映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

砕け散るところを見せてあげる

2021年11月29日 | 映画(か行)

ヒーローになろう

* * * * * * * * * * * *

濱田清澄(中川大志)は、ごく平凡な高校3年。
あるとき、いじめを受けている1年女子・蔵本玻璃(石井杏奈)のことを知ります。
持ち前の正義感から、彼は玻璃に救いの手を差し伸べ、
玻璃も次第に濱田に心を開くようになります。
ところが玻璃はいじめを受けることとは別の、もう一つの苦悩を抱えていたのです・・・。

玻璃は言います。「私はUFOに狙われている」と。
濱田は、この子はやっぱりちょっとおかしい?とも思ったのですが、
そうではなく、何か口にしがたいイヤなこと、恐ろしいことを
UFOに例えて言っているのだと理解します。
それで、彼は言う。
「僕がヒーローになって、UFOなんか打ち落としてやる」と。

大抵はいじめを受けている人がいれば、そんなことは良くないと思います。
気の毒だとも思います。
でもそう思ってはいても、「そんなことは止めろ」と言ったり、
いじめられている人をかばったりなどは、なかなか出来るものではありません。

正義感を持って、それをそのまま口にして実行出来るというのは、
ある意味才能のようなものかも知れません。
実際には力が強くなんかなくても、
彼にとっては勇気を振り絞ってそうするのではなく、
ごく当たり前のことなんですよね。
まさにこれぞヒーローではありませんか!!

さてしかし、本作単に青春物語だと思ってみていたら、
思わぬサスペンスに変わっていきます。
UFOは思いの他の強敵で、実際にヒーローは命がけでなければならなかった・・・。

 

冒頭、北村匠海さんが登場して、
「自分が生まれる直前に、父親が川に落ちたワゴン車から人を救出して亡くなった」
と言います。
父はヒーローだった、と。

ところが、その後主人公は中川大志さんとなって、
北村匠海さんは姿を現しません。
(ちょっと残念)。
果たして、この北村匠海さんは誰なのか?

まあ、そんなところを楽しみに見ていくのも良いでしょう。

クラスの中に1人や2人ヒーローになれる人はいるのではないかな?
そうだといいのですけれど・・・。
しかしこの学校は、いじめは全く見てみないふりなんだな。
ヤバすぎ。

 

<Amazon prime videoにて>

「砕け散るところを見せてあげる」

2020年/日本/127分

監督・脚本:SABU

原作:竹宮ゆゆこ

出演:中川大志、石井杏奈、井之脇海、清原果耶、松井愛莉、北村匠海、堤真一

 

ヒーロー度★★★★★

満足度★★★★☆

 

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ウエスト・サイド物語

2021年11月28日 | 映画(あ行)

スラム街の純愛

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いかにも今さらという感じなのですが、
今まで当ブログの記事にはしていなかったし、
何よりも近日、スピルバーグ版の「ウエスト・サイド・ストーリー」が公開されるということで、
予習のつもりでみてみました。
ちゃんと見るのもずいぶん久しぶり。

 

本作は、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を下敷きとした
大ヒットブロードウェイ・ミュージカルの映画化であります。
1961年作品。

ニューヨークはマンハッタンのスラム街。
そこに住む若者たちの中で、イタリア系のジェット団と
プエルトリコ系のシャーク団が勢力を争っていました。
あるダンスパーティーで、ジェット団のリーダー・リフの兄貴分であるトニーと、
シャーク団のリーダー・ベルナルドの妹マリアが出会います。
2人は互いに一目で恋に落ちてしまう。
けれどこれは互いに敵同士という立場の禁断の恋。

そんなことはお構いなしに両チーム決着をつけようと、決闘が行われることになります。
争いごとの嫌いなマリアは、
この喧嘩を止めるようにとトニーに頼みますが・・・。

おなじみの名曲とキレのあるダンス。
60年も前の作品とは思えない、
今もみずみずしい感動を呼び起こす名作でありますね。
これを果たしてスピルバーグ監督がどのように料理するのか。
楽しみです!!

