母から見放された兄と、未だに愛されている弟」という軸があった。
 そして本作は「父から見放された兄と、愛され続けた弟」ということになる。
実際の親子関係ではなくて、そういう構造ということだね。
 そうかあ、なるほど~。
イヤイヤ、でもまあそれはほんの隠し味程度のことなので、
 前作を見ていない人でも問題なく楽しめるので、気にしないように。


それから、本作では国家安全保障局の新しいトップ、Cという人物がでてくるのだけれど、
 彼はMI6の「00」部署はもう時代遅れで必要ないなんて言ってる。
それでM(レイフ・ファインズ)を筆頭とする「00」部署解散なんてことになっちゃうんだよね。
 だからボンドは組織の後ろ盾がないままに行動しなければならなくなる。
だがしか~し!
 ボンドには長年親しんだ味方がいるわけですよ。
 ITと最新型小道具(ボンドカーも含めて)担当Q(ベン・ウィショー)。
 マネーペニー(ナオミ・ハリス)。
 そして、M。
今回はQの出番が多くて嬉しかったし、研究室の外に出てきたのもいいよね~。

ボンドガールは、モニカ・ベルッチとレア・セドゥー。
 ボンドガールは大抵いかにもお色気たっぷりという感じなのだけど、
 レア・セドゥーは、ちょっと違う感じ。
 でも個性的でステキでしたー。
女性にも好かれそうな感じだよね。



クリストフ・ヴァルツは個人的にこの間「ゼロの未来」でみたばっかりだったんだけど。
前作、ハビエル・バルデムと比べるとパンチが足りない感じ?
 いっそあの時のままのスキンヘッドが良かったのに。
まあ、まあ・・・。
 でもこんなやつだからこそ、父はボンドの方を、ついかわいがってしまったのだろうけれどね・・。
 それにしてもこれだけの組織を作り上げたのは、ある意味スゴイというか・・・。
あー、前回も思ったんだよね。
 ここまでのし上がるのにどれだけ苦労したか・・・ってさ。
 スゴイじゃん。
 だからあえてボンドに復讐しようなんてさえ思わなければ、
 これからも裏の社会でのうのうとできたのにねえ・・・。
いや、そうマジに考えなくても・・・。
ねえ、これは逆に言うと、つい人から目をかけ手をかけられてしまうジェームズ・ボンドは
 やはり何かを持っているということなんだろうねえ。
そりゃ子供の頃から、かっこ良くて聡明で運動もできるし性格も良かったら、当たり前だよー。
もしかしてそれ、実は他の子から見て嫌なやつだったかも・・・
 だーかーらー、こんなことになっちゃったのか・・・
まあ、というのはこっちのかってな想像で、
 実のところは、これもまたたっぷり楽しめる007でした!!
ダニエル・クレイグ版ボンドはこの先ももっとみたいなあ・・・。
 交代しないで欲しいです。

「007 スペクター」
2015年/アメリカ/148分
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥー、レイフ・ファインズ、モニカ・ベルッチ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス

アクション度★★★★☆
満足度★★★★☆

007 ダイ・アナザー・デイ 

2012年12月22日 | 007
シルヴァと二重写しのボンド



            * * * * * * * * *


007シリーズ20作目。
ちょうど今から10年前、つまり007シリーズ40周年と銘打って出された作品。
そして、ピアース・ブロスナン最後のジェームズ・ボンドということで・・・。
これが結構シリアスだよね。特にはじめのところ。
なんと北朝鮮で、ボンドは捕らえられ、拷問を受けつつ監禁されること14ヶ月!!
北朝鮮って実際に名指ししちゃうところがすごい。
それにしては将軍様も、その息子も、かっこよすぎだけど・・・。
最新作「スカイフォール」を見たから言うのですが、
このボンドの姿は、もしかしたらシルヴァなのかもしれないと・・・。
そうなんだよね、シルヴァは同じような状況で、
自殺を計ったけれども死にきれなかったという設定でした。
ボンドは自殺用の青酸カリをとっくに処分してしまったと、後にMに言っていたね。
14ヶ月・・・、恐るべき精神力。
そこがシルヴァとボンドの違いってこと?
いやいや単に状況の少しの違いなのかもね・・・。
この14ヶ月後のボンドは、ひげも髪も伸び放題で、
見たことないピアース・ブロスナンになっていたね。
まさに、ワイルドだろ~っ!!
私は結構好きだよ、こういうの・・・。
さて、結局ボンドは捕虜交換でようやく解放されるのだけれど、
情報を漏洩した疑いで諜報員の資格を剥奪されてしまう。
やはり、ここでも冷徹な、Mなのであった。
でも、ボンドは復讐を誓ったりはせず、
自らの嫌疑を晴らすため、個人的に捕虜交換となった北朝鮮のザオの行方を追うこととなる・・・。



北朝鮮側の武器となるのが、またすごい。
宇宙空間から太陽光を集めて地上をピンポイントで攻撃するというもの・・・。
たまたまこの度北朝鮮のミサイル発射があったので、いや~な感じでした・・・。
ボンドカーはなんと消える車!!
ユニークでしたー。でもこれ、動力はきっと電気かな。
じゃないと音でバレてしまう。
それはたぶん切り替え可能なハイブリットということで・・・。
10年前くらいの007なら、まあ、十分に楽しめるということね。
まあ、そういうこと。

007 / ダイ・アナザー・デイ [DVD]
ピアース・ブロスナン,ハル・ベリー,トビー・スティーブンス,ミランダ・フロスト,リック・ユーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


ダイ・アナザー・デイ [Blu-ray]
ピアース・ブロスナン,トビー・スティーブンス,ハル・ベリー,ロザムンド・パイク
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


007 ダイ・アナザー・デイ
2002年/アメリカ/133分
監督:リー・タマホリ
出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーブンス、ロザムンド・パイク、リック・ユーン

007 スカイフォール

2012年12月15日 | 007
そして、振り出しへ戻る・・・



            * * * * * * * * *
 
さて、期待の007シリーズ最新作ですね。
この、ポスターがカッコイイんだよねえ。
シリーズでは23作目、そして007第一作から50周年という記念作であります。
いやはや、私らもずっとシリーズを追って来ましたが、
でもやっぱり特にこのダニエル・クレイブ版のジェームズ・ボンドは、
これまでとは一味違って、ひきつけられるよね。
大人の味・・・といえば元々ショーン・コネリー版はそうであったはずなんだけれど、
次第にマンネリ化し、おちゃらけて、あまり緊張感のないものになってきていた。
まあ、それぞれわくわく・ドキドキはあるけどね。
特に今再見すると、ちょっと耐えられないものもあったのは事実・・・。
そこで私らの出した結論は、ボンドシリーズは懐かしがって古いのを見てはいけない。
常にその時の最新作を楽しむべき、ってことだったよね。
そのとおり。
だからこそ、今作、楽しもう・・・!と、待ちに待っていたわけ。

まずはあの、ロンドンオリンピックの開会式。
あれがすごく良かったんだよね。
エリザベス女王を、開会式会場にエスコートするジェームズ・ボンド。
ボンドはともかく、エリザベス女王がヘリコプターからパラシュート降下というのは、
やり過ぎだとは思ったけど・・・しかし、この映画のものすごい宣伝にはなったよね。
まさに女王陛下の007でした!



さて、前置きが長くなりすぎ・・・。
各国のテロ組織に潜入している工作員を記録しているハードディスクが何者かに奪われます。
犯人を追い詰めるボンドは、MI6長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、
橋から谷底へ落ちてしまう・・・。
そこで一旦は死亡とみなされたボンドでしたが・・・。
まあ、ここのところで死んでしまってはストーリーが続かないので、
それでも生きているんだろうなあ・・・と想像は着きます。
案の定、ロンドンのMI6オフィスがテロリストに爆破されるに及んで、
再び姿を表したボンド。
ここからが今回の本当のストーリーというわけですね!
そう、何しろ冒頭からものすごいチェイスシーン、
ひゃー、こんなすごいシーンを惜しげもなくオープニングに使っちゃうんだ・・・と、
その気前の良さにも驚きました・・・。

それで今回の対戦相手というのは、
世界征服を狙うマッドサイエンティストでもなく、
どこぞの国の西側政府転覆を狙うテロリストでもない。
ただひたすらにMI6と、そのトップMを狙う、シルヴァの私怨によるものなのです。
シルヴァというのはもとMI6の諜報員。

Mの冷酷な決断により、見捨てられ、
筆舌に尽くしがたい辛い体験をして、身も心もズタズタに・・・。
これがまた、さすが名優ハビエル・バルデム。
個性たっぷり存在感バツグン。
強烈でありながらも、どこか悲しみをもたたえ・・・。
ここはね、厳しい母を持つ兄弟、というようなシチュエーションなわけだ。
ああ、母から見放された兄。未だに愛されている弟・・・。
マザーコンプレックスと兄弟間の相克。
こういう普遍的テーマが隠れているから、ちょっと引き締まる。

でもねえ私は思うんだけど、このシルヴァ、そのどん底から這い上がって、
こんな組織を立ち上げられる財力を一人で築いたんだよね。
それってすごくない?
そこまで行ったんだから、あとは南の島でも買って、
のんびり余生を過ごせばよかったのに。
いやいや、復讐を誓ったからこそ、血の滲む努力をして、
ここまでになったというべきなんだろうね。
南の島どころか、廃墟の島を手に入れたんだもんね。
あの島の外景を見た時に、あれ、軍艦島みたい・・・と思ったのだけど。
あれは本当に軍艦島だったんだね。
島内の建物のシーンは違うけどね。


さて、この題名の「スカイフォール」って、何かというと・・・。
おっと、それは見てのお楽しみ、ということで。
そうだね。作品中でもボンドが言葉の連想による心理試験を受けた時、
「スカイフォール」という言葉の時だけ、反応できなかったんだ。
その秘密。・・なかなか気をもたせるのが上手い。
まあ、ヒントとしては“スコットランド”です。
同じ日、「砂漠でサーモンフィ・フィッシング」という映画を見たんだけど、
そちらのスコットランドは、豊かな自然、川を泳ぐ鮭、
そして、ロマンチックで優雅なお城が登場。
でも、こっちのスコットランドは、冷たい灰色一色。
今にも崩れ落ちそうな屋敷が出てくるね・・・。
対比として、実に面白かったね。



それから、今作に出てくるQが良かった。
Qといえば、いつもボンドのための新兵器を用意してくれる、あのオジサンなんだけど、
ここでは代替わりをして、うんと若い青年。
見るからにオタクっぽい彼は、いかにも地味~なアイテムをボンドに渡すね。
でも、ちゃんとそれが役に立つというのはもう、お約束。
まあ、それよりもコンピュータを駆使し、ボンドに周りの状況を知らせるという、そういう重要な役を果たすんだね。
これぞ現代の一番の武器だよ。

そうして最期まで見ていると・・・意外にも振り出しに戻るというか、
不思議なループになってるね。
Mのオフィス、Mの秘書。
あそこではやっぱり、帽子を帽子掛けに投げてほしかったと思ったりする。
とにかく、大満足できたね。
はい。これは是非見ていただきたい、納得の大作でした!

