映画と本の『たんぽぽ館』

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The Son 息子

2024年04月06日 | 映画(さ行)

父と息子

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フロリアン・ゼレール監督の戯曲「Le Fils 息子」が原作です。

妻と、まだ生まれて間もない息子とともに、充実した日々を送る弁護士・ピーター(ヒュー・ジャックマン)
ある日、前妻ケイトから彼女の元で暮らす17歳の息子・ニコラス(ゼン・マクグラス)の
様子がおかしいと相談を受けます。
ニコラスは心に闇を抱え、学校にも行けず、絶望の淵にいます。
そして、ピーターの元に引っ越したいと懇願します。
ピーターは妻を説き伏せ、息子を受け入れて一緒に暮らし始めますが、
親子の距離はなかなか埋まらず・・・。

ガッツリと父と息子の確執を描く物語。
ここで父と息子というのはもちろんピーターとニコラスのこと。
ニコラスは、母と自分を捨てて、新たな恋人と結婚し子どもまでなしてしまった父に
複雑な感情を抱いているのです。
大好きで敬愛する父親。
だけれども、自分は捨てられてしまった・・・。
そのことが彼の中でいつまでも大きく心を占めているのでしょう。


そしてまた、ピーターは自分自身の父親・アンソニー(アンソニー・ホプキンス)との関係に
いまだに緊張感を覚えているのです。
ピーターが子どもの頃の父は、仕事に忙しくいつも不在。
そして威圧感が大きい。
そんなことで、つい疎遠になっています。

こうしたことが、自分がうまく父としてニコラスと関係を結べない
要因なのではないかとも思えてしまう・・・。

でも、ピーターも頑張ったと思うのですよ。
17歳というただでさえ不安定な年頃の疎遠だった息子を引き取り、
極力会話を持とうと努めた・・・。
学校へはなんとしても行かなければダメだと、
いささか言うことが独善的ではありましたが・・・。
ニコラスの暗い淵に沈んだ心はなかなか浮上しない・・・。

 

では一体ピーターはどうすれば良かったのか。
答えはありませんが、その都度1人1人が互いにまっすぐ向き合って
考えていくほかないのでしょう・・・。

輝くような笑顔を見せる幼かったニコラスの記憶が切ないですね・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「The Son 息子」

2022年/イギリス/123分

監督・原作・脚本:フロリアン・ゼレール

出演:ヒュー・ジャクマン、ローラ・ダーン、バネッサ・カービー、ゼン・マクグラス、アンソニー・ホプキンス

 

父子確執度★★★★☆

満足度★★★★☆