映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

オズ はじまりの戦い

2013年03月30日 | 映画(あ行)
良い魔女 VS 悪い魔女?



            * * * * * * * * *

米カンザス。
サーカス一座の若きマジシャン、オズ(ジェームズ・フランコ)は、
いつか偉大な男になることを夢見ています。
プレイボーイで自己中。
まあでもちょっと茶目っ気があって憎めない感じ。
ある日竜巻に巻きこまれて、
自分と同じ名前の魔法の国オズへ迷い込みます。
そこで彼は偉大な魔法使いと勘違いされてしまい、
東の魔女セオドラ(ミラ・クニス)とエヴァノラ(レイチェル・ワイズ)姉妹から
邪悪な魔女を倒して欲しいと頼まれます。
財宝と名誉のため、魔女退治の旅に出たオズ。
道中では、羽があって空をとぶ猿や陶器の少女と出会い同行することに。
さて、そして出会った魔女グリング(ミシェル・ウィリアムズ)は・・・。



私がこの作品を見て一番気になったのは善悪のこと。
良い魔女。
悪い魔女。
良い人・・・。
単に言葉で語られるだけ。
その善悪の捉え方があまりにも薄っぺらです。
はじめ良い魔女と思っていたほうが実は悪い魔女で、
悪い魔女といわれていたほうが良い魔女だった。
その良い悪いの根拠は何なのかなあ・・・。
セオドラは結局嫉妬で醜く変身してしまうわけですが、
それって結局オズのせいなんですよね・・・。
善が美しくて、悪が醜い。
あまりにもわかり易すぎで安直なこの構造、
結局そのためか、どうものめり込めず楽しめませんでした。
どうもよくわからないのです。
この魔女が対立関係になってしまったのには、実はもっと複雑な過去があったりはしないのでしょうか?
あまりにも一方的な善悪の決め付け。
全くのお子様作品としかいいようがありません。
ただいえるのは、キリスト教的バックボーンがあるのかな?と。
善きもの=神=美
悪着物=悪魔=醜
だから、善と悪は決して混ざらないし、単純なもの・・・?
なんでしょうかねえ・・・







冒頭モノクロで、いよいよオズの国に入ったところから始まる総天然色。
そしてシャボン玉に乗って空を飛び移動するシーンが魅力的なほかは、
さして見るべきところもないような・・・。
(この度は2Dで見てしまったのですが、せめて3Dで見るべきだったのでしょうか?)
こういう作品は単純に楽しめばいいのだ・・・と割り切ったつもりなのに、ダメでした・・・。
どこに感動すべきだったのかな?と釈然としないまま終わってしまったのでした。



「オズ はじまりの戦い」
2013年/アメリカ/130分
監督:サム・ライミ
出演:ジェームズ・フランコ、ミラ・クニス、レイチェル・ワイズ、ミシェル・ウィリアムズ
ファンタジー度★★★★☆
満足度★★☆☆☆

真木栗ノ穴

2013年03月29日 | 西島秀俊
現実か。幻想か。



            * * * * * * * * *


さて、今作の西島秀俊さんは、全然売れない小説家。
ものすごく古い一間きりのボロアパートに住んでいて、気弱そうでなんだかトホホな感じ。
ほう、これまでの作品の雰囲気とはちょっと違いますね。
うん、だけどそれに騙されちゃいけない。
次第に私たちは幻惑されて、その“穴”に引きこまれていきますよ・・・。



売れない作家、真木栗(西島秀俊)は、仕方なく官能小説の執筆を引き受けてしまうのですが、
ネタに困り、つい自分の部屋のことを書き始めます。
ボロアパートの壁もボロボロで穴があいていて、隣の部屋を除くことができる。
隣は若い男の一人暮らしで、時々女が遊びに来る。
もう片方の隣の部屋は空き室なのだけれど、ある日若い女性が越してきます。
その女性を覗き見る見るうちに、彼は彼女のとりこになっていく。
そしてあるとき、妄想をふくらませて書いたストーリーと同じ事が現実にも起こり始めます。



だんだん、どれが現実でどれが妄想なのかわからなくなってくるよね。
私は、真木栗がひっきりなしに飲んでいる頭痛薬のための幻覚かと思ったんだけれど。
現実か・・・幻覚か・・・はたまた妄想か。
しかし更には、これってオカルトらしい様相も見えてくるよね。
彼のところに来ていた宅配便の配達員、置き薬の営業マン・・・、その謎の死。


この作品、鎌倉が舞台というのにもなんだか意味がありそうだね。
古都鎌倉の釈迦堂の切通し。
あそこをくぐり抜けると異世界に通じるような・・・。

古い町並みに瑞々しい緑。
そんな中で白昼夢のように官能的で幻想的に進行するストーリー。
真木栗はその世界に翻弄されているのだけれど、実は支配しているようにも思えてくる。
いつしか幻想は時のループとなっていくんだね。
こうなると真木栗自体も実在しているかどうか怪しくなってくる・・・



不思議で怖い話なのだなあ・・・
ヒントと言うか、取っ掛かりは隣に住む若い男かな。
彼が真木栗を見る目。ジロジロと単に失礼なのではなくて・・・、ということだね。
紛れもなく現実を生きている人。それが隣の兄ちゃんであり、編集者の女性であるけれど・・・
その他はどうだったのか・・・?
どうなんでしょう???
結局どこが始まりでどこが終わりなのかもよくわからなくなってくる。
興味深い作品でした~。

真木栗ノ穴 [DVD]
西島秀俊,粟田麗,木下あゆ美,キムラ緑子,北村有起哉
ポニーキャニオン


「真木栗ノ穴」
2007年/日本/110分
監督:深川栄洋
原作:山本亜紀子(「穴」)
出演:西島秀俊、粟田麗、木下あゆ美、キムラ緑子、北村有起哉

非現実度★★★★★
生活感★★★★☆
満足度★★★★☆

「信長協奏曲8」 石井あゆみ 

2013年03月28日 | コミックス
徳川家康は歴史上欠かせぬ人物だ

信長協奏曲 8 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
石井 あゆみ
小学館


            * * * * * * * * *

今巻もまたユニークです。
時を超えてやってきたサブローが、
後は粛々と歴史をなぞるだけと思いきや、
これでもかというふうに、意外な事が起きます。


冒頭、なぜか桃太郎の鬼退治もどきの話になるのです。
長可&森ブラザーズらが「近頃鬼が出る」という噂を聞きつけ、
サブロー信長の許しを得て退治に出かけます。
サブローは「超見たい」から生け捕って来るようにいいます。
さてその正体は・・・! 
なんとサブローと同じく時を超えてやってきた、超意外な人物。
いやいや、また驚かされてしまいました。
この人は図体はでかいのですが、とっても気持ちが優しいのでした・・・。


そういう微笑ましいエピソードの後には、いきなりシビアな展開になっていきます。
比叡山の延暦寺攻め。
信長の悪名高い戦略の一つですが、
これを考えたのはサブローではなく、光秀(つまりホンモノの信長)。
この人ははじめ軟弱な登場の仕方でしたが、
次第に本性を現してきたといいますか・・・。
頭の良い人なのでしょうね。
これまではひたすらサブローを敬愛し、補佐するという立場だったのが、
少し様子が変わってきたような。
もしかすると、この光秀にサブローは知らずのうちに操られていくのだろうか・・・と、
先行きが不安になって来ました。


また、サブローと同時代の人物が皆仲間とは限りません。
平成のヤクザ松永は、やっぱりヤクザの本性をあらわにしていきます。
そして、織田勢にとっての目下最大の敵は武田信玄。
四方八方敵ばかり、
なかなか苦戦のサブローに、心強い味方はあの竹千代くん、家康。
しかし、岐阜の信長より先に、武田軍の脅威にさらされてしまう。
圧倒的不利と思われるこの戦いに、乗り出す家康。
頑張れ、竹千代くん!!


面白くなって来ましたねえ・・・。
通常信長とくれば対で出てくる秀吉は、
ここでは一癖も二癖もあるイヤラシイ男で、
虎視眈々と信長の座を狙っている。
そういうのもユニークなんですが、
でもやっぱり、最後に信長を裏切るのは光秀なんだろうなあ・・・。
いや、あれ? 
そうなんだろうか・・・? 
やっぱり先は読めません。

「信長協奏曲8」石井あゆみ 
満足度 ★★★★☆

クラウド アトラス

2013年03月26日 | 映画(か行)
時空間を交差するそれぞれのストーリー



            * * * * * * * * *

過去・現在・未来…そして空間をも交差して語られる6つのストーリー。
登場人物は同じキャストが様々な役で何度も登場。
全くバラバラのようでいて、どこかつながりをみせつつ
それぞれが一気に怒涛のラストへと盛り上がっていくという超・力作でありました。


ある男の航海の物語。

幻の名曲の誕生秘話。



原子力発電所の陰謀。



ある編集者の虐待ホーム脱出譚。

クローン少女の自意識の目覚め。



そして崩壊後の地球。



今作では死は終わりではなく、新たな生への扉であると捉えられています。
だから何度も生を繰り返すことの表現のため、
どの時代にも同じ俳優さんが登場してきます。
時には人種も性別までも変わっているので、驚き・・・。
エンディングロールでその紹介があるのですが、
全く気づかなかったものも多くて、驚き呆れました・・・。
坊主頭でヤクザのトム・ハンクスなんて、ちょっと笑っちゃいますが。
異彩を放っていたのは、ペ・ドゥナさんのソンミ。
東洋人の神秘的なムードがなんといってもここでは光りますね。
でもこれ、「バベル」の菊地凛子さんのイメージに似ています。
そういえば、関連の無さそうなストーリーが並行して語られていって
実はほんのちょっとつながっている、
という作品の構成自体も似ているのでした。


さてこの作品、特に宗教的に輪廻転生を説いているというわけではありません。
トム・ハンクスは、はじめたちの悪い殺人者として登場しますが、
転生を繰り返すうちに次第に魂の成長が見られていくというあたりが、本筋でしょうか。
ただ転生があるから・・・ということで、
案外あっさりと人々が死んでいってしまうのが、私にはちょっと不満でした。
“転生”というのは私にはよくわかりませんが、
無数の人々がこうやって太古から一人ひとりつながりながらここまで来て、
そして未来に向かってまた歩み続けるのだなあ・・・と、
そういう命の連鎖を歌ってくれたほうがしっくりくるような気がしました。