「007 スカイフォール」
2012年/アメリカ/143分
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベン・ウィショー


007/ワールド・イズ・ノット・イナフ

2012年10月14日 | 007
007の見方

                 * * * * * * * * * 

007シリーズ第19作。
ピアース・ブロスナンの007としては3作目ですね。
オープニングクレジット前に、派手なシーンがありますねえ。
テムズ川でのモーターボートチェイス。
私は全部の中でも、ここが一番おもしろかったよ・・・。


巨大石油パイプラインを持つイギリスの石油王キングが暗殺されます。
犯人はテロリストのレナード。
彼は銃弾で脳に損傷を受け、痛みを感じなくなっているという想定だね。
だからまあ、見た目は普通で、特別な力があるわけではない。
けど、痛みを感じないというのはある意味すごい武器でもあるな・・・。
石油王にはエレクトラという娘がいて、彼女が後を継ぐことになるのだけれど、
テロリストの次の標的になりそうなので、ボンドが護衛につくというわけだね。
んで、仲良くなっちゃうというお定まりの展開ですが・・・。
愛があって、裏切りがあって・・・
まあ、普通に楽しめる作品と思います。
そうだねえ、けど、特別な思い入れができるほどではないかな・・・?


今作1999年作品で、作中で2000年問題の先取りか?などというセリフもあり。
そうでした、西暦年数を表示できず、
コンピューターが正常作動できなくなるという心配があった年なのでした。
随分昔のような気がするよ・・・。
それから、今作ではQが引退宣言をするのだけれど・・・
そうなんだよね。さすがにお年だし・・・
でもこのデスモント・デュウェリンさん、
この撮影が終わってまもなく事故でなくなってしまったそうで。
本当に最後の作品になってしまったんだねえ・・・。
彼の作った数々の新兵器、大好きでした。
そういえば今回はそのQの後釜となったRの作った新兵器のBMWが、なんと真っ二つになって大破。
別に車好きでない私でも、なんてことするんだ!!と思ってしまったよ。


それはともかく、ピアース・ブロスナンの007は結局どう?
う~ん、悪くはないけどややパンチ不足かな。
というのはその後のダニエル・クレイグを知っているからかもね。
そうだね、ダニエル・クレイグの方がスタイリッシュで、色気がある気がする・・・、
まもなく公開の「スカイフォール」は楽しみだよね。
つまり、007シリーズというのはその時その時リアルタイムで見るべきであって、
私らがこれまでやったように、懐かしんで過去の作品を見たりすべきではないということなのでは・・・?
うひゃー、ここまで来てその結論ですか?
ははは・・・

ワールド・イズ・ノット・イナフ(デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ピアース・ブロスナン,ロバート・カーライル,ソフィー・マルソー,デニス・リチャーズ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」
1999年/アメリカ/128分
監督:マイケル・アプテッド
出演:ピアース・ブロスナン、ソフィー・マルソー、ロバート・カーライル、デニース・リチャーズ、ロビー・コルトレーン

007 トゥモーロー・ネバー・ダイ

2012年09月20日 | 007
もはや“現代”の007

                       * * * * * * * * * 

007、シリーズ第18作です。
1997年・・・だから、15年前かあ。
でも、かなり現代に近い。
もうほとんどいかにも『古い』という感じがなくなってきているね。


中国近海を航行中のイギリス海軍艦が何者かに撃沈され、英中の軍事的緊張が高まります。
でもこれは、国家間の緊張を高めることを目的としたある人物の策略。
それは、新聞やテレビ・ラジオ等の報道を牛耳るメディア王、カーヴァー。
なるほど、情報を制するものはすべてを制する。
いかにも現代風の悪役像になってきたよね。
情報操作で世界を撹乱し、操る・・・というのは今だからこそ信憑性があるなあ。
はじめの方は、イギリス艦がGPSで自らの位置確認を行なっていたのだけれど、
カーヴァーがGPSのデータ処理を撹乱させたため、中国領海に入り込んでしまっていたということなのだよね。
う~ん、よくわからないけど、まあ、わかるよね。
うん。もうすっかり、今の世界の007ということだ。
ボンドカーをケータイで操縦する、なんてあたり、
もう一時代昔の夢ものがたりじゃない・・・と。
そうだねえ。


それから、今回のボンドカールは中国の国外安保隊員の、ウェイ・リン。
つまりは女スパイだね。
敵同士のようだけれど、戦争を望むわけではない両国の共通の敵がカーヴァーということで、
共同作戦に当たることになる。
それも以前のように極度にデフォルメされた“東洋の女”ではなく、
普通にスタイリッシュでカッコイイ、ウェイ・リンなのでした。
二人、手錠でつながれながら、バイクでのチェイスのシーンは、
ハラハラ、ドキドキ、そしてカッコ良かったなあ。
テンポも良くて、退屈しなくなってきたね。
はい。まずは及第のボンドシリーズでした。

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ピアーズ・ブロスナン,ジョナサン・プライス,ミシェル・ヨー,テリー・ハッチャー
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「007 トゥモーロー・ネバー・ダイ」
1997年/イギリス・アメリカ/119分
監督:ロジャー・スポティスウッド
脚本:ブルース・フィアスティン
出演:ピアース・ブロスナン、ジョナサン・プライス、ミシェル・ヨー、テリー・ハッチャー、ジュディ・デンチ


007/消されたライセンス

2012年06月01日 | 007
ライセンス返上。復讐を誓うボンド

                   * * * * * * * * * 

ティモシー・ダルトンの007二作目ですね。
CIAである友人フェリックス・ライターの結婚式に出席するため、フロリダを訪れたボンド。
冒頭では二人で協力し、麻薬王の逮捕を果たします。
結婚式には空からパラシュートで式場に舞い降りる二人。
なかなか派手なオープニングだよね。
そう。だけどこれが、このあとの大変な事件の発端となるわけだ。


その麻薬王サンチェスが脱走。
こいつがかなり残虐で、粘着質。
彼を捉えたフェリックスに報復を図るんです。
フェリックスはサメに足を食いちぎられるし、新妻は殺されてしまう・・・。
そこでボンドは、友人のかたきを打つべく立ち上がる!!
でも英国情報部は、それを許しません。
さっさと帰国して勤務につくように、と。
しかしボンドは、殺しのライセンスも返上。
全く一個人として、麻薬王の巨大組織に挑む!!


