映画と本の『たんぽぽ館』

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正欲

2024年04月08日 | 映画(さ行)

地球に留学してきた宇宙人

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横浜で検事として働く寺井啓喜(稲垣吾郎)。
不登校になった息子の教育方針を巡り、妻と諍いを繰り返しています。

広島のショッピングモール契約社員、桐生夏月(新垣結衣)。
実家で代わり映えのない日々を送っています。

そんな夏月とは幼馴染みの佐々木佳道(磯村勇斗)は、東京で就職していましたが、
両親が亡くなったのを機に、広島に戻ってきます。

 

大学のダンスサークルに属する諸橋大也(佐藤寛太)。
準ミスターに選ばれるほどの容姿ですが、誰にも心を開こうとしません。

学園祭実行委員を引き受けた神戸八重子は、男性が苦手で、
不意に触られたりすると過呼吸を起こしそうになるほどですが、
なぜか大也には魅せられてしまいます。

 

このように群像劇なのではありますが、終盤、それぞれに関係ができてくる所も見所。

登場人物の多くは世間一般で言うところの「普通」ではなく、生きにくさを感じています。
夏月はいう。
「自分は地球に留学してきた宇宙人のようだ。」

人と違う。
普通ではない。
わかり合えない。
・・・そんな中で、彼らは次第に孤独の淵に沈んで行きます。
けれど、もしその「普通」でない部分を共有できる相手がいるとしたら。

人と人は、何もセックスという関係でなくともつながりあえるのではないか。
いわゆるアセクシュアルというのともちょっと違うのだけれど、
人のあり方は千差万別、様々であるのと同じく、
人と人とのあり方も自由自在。
それでいいと思います。

さて、これら登場人物の中であくまでも「普通」にとらわれるのが、寺井です。

彼は不登校の息子を困ったものだと思い、
なんとか学校へ行ってほしい、このまま道を踏み外していたら、
将来も望めないと思っているのです。
でも妻は、息子の思いを汲んで、
なんとか息子が息子らしく不登校のままでも毎日を明るく過ごしてほしいと思っている。

 

寺井は作中では、多様化を理解しないダメな父親というような役柄なのですが、
でもつまりこれは、社会一般のありようを代表しているだけなんですね。
そうした「普通」の押しつけがなければ、どