映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

家族にサルーテ! イスキア島は大騒動

2019年08月16日 | 映画(か行)

人数多すぎ・・・

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イタリアのイスキア島。
金婚式を迎えたピエトロ・アルバ夫妻を祝うため、親戚一同19人が集まりました。
ファミリーのにぎやかで楽しい食事会で散会となるはずのところでしたが、
嵐のためフェリーが欠航。
家族たちは2晩を同じ屋根の下で過ごすことに・・・。
一見幸せそうで和やかにしていた家族たち。
しかし、浮気や借金、認知症の介護・・・様々な問題が明らかになっていきます。
そしてついには、それぞれに抑えていたものがパンク!!

私、この映画は選択を間違えたと思います。
登場人物が多すぎて誰が誰やらわからなくなってしまう。
こういうの、苦手なのです。
子どもたちもいるので、区別すべき人物は19人までにはならないのですけれど・・・。
えーと、これは誰だったっけ・・・?などとシーンが変わるたびに考えてしまい、
それがストレスになって、うまく作品に入り込めません。



結局、日常どんな家族もなんの問題もなく「幸福」に暮らしているわけではない・・・。
たとえ親族一同であっても、そんな内心をかんたんに話したりはしないのだけれど、
長く一緒にいるとなれば話は別。
おのずからそれぞれの状況は浮かび上がってきてしまいます。
それぞれ日常生活を離れたところで余計に耐えきれず爆発。
つまりはそれがガス抜きになってまた皆平常の生活へ戻ってゆく・・・と、
結局そういう話なのだと思います。
人の区別はつかなくてもそれがわかればいいか・・・。



それにしても、イタリア人の感情表現のオーバーなことと
恋多きことは、日本人にはついていき難い・・・。
イタリアではかなりのヒット作らしいのですが、
私には苦手感のつきまとう作品・・・。

<シアターキノにて>
「家族にサルーテ! イスキア島は大騒動」
2018年/イタリア/107分
監督・脚本:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ステファノ・アルコシ、カロリーナ・クレシエンティーニ、エレナ・クッチ、ピエルフランチェスコ・ファビーノ、クラウディア・ジェリーニ

大騒動度★★★★☆
満足度★★.5

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「ポーの一族 ユニコーン」萩尾望都 

2019年08月15日 | コミックス

構成力!!

ポーの一族 ユニコーン (1) (フラワーコミックススペシャル)
萩尾 望都
小学館

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旧作のラストに直結する新エピソード開幕!

40年ぶりの新作発表で話題となった『ポーの一族 春の夢』の続刊。
旧作のラストエピソード「エディス」で炎にのまれたアランとその後のエドガー
そしてバンパネラ一族の運命が紡がれる衝撃の新エピソードです。

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40年ぶりに新作が発表された「ポーの一族」。
その2冊めが出ました。
しかし、おどろくではありませんか、この冒頭、2016年。
私、前巻「ポーの一族 春の夢」のブログ記事で、
今「現在」に生きるエドガーを見たい、などと書いていたのですが、
まさに、そのとおりとなりました。


実は40年前、この物語のラストエピソードというのは、当時の「現在」が舞台で、
エドガーとアランが炎に包まれる、というところで終わるものだったのです。
本作はそこから直につながる物語。
この40年間、エドガーはどうしていたのか、あのときどのようにして助かったのか、
その事がわかります。
・・・つまり、あるところでひたすら眠っていた・・・というより
死んでいたと言ったほうがいいのかも。
アランの遺骸を胸に抱きしめたまま・・・。


考えてみたらその40年間というのは、ちょうど私が就職してから退職するまでの期間。
若くハツラツとしていたはずの乙女も、すっかりおばちゃんとなってしまいました。
しかし、エドガーは変わらないのです。
永久を生きるもの・・・。
うーん、実感しますねえ。


さて、でも新シリーズのはじめになぜこのことが語られなかったのか。
「春の夢」は第二次世界大戦下の物語だったのですよね。
しかしそこでファルカが登場し、エドガーが「テレポーション」能力を取得することが、
本作には必要だったわけなのです。
本作に必要な登場人物やシチュエーションを語ることと合わせて。
うーむ。
何という構成力。
さすがとしか言えません。


「現在」に目覚めたエドガーですが、本作で主に語られるのは1958年、
「春の夢」につながるストーリーです。
永久を生きる様々な者たちそれぞれに焦点を合わせれば、
物語はどんどん裾野を広げていく。
この先が楽しみです。
とりあえずアランは復活するのや否や。
それについてはまだまだ先のことになりそうですね。


今年は萩尾望都さんデビュー50周年。
札幌にも「ポーの一族展」来ないかな・・・。

「ポーの一族 ユニコーン」萩尾望都 小学館
満足度★★★★☆

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陪審員

2019年08月14日 | 映画(は行)

無理難題に挑む「母」

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11歳の息子と暮らしているシングルマザー・アニー(デミ・ムーア)は、
裁判の陪審員を務めることになりました。
彼女が関わる裁判は、マフィアのドンと孫の少年の殺害事件で、
被告人はファミリーのボス、ボファーノ。
一般的な進み方なら、有罪は間違いないというところ。
ところが、ボファーノの配下でティーチャー(アレック・ボールドウィン)と呼ばれる殺し屋が
アニーに接近し、陪審で「無罪」に入れなければ、息子に危害を加えると脅すのです。
アニーの生活は常にティーチャーに監視されるようになり、
これは単に脅しだけではない、と実感するアニー。
やむなく陪審員の話し合いでは「無罪」を主張し、他のメンバーにいぶかしがられるアニーでしたが、
ティーチャーは更に要求をエスカレートさせ、
「無罪判決」を勝ち取るようにと言うのです・・・。

 

陪審員の出す結論は全員一致でなければならないのですね。
だからとにかくアニーが一人でも無罪を主張し続ければ、結論は出せない。
しかしそこをあえて全員に「無罪」を納得させよというのですから、これはめちゃくちゃです。
ところが、アニーは人並み以上に頭がよく、人を納得させることに長けている。
(本当は芸術家なんですけどね・・・。)
本心ではマフィアのボスなど死刑にしてしまえ、くらいに思っているのですが、
巧みに、「マフィアといえども確とした証拠なしに有罪にはできない」と、
皆の気持ちを動かすのです。
息子の命がかかっているので背に腹は変えられません。


さて一方、このティーチャーという殺し屋が、ちょっとした性格異常。
若きアレック・ボールドウィンです。
一見温和そうに見えるこの男。
勝手にアニーの知性や強い意志に親愛の情を見せつけつつ、
実は微笑んだままでも人を殺すタイプ。
うわー、ヤダ!!
こんな男を、どのように出し抜くかが、アニーの腕の見せ所です。


あ、アニーの息子、11歳少年はジョセフ・ゴードン=レビット。
笑っちゃうくらい、顔は今と同じ。
90年代の映画、私はその頃殆ど見ていなくて、これは宝の山かもしれません。
20年以上前の今活躍する俳優さんたちを見るのも楽しい!!


<WOWOW視聴にて>
「陪審員」
1996年/アメリカ
監督:テッド・タリー
出演:デミ・ムーア、アレック・ボールドウィン、ジョセフ・ゴードン=レビット、アン・ヘッシュ、ジェームズ・ガンドルフィー
サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆

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ライオン・キング

2019年08月13日 | 映画(ら行)

面白くないわけがない!

 

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今更ストーリーは説明無用のような気もしますが・・・。
でもそういえば私、「ライオン・キング」は劇団四季のミュージカルを見ただけで、
肝心のディズニー・アニメの方を見ていないのです。
これでは「ライオン・キング」ファンとは言い難いですけれど・・・。

アフリカのサバンナ。
動物たちの王、ライオンの王ムファサに男児シンバが誕生。
シンバは皆に祝福され、自身もいつか父のように立派な王になることを夢見ています。
ところが、王位を狙う叔父スカーの策略により、
父王の命は奪われ、シンバもサバンナを追われてしまいます。
そんなシンバがたどり着いたのは緑豊かなジャングル。
イボイノシシのプンバァ、ミーアキャットのティモンと出会い、
穏やかな暮らしを始めて時が過ぎます・・・。
そんな頃、スカーの支配するサバンナは
配下のハイエナ達のために荒れ果てており・・・。

冒頭、「サークル・オブ・ライフ」の曲とともに、サバンナの広大な風景が映し出されます。
象やキリン、ミーアキャットの群れ、サバンナの植物、鳥や虫たち。
豊かな自然の情景に心打たれ、知らず、涙が溢れてしまいました。
こんなところで泣く人は他にいないかもしれないのですけれど・・・。
(そういえば、ミュージカルの冒頭でも私は泣いてたなあ・・・。)