かなりシリアスで残虐なシーンも多いという、ロジャー・ムーア版とは異なるテイストとなってますね。
仕事ではなく、個人的な復讐というところは結構気に入ったな。
組織の力を借りない、というのは結構きついことなんだよね。
だけど、彼のスタンドプレイが、長年サンチェスの組織に潜伏捜査をしてきた他の組織の邪魔となってしまうというあたりも皮肉で、
ボンドとしても悩むところだ。
でも、彼は鋼鉄の意志で、やりぬく!
組織の金を奪い、その資金も麻薬も焼きつくす、凄まじい執念。
麻薬撲滅という一貫したテーマがあるし、クールなボンドがここまで自らの感情で動くというのも悪くない。
私は、気に入ったね!
だけど実は今作、世界興行成績ではシリーズ始めてベスト5入りせず、
シリーズの見直しを迫られることとなった要因の作だそうで・・・。
だから、このあとのシリーズ再開は6年後なんだよ。
ええ~。信じられないな。
私はロジャー・ムーア版ですっかり匙を投げる寸前だったのに、
ティモシー・ダルトン版、う~ん、というよりジョン・グレン版というべきかな、
それでまた興味を盛り返したのに。
当時は、シリアスより毎度おなじみの軽いノリの007を求めていたのかしらね~。



あ、でも007ならではのお楽しみもちゃんとあったんだよ。
孤軍奮闘するボンドを見かねた“Q”がアメリカまで手助けに来るというあたりもよかったし、
二人のボンドガール、果たして最後にボンドが選ぶのはどちらかという興味もある。
陸・空・海を駆け巡るボンド。
いや、ほんとに面白かったけどなあ・・・。

そうそう、サンチェスの用心棒役、なんだか見たことがあると思ったら・・・
ベニチオ・デル・トロだ~!
ベニチオ・デル・トロといえば今こそしぶーいイメージだけれど、
この若きデル・トロはカッコイイですよ~。
カッコイイのでつい目が行って、よく見たら、なんと!・・・っていう感じだもんね。
はい。でもここではボンドの敵役なんで、非業の死を遂げます・・・。
デル・トロ下積み時代の掘り出し物でした。

興行成績と、作品の出来はあんまり関係ない、ということがよく分かる作品でした。


消されたライセンス (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ティモシー・ダルトン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「007/消されたライセンス」
1989年/イギリス/133分
監督:ジョン・グレン
出演:ティモシー・ダルトン、キャリー・ローウェル、ロバート・ダビ、タリサ・ソト、ベニチオ・デル・トロ


007/リビング・デイライツ

2012年05月24日 | 007
硬派、大人のボンドが蘇った

               * * * * * * * * * 

「007ジェームズ・ボンド」シリーズ、第一作から25周年にして第15作ということで、
結構華々しく作られた作品のようです。
25周年って、今はそれからまた25年もたってるんだねー。うひゃー。
ボンド役は4代目、ティモシー・ダルトンにバトンタッチ。
う~む、なんだか見慣れなくて、違和感があったですが・・・。
でも、作品としてはよくできていたよね。


ソ連高官コスコフ将軍が西側に亡命を希望。
ボンドがそれを手助けするところから始まります。
亡命を阻止するためコスコフを狙撃しようとするのが、女性チェリストのカーラ。
ボンドはその狙撃手を女性と見て取ると、わざと銃弾を逸らして、殺さない。
ひゃー、相変わらず、女性には弱いんだ。
まあね。けれどここで命拾いしたこのカーラこそが、今回のボンド・ガールで、
単なる狙撃手ではなくて重要な位置を占めているんだよ。
一旦この亡命は成功。
コスコフからは、KGBが西側のスパイ暗殺計画を立てていて、
そのリーダーはプーシキンという男であるとの情報を得る。
しかし、その後すぐ、コスコフはKGBに奪われてしまうのですが・・・。
実はこれらのことすべて仕組まれた罠で、
コスコフこそが武器商人ウィテカーとつるんだとんでもない奴だった・・・と。


正直、ロジャー・ムーア版007はどうにも、見るのが苦痛だったわけですが、今作、結構良かったよね。
ストーリー性がちゃんとあるし、空中シーンもたっぷりあって、スリルもあった。
チェロを弾くボンド・ガールだなんて、お色気だけが命じゃなく文化の香りがするのも珍しいよ。
にしてもストラディバリウスのチェロに銃で穴を開けてしまうなんていう蛮行はいただけないけど。
チェコにオーストリア、モロッコはタンジールにアフガニスタン。
なかなかユニークな場面設定。
アフガニスタンのシーンもよかったな。
ソ連がアフガンに侵攻していた時期だね。
ひょんなことからソ連軍基地に連行されていた男を救ったら、
彼はアフガンのレジスタンスのリーダー級。
ボンドたちの力になってくれるという設定でさ。
しかし、アメリカが応援したこのレジスタンスが
後に大きな災いをもたらす、ということでもあるんだけどね・・・。
そういう歴史を感じさせるあたりも、結構硬派の作品と言えるよね。
イギリス版“寅さん”から少し脱却した、見応えのある作品でした。
それにしても、私にはどうもこのティモシー・ダルトンが宇梶剛士に見えて仕方なかったんだけど・・・。
私は、カーラが中嶋朋子に見えちゃったんだよー。

私らだけ???


