映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

龍三と七人の子分たち

2015年11月30日 | 映画(ら行)
時代に取り残されたジイサンたちの暴走



* * * * * * * * * *

元ヤクザの老人たちのストーリー。
龍三(藤竜也)は、元ヤクザですが、
今は足を洗い息子の家族と同居。
しかし、派手な背中の入れ墨や粗暴な振る舞いのため、
厄介者扱いされています。

お金も居場所もない、わびしい生活。
ある日、昔の組の仲間と集まることにします。
しかし集まった7人も、みな気持ちだけは若いつもりだけれど、
今の世の中には取り残されたような面々ばかり。
そんな時、最近この地域で幅をきかせている「京浜連合」とのいざこざが持ち上がります。
「京浜連合」は、元暴走族のメンバーが立ち上げた会社ですが、
ヤクザではないと言いながら、ヤクザと同じことをしている連中。
オレオレ詐欺や、悪徳訪問販売で儲けているのです。
義憤にかられた龍三たちは、世直しをしようと「一龍会」を結成する!



ビートたけしさんがヤクザの親分かと思いきや、
なんと刑事の役だったんですね。
若いころは、さぞかしヤクザの彼らとしのぎを削ったであろうその関係も伺えて、なかなか良いです。
元ヤクザが、いともたやすくオレオレ詐欺に引っかかりそうになるのもおかしい。
私達が昔から映画などで知っているヤクザの世界も、
今は昔となっているようです。



藤竜也さんは、今もカッコイイですが、
近藤正臣さんも飄々としたところがまたいいですねえ。
NHKの朝ドラ「ごちそうさん」で久しぶりにそのお姿を拝見した時には
ちょっと驚きましたが、年令を重ねてからでないとできない役柄というのがありますね。
やはりどうしても「柔道一直線」の時のイメージが強かったのですが、
今となっては欠かせない御老体役、これも役者さんとして幸せなことなのではないかと思います。



時代に取り残されたジイサンたちの暴走、
なかなか楽しめます。

「龍三と七人の子分たち」

2015年/日本/111分
監督・脚本:北野武
出演:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、安田顕、ビートたけし

お達者度★★★★☆
満足度★★★.5

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「生きるぼくら」 原田マハ 

2015年11月29日 | 本(その他)
稲とともに成長する青年の物語

生きるぼくら (徳間文庫)
原田 マハ
徳間書店


* * * * * * * * * *

いじめから、ひきこもりとなった二十四歳の麻生人生。
頼りだった母が突然いなくなった。
残されていたのは、年賀状の束。
その中に一枚だけ記憶にある名前があった。
「もう一度会えますように。私の命が、あるうちに」マーサばあちゃんから? 
人生は四年ぶりに外へ!
祖母のいる蓼科へ向かうと、予想を覆す状況が待っていた―。
人の温もりにふれ、米づくりから、大きく人生が変わっていく。


* * * * * * * * * *

本作の出だしはなかなか悲惨です。
24歳人生(人生)は、ひきこもり。
その原因はいじめ・・・ということで、
またいじめか・・・と私は少しがっかり。
(その訳は・・・→「東京すみっこごはん」)
でもまあ、そこからどうやって立ち上がるのかというのが「ドラマ」になるわけなので、
この題材が多く用いられるのは仕方ないのかなあ・・・などと思いつつ。


ここでは、人生の母がある日突然、
わずかな現金を置いたきり家出(?)をしてしまうのです。
とにかく外へ出なければ食料も買えないし、
何かをして稼がなければ、お金もすぐに尽きてしまう。
やむなく彼は母が残した年賀状の文面を頼りに、
子供の頃よく訪れて楽しかった思い出のある、蓼科の祖母を訪ねてみることにしました。


しかしそこにいたのは、認知症で人生のことを孫と認識できないマーサばあちゃんと、
つぼみという若い女性。
人生はここで3人で共同生活を送ることにします。
マーサばあちゃんは、以前からここで自然農法による米作りをしていたのです。
それは有機農法とか無農薬農法とも違い、そもそも畑起こしもしない。
もともとある稲の力を信じ、
害虫などの駆除は、自然の生態系サイクルに任せるのです。
そして田植えや稲刈り、脱穀なども
機械は一切用いないので、全て人力。
雑草取りも夏の暑い盛りなどは一日も油断できない重労働。
でも村の人達がそれぞれ忙しいのに手伝ってくれます。
マーサばあちゃんの田んぼは、
村の人達が呆れながらも、古来の稲作の文化を残すことに共感を持ってくれている
大切な田んぼなのです。
人生は、認知症のばあちゃんだけど、
いつかばあちゃんが握ってくれた美味しいおにぎりをまた食べるために、
この米作りを引き継ぐことを決意!!