そんなサバンナを丘の岩の上から見渡す雄々しいライオン。
なんとも威厳がありますねえ、ムサファ。

そして子ライオンのシンバがもう、かっわいい~♡♡ 
スリスリしたい~♡♡
何しろ王とその息子。王位を狙う叔父。
王子の苦難。友情と友愛。
成長。勇気。大自然と時の流れ・・・。
物語の要素がてんこ盛り、これで面白くないはずがない。
明らかに人が演じるミュージカルであれ、アニメであれ、
そして本作のようなリアルな動物の形であれ、
とにかく面白いです。



私くらいの年齢だと「少年ケニア」とか「ジャングル大帝」の
TVアニメがアフリカの物語の原型。
「好き」が刷り込まれているのかもしれません。

<シネマフロンティアにて>
「ライオン・キング」(字幕版)
2019年/アメリカ/119分
監督:ジョン・ファブロー
出演(声):ドナルド・グローバー、ビヨンセ、セス・ローゲン、キウェテル・イジョフォー
アフリカ度★★★★★
満足度★★★★★

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「身近な雑草の愉快な生き方」稲垣栄洋

2019年08月12日 | 本(解説)

植物たちの生き残り戦略

身近な雑草の愉快な生きかた(ちくま文庫)
稲垣 栄洋,三上 修
筑摩書房

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「名もなき草」の姿を愛情とユーモアに満ちた視線で観察した植物エッセイ。
本来か弱い生き物であるはずの雑草は、
さまざまな工夫により逆境をプラスに転換して、したたかに生きのびてきた。
彼らの個性的な暮らしぶりを知れば知るほど、
その人間くさい仕振りに驚愕し、共感する。
全50種の雑草に付けられた繊細なペン画イラストも魅力。

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野山の草花が好きな私、この本にも興味を持って開いてみました。
50種類の草花が取り上げられています。
これらは「雑草」と呼ばれ、実際は私のカメラの被写体にも
なかなかならないものばかりなのですが、
そんな普段気にもとめない草花一つ一つが、
それぞれに生き残るための綿密な戦略が組まれている、
ということで、なんとも驚いてしまう本なのでした。


例えば表紙絵にあるシロツメクサ。
シロツメクサは小さな花が下から順番に咲いていって、
全体としては一つの大きな花が咲き続けているように見える。
こうして花を目立たせて蜜蜂を呼び寄せるのだけれど、
蜜蜂が花の蜜を得るためにはちょっとした力と知恵が必要。
シロツメクサはハードルを高くすることによって、より優れたパートナーを得る。
この蜜を得る秘密を知った蜜蜂は気を良くして、
他の花ではなく、同じシロツメクサを飛び回るので、受粉に有利ということなのですね。
ちなみに、四つ葉のクローバーは、成長点が傷つけられて発生することが多いので、
道端や運動場などよく踏まれるところで見つかりやすいのだとか。
「本当の幸せとは踏まれて育つことをシロツメクサは語りかけている。」
なるほど~。

「オオブタクサ」は大量の花粉をあたりに撒き散らす、ということから、
アニメ「紅の豚」には「飛ばねえ豚はただの豚だ」という名セリフがあるが、
オオブタクサは完全に飛んでいる豚である、と。

「ツユクサ」のところでは、
ツユクサの花の青色と雄しべの黄色のコントラストは
あたかもサッカー日本代表チームの青いユニフォームと黄色い胸のエンブレムを連想させる
として、雄しべのサッカー選手顔負けの連携プレーの解説に入ります。

そして「ホテイアオイ」のところでは、
ホテイアオイは生活排水などの窒素やリンを吸収し、水質浄化の働きがあるというところから
「風の谷のナウシカ」の腐海の植物が大地の毒素を吸収するという連想へ。
ホテイアオイの花の中央部の模様は、ナウシカのまとう伝説の青い衣に描かれた模様に似ている
と、私はそこまで確認できてませんが・・・。

というようなわけで、本作の面白さはもちろん植物たちの生き残り戦略の面白さではありますが、
著者の語り口に負うところも大きいのであります。

「身近な雑草の愉快な生き方」稲垣栄洋 三上修 画 ちくま文庫
満足度★★★★☆

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