さてそれにしても、アメリカにおける移民への差別。
60年を経た今もほとんど状況が変わっていないというのには残念な気がしてしまいます。
にもかかわらず、アメリカでは何らかの夢を実現できるかも知れない、
という希望だけは今もある。
今やそれはもう本当に「夢」でしかないような気もするのですが・・・。

 

<WOWOW視聴にて>

「ウエスト・サイド物語」

1961年/アメリカ/152分

監督:ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス

原作:ジェローム・ロビンス、アーサー・ローレンツ

出演:ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ラス・タンブリン、
   リタ・モレノ、ジョージ・チャキリス

 

ミュージカルのワクワク度★★★★★

満足度★★★★.5

 

コメント (1)
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フォーリング 50年間の想い出

2021年11月27日 | 映画(は行)

全く受け入れ難かった父と

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ビゴ・モーテンセンの自身の親子関係を反映させた半自伝的脚本を用い、
自身で初監督を務めた作品。

 

航空機のパイロットであるジョン(ビゴ・モーテンセン)は、
同性パートナーのエリック(テリー・チェン)と、
養女モニカと3人でロサンゼルスに暮しています。

そこへ田舎で農場を経営するジョンの父親がやって来ます。
父ウィリス(ランス・ヘンリクセン)は認知症となり、農場経営も一人暮らしも辛くなったため、
引退後に住む家を探すためにやって来たのです。

思春期の頃から父との間に心のミゾがあったジョン。
認知症で過去や現在の出来事が混濁する父と向き合ううちに、
父子の50年間の記憶が蘇るのでした・・・。

ウィリスは典型的な保守的な父親なのです。
強権的で、母の言うことに耳を傾けようとしない。
どこでもタバコを吸い、言うことが下品で口汚い。
ジョンは幼かった頃をのぞいては、いつも父が嫌いでした。

そんな父は年をとるとさらに頑固になり、
おまけに認知症でほとんど手がつけられない感じ。
男性同士で結婚している息子を、未だに受け入れがたく思っていることを隠そうともしない。
でも、認知症だからということで、ジョンは父親の言動にはかなり我慢をして
冷静に対応しようと努めています。
しかし、あまりにもひどく言われてしまい、
ついに堪忍袋の緒が切れて爆発してしまうシーは、なかなか圧巻でした。

けれど、50年間の父との出来事を少しずつ思い出すジョン。
当時は何もかもイヤだった父の言動に、
なんだか納得できる部分もあるように思えてくるのですね。
自分も大人になり家庭を持つ今、その時父がどう思っていたのか、
妻や後妻と別れ、自分や妹とも滅多に会わなくなった
最近の父の心境などを想像することはそう難しいことではない。

親子の情というのは実にやっかいなものだけれど、
それでもいつしか寄り添ってしまう、それが親子というものなのかもしれません。

ジョンの子どもの頃の役を務めた少年たちのアゴが
ちゃんと二つに割れていたのは、あっぱれ!

 

<サツゲキにて>

「フォーリング 50年間の想い出」

2020年/カナダ・イギリス/112分

監督・脚本:ビゴ・モーテンセン

出演:ランス・ヘンリクセン、ビゴ・モーテンセン、テリー・チェン、
   スベリル・グドナソン、ローラ・リニー、ハンナ・グロス

 

親子愛度★★★☆☆

いけ好かないオヤジ度★★★★★

満足度★★★.5

 

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「いつかの岸辺に跳ねていく」加納朋子

2021年11月26日 | 本(その他)

ストーリーの表と裏

 

 

* * * * * * * * * * * *

俺の幼馴染・徹子は変わり者だ。
道ばたで突然見知らぬ人に抱きついたり、
俺が交通事故で入院した時、事故とは全く関係ないのに、なぜか枕元で泣いて謝ったり。
合格間違いなしの志望校に落ちても、ケロッとしている。
徹子は何かを隠してる。
俺は彼女の秘密を探ろうとするが……。
互いを思いやる二人の物語が重なった時、温かな真実が明らかになる。