ひきこもりだった人生はそれでもネット上で友人がいて、
人とはつながっていると思っていました。
けれど、実際に共に暮らす"家族"や、彼らを気遣い手伝ってくれる村の人達の中で、
本当の人と人との繋がりを実感していきます。
そんな中で自分は生かされているのだと。
稲とともに成長する青年の物語。
楽しくて、一気読みです。


ただ、あまりにも周りの人々がいい人だし、
お米作りも労力としての大変さは描写がありますが、
実は病害虫とか気候とか、もっと大変なことは山ほどあるはず・・・と思うと、
すべてがうまく行きすぎているという感じを拭いようがありません。
特に、彼らのことを何かと面倒を見てくれる志乃さん、
私も大好きではありますが、あまりにもできた人物過ぎです。
田舎にいるのはいい人ばかり、というのは幻想なのでは。
ちょっとリアリティに欠ける・・・、
つまりこれはファンタジーなのだと思えばいいのかな?
と~ってもいいお話なのだけれど、
素直に浸りきれない私なのでした。

「生きるぼくら」 原田マハ 徳間文庫
満足度★★★.5
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ラスト5イヤーズ

2015年11月28日 | 映画(ら行)
愛の始まりから終焉までを歌い上げる



* * * * * * * * * *

オフ・ブロードウェイ大ヒットミュージカルの映画化です。
女優を目指すキャシー(アナ・ケンドリック)と、
小説家を目指すジェイミー(ジェレミー・ジョーダン)は、恋するふたり。
やがて結婚しますが、次第に気持ちが噛み合わなくなり、ついに破局。
そんな2人の5年間の物語です。



ユニークなのは妻は別れの時から出会いまで、時間をさかのぼっていく。
夫は出会いの時から別れまで順を追って行く。
交互に時を行きつ戻りつしながら
その時の気持ちを歌い上げていきます。
ちょうど中間地点、プロポースの瞬間だけ二人の時間軸が一致。
ここは二人共幸せいっぱいの瞬間であるわけですが、
どこか切なく別れの予感を秘めた部分もあるところがいい。
またこのシーン、二人の表情の変化がとても楽しいので、お見逃しなく。



ジェイミーは小説家として順調に成功を収めていくのですが、
キャシーの方はいつまでたってもぱっとせず、
受けても受けても落ちまくるオーディションに気持ちは沈んでいきます。
いつしか自分自身ではなく、ジェイミーの“妻” でしかなくなっていることに気づく。
一昔前なら女性はこれでも良かったのです。
でも今の女性は、これでは満足できない。
結婚と、人生と・・・。
かつてはイコールだったかもしれないけれど、今は別物。
そういう世の中なのかもしれません。



それから私が気に入ったのは、キャシーのオーディションシーン。
彼女がオーディションを受ける時の本音を歌います。
もちろん設定は審査員の前で規定の曲を歌っているわけですが、
画面ではキャシーの本音。
面白い。
というわけで、最初から最後までこの2人だけの歌なので、
かなりの実力がなければこなせない役です。
堪能しました。

ラスト5イヤーズ [DVD]
アナ・ケンドリック,ジェレミー・ジョーダン
ポニーキャニオン


「ラスト5イヤーズ」

2014年/アメリカ/94分
監督:リチャード・ラグラベネーズ
出演:アナ・ケンドリック、ジェレミー・ジョーダン

ラブロマンス度★★★☆☆
満足度★★★.5
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Re:LIFEリライフ

2015年11月26日 | 映画(ら行)
ワンパターンでも。マンネリでも。



* * * * * * * * * *

かつてアカデミー脚本賞に輝き、
ハリウッドのトップの座を占めた脚本家キース(ヒュー・グラント)。
しかし、その後15年ヒットに恵まれず、妻とも離婚し、わびしい生活。
仕方なく田舎町の大学でシナリオコースの講師を引き受けることになります。
受講生は顔で選び、いきなり勝手に脚本を書くようにと宿題を出して休講。
ま~ったくやる気のないキースでしたが・・・。
しかし、学生たちの映画への真剣な思いにふれるうちに、
彼自身の何かが変わっていきます・・・。



これはもう、ヒュー・グラント出演というだけで、
ある程度の面白さは約束されたようなものです。
ちょっぴりトホホな男が、いろいろな人々とのふれあいの中で、
自分を見つめ直し、自己の再生を図る。
そこそこおかしくて、ホロリとして、じんわり温かい。
ハートフルコメディの王道。
これはもう、そういうお約束だから、安心して楽しめるというか・・・。
いいんです。
偉大なるマンネリでも。
ワンパターンでも。
ラストの予想がついてしまっても。
変に奇をてらったラストだったりしたら怒っちゃいます。
ゆったりと構えて、ヒュー・グラントらしさを感じましょう!!



学生たちもそれぞれ個性たっぷりでよかったですね。
女子は美人ばかりなのに、男子はちょっと残念系
というのがいかにもせこいキースの選択でしたが、
そんな中にもきちんと才能のある者がいたのは奇跡というべきか。
私はもしやキースが自分の作品に偽装でもするのかと
一瞬危ぶんでしまったのですが、そこまでダメなやつではありませんでした。
そこはやはりプロの脚本家なんだな。
いきなり初対面の女学生と関係を持ってしまうのは
いくらなんでもどうなのかとは思いましたが・・・。
しかし、本命は最初の出会いも印象の悪いシングルマザーのホリー(マリサ・トメイ)
というところがミソです。
涙もろい学科長(J・K・シモンズ)もいい味出ていました。