リビング・デイライツ (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ティモシー・ダルトン,ジョー・ドン・ベイカー,マリアム・ダボ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「007/リビング・デイライツ」
1987年/イギリス/132分
監督:ジョン・グレン
出演:ティモシー・ダルトン、マリアム・ダボ、ジョー・ドン・ベイカー、ジェローン・クラッベ

007/美しき獲物たち

2012年04月01日 | 007
シリコンバレーを狙え!

                   * * * * * * * * * *

007第14作目。
ロジャー・ムーアのジェームズボンド最終作となります。
・・・にしてもなんだか気分が盛り上がらない。
なんだかねえ。やっぱり飽きてます。
もう止めたいです、正直。
このあたり、2年に一度づつ、順調にシリーズが作られているようなのだけど・・・。
これはイギリス版の寅さんみたいなもんなんだね。
偉大なるワンパターンでも、皆さんそれを楽しみにしていたのでしょう、多分。


1985年作のこの作品、それでも話題がだいぶ現在に近づいてきた感じがしたよ。
ここの敵役は、大富豪のゾリンなのだけど、彼は素晴らしい競走馬を持っている。
そういうことでも、たんまり儲けているわけだけど、
それが馬にステロイド投与のインチキをしていることがわかったりする。
大富豪が敵役で、競馬場のシーンがあったりするので、
この間見た「ジョニー・イングリッシュ」を思い出したけど・・・。
この映画も、モト作品の一つなのかもしれないね。
イギリス映画にはよく、競馬場のシーンが出てくるよね。
上流階級の社交の場なんだよね。だからみなさん精一杯おしゃれしてくる。
マイフェアレディとか、思い出しちゃうなあ。
こほん、まあそれはともかく、
その大富豪の世界征服という野望の手段は、アメリカのシリコンバレーを壊滅させること。
ね、話題が今日的になってきたでしょ。
なるほどね・・・。
アップルのマークの入ったパソコンも、今作初登場かもしれない・・・。


・・・などという考察をするしか特に話題のない作品だったりする・・・。



ところでひとつ問題が。
実は第13作「オクトパシー」を見てないじゃないの。
あ~、それね、前まで、TSUTAYA DISCASで検索しても出て来なかったんだよ。
あまりにも人気がなくて、扱ってないっぽかったんだけどね、
なんと、今さっき試しに検索したら、ちゃんとあった。
やっぱり見ますか?
うんにゃ。いい。ヤダ。
でしょ・・・。
全部おわって、心残りだったら、忘れた頃に見よう・・・。
しかし、惰性ですが、それでも先は行きますよ~。
次からは、ティモシー・ダルトンです。

美しき獲物たち (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ロジャー・ムーア,クリストファー・ウォーケン,タニア・ロバーツ,グレイス・ジョーンズ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


007/美しき獲物たち
1985年/イギリス/131分
監督:ジョン・グレン
出演:ロジャー・ムーア、クリストファー・ウォーケン、タニア・ロバーツ、グレイス・ジョーンズ、ドルフ・ラングレン

ネバーセイ・ネバーアゲイン

2012年02月22日 | 007
ショーン・コネリー返り咲き

                       * * * * * * * * * *

えーと、この作品の頃、ジェームズ・ボンドはすっかりロジャー・ムーアのものになっていたのですが、
なんと12年ぶりにショーン・コネリーが返り咲きました!!
先日見たロジャー・ムーア版「ユア・アイズ・オンリー」は、実際、どうにもならない作品だったので・・・。
実のところ、私がよほど疲れていて集中できなかっただけなのか、
または、もういつもと同じパターンでは面白みも感じられなくなっちゃったのかと思ったりもしていたんだけど。
今作をみて、そうではないと確信したワケね。
そうなんですよー。
やっぱり007はショーン・コネリーじゃなくちゃ、という思いは根強いんだな。



ストーリーは、これまたおなじみ宿敵スペクターが相手で、
彼らが核ミサイルを横取りし、その身代金を要求するというもの。
お定まり美女とのロマンスを交えつつ、スリルたっぷりの敵とのやりとりが繰り広げられます。
だから特別目新しいというわけではないのだけれど・・・
定石を踏みつつも、これだけ面白く作ることができるという証明のような作品になってるよね。
やはりショーン・コネリーの存在は大きいよ。
この作品、以前までの007を踏まえていることが重要なのです。
007は優秀ではあるけれど、彼が手がけた仕事では常に乱闘やら銃撃戦やらカーチェイスやらが繰り広げられるので、
その後始末が大変なのでしょう。
これは確かに事務方ならもういい加減にして欲しいと思うでしょうね・・・。
今作の設定では、最近007は、前線を離れて、主に後輩の講師を務めているとあります。
その彼が行くのは、長期滞在の人間ドックみたいな療養所。
ボンドはクラシックカーに乗って現れますが、
「古いものはいいですな。まだまだ役に立ちます」なんて会話が挟まれていまして、
ジェームズ・ボンドもいい年になりました・・・っていうことを
いろいろなところでアピールしているわけです。
けれど、やっぱり重要なところでは彼に頼るしかない!
核ミサイルを取り戻す。
これが今回のミッションであります。