* * * * * * * * * * * *

このストーリー、主人公は平石徹子と言うべきなのでしょう。
どこか変わっている女の子。
でも本作は2部構成になっていまして、
始めの「フラット」は彼女の幼なじみ、森野護(まもる)が語り手となっています。

2人は家が近所で、幼稚園から中学校までが一緒という幼なじみ。
護くんは「始めからことわっておくけれど、これは愛とか恋とか、
好きだとか惚れたとか言う話では全然ない」と言っています。

まあ、それは聞き流すくらいにしておいて、
護から見たちょっと変だけど、実はとてもイカす女の子、
徹子の様々なエピソードが語られて行きます。

 

護は体は大きくて、高校・大学と柔道部の猛者。
そして気持ちは優しく、なんとも頼りがいのある男子なのであります。
すっかりファンになってしまいます。
そして、始めに豪語したはずなのに、実はやっぱり護は徹子のことを思っていて、
なんだかいい感じになるのかも・・・?と思った矢先、
突然徹子が連絡を絶って、
「結婚するらしい」ということをウワサで聞くことになるのです。

 

え~、なんで~と思ったら第一章はそこで突然途切れて、
2部「レリーフ」では今度は徹子が語り手となります。
同じ出来事を男女が自分目線で別々に語る。
まあ、そういう小説は他にもありますよね。
しかしここで驚くのは、この徹子の事情です。
彼女はある重大な秘密を抱えていた!

前半まではごく普通の青春ストーリーと見えていたのですが、
さすが加納朋子さんのストーリー、そう一筋縄ではなかった。
SF的というかファンタジー的というか、
まあ、リアルな生活の物語からは外れてしまうわけですが、そこがまた面白い所なのです。

 

一体どうして、徹子が別の男と結婚しようと思うようになったのか、
そのナゾに向かってまっしぐらにストーリーは駆け抜けていきます。

裏と表のストーリー。
ともかく楽しめました。

 

「いつかの岸辺に跳ねていく」加納朋子 幻冬舎文庫

満足度★★★★.5

 

 

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甘いお酒でうがい

2021年11月24日 | 映画(あ行)

40代独身女子の日常

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お笑いコンビ「シソンヌ」のじろうが長年コントで演じてきたキャラクター、
中年のOL川嶋佳子を主人公として描いた、じろうによる小説の映画化です。

とある会社で派遣社員として働く40代独身の川嶋佳子(松雪泰子)。
その日常や悲哀を日記風に描いていきます。
会社の同僚、年下の若林ちゃん(黒木華)との交流、
二回り年下の岡本くん(清水尋也)との恋。
ちょっと淋しくて心許なくて、でも少しほっこり。

こんな40代ならまだまだ恋愛もアリだと思いますが、
佳子さんはそれほど積極的というわけではありません。
でも、そこをフォローするのが若林ちゃんで、
なぜか彼女は佳子さんの人生全般の応援団なんですね。



そしてまた、年上の女性が好みらしい、岡本くんもイケメン!!

現実には、40代独身女性にこんなに優しい環境って、なかなかないことであるのかもしれない・・・。
でも、いいですよね。

なんだか優しい気持ちになれる、こんな物語もOKです。

甘いお酒でうがい、というのは何かのたとえかと思っていましたが、
佳子さんは本当に日課のようにそれをするのです。
コロコロとお酒でうがいをした後、そのままゴックン。
喉のアルコール消毒・・・?

<WOWOW視聴にて>

2019年/日本/107分

監督:大九明子

原作:川嶋佳子(シソンヌじろう)

脚本:じろう

出演:松雪泰子、黒木華、清水尋也、古舘寬治、前野朋哉、渡辺大知

 

ほっこり度★★★★☆

満足度★★★.5

 

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