「セッション」みたいに怖い人だったらどうしましょう・・・!!と思いましたが。


「Re:LIFEリライフ」
2014年/アメリカ/107分
監督・脚本:マーク・ローレンス
出演:ヒュー・グラント、マリサ・トメイ、ベラ・ヒースコート、J・K・シモンズ、クリス・エリオット
ハートフルコメディ度★★★★★
満足度★★★.5
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「グラスホッパー」 伊坂幸太郎

2015年11月25日 | 本(ミステリ)
3人の殺し屋 VS 普通人

グラスホッパー 角川文庫
伊坂 幸太郎
KADOKAWA / 角川書店


* * * * * * * * * *

「復讐を横取りされた。嘘?」
元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、
三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。


* * * * * * * * * *


現在映画公開中の本作、
さしあたって劇場で見ることはなさそうなので、
原作の方を読んでみることにしました。
登場人物は、自殺専門の殺し屋・鯨、
ナイフ使いの若き殺し屋・蝉、
人を道路に押し出して交通事故死させる押し屋。
そして、妻を殺され、復讐を誓う鈴木。
・・・というわけで、極めて物騒です。
彼らそれぞれのシーンが交代に入れ替わりながら描写されていきますが、
なんだかこの殺し屋たちそれぞれに親しみを感じてしまう。
それぞれに人の命などなんとも思わない、虚無的な性格、
殺人も実に淡々とこなしてしまう彼らに、
だけれどもなんだか憎みきれない何かを感じてしまいます。
そんな中で、唯一の普通人が、鈴木。
名前も普通です。
そんな彼には私達も最も自分を重ね合わせやすい。
彼は妻の復讐を果たすためにその相手組織に潜入し、
復讐のチャンスを狙おうとしているのですが、
ド素人の彼は冒頭からすぐにピンチに陥ってしまいます。
いい人過ぎる鈴木はいかにも頼りなげで、ハラハラさせられっぱなし。
そうこうするうちに、ずっと接点がなかった彼らが交差するクライマックス。
ユニークな面白さ。
これぞ伊坂ワールド。
多分後日になると思いますが、映画もみる事にはなるでしょう。

「グラスホッパー」伊坂幸太郎 Kindle版にて
満足度★★★★☆
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デッドマン・ダウン

2015年11月24日 | 映画(た行)
復讐を胸に生きる男女



* * * * * * * * * *

スウェーデン「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の
ニールス・アルゼン・オプレブ監督のハリウッド・デビュー作。
だからノオミ・ラパスなんですね。



妻子をマフィアの組織に殺害され、復讐を誓うビクター(コリン・ファレル)は、
その組織に潜入し復讐のチャンスを狙っています。
彼がその一味の一人を殺害した現場を一人の女が目撃。
それは、交通事故で顔に大きな傷が残り、加害者に復讐を誓うベアトリス(ノオミ・ラパス)。
ベアトリスはビクターに自分の復讐相手を殺害するよう依頼します。
さもなければビクターの殺人をバラすと脅迫を交えて。



復讐を目標にするしか生きるすべを見いだせない孤独な2人が、
次第に距離を縮めていきます。
殺人者を脅迫し、さらなる殺人を犯させようとする設定がユニーク。
けれど二人共薄々気づいてはいるのです。
もしこの復讐を果たしてしまったら、もう自分たち自身も生きている意味が無いのだということを・・・。
けれどももう後戻りはできない。
切なさと切迫感が次第に盛り上がっていき、結構ハマりました。



ビクターの正体が仲間にバレたのか?と思わせるシーン、
本当にドキドキさせられます。
ノーテンキそうに見えるビクターの弟分にあたる下っ端の男が、
意外に感がよくて、ビクターを追い詰めていくという設定も面白い。
顔に傷のある謎めいた女ベアトリスは、ノオミ・ラパスのイメージとうまい具合に重なっているし、
また、沈痛なシーンの多い中で、
ベアトリスの母役、イザベル・ユペールの温かい笑顔に癒やされます。



デッドマン・ダウン [DVD]
ポール・キャメロン,J・H・ワイマン,J・H・ワイマン,ニール・モリッツ
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


「デッドマン・ダウン」
2013年/アメリカ/118分
監督:ニールス・アルゼン・オプレブ
出演:コリン・ファレル、ノオミ・ラパス、ドミニク・クーパー、テレンス・ハワード、イザベル・ユペール

サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆
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エール!

2015年11月22日 | 映画(あ行)
これ以上に気持ちのこもった歌はない!!



* * * * * * * * * *

フランスの田舎町。
高校生のポーラは、聴覚障害をもつ家族の中で唯一の健聴者。
牛を飼いチーズを作る家業の手伝いや、
近所の人とのやり取りの仲立ちを一手に引き受け、
多忙で授業中に居眠りをしてしまうことも。
そんな彼女が音楽教師に才能を認められ、
パリの音楽学校進学を勧められます。

でも両親は生活を彼女に頼る部分が大きくて、大反対。
やはり歌の道は諦めるべきなのか・・・。
思いは揺れます。



そもそも、どんなにポーラの歌がうまくても
家族はそれを聞くことができないというのが悲しい。
またそれはちょっと皮肉なことでもあるのだけれど・・・
でも、大丈夫。
この熱い家族の愛情は、結局はこんな問題をも乗り越えていくのです。
マイペースでちゃっかりしている、ゴムアレルギーの弟くんもナイスでした。



ポーラ役は実際にフランスの歌オーディション番組で見出されたルアンヌ・エメラ。
みずみずしく健康的でいい感じです。
そして歌声が本当に素晴らしい! 
ポーラたちコーラス部のコンサートを家族が聞くシーンがります。
その歌声を家族たちは聞くことができない。
でも、感じるのです。
そのシーンでは、しばし歌声が消され、
家族たちと同じ状況を私達も体験します。
歌っている間の皆の一生懸命な表情、
聞く人たちの心打たれた表情、
会場の一体感を確かに家族たちも体験していました。


最後のオーディションのシーンでは、つい涙・涙・・・。
夢に向かって飛び立とうとする心境を
ポーラは手話を交えて歌います。
これ以上に気持ちのこもった歌はない!!
素敵な歌のシーンでした。

「エール!」
2014年/フランス/105分
監督:エリック・ラルティゴ
出演:ルアンヌ・エメラ、カリン・ビアール、ソランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニーノ、ロクサーヌ・デュラン

家族愛度★★★★☆
感涙度★★★★★
満足度★★★★☆
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「言霊たちの反乱」 深水黎一郎

2015年11月21日 | 本(その他)
言葉遊び・・・?

言霊たちの反乱 (講談社文庫)
深水 黎一郎
講談社


* * * * * * * * * *

平和な休日、婚約者が突然怒り狂う。
路上では外国人に殴られ、ファミレスでは麻薬取引現場に遭遇。
ついに凶悪テロの首謀者として手配される。
原因は全て言葉の聞き間違いと勘違いだった。
古の人々が崇敬し畏怖した言葉に宿る「霊力」が
現代人を陥れようとしているのか。
驚愕の言葉トリック・ミステリに震えよ!


* * * * * * * * * *

本作、新聞の書評欄で取り上げられていたので読んでみました・・・。
がしかし、私には面白いと感じられなかった。
本巻には4つの短編が収められていて、
「言霊たちの反乱」という台目の短編はありません。
どれも口から発する「言葉」をテーマとしているので、この題名をつけたと思われますが、
まあ、そのあたりはセンス良いですね。


例えば「漢(オトコ)は黙って勘違い」
主人公はとんでもない勘違い男で、
テレビのニュースを見ても「公職選挙法違反」を「好色選挙法違反」と思い込む。
「熱帯低気圧が南下している」は「熱帯低気圧がなんかしている」と思い込み、
いい加減な天気予報だとあきれる。
一事が万事こんなふうで、勘違いから事態はややこしい方向へ・・・。
ストーリーとしてはうまくできているとは思いましたが、
なんだかなあ~。


「鬼八先生のワープロ」では、
ある文芸評論家が鬼八先生というエロ作家から借りたワープロで文章を打つと
「まず冒頭の数段は、修飾が過密すぎる。」がこんな具合。
「まず冒頭の吸う男は、修飾が花蜜すぎる。」
これがまあ、呆れるくらいにどこまでもこの調子が続くので、
実際呆れて途中で読む気が失せました。


つまりは全編言葉遊びです。
主人公に魅力のかけらもなく、情緒もなにもありはしない。
が、その言葉遊びを楽しむだけでいいと、
はじめから割り切ることができれば、良いのかもしれません。
書評欄で取り上げられるものが、
常に自分の好みに会うとは限らないという見本でした。

「言霊たちの反乱」深水黎一郎 講談社文庫
満足度★☆☆☆☆

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日本のいちばん長い日(1967年)

2015年11月20日 | 映画(な行)
新旧の2作

* * * * * * * * * *

この夏見た「日本のいちばん長い日」に触発され、
1967年作の本作もぜひ見てみたくなりました。
戦後22年目に作られた本作は白黒作品で、
まさしく昭和の手触り。


その頃の私はまだ子どもで、本作を見たのは多分これよりも数年ののち、
TV放映にてだと思いますが、
実のところ内容はよくわからなかったのでは・・・?
それにしても、今の私には懐かしい俳優陣。
感無量という感じです。
東郷外務大臣に宮口精二。
鈴木総理に笠智衆、
阿南陸相に三船敏郎、
そして畑中少佐には黒沢年雄。
その他、山村聡、小林桂樹、志村喬、児玉清、高橋悦史、加東大介、加山雄三!
この時代の花ですね。
本作からさらに約50年ですか・・・。
今の若い方にはこのメンバーの豪華さはわかりますまい・・・。


さて、この新旧の2本、
もちろんストーリーは同一ですが、作品として俳優が異なるだけではありません。
67年版は実録風に徹していて、出てくるのは男ばかり。
女性の出演はたった一人、新珠三千代さんのみです。
15年版は主要メンバーの家庭での様子も若干描かれていて、
家族として女性の出演も多少あります。
登場人物の背景を出したのは、その人物への感情移入を目的にしているのかもしれませんし、
あまりにも憔悴しきったオジサンたちばかりでは、
確かに映像としてはどうなのかというところもありますね。
でも、67年版はそんな甘さをバッサリ切り捨て、硬派に徹している、
それもまた悪くはないと思うわけです。