全体としては壮大で良くできているなあ・・・とは思いながら、
いまいち私にはのめり込めませんでした。
ストーリーを理解するのに忙しすぎて味わうスキがなかったのかもしれないし、
俳優さんたちの変装ごっこが鼻についてしまったりもして・・・。
本当はもう一度見たほうがいいのかもしれませんが、
でも2回見たいと思う程でもないというところです
(長いし)。

「クラウド アトラス」
2012年/アメリカ/172分
監督:ラナ・ウォシャウスキー、アンディ・ウォシャウスキー、トム・ティクバ
原作:デビッド・ミッシェル
出演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィービング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ヒュー・グラント

時空自在度★★★★☆
変装のお楽しみ度★★★★★
満足度★★★☆☆


アイアン・スカイ

2013年03月25日 | 映画(あ行)
iPhoneで息づく地球侵略



            * * * * * * * * *


第二次世界大戦後、ナチス第三帝国の一部のエリートが密かに月へ逃亡。
月の裏側に秘密基地を作り、復讐の機会を伺っていた。
・・・70年後、2018年。
アメリカの宇宙船が、月の裏側に着陸。
飛行士は黒人。
彼はナチスの基地という信じられないものをそこで見るのです。

ナチスが彼を捕獲することにより、ついにナチスの地球侵略が開始される・・・



ものすごくユニークかつ大胆な発想。
私はこれをちょっとワクワクするSFパニック作品かと思っていました。
ところがですね、実際はかなりチープで、B級臭漂う作品なのです。
でもたぶんそれは、“SF”という思い込みに囚われていたから。
実はこれはSFというよりは“風刺”作品と思ったほうが良い。



ナチスはもちろんのことですが、
本作はアメリカの利己的な国家や政治家へ向けての痛烈な皮肉となっているのです。
作中チャップリンがヒトラーを痛烈に批判した作品「独裁者」が登場することを見ても、
本作、かなり世相への皮肉を込めているのがわかります。
そういうふうに考えれば、
ナチスの宇宙船などのメカは結構かっこよく凝っていまして、
出来すぎに思えるくらいです。



ナチスのマッドサイエンティスト的博士は、コンピュータを使っていますが、
それが一部屋の壁中を覆う巨大コンピュータ。
しかし、アメリカ人宇宙飛行士が持っていたiPhone1個の方が、
その巨大コンピュータよりも性能が良い。
さもありなん。
こんなにも地球上の科学技術の進歩は早い。
・・・でもね、ナチスは多くの宇宙船を作ってましたね。
そのテクノロジーこそ実はすごいのでは・・・?
などと思ったりする。



期待したよりもチープで、なんだかなあ~などと思ってみていたわりに、
最期には意外に満足感を覚えていたという不思議な作品です。

アイアン・スカイ [DVD]
ユリア・ディーツェ,ゲッツ・オットー,クリストファー・カービー,ウド・キア
松竹


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「アイアン・スカイ」
2012年/フィンランド・ドイツ・オーストリア/93分
監督:ティモ・ブオレンソラ
出演:ユリア・ディーツェ、クリストファー・カービー、ゲッツ・オットー、ペータ・サージェント、ステファニー・ポール

発想力★★★★★
皮肉度★★★★★
満足度★★★☆☆

「カッコウの卵は誰のもの」 東野圭吾

2013年03月24日 | 本(ミステリ)
遺伝子が人生を決めるのか

カッコウの卵は誰のもの (光文社文庫)
東野 圭吾
光文社


                * * * * * * * *

往年のトップスキーヤー緋田宏昌は、妻の死を機に驚くべきことを知る。
一人娘の風美は彼の実の娘ではなかったのだ。
苦悩しつつも愛情を注いだ娘は、彼をも凌ぐスキーヤーに成長した。
そんな二人の前に才能と遺伝子の関係を研究する科学者が現れる。
彼への協力を拒みつつ、娘の出生の秘密を探ろうとする緋田。
そんな中、風美の大会出場を妨害する脅迫者が現れる―。


               * * * * * * * *

スポーツの才能と遺伝子。
科学的に証明できるかどうかはわかりませんが、関係があるのは確かなことに思えます。
本作では、往年のトップスキーヤーである緋田と、
今注目の若手スキーヤーである娘風美の遺伝子を比較してみたいと、
研究者柚木が申し出るのですが、
娘との血のつながりがないことを知られたくないために、緋田は拒否。
そんなところへ、風美の実の父親とおもわれる老人が現れます。
果たして彼の意図は?


一方、スポーツに優位な遺伝子を持つとされる少年・伸吾が、
ほとんど強制的にクロスカントリーをさせられています。
彼は本当は音楽がやりたい。
風美と伸吾は同じスポーツクラブに所属していて、ちょっと顔を合わせたことがあるという程度なのですが、
最後に意外なつながりが見え、一挙に事件解決に向かうところが、さすが東野圭吾作品。
登場人物皆、いい人すぎるきらいはありますが、だからこその感動作でもあります。
なかでも緋田氏のひたすら娘を思う気持ちと、
自分はどうあっても、正しく人の道を歩みたいという正義感が、
なかなか熱いのです。