今作は実は「サンダーボール作戦」のリメイクということなんだけど・・・。
ええ、そうだったの? 
そういえば水中シーンの多かったところとか、サメに追われるシーンとか・・・あったなあ。
でも、ほとんど別物と行ってもいいと思うよ。
科学技術的にもこの時代なりの最先端を行っていると思う。
ミサイル発射に米大統領の目の照合が必要だったり、
今でもさほど古びて見えないコンピューターゲームのシーンがあったりして。
それから、これもお定まりの007の新兵器。
武器を仕込んだ万年筆とか腕時計。
ジャンプするバイク。
これらを駆使する007。
これですよね、これ!!
こういうシーンがあってこそ007だ。
スペクターのNO.1ラルゴとかちょっとアブノーマルな感じの女殺人鬼ファティマ、
そして敵から寝返るボンドガール、ドミノ。
人物配置もばっちり決まってる。
まさに安心して見られる定番007、007集大成みたいな作品でした。
ショーン・コネリーはこのとき53歳くらいかな?
そうだよね。それにしてはまだまだ若い、十分かっこよかったよね。
うん。この人は年齢が行くほど渋みをましてステキになる・・・。
・・・というわけで、この007シリーズ、もうやめてしまおうかとも思ったのですが、
気を取り直して続けることにします。

ネバーセイ・ネバーアゲイン [DVD]
ショーン・コネリー,クラウス・マリア・ブランダウアー,キム・ベイシンガー,マックス・フォン・シドー
20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン



「ネバーセイ・ネバーアゲイン」
1983年/アメリカ/134分
監督:アービン・カーシュナー
出演:ショーン・コネリー、クラウス・マリア・ブランダウアー、バーバラ・カレラ、キム・ベイシンガー、マックス・フォン・シドー

007/ユア・アイズ・オンリー

2012年01月14日 | 007
テンション低下

                 * * * * * * * *

007シリーズ12作目ですが・・・
なんだかテンション低いですね。
もう飽きたというか、このシリーズを見るのが苦痛になってきた気がする・・・。
特に今作は・・・。
説明すべきあらすじなんてほとんど無いですしね。
東西の軍事バランスに多大な影響を及ぼすミサイル誘導装置ATACが、搭載した船ごと海底に沈みます。
それをどちらの陣営が引き上げ、手に入れるか、というのが眼目。
西側の代表がボンド、東側はギリシャの大富豪クリスタトスという構図。
まあ、どうでもいいのですが、追いつ追われつが延々とくりかえされる・・・と。
はっとするような新型マシンもなかったし、全体にもテンポがゆるくて。
最後まで見るのが苦痛でした。
何でこんなに無理してまで見なきゃならないのか、疑問になってきた。
これまではアナログの時代の中でも精一杯想像力豊かにいろいろな新型マシーンが登場して、
今見てもちょっとは面白かったよね。
今作はどうもイマジネーション欠如。
今時どこにもないような旧式パソコンが出てきたりするのはかえってしらけるというか・・・。
公開当時はそれが最先端だったんだろうけどね。
ITが現実、身近なものになりつつあるところが、
今から見ると逆に古さを感じさせてしまうと言うことか。
今作で一番面白かったのは、北イタリアコルチナのスキーリゾートシーンだね。
ボンドがいろいろなウインタースポーツをやってみせる。
ジャンプまでしたからね。
ちょっぴりコミカルで、楽しいシーンでした。
この作品、音楽がまたよくないのだな。なんだか明るすぎです。
もうちょっと、緊張感とか色っぽさとかダークな感じとか、マイナーなイメージもないと・・・。
これまでかろうじて音楽で大人の作品にとどまっていた部分もあるのに、これではね・・・。


・・・と、さんざんに言ったところで、次作「オクトパシー」なのですが、
なんとTSUTAYA DISCAS では見つからなかった・・・。
そこまで人気が落ちてきていたのか。
この品揃えもどうかとおもうけど・・・。
今作のできがよくないので、見限った人が多かったのでは・・・?
いやあ、やっぱりね。
ほんと、もうよしましょうか。
けど、せっかく乗りかかった船なんだからさ。
それでもまだまだ続いたところを見れば、また、面白くなるのかもしれないし。
とりあえず、次回は気分を変えて、その「オクトパシー」と同年に公開された「ネバーセイ・ネバーアゲイン」にしよう!
なんとこれがショーン・コネリーの返り咲き。
ちょっとは期待できるかな?

007 ユア・アイズ・オンリー アルティメット・エディション [DVD]
ロジャー・ムーア,トポル,キャロル・ブーケ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


007/ユア・アイズ・オンリー
1981年/イギリス/128分
監督:ジョン・グレン
出演:ロジャー・ムーア、ジュリアン・グローバー、キャロル・ブーケ、トポル

007/ムーンレイカー

2011年12月28日 | 007
わくわくのスペースシャトルを題材に

                        * * * * * * * *

007シリーズ11作目、ロジャー・ムーアのボンド役としては4作目です。
何しろ今作の冒頭でドッキリさせられるね。
ボンドが、パラシュートもつけずに飛行機から突き落とされてしまう。
ひゃー、どうやって助かるんだ???
全く命がいくつあっても足りないと思うけど、よく生きながらえてるよね。
いやいや、そんなのは序の口で、今回は宇宙が舞台なのだ!!
まず、輸送中の米スペース・シャトル、ムーンレイカーが何ものかに盗まれちゃうんだね。
それは大富豪のドラックスという男の陰謀だということがわかってくる。
なんとこいつは、その当のスペース・シャトル製造に関わっている。
実は、彼の目的は、毒ガスで地球上の人類を死滅させ、
自分を含めた選ばれた人間だけで世界を創造しようという、神をも恐れぬ陰謀。
そのためにシャトルが必要ということだったんだ。
それで数が足りないから、輸送中のスペース・シャトルも失敬しちゃったわけ。
えーと、この作品が1979年作品。
スペース・シャトルの初飛行は1981年だね。
つまりちょっぴり未来を先取りした作品ということか。
そうだね、多分当時はもうじきこのスペース・シャトルが実際に宇宙を旅する、ということで、
皆が期待し話題になっていたんだろうね。
その宇宙へ向かうシーンは最後のお楽しみなんだけど、
前半、ヴェネツィアの水路でボートチェイスをしたり、
リオデジャネイロのケーブルカー上でジョーズとやり合ったり、
観光気分をかねて盛り上がるシーンもたっぷり。
この鋼鉄の歯を持つ男、ジョーズは前作に引き続く登場。
ボンドの行く先々に登場しては襲いかかってくるわけだけど・・・
なんと今回は最後の方で、ボンドたちと利害が一致して、協力関係になっちゃうという・・・。
なんだか3枚目の悪役になっちゃったね。
前作でも結構インパクトが強くて、人気が出ちゃったんだね・・・。
しかし、ケーブルカーのケーブルをかみ切っちゃうって、ドンだけのあごの力なんだよ・・・。
宇宙にまで話が及ぶのは初期の「007は二度死ぬ」にもあったけど・・・。
あの、日本が舞台のやつね。
あれはいかにもおもちゃっぽくてちゃちだったけれど、
さすがにこのあたりでは一応見られるものになってるよね。
欲を言えば宇宙でのマシンの重量感とか爆発シーンとか、そういうのが・・・。
この時代だから、これが精一杯というところで無理もないでしょ。
何十年もかけて今のレベルにまでなってるわけだから。
今はさすがにこんな風な個人的、妄想的な世界征服を企むなんていう悪役像はないよね・・・。
そうだね。大企業がいかに裏の金を蓄えるか、弱者を食い物にして儲けるか・・・、そんなところだよね。
レトロで荒唐無稽な悪人像を楽しみましょう。

