映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

午後8時の訪問者

2017年05月29日 | 映画(か行)
後悔から始まる新たな一歩



* * * * * * * * * *

女医ジェニー(アデル・エネル)は街の小さな診療所で働いています。
ある夜、診療受付時間を過ぎてからドアベルがなりますが、
彼女は受け付けませんでした。
そして翌日、身元不明の少女の遺体が診療所の近くで見つかります。
その少女が助けを求める姿が、診療所の監視カメラに収められていました。
自分があの時、彼女を中に入れさえすれば・・・、
後悔するジェニーは、せめて少女の身元だけでも突き止めたいと、
少女の写真を近所の人々に見せて、聞いて回ります。

そして彼女の患者の一人である少年が、何かを知っていそうだとわかるのですが、
そんな彼女の行動を妨害する動きが・・・。



少女の死は、病気よるものではありませんでした。
何者かに追われて、助けを求めて診療所のベルを押したようです。
そしてジェニーは決して時間外だから診察はしないというドライな主義の医師ではなく、
患者に寄り添うことを大切にしていることが伺われるのです。
けれど、何にでもタイミングというものがあって、
この時は実にタイミングが悪かった。
だから、ジェニーは人一倍、そのことを気に病むのでしょう。
彼女が調べていってわかるのは、移民の人々の生活の厳しさ。
一つの事件から、今の世界の大きな問題が浮かび上がって来ます。



保険診療がほとんどの、外科も内科も一緒のようなささやかな診療所でしたね。
受付の事務の人も看護師さえもいない。
実はジェニーは大きな病院に勤務することが決まっていたのですが、
現実を見た彼女は、ある選択をします。
頼もしい。
良心と正義感に忠実なこんなお医者さん、いいなあと憧れます。
事件の真相を探るミステリ風味もあり、
興味深い一作です。





「午後8時の訪問者」
2016年/ベルギー・フランス/106分
監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ
   リュック・ダルデンヌ
出演:アデル・エネル・オリビエ・ボノー、ジェレミー・レニエ、オリビエ・ビルメ

社会問題度★★★★☆
正義感★★★★☆
満足度★★★.5



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