肉体を形作るのはもちろん親から受け継いだ遺伝子。
けれどもあくまでもそれは心の入れ物。
人の本質は心なのではないかと・・・。
だからといって、それは全く別物というわけでもないのだろうな。
肉体と魂は双方が複雑に影響を及ぼし合って成り立つのでしょう。
風美を慈しみ育てた父が緋田でなければ、
こんなにもスキーに愛着を示さなかたかもしれないし、
スポーツの才能を持て余す伸吾の別の遺伝子には音楽の才能も潜んでいたりして・・・。
それは科学で解明されてしまってはつまらないですよね。
人は誰でもいろんな可能性を秘めている、と思いたいです。



「カッコウの卵は誰のもの」東野圭吾 光文社文庫
満足度★★★☆☆

ダブルフェイス 偽装警察編

2013年03月22日 | 西島秀俊
犬は犬でしかないことを、思い知らせなければならない


            * * * * * * * * *


さて、続きのコチラは、警察に潜入したヤクザ、高山の方に焦点を当てています。
織田組長に、それこそ子犬を拾われるようにして拾われたんだね。
「お前は俺の息子だ」なんていわれて。
彼ははじめから彼を警察に潜り込ませようとして大学に行かせたんだ。
そして彼はメキメキと力をつけて、皮肉なことに、警察内の「潜入者」を探し出す役に抜擢された。
あちゃ~、だね。
これじゃいつまでたっても「潜入者」は見つかりっこない。
まあそんな訳で、立場上小野寺警視正の後を引き継ぎ、組へ潜入している警官の正体を知ることになるわけだけど・・・。
それもすぐわかるわけではなくてね、なかなかハラハラさせられます。
ふたリが初めてケータイで話すところも緊張感たっぷり。
そんな一方、高山は織田から「有力政治家の娘、万里をたぶらかすように」と言われる。
ところが高山は自由奔放な万里に心を揺さぶられてしまう。
そして彼女を守るために、組織を裏切ることに・・・



こちらは西島さんの出番が少なくて、しかもすご~くショッキングなラストなので、がっかりなんだけど、
ストーリーとしてはホントに面白い。
高山は、組を裏切って、そうすれば警官のまま正しく生きていけると思ったんだよね。
だけども、ことはそう簡単ではなくて、
そこからドツボにはまったようにどんどん事態が望まない方へ転がっていく。
警官としての地位は保ったままね・・・。
運命に逆らおうとした罰なのか。
裏切りという行為の代償なのか。
悲哀を抱いたままオジサンは生き続けなければならないのだよ・・・
重苦しくはあるけど、見応えたっぷりの力作。
「犬は人間と一緒に暮らしていると自分も人間のような気になってしまう。
時々、犬は犬でしかないことを思い知らせなければならないんだ」と、言う織田。
それは「お前は俺の息子だ」といった織田の本心であるかのようです。
森屋のスタンスは常に警察側にあったのに比べて、高山の気持ちは揺れ動くわけだよね。
それはやっぱり、どこか信用しきれないこの親分のもとでは当然なのかもしれないし・・・。
悪に徹することができない弱さであるのかもしれない。
役柄としては、高山のほうが美味しかっんだたな・・・。


以前みた「ディパーテッド」はあんまり印象に残っていなくて。
でもこっちはたぶんずっと忘れられないと思う。
おなじみの俳優さんばかりということもあるし・・・。
やっぱり日本人の感性に訴えるものがあるんだよ、きっと。

ダブルフェイス ~潜入捜査編・偽装警察編~ [DVD]
西島秀俊,香川照之,和久井映見,伊藤淳史,蒼井優
ワーナー・ホーム・ビデオ


「ダブルフェイス 偽装警察編」

監督:羽住英一郎
出演:西島秀俊、香川照之、蒼井優、小日向文世

重圧感★★★★☆
西島秀俊魅力度★★★★☆
満足度★★★★★

ダブルフェイス 潜入捜査編

2013年03月21日 | 西島秀俊
潜入捜査の不安と重圧の中で



            * * * * * * * * *


えーと今回も映画ではなくて・・・
TBS・WOWOW共同制作のドラマです。
香港映画「インファナル・アフェア」を下敷きにした作品だね。
うーん、それは残念ながらみていないけど、前に「ディパーテッド」っていうのを見たよね。
そちらはハリウッド版リメイクでレオナルド・ディカプリオとマット・デイモンだった。
そうそう。で、いよいよ日本版は、西島秀俊&香川照之です!


森屋純(西島秀俊)は警察の潜入捜査として、暴力団織田組の一員となっています。
もう何年もそうしていて組長(小日向文世)の最も信頼の厚い片腕となっている。
組織の動きを密かに警察に流しているわけだけれど、そのことがバレればもちろん命はない。
そういう重圧で押しつぶされそうになっているんだ。
その秘密を知っているのは警視正の小野寺(角野卓造)一人のみ。
一方警察の方に潜り込んでいるのは、若いころ織田に拾われた子飼いの高山亮介(香川照之)。
彼も警察内でどんどん功績を上げて、ある程度の地位を築いている。
しかし、双方情報が筒抜けなので、スパイが潜んでいることに気づき始めたんだね。
どちらも必死でその潜入者を探しだそうとするのだけれど・・・
本作は二部構成になっていまして、
こちら「潜入捜査編」は、主にヤクザに潜入している森屋の方に焦点を当てているんだね。