ムーンレイカー (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ロジャー・ムーア,ミシェル・ロンズデール,ロイス・チャイルズ,リチャード・キール
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


007/ムーンレイカー

1979年/イギリス/126分
監督:ルイス・ギルバート
出演:ロジャー・ムーア、ミシェル・ロンズ・デール、ロイス・チャイルズ、リチャード・キール、バーナード・リー

007/私を愛したスパイ

2011年11月06日 | 007
宿敵ジョーズ登場!!

                 ******************

007シリーズの10作目です。
10作目という節目で、かなり予算もかけたそうだね。
そうだね。スケールが大きくて結構見応えがあったと思う。
だけど、ちょうどこの年「スター・ウォーズ」や「未知との遭遇」、「サタディーナイト・フィーバー」とビッグタイトル目白押し。
興業的には成功だったけど、ちょっと霞んでしまったということらしい。


さて、ストーリー。まずは、東西両陣営の原子力潜水艦の行方不明というのが発端。
ボンドはソ連の女スパイアニヤと協力して捜査に当たることになります。
アニヤはまた美女ですし・・・、はじめからスジは読めちゃうけどね。
しかし日頃は敵同士の関係だから、お互い油断ならない関係ということで、
この二人のかけ引きがなかなか面白いんだ。
双方の敵は、東西陣営に潜水艦に搭載してあった核兵器を撃ち込み、
壊滅させて世界征服をもくろむ男、ストロンバーグ。
移動可能の水中基地アトランティスはかっこよかったけどね。
うん、こんなのがあったらテーマパークにして、おまけに各地を回れるからすごく人気が出ると思うけど・・・。
世界征服を企む男は、それでは満足しないよね・・・。
原子力潜水艦を丸ごと飲み込んで隠してしまう、巨大タンカーというのもスケールがでかい!!
そして、なんと言ってもユニークなのが、鋼鉄の歯を持つ男、ジョーズであります!!
エジプトの遺跡を舞台にしての追跡・格闘シーンなんかはわくわくさせられたなあ。
このジョーズは、歯はもちろんのこと、全身も頑丈で不死身だ。
さすがのボンドも手こずる。
ジョーズ対サメのジョーズ対決まであるけどね。いやいや、サメなんかぜんぜん敵じゃない。
あまりにユニークなので、この人は確か後の作品にも出てくるんだよね。
ボンドの宿敵!!

それから、今回のボンドカーはなんと水中カー。
白のロータス・エスプリ。
今見てもちょっとカッコいいな。
海中から海岸へ上がってきた車に周りの人はびっくり仰天、人だかり、というシーンも笑っちゃうね。
ああ、ここに例のアメリカの田舎保安官のおっちゃんを置いておきたかったな~。


一筋縄でいかない男女の関係とか、スケールの大きい舞台。
さすが10作目という感じで、お定まりパターンでありながら、豪華さが感じられる、お得な一作でした。

007 私を愛したスパイ アルティメット・エディション [DVD]
ロジャー・ムーア,クルト・ユルゲンス,バーバラ・バック,リチャード・キール
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


007/私を愛したスパイ
1977年/イギリス/125分
監督:ルイス・ギルバート
出演:ロジャー・ムーア、バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス、リチャード・キール

007/死ぬのは奴らだ

2011年10月05日 | 007
お楽しみてんこ盛り

            * * * * * * * *

007シリーズ第8作目にして、ロジャー・ムーアのジェームズ・ボンド初登場。
彼の007は意外と違和感がないというか・・・。
そうだなあ、何故かすんなり納得できちゃいました。


冒頭から、英国諜報員が3人、それぞれの地で相次いで殺されてしまいます。
007はCIAの旧友と、そのことについての捜査を開始する。
これは麻薬密輸を狙うミスター・ビッグが関わっているらしい。
潜入の地は、カリブ海のサン・モニク(架空)、アメリカのニューオリンズ。
しかし行く先々、敵の手下がうじゃうじゃいて、ボンドの動向をつかみきっていたりする。
よくもまあ、ご無事で・・・って感じです。


