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「レベレーション-啓示ー2」 山岸凉子

2017年01月28日 | コミックス
「王」を言い当てるジャンヌ

レベレーション(啓示)(2) (モーニング KC)
山岸 凉子
講談社


* * * * * * * * * *

山岸凉子さんのジャンヌ・ダルクの物語、第2弾です。
前作ではいよいよ故郷の村を離れるジャンヌ、というところまででしたが、
本巻は、シノン城に赴き、シャルル王太子に対面。
そしていよいよ戦場となるオルレアンに出発する直前までを描きます。


通常、ただの田舎娘が王に「兵を貸してほしい」などと言っても
取り合ってもらえないですよね。
そもそも王の耳まででそんな話が届くとも思えない。
しかしですよ、ジャンヌの「天啓を受けた」という強い自信と使命感、
そして諦めない心が周囲の人を動かしてゆくのです。
しかし、その人々の心をつかむためには、
何かしらの「奇跡的」なできごとが必要。
そこであの有名なエピソードがあるわけです。
城の広間に大勢集まった人々の中から、
一度もあったことのない「王」を言い当てる、という。


本作で、作者山岸凉子さんはハッキリとジャンヌが神からの啓示を受けた、
というふうに表現しています。
ジャンヌはそれに突き動かされるように行動してゆくわけですが、
でも、ジャンヌ自身が奇跡の力を発揮した、
というふうには描いていないのです。
彼女は巧みな観察力と洞察力で王を言い当てたのです。
決して神がかりではない。
強い精神力で人間はどこまで高みに登ることができるのか、
それを言っているようにも思えます。


ところで前作ではジャネットの村の司祭が、
「神の声を聞くという者は時々いるけれども、
そのものはたいてい『逃げたい現実』を持っている」
と言っていました。
それで私はこの人物が現代的思想の代弁者?というように思ったのですが、
なんと本巻ではこの人、
「そうかジャネット、やはり神の声は本当だったのだね。
主よ少しでも彼女を疑う心を持ったわたしをお許しください」
などと言っている。
う~む、この人まで騙してしまうジャンヌ。
一般庶民などイチコロ間違いなし。
髪を切り男装をしたジャンヌは実際カッコイイですしね。
どんどん人の心をひきつけていくジャンヌ。
次巻はいよいよ戦闘に突入でしょうか。
早くも、続きが待ち遠しい。

「レベレーション-啓示―2」山岸凉子 講談社モーニングコミックス
満足度★★★★☆



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