 
いやあ、それにしても西島秀俊さん、カッコイイ!! 
こういう陰りのある男。ピッタリだよねえ。
冒頭、雨宿りの軒先で二人が並ぶんだよね。(冒頭写真)
この時はもちろんお互いに全く見知らぬ同士。
このはじめのツーショットが、これから先の物語を暗示しているわけ。
そばには、子犬がダンボールに入れて捨てられている。
『犬』はつまり二人の立場『手先』を暗示しているということか。
森屋はヤクザの一員でありつつ、警官。
周りにウソをつき続けていることや、いつ正体がばれるかわからないという不安。重圧。
そういうストレスに晒されてはいるけれど、彼の芯のところは揺らいでは居ないよね。
朱に交わっても朱くはならないということか。
だけど、一日も早くこの任務に見切りをつけたいという思いはつのる。
森屋を「アニキ」と慕うチンピラ役の伊藤淳史がよかった・・・。
彼の所でふっと空気が和むよね。
バカだけどいい奴でさ・・・。お得な役だ。
しかし、本編のラストはなかなか衝撃的で、ショックでした。
森屋の足元が揺らぐ。
もしかしたら一生このままヤクザでいなければならないのだろうか・・・?
彼にとって大事な人の相次ぐ死。
いよいよ孤立する森屋。
さあ、どうなる・・・?!

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「ダブルフェイス 潜入捜査編」
監督:羽住英一郎
出演:西島秀俊、香川照之、和久井映見、伊藤淳史、蒼井優

重圧感★★★★☆
西島秀俊魅力度★★★★★
満足度★★★★★

東ベルリンから来た女

2013年03月20日 | 映画(は行)
彼女なら、どこにいても強い意志で生き抜けるかな?



            * * * * * * * * *

ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ。
ある海辺の田舎町の病院に、美しい小児科医バルバラが赴任して来ました。
彼女は西側に恋人がいて、
西へ移住申請を出したために東ベルリンから左遷されてしまったのです。
しかも、秘密警察シュタージによる相互監視システムで、常に監視されています。
実はそれでもなお彼女は、西側の恋人の元へ脱出する計画を進めています。
赴任先では、同僚の医師アンドレが何かと親切にしてくれるのですが、
彼女ははじめそれも監視のためかと疑います。
けれど彼の真摯な医療への取り組みに、次第に心動かされていくのです。
ラストでは、
医師としての自分を求められている東か、
自由で豊かな西か。
そして二人の男性のどちらか・・・。
究極の選択を迫られることになるのです。



情熱をうちに秘めた強い意志を持つ女性。
自転車で緑の中を走り抜ける彼女の姿が、とても魅力的かつ印象的です。

「善き人のためのソナタ」にも描かれていた秘密警察、シュタージ。
あの時はあれだけの手間と人員を割いて
一人の人間を監視する意味がどこにあるのか、と思ったものですが、
やはり今作でも同じ思いでした。
そうまでして何を守ろうとしていたのでしょう・・・。
そんなだからこそ、多くの人が西へ逃亡しようとするわけで・・・。
バルバラへの冷徹な監視の有様を見ると、
どんなにか彼女がこんな国を逃げ出したかったのか、
ものすごく納得できてしまいます。

 

けれど、彼女は自分自身の道にも思いを馳せるわけです。
自分だけが逃げ出していいのか。
この町の医療は・・・、
そしてアンドレは・・・?
自分が自分の足で歩むための決断は、見ていても気持ちのよいものです。
ラストのアンドレの表情が良かったなあ・・・。
こんなふうに、ちょっとがっちりしていて男っぽくて、
でも気持ちはとても優しくて料理なんか作ってくれる・・・・
うう、ものすご~く私のタイプです。
(それはどうでもいいか)



「東ベルリンから来た女」
2012年/ドイツ/105分
監督:脚本:クリスティアン・ペッツォルト
出演:ニーナ・ホス、ロナルド・ツェアフェルト、ヤスナ・フリッツィー・バウアー、マルク・バシュア、ライナー・ボック

歴史掘り起こし度★★★☆☆
緊張度★★★★☆
満足度★★★★★

「銀の匙 6」荒川弘

2013年03月19日 | コミックス
あいつがあんだけわかりやすい矢印出してんのに!!

銀の匙 Silver Spoon 6 (少年サンデーコミックス)
荒川 弘
小学館


            * * * * * * * * *

いよいよ、馬術の新人戦。
馬術部ではそつなくマロンを乗りこなすようになった八軒ですが、
このような大会は初めてで、緊張しまくり。
なかなか苦戦します。
そして今巻から、すごくユニークな人物が登場。
御影さんの幼なじみの少女。
なんと縦巻きロールの髪をしたお嬢様!! 
一見お蝶夫人風の南九条あやめさん。
彼女は他校からこの新人戦に出場しているのですが、
とんでもなく上から目線で、異様に御影さんを敵視。
ところが実際の実力ときたらお話にならないレベル。
このギャップが何ともへんてこで可笑しい。
どんな富豪の家の子かと思えば、両親はまあお金持ちではありますが、
とても朴訥な普通の農家のお父さんお母さん。
なんでこうなったのか、あやめさん。
タマコさんと並んで謎ですな。
御影さんにライバル心を燃やしているのがまるわかりで、
御影さんと親しい八軒まで目の敵にされてしまいます。
そのくせ名前をきちんと覚えない。
十軒とか、二十四軒とか、勝手に呼びつけます。
(いまさらですが、八軒と、二十四軒というのは札幌市西区に実際にある地名です。)