まあ、そうだけれど、スリルとサスペンスてんこ盛り。
そういうところでは非常にサービス精神に富んでいるよね。
えーとね、出てきたのは、毒へびにワニにサメ・・・。
原始的だけど、確かに怖い。
それから、ブードゥー教や、タロットカードでオカルト色を出して盛り上げる。
圧巻は、モーターボートでのチェイスシーンだね。
ちょっとした陸地は飛び越えて通り抜けちゃう。
それが普通に生活している人々の間を、猛スピードで通り抜けちゃうところがおかしいんだよ。
結婚式をしている最中に乗り込んでしまって、ウエディングケーキがめちゃめちゃ。
花嫁が泣き崩れる。
笑っちゃいけないけど、笑っちゃう。
ニューオリンズの保安官のおっちゃんが、すごくよかったよねえ。
徹底して田舎のおっちゃんでね。
愛すべきキャラです。


敵のボスは麻薬市場の支配を狙うカナンガ=ミスター・ビッグ。
彼はまず、ただで麻薬をばらまき、中毒者を多量に作ってから、
やおら麻薬の値段をつり上げて儲けようという、すごい作戦を立てたんだね。
こんなことされたら、どうにもならないな・・・。
カナンガの手下のティー・ヒーというのが、鋼鉄の義手を持つ残忍な男。
ユニークでした。
ボンドの今回の新兵器は、超強力な磁石にもなる腕時計。
小型の丸鋸にもなる。
まあ肝心なところでは役に立ちます。
決して、女性の背中のファスナーを開けるためだけに役立つわけじゃない!
ボンドが、ワニ池を脱出する方法も見所だね。
因幡の白ウサギ戦法か。
全く、絶体絶命のピンチ連続。
命がいくつあっても足りないよ。
というあたりでは、だいぶ近年の映画の手法に近づいてきた感じだね。
ただ、やっぱり女性の描き方が、男性に助けられるお姫様だ・・・。
自ら闘う女性の登場は、まだ後になります。
どうもこの辺りに登場する女性の話し方が、何だか鼻にかかった甘えたような感じがするんで、イヤなんだよね。


さてとそれから特筆するべきなのはこのテーマ曲。
Live and Let Die は、ポール・マッカートニーの曲じゃない!!
映画の中身より、曲の方がよかったかも・・・。

死ぬのは奴らだ (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ロジャー・ムーア
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


1973年/イギリス/117分
監督:ガイ・ハミルトン
出演:ロジャー・ムーア、ヤフェット・コットー、ジェーン・シーモア、デビッド・ヘディソン

007/ダイヤモンドは永遠に

2011年09月04日 | 007
200万ポンドのダイヤの行方

ダイヤモンドは永遠に (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ショーン・コネリー,チャールズ・グレイ,ジル・セント・ジョン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


              * * * * * * * *

007第7作ですが、前作のジョージ・レーゼンビーはそれきりとなり、
またショーン・コネリーのカムバックです。
何だかホッとしてしまうのだけれど、そのショーン・コネリーの前作「007は二度死ぬ」のはちゃめちゃさを幾分引きずっていますね・・・。
そうなんだな。こうしてみると、「女王陛下の007」は、とても良質・正統派の落ち着いた作品でした。
ジョージ・レーゼンビーで損をしちゃった・・・。


まずこの作品、冒頭でいきなりスペクター首領ブロフェルドを
ボンドが自らの手でこの世から葬り去る。
ひゃー、今までの苦労はなんだったの?というあっけなさなんだけど・・・。
まあね。で、早々にボンドの次なる任務。
ダイヤモンドの密輸組織の捜査なんだね。
200万ポンドものダイヤモンドの行方を捜す・・・ということで
今回の舞台はアメリカのカジノ。
でもねえ、これは単に巨額の富を得ようという企みではなくて、もっとすごい。
ダイヤモンドを利用したレーザー光線で世界征服を企むという、スケールの大きな話・・・。
しかし、この辺りは割と近代的といいますか、何だか本当にありそうなことになってきたね。
人工衛星からのレーザー攻撃・・・。
女の目で見ると、ダイヤモンドはやはり装飾品なんだけど、
こうして兵器としての利用価値…なんていうところは、虚を付かれた感じで、面白かったなあ。
でね、作品では、このレーザー光線で世界各地の軍事基地を破壊するんだよね。
どうせなら、本当に世界中の軍事基地と兵器の生産工場を
全部破壊してしまえば良かったのに、なんて思ったりして。
ははあ・・、でもそうすると本当に世界中の驚異は、
このレーザー光線の持ち主だけということになって、
それこそ世界征服を果たしちゃうことになるよ・・・。
それもそうだね。
まあ、そうなってから007氏が登場して、敵をかたづければよろしい・・・。
それから、ボイスチェンジャーみたいなマシンが出てきたね。
コナン君を思い出しちゃったよ。
声だけでも人になりすます、というのはちょっと便利なんだな。


あと、何となく引っかかりを覚えるのは、いかにも敵の詰めが甘い。
ボンドをあわやという目に遭わせておきながら、どうしても息の根を止められない。
ここで銃を使えば一発なのに、どうしてそこで回りくどい手を使うのかとあきれてしまう。
棺桶に入れて火葬にしようとしたり、
地下の埋設タンクで生き埋めにしようとしたり、
単身乗り込んだ彼に、わざわざ基地を案内して見せたり・・・。
「ここでボンドが死んでは、ストーリーが続かないから」という理由しか思い当たらない。
実にご都合主義で、子どもだましという気がする・・・。
ボンドは女性も思いきりひっぱたくし、
ブロフェルドの猫を蹴飛ばしたりもする。
あんまり紳士じゃないなあ・・・。


という辺りで、ショーン・コネリー路線も、戻ってみればやはり難が見えてきて・・・、
何とか新機軸にしたかったのかもしれないね。
次作からまた主役交代でロジャー・ムーアとなります!

1971年/イギリス/120分
監督:ガイ・ハミルトン
出演:ショーン・コネリー、チャールズ・グレイ、ジル・セント・ジョン、ラナ・ウッド