67年版では、昭和天皇の「ご尊顔」ははっきりとは映しだされません。
15年版で本木雅弘さん大写しとは異なるところ。
そして畑中少佐のほとんど狂気とも思える思い入れは、
松坂桃李さんも凄いと思いましたが、
黒沢年雄さんの迫力には負けてたかも・・・。
総じて、67年版の方がさすがに時期が近いためもあって、
現実に近いのかもしれないと思いました。
けれど、お若い方は多分15年版の方が見やすいと思います。
どちらでもいいですが、一度は見ていただきたい・・・。

日本のいちばん長い日 [東宝DVD名作セレクション]
三船敏郎,加山雄三,黒沢年男,佐藤允,中丸忠雄
東宝


「日本のいちばん長い日(1967年)」
1967年/日本/157分
監督:岡本喜八
原作:大宅壮一
出演:宮口精二、山村聡、三船敏郎、黒沢年雄、志村喬、小林桂樹
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆
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コードネームU.N.C.L.E.

2015年11月18日 | 映画(か行)
大人の男のライバル関係&友情



* * * * * * * * * *

1960年代、イギリスの人気TVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」を映画化したもの。
いやー、懐かしい。
大好きでしたイリヤ・クリヤキン。
といっても当時の私はまだ小学生で、
そもそもナポレオンとイリヤが米ソ冷戦下でありながら、
協力しあう関係にあったわけなど考えてみたこともなかったというか、
そういう構造の話だったとは今更わかったという情けない話なのですが…。



舞台はそのまま1960年代、東西の冷戦下、
核兵器とその技術を拡散させ世界を滅ぼそうとする組織が登場。
その陰謀を阻止するため、「あり得ない」米ソが協力関係を結ぶこととなり、
CIAのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カビル)と
KGBのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)が任に当たることになります。
ドイツ人科学者の娘、ギャビー(アリシア・ビカンダー)を守りながら、
その科学者の行方を探すことに。



スパイものは今あふれるほどありますが、
本作はあえて1960年台を舞台としたところがいいですね。
ハイテクがない。
パソコンが出て来ないノスタルジックな世界。
だけれども本当に面白いのはいかにICTを駆使するかではなくて、
人の心と心、友情や裏切りの物語ということなんだと思います。
舞台はノスタルジーでも、スピーディでスリリングな展開はやはり現代のもの。
イリヤがボート上で大変な目にあっている間、
ナポレオンは車中でのんびり音楽を聞いたりサンドイッチを食べたりしている、
というシーンがおかしい。
けれど最後の最後にはやはり助けるのです。
ラストでイリヤがナポレオンに裏切られた!と思い対峙するシーン。
緊張の中で、ナポレオンがとる行動も意外で気が利いていて暖かい!!
(・・・こうしてみるとナポレオンばかりおいしい役ですね・・・。ズルい!!)



ともあれ、男二人が反目しながらも友情を結んでいく。
互いのことがよく分かり合っていて信頼をしている。
だけれども最大のライバルでもある・・・というような
大人の男二人の関係性というのに私は痺れてしまうのですよねー。
例えば多田と仰天のような。
あるいは倉木と大杉のような・・・。
あ、そもそも私の中のこの好みの始まりは、
ロバート・ボーンとデヴィッド・マッカラムというこの二人だったのかもしれないと、
今気付きました。



ロバート・ボーンにさほど興味はありませんが、
デヴィッド・マッカラムには少なからず思い入れがありまして、
だからアーミー・ハマーはちょっと違うなあ・・・という感じ。
もう少し線が細い感じで・・・、
オーランド・ブルームなら良かったのに、と個人的には思います。
でも、昔のイメージにとらわれなければ、
このガッチリした生真面目な大男のイリヤ・クリヤキンも悪くはありません。
やや、少年期のトラウマを抱えているなんていう設定もいいですね。
そして、このチームのまとめ役ウェーバリー部長にヒュー・グラントというのが
なんとも心憎い配置じゃありませんか!!


ぜひ、シリーズ化していただいて続編を見たいものです。

ちなみに、U.N.C.L.E.は、United Network Command for Law and Enforoement
(法執行のための連合網司令部)
ですって。
これもこのたび初めて知った次第。
あ、TV版では敵組織を「スラッシュ」といっていました。


「コードネームU.N.C.L.E.」
2015年/アメリカ/116分
監督:ガイ・リッチー
出演:ヘンリー・カビル、アーミー・ハマー、アリシア・ビカンダー、エリザベス・デビッキ、ヒュー・グラント

スリル・サスペンス度★★★★☆
満足度★★★★☆
大人の男の友情度★★★★★
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「不思議な羅針盤」 梨木香歩 

2015年11月17日 | 本(エッセイ)
自然を科学的に見つめる目の中に愛

不思議な羅針盤 (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社


* * * * * * * * * *

ふとした日常の風景から、万華鏡のごとく様々に立ち現れる思いがある。
慎ましい小さな花に見る、堅実で美しい暮らし。
静かな真夜中に、五感が開かれていく感覚。
古い本が教えてくれる、人と人との理想的なつながり。
赤ちゃんを見つめていると蘇る、生まれたての頃の気分…。
世界をより新鮮に感じ、日々をより深く生きるための「羅針盤」を探す、
清澄な言葉で紡がれた28のエッセイ。