また、今作でおかしかったのは、
八軒が新人戦で頑張った自分へのご褒美と考え、意を決して御影さんに
「エゾノー祭がおわったら、二人で何処かへ遊びに行こう」
と誘います。
もちろんデートのつもりなのですが、御影さんはそうは思っていない。
女子同士の話の中で、「八軒に誘われた」というと、
もちろん周りの女子はピンと来るわけです。
「ニブい!!! 
あいつがあんだけわかりやすい矢印出してんのに!! 
八軒に同情するわ!!」
・・・と騒然。
それでようやく、それがデートの誘いだと気づいた御影さん。
やれやれ、何にしても前途多難ですな八軒くん・・・。


そんなこんなで、いよいよエゾノー祭当日。
あまりにもいろいろな役を背負い込んだ八軒は・・・!!
そして今巻のラストページは、ドッキリですよ。
こ、これで終わり?!
非常に続きが気になってしまうのです。
ここまでは既刊のものを一気読みしてきたわけですが、
次の巻からは発売を待たねばなりません。
ひゃー、待ち遠しい。


「銀の匙 6」荒川弘 小学館 少年サンデーコミックス

満足度★★★★★

ルート・アイリッシュ

2013年03月18日 | 映画(ら行)
たまたま運が悪かった?



            * * * * * * * * *


イラク戦争に於いて、バグダッド空港と市内の米軍管理地域「グリーン・ゾーン」を結ぶ12㎞の道路は
「ルート・アイリッシュ」と呼ばれ、世界一危険な道路と言われていました。
米軍の要人を狙うテロリストにとって、第一目標となる地点であったためです。
イギリスの民間警備兵であるファーガスは、
兄弟同様に育った親友のフランキーをそのルート・アイリッシュで亡くします。
彼は当局が発表した「たまたま運が悪かった」というフランキーの死因に納得できず、真相を探ろうとします。



この作品で浮かび上がる、“軍隊”ではなく“民間の軍事企業”というもの。
これは当然のことながら、国の利害ではなく経済性のみを目的としているわけです。
イラク戦争が「戦争の民営化」とも呼ばれる所以です。
つまりは戦争を食い物にしている。
ただでさえ、戦争にはそういう側面がつきものですが、
ここではそれが前面に出てしまっているのが、余計救いようがない。
なんとも醜くてやるせないですね・・・。



ファーガス自身もPTSDでアルコール漬けになっていたのです。
つまらぬことでケンカがおこり、留置所に入れられていたとき、
フランキーからの電話が何度も何度もケータイに入っていたのでした。
何か助けを求めていたのかもしれない。
しかしそれに応えることができなかった自分にたまらなく罪悪感を持っているのです。
そもそもイラクに彼を呼び寄せたのも自分自身。
ファーガスは帰らぬ親友を思い、
また罪悪感のあまり、次第に復讐の狂気にとりつかれていきます。
決して正義の戦士というわけでもないところが、
やはりこの戦争のやるせなさをかき立てているのです。



どんな時にも忘れたくないのは、現地の人々。
非戦闘員であり、普通の生活を続けている人々のこと。
少年時代に夢を語り合ったファーガスとフランキーが、
共にこれらの人々を大切にしたいと思う気持ちは、
救いようがない中でも、ほのかに光っていました。

 

ルート・アイリッシュ [DVD]
マーク・ウォーマック,アンドレア・ロウ,ジョン・ビショップ,ジェフ・ベル,ジャック・フォーチュン
角川書店



「ルート・アイリッシュ」

2010年/イギリス・フランス・ベルギー・イタリア・スペイン/109分
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラバーティ
出演:マーク・ウォーマック、アンドレア・ロウ、ジョン・ビショップ、ジェフ・ベル、タリブ・ラスール

真実の切り取り度 ★★★★★
満足度★★★★☆

ストロベリーナイト(TVスペシャル版)

2013年03月17日 | 西島秀俊
現代のオスカルとアンドレ?

            * * * * * * * * *

えーとこれは、今公開されている映画のほうではなくて、
2010年に、テレビのスペシャル版で放映された作品なんだね。
そう、TVの連続ドラマになる以前なんで、
世間には初お目見えの、ストロベリーナイトということになります。
そう、もちろん西島秀俊さん目的ですが、なにしろTV連続ドラマも見ていなかったでしょ。
だからまあ、まず、予習みたいな感じで見てみました。
主人公姫川玲子(竹内結子)は、警視庁捜査一課の警部補。
持ち前の感の良さで、猟奇殺人事件に挑むのですね。
で、彼女の信頼を得て、補佐をする部下菊田というのが西島秀俊さんの役どころ。
控えめで地味な役どころながら、いつもいると安心感がある、ナイスな位置を占めているのです。


本作はまず、ビニールシートに包まれた男の惨殺死体が発見されたところから。
それは結構人通りも多い場所で発見された。
何処かから運んできてここに置かれたようなのだけれど、
なんでわざわざこんな場所に置き去りになったのか・・・。
そしてまた死体は死後に腹部を切り裂かれていたのだけれど、それはなぜなのか。
そんな謎の発端から、するすると姫川の推理が動き出す。
まずは仕事のできる美人警部補をアピール。
竹内結子さん、カッコイイですもんね。大好きです。
事件は次第に常軌を逸した猟奇殺人の様相を呈してきます。
そして、意外な犯人像。
ははあ・・・。ミステリで、しかも猟奇殺人で・・・、
元々嫌いじゃない系のドラマだったんじゃありませんか。
そういうことでした。
今作で強烈なのはガンテツこと勝俣(武田鉄矢)。
姫川の天敵ということになっていますが、
事あるごとに姫川に辛くあたり、嫌味を言って、捜査を邪魔する。
女だてらにここまで出世した姫川に、敵意丸出しという感じなんだね。
ほんと、感じ悪い、いやーなオヤジ。
金八先生のイメージからは程遠いけど、その存在感はやっぱりさすがだよねえ。
で、最後だけちょっとかっこよかったりするので。
ずるいぞ、武田鉄矢!


さて、それで要するにこれは、「ベルサイユのばら」のオスカルとアンドレだね。
な、何ですか突然。
いや、姫川と菊田の関係がね。
ほほう、姫川がオスカルで、菊田がアンドレですね。
姫川は直情的でまっすぐで、勇気があって実際強い。
けれどもやっぱり女だからさ、陰ながら彼女を見守って助ける男がいるわけですよ。
もちろん、ほのかな思いは胸に秘めて・・・。
いや~、ほんと大好きなシチュエーションなのだわ!
こりゃやめられないわけです。
なんでTVドラマ見なかったのかと、悔やまれますね。
レンタルで見ることにしますか・・・。
このドラマをはじめから見ていれば、西島秀俊萌え~にもっと早くに陥っていたに違いない。

ストロベリーナイト DVD
誉田哲也,龍居由佳里
ポニーキャニオン


ストロベリーナイト Blu-ray
誉田哲也,龍居由佳里
ポニーキャニオン


「ストロベリーナイト(TVスペシャル版)」
2010年/日本/120分
脚本:龍居由佳里
原作:誉田哲也
出演:竹内結子、西島秀俊、桐谷健太、宇梶剛士、林遣都、武田鉄矢
人物関係★★★★★
意外性★★★★☆
満足度★★★★★

「銀の匙 5」 荒川弘

2013年03月16日 | コミックス
俺一人じゃ飛べないから、マロンよろしく頼む・・・

銀の匙 Silver Spoon 5 (少年サンデーコミックス)
荒川 弘
小学館


            * * * * * * * * *

前巻の時に書き忘れましたが、
八軒は馬術部の副部長ということになったのでした。
まあ、面倒な役を押し付けられたといえばそれまでですが、
これまでの八軒の頑張りが認められたということでもあります。


さて、今回また校地内のゴミ拾いで、八軒はまた変なものを拾ってしまいます。
それは子犬(可愛い!)
「飼い主探さなきゃ―」と、当たり前のように
さっそく責任をとる気になっている八軒に
周りの友人達は「サラッと面倒事背負い込んだな・・・」と呆れ顔。
まあ、いつものことです。
しかし案外簡単に、この学校で飼ってもいいというお許しを得まして、
ついた名前が「副部長」。
まあ、豚丼とかベーコンとかじゃなくてよかったじゃないですか、ね。


馬術部では新人戦へ向けての練習が始まります。
八軒は初めて馬で障害を飛び越えようとするのですが、
馬がなんともいうことを聞きません。
八軒の組んでいる馬はマロン号という白馬。
しかしこれが目付きの悪いブサイクな馬・・・
というのもユーモラスなんですけど、
実は非常に人の気持ちを読んでしまう百戦錬磨(?)の馬なのであります。
八軒が跳ぼう、跳ぼうと焦りまくれば余計に跳ばない。
焦り、落ち込む八軒に、温厚な御影さんが珍しく怒鳴る。

「一人じゃできない競技なんだから、馬のことも考えなきゃダメっしょ!!」

馬術は人が100%馬を操るのではなくて、
馬自身に頼るところも大きいということなんですね。
御影さんに近所の馬術大会に連れて行ってもらい、
そういうことに気づいていくのです。
そして
「俺一人じゃ飛べないから、マロンよろしく頼む・・・」
と言う八軒のつぶやきにマロンは・・・!


一つ課題を果たした八軒は、
次に学校祭の準備に追われることになりますが、
例によって、なんでも頼まれると断れない八軒は、いくつも仕事を引き受けてしまいます。
こんなになんでも背負いこんで、大丈夫なのかな・・・?
不安を残し、次巻へ!