* * * * * * * * * *

私にとって、梨木香歩さんのストーリーもエッセイもちょっと特別なもので、
読む前にはほんのちょっと襟を正したいような気になります。
本作も、そんな一冊。


著者の小学生の頃のことに少し触れているところがありました。
学校に図書館(図書室ではなく、図書館と呼ぶべき校舎とは別の一棟であったとのこと)があって、
夢中で、教師用の本のコーナー以外はほとんど読み尽くしてしまったというのです。
本を借りてもあっという間に読み終えて返すので、
司書の方に「本はきちんと読まなければいけません」と注意されたのだとか。
しかし、少女は少しもひるまず、滔々とその本のあらすじを言って聞かせたという・・・。
また、学校の本だけでは飽きたらず、家の百科事典までも読破したというのが凄い。
でもそれでなんだかすごく納得できた気がするのです
彼女は身の回りの万物と自分や自分たちとの関係性を描くことが多い。
冷静で科学的に自然界を見つめる目の中に愛がある。
少女の梨木香歩さんの中に、そのようなものが芽生えたのは、
このことも原因の一つなのでは。


また私が、そうそう、と何度も頷きたくなってしまったのは、こういうところ。
「シロクマはハワイで生きる必要はない。」

煮詰まった人間関係は、当人がどんなにがんばっても容易なことでは動かない。
もう、だめだ、と思ったら逃げること。
そして「自分の好きな場所」を探す。
ちょっと頑張れば、そこが自分の好きな場所になりそう、という時は、
骨身を惜しまず努力する。
逃げることは恥ではない。
津波が襲って来るとき、全力を尽くして逃げたからと言って、
誰がそれを卑怯とののしるだろうか。
・・・いつか自分の全力を出して立ち向かえる津波の大きさが、
正しくつかめる時が来るだろう。
その時は、逃げない。


引用が長くなりましたが、本当に、
今いじめなどで悩んでいる子や、身内の方、そして先生方にも、
このような考えを持って欲しいです。


ほかにも、カラスとのアイ・コンタクトのこと、
カーナビとの格闘のこと。
興味はつきません。



「不思議な羅針盤」梨木香歩 新潮文庫
満足度★★★★☆
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エベレスト3D

2015年11月16日 | 映画(あ行)
なぜ、それでも人は山にのぼるのか



* * * * * * * * * *

私、自分で山登りをするわけでなく、多少高所恐怖症気味であるにもかかわらず、
山の映画は大好きなんですねー。
自分で登れないからこそ、映像や物語で楽しもう、
というところでしょうか。
だから本作も、予告編を見た時から絶対に見ようと思っていました。
そこで、エベレストのリアルな迫力を期待して3DそしてIMAXです。



1996年に起こった実話。
通常、エベレスト登山は、有志が仲間を集って行いますね。
ところがロブ・ホールは個人的に登山をしたい人それぞれから費用を徴収し
彼らの登山をサポートする。
よくある登山ツアーの最大難度版ともいうべきものです。
もちろんエベレストなので、
集まる客も、それぞれ名だたるベテラン登山家たちではあるのです。
エベレスト登山に適した時期は限られています。
だからその時も幾つもの登山隊が一斉に集まり、渋滞を起こすほど。
それでもなんとか天候に恵まれ、ロブ・ホールの隊も頂上へ達することができたのです。
ところが・・・メンバーの体調不良や道具の不備で下山が大幅に遅れ、
その上天候も急激に悪化。
恐ろしい一夜が・・・



3D&IMAXで見ると、山の中で人間はいかにもたよりなくちっぽけ。
まるでアリンコのようです。
「頂上を制覇」などと言ってもそれはたまたまの運の良さ。
そもそも人間が生存できる場所ではない、と作中でも言っていました。
ほとんど神の気まぐれで達成させてもらったようなもの。
人の心とは全く関係なく、山はあるがままにあるだけ・・・。
そうではあるのですが、それに挑む人の意志というのが時としては驚異的。
この登山隊でも、多くの犠牲者が出たわけなのですが、
なんと、テントもなし、雪に埋もれて一夜を明かし、
それでも生きていて自力で下山した方がいるのです。
信じがたい…!!
山の荘厳さ峻烈さもさることながら、
人の意志もまた果てしない…。
何やらそのような感慨に打たれてしまうのでした。



あの底知れないクレバスの上を渡り、極限の空気の薄さと寒さに耐え…。
やはり私には絶対にできそうにありません。
というかベースキャンプへ向かう吊橋のところですでにアウト!!