「銀の匙 5」荒川弘 小学館 少年サンデーコミックス

満足度★★★★☆

ハンガーゲーム

2013年03月15日 | 映画(は行)
殺人ゲームではありますが・・・



           * * * * * * * * *

これは公開時かなりの話題作でしたが、
「バトル・ロワイヤル」同様の殺人ゲームということで、
見に行く気がしなかったものです。
このたびレンタルが開始されたので、見てみたわけですが、
なるほど・・・。
人気があったわけはよくわかりました。



文明が崩壊した近未来。
僅かな富裕層だけが住む都市キャピタル。
かつて自分達に反旗を翻した12の地区から代表を選び
殺人ゲームをさせるというのが、例年の恒例行事となっているのです。
そのゲームはTV生中継され、最後まで生き延びた一人には莫大な賞金が与えられます。
勝ち残るにはもちろんそれなりの体力と武力が必要ですが、
視聴者に人気を得て、スポンサーが付けば有利な武器や薬などのアイテムが手に入るなど、
演技力・知力も必要なのです。
現代のマスコミへの痛烈な皮肉でもありますね。
ヒロインのカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、
12地区でくじで選ばれてしまった妹の身代わりに立候補しました。

同じ12地区からはもう一人、あまり頼りになりそうもないピータが出場します。
バトル開始までが丁寧に描かれているので、その世界観がよくわかりますし、
私たちの緊張も主人公とともに次第に高まっていくのがわかります。
なんて無意味で馬鹿馬鹿しいゲームなのか。
それはわかっていながらも従わなければならない理不尽な社会。
カットニスの真の敵は他の23人ではなく、
その社会の仕組みそのものなのですが、
本作ではまだそこまでの進展はありません。
単に戦うだけの物語ではなく、助けあい協力しあう部分の気持ちの良さ、
そしてカットニスとピートの気持ちの変化、恋の行方。
そういうところもとても興味深く、
女子が見ても楽しめる作品なのです。
思ったよりも血みどろの生臭いシーンは少ない。
弓を操るヒロイン像もカッコイイですし。



ともあれ、近未来と言いつつ、今の社会を非常にうまくデフォルメしてあります。
カットニスはこんなあどけない顔をしていながらも、
紛れもなく肉食女子ですよね・・・。
そしてピータは草食系。
日本だけじゃなくて、どこもそうなのかしらん?
ピータ役ジュシュ・ハッチャーソンは絶対どこかで見た、と思ったら、
「テラビシアにかける橋」や、「キッズ・オールライト」に出ていました。
「テラビシアにかける橋」のあのステキな少年!!
子役の子の成長を見ることができるのも、
映画の楽しみの一つですね。



さて、いかにも“つづく”的な終わり方でしたので、シリーズとなるのでしょう。
この次は劇場で見てしまうかも。

ハンガー・ゲーム [DVD]
ジェニファー・ローレンス,ジョシュ・ハッチャーソン,リアム・ヘムズワース,ウディ・ハレルソン,レニー・クラヴィッツ
角川書店


「ハンガーゲーム」
2012年/アメリカ/143分
監督:ゲイリー・ロス
原作:スーザン・コリンズ
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウッディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス

緊張感★★★★☆
肉食女子度★★★★★
満足度★★★★☆

フライト

2013年03月14日 | 映画(は行)
すばらしい判断力と技術を持ったパイロットが、実は・・・



            * * * * * * * * *

フロリダ州オーランド発アトランタ行き旅客機。
この飛行中に原因不明のトラブルで、機体が急降下を始めます。
機長ウィトカー(デンゼル・ワシントン)は、とっさの判断で背面飛行、
そして奇跡的な緊急着陸を成功させ、多くの人命を救いました。
一躍英雄となるのですが、彼の血液中からアルコールが検出されるのです…。



と、まあ、ここまではTVの予告編でも流しているので、ネタばらしにはなりますまい。
背面飛行、宙返りではなくて、かなり長い間本当に逆さまのまま飛んでいたので、
これは乗客は怖いですよね・・・。
宙吊りです。
しっかりベルトをしていないと落っこちます。
と言うか、本当にあのベルトだけで落ちないのだろうか・・・?
いやいやそんなことは問題ではないのでした。



私は、始めに予告編を見た時にこれは、もしや何かの陰謀とか、間違いとか・・・、
濡れ衣の話かと思っていたのです。
しか~し、検査は正しかったのですよ。
ウィトカーは完全にアルコール依存症でした。
そのための判断ミスで事故が起きたわけではありませんが、
多くの人命を預かる機長がアル中では、やはりまずいです。


すばらしい判断力と技術を持ったパイロットが、
実はどうしてもお酒を断ち切ることができない弱い人間であった。
・・・今作はこういう人間の二面性の物語なのです。
彼は自らの飲酒のことを隠そうと、関係者に偽証を頼んだりします。
奥さんからは見放され離婚していて、
息子にも相手にされません。
要するにダメ男です。
はてさて、それで結局本作の行き着くところは・・・?と
次第に不安になってくるのです。
ハッピーエンドはあり得ないし・・・。



ところが、最後の最後に大逆転。
何がどう逆転するのかは、やっぱりご自分で確かめて頂きたい。
思いもよらない感動が待っています。
ダメ男が見せる、最期の正義とでもいいましょうか・・・。
一人の人間でもいろいろな側面を持っている。
どんなダメな奴でも、絶対に崩せない一つの芯のようなものがあって・・・
だから人間っていいな。
そう思うんですよ。
名機長ウィトカーが、期待を裏切り墜落寸前。
しかし見事なアクロバット飛行で軟着陸。
今作は旅客機の件こそが象徴で
実はウィトカーの内面の物語だったように思います。



「フライト」
2012年/アメリカ/138分
監督:ロバート・ゼメキス
出演:デンゼル・ワシントン、ドン・チードル、ケリー・ライリー、ジョン・グッドマン、ブルース・グリーンウッド
ダメ男度★★★★☆
予測不能度★★★★★
満足度★★★★☆