「エベレスト3D」
2015年/アメリカ・イギリス/121分
監督:バルタザール・コルマウクル
出演:ジェイソン・クラーク、ロビン・ライト、ジョン・ホークス、キーラ・ナイトレイ、ジョシュ・ブローリン
山の迫力度★★★★☆
満足度★★★.5
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マンデラ 自由への長い道

2015年11月14日 | 映画(ま行)
正しいことは強い



* * * * * * * * * *

南アフリカで人種隔離政策アパルトヘイト撤廃に尽力した、
ネルソン・マンデラ氏自伝の映画化です。



これまで、「マンデラの名もなき看守」や「インビクタス」で、
側面からマンデラ大統領の足跡や人となりを見てきましたが、
本作はストレートに氏の人生をたどっています。
氏が終身刑で投獄されたのが1964年。
東京オリンピックの年ですね。
日本ではお祭り騒ぎのその年に、世界の片隅でそのようなことが起こっていたわけです。
それから27年間にわたっての獄中生活・・・
というのも想像がつき難いですが・・・。
とてつもなく強い意志がなければ耐えられない気がします。
けれど、獄中にあって彼は一人ではなかった。
もちろん、同時に投獄された仲間たちもいたのですが、
南アフリカの黒人たちだけではなく、世界中の人達がアパルトヘイトに反対し、
マンデラ氏の釈放を願った。
そういうことがどれだけ力になったことか。
長い時間がかかりましたが、正しいことは強いのです。



南アフリカの白人たちの鼻持ちならない差別意識。
そのことには遠く離れた日本にいても
、私自身にも理不尽に思えたものですが、
彼らの中にあったのは実は「恐怖」であると、
「マンデラの名もなき看守」の中では言っていて、
そしてもちろん本作も然り。
それがマンデラ氏自身が感じた全てだったのでしょう。
だからこそ、彼はアパルトヘイト撤廃の時にも、
「和解と赦し」を主張したわけです。
憎しみの連鎖を断ち切ること。
世界平和への路はそれしかありません。



しかし、獄中の彼を長年支え続けた妻ウィニーとは、
その考え方の相違で別れることになってしまったというのはいかにも残念。
それは獄中という極限状態にいながらも、
マンデラ氏自身は直接の嵐に晒されなかったということが大きかったのかも。
日々、白人の悪意に直接晒されたウィニーは
「憎しみ」で自分を武装するしかなかったというのもわかります。
彼女を守るべき夫は決して助けには来られないという状況の中で・・・。
でも戦い続けた彼女の意志もまた素晴らしく強いのですけれど。



27年の獄中生活を経て、大統領就任。
なんと数奇な人生。
けれど、その信念の強さとリーダーシップを尊敬せずにいられません。
どなたにも一度は見ていただきたい。



マンデラ 自由への長い道 [DVD]
イドリス・エルバ,ナオミ・ハリス,トニー・コロゲ,リアード・ムーサ,リンディウェ・マツィキザ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


「マンデラ 自由への長い道」
2013年/アメリカ/147分
監督:ジャスティン・チャドウィック
出演:イドリス・エルバ、ナオミ・ハリス、トニー・キゴロギ
メッセージ性★★★★★
満足度★★★★☆

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「石の裏にも3年 キミコのダンゴ虫的日常」北大路公子

2015年11月13日 | 本(エッセイ)
11月なんか大嫌い

石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常 (集英社文庫)
北大路 公子
集英社


* * * * * * * * * *

長らく独り身。趣味は昼酒。
飲むためなら吹雪もおそれず出かけるけれど、普段は家でぐうたら三昧。
冬の間は雪に埋もれてしまうので、泣く泣く毎日雪かき…
でも本当は、朝寝して昼寝して二度寝して、だらだら過ごしていたいのです。
(体脂肪率40%超えちゃってるよ!)
ビールも凍る北海道での、雪と酒と妄想まみれの日々をつづった爆笑&脱力日記。
北海道在住作家たちとのご当地座談会も収録。


* * * * * * * * * *

ああ、また新刊が・・・!! 
嬉しさと厄介さが交差する微妙な心境。
つい手にとって享楽に身を沈めてしまう、麻薬のような北大路本なのであります。
例によって、何やらグダグダの著者の日常が日記として綴られています。


北海道札幌市在住の彼女の日記で、かなりの割合を占めているのは冬の雪かきのこと。
毎日毎日雪かきをし、冬と雪を呪い、ひたすら春を待ちわびている。
著者のことだから、オーバーに言っているのでしょう、
と読者の方は思われるかもしれません。
しかし、それが決して誇張ではないことを私は知っている。
特にこの年、2013年の冬、
札幌では近年にない大雪に見まわれ、まさに毎日毎日雪との格闘でありました。
だから彼女が、3月末の寒さにも過剰に反応し、
6月の夏至にはもうこれから冬に向かってしまうのかと恐怖し、
11月ともなれば11月なんか大嫌いだと豪語する、
それはそのまま私にも当てはまるのであります。
よくぞ言ってくれた!! 
鬱屈した北海道民の本心を・・・。
こんなことを言うと、例えば北海道に転勤が決まった内地(この言い方がそもそも北海道弁らしいですが)の方が、
恐怖におののくかもしれませんが・・・。
いやいや、なるべく駅チカのマンションに居を構えれば平気ですよ~。


それから著者の文章でいつも感心してしまうのは彼女の「妄想力」。
そりゃ誰でも好きなタレントとのデートを妄想したりすることはあると思いますが、
彼女のそれは実にディティールがしっかりしていて、
いつの間にかその妄想世界に引きこまれてしまう。
この調子で、何か物語を書いたりはしないのでしょうか? 
ちょっと読んでみたい。


本巻、巻末に「ご当地座談会」として、
著者と、桜木紫乃さん、乾ルカさん、小路幸也さん、
北海道在住の4人の座談会記録が載っているのがお得です。
北海道弁のことなどに触れていますが、
それほど際立った方言はないにしても、やはり北海道でしか通じない言葉がある。
それも北海道は広いので、地域ごとにかなり異なっているという話には納得させられます。
私は生粋の北海道生まれ、北海道育ちですが、
今北海道弁の代表みたいになっている「なまら」なんていう言葉は
子供の頃、聞いたこともなかったです。
ともあれ、こういう企画はとても興味深く嬉しいので、
またどこかでやってほしいな。

「石の裏にも3年 キミコのダンゴ虫的日常」北大路公子 集英社文庫
満足度★★★★☆
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劇場版MOZU

2015年11月12日 | 西島秀俊
ここが地獄だよ。



* * * * * * * * * *

まってました~! 劇場版のMOZU。
ブログ記事にはしなかったけれど、当然TVドラマ版は見ていたんだよね。
あたり前ですよ~。西島秀俊さんが出てるんだから。
 いやもう、だから、嬉しくて、楽しくて、ワクワクの2時間でしたー。
しかしねー、この日家に帰って、よく参考にさせてもらっている渡まち子さんの
 「MOZU」の評価を見たら50点(100点満点)というのには思わず笑ってしまった。
 渡氏は、ドラマ見ていなかったそうで・・・。
うん、これはもうほとんどマニアックな世界なのだろうと思う。
 私としては95点くらいつけてもいいと思ってる。
それはあまりにも甘いかもしれないけどね・・・。
 TVドラマを面白いと思った人か、西島秀俊さんファンなら絶対楽しめる。
だけど、ドラマを見たことがない人にはおススメはできないなあ・・・。
 まずはこのMOZUの独自の世界観をわかっていないと、すぐには入り込めないだろうと思う。
 私なんか、MOZUのテーマミュージックを聞いただけで血が騒いじゃうよー。



TVドラマでは、池松壮亮さん演じる殺人鬼「百舌(もず)」を中心にストーリーが進むね。
 公安の捜査官倉木(西島秀俊)は、妻と娘の死の謎を説くことを生きる命題としているのだけれど、
 その謎を小出しにしながら、百舌の事件を追う。
 …そしていつしかそれは警察内部に巣食う闇を白日のもとにさらけ出すことにつながっていく…。
大杉警部補(香川照之)と倉木のからみ合いがまた、むちゃくちゃ面白いわけです。
 互いに気に入らない奴だと思い反目しあっていたのが、いつしか協力関係を結んでいく。

そしてまたTVドラマはでは、その背景として「ダルマ」という不可思議な存在が常にある。
 でもついにその謎については最後まで触れられなかったのだよね。
そう、満を持してようやく劇場版で「ダルマ」のストーリーになるんだよね。
まあ、その正体については映画をご覧くださいというわけで。
でもまあ、さんざん予告編で流れてるから言っちゃうけれど、
 つまりビートたけしさんがその「ダルマ」の役で、
 これがもう、ほかにはとても考えられないくらいにぴったりだよね。
それもそのはず、羽住監督は、当初から「ダルマ」は
 ビートたけしさんをイメージしていたらしいよ。
でも本作の中で一番キョーレツなのは長谷川博己さん演じるところの東(ヒガシ)だよね。
 なんともクレイジーな極悪人。
 TVドラマの時から大好きでした。
 本作のカーアクションシーンが、このクレイジーさと相まってスゴイ!! 
 ヒガシの倉木への執心、・・・つまりこれは“愛”だよね、“愛”。

はい、それ以外には考えられません・・・。
それから、松坂桃李VS池松壮亮の死闘も凄かったー。
今をときめく若手俳優のライバル対決と思えばこれもまたスリルがある。

松坂桃李の権藤も十分クレイジーだけど、ヒガシに比べたら、まだまだだな・・・ふっ。
ここはやっぱり本家新谷和彦こそが正統派(?)の殺人鬼。



さて本作、いきなり高層ビル爆破のテロ事件が起こります。
 特に自分には関係ないと歩いていた倉木の横を、
 そのビルに入っていたペナム共和国の大使館から避難する車が通りかかる。
 その刹那、その車を襲撃し、乗っていた母子を拉致しようとする者が現れる。
 事情はよくわからないものの、倉木は襲撃犯たちをボコボコにのしてしまった!!
きゃーカッコイイ!!
その母子の拉致に失敗したとの報を受け、
 なんとビルを占拠していたテロ実行犯たちがさっさと撤収してしまった。
 まずは序盤の事件の収束。
 これがオープニングだね。
なんとも鮮やか。ワクワクさせる導入だなあ・・・! 



TVドラマでも、本作でも、とにかく倉木はタバコを吸い続け、常に仏頂面。
 そんな彼が一応の事件の決着を見たあとでニッコリする場面があるんだよね。
それがもう、すご~く魅力的なのだ!!
 本作も最後の最後に彼の笑顔が見られるよ。
 お楽しみにー

「劇場版MOZU」
2015年/日本/116分
監督:羽住英一郎
原作:逢坂剛
出演:西島秀俊、香川照之、ビートたけし、真木よう子、伊勢谷友介、松坂桃李、池松壮亮、長谷川博己、杉咲花
アクション度★★★★☆
西島秀俊の魅力度★★★★★
満足度★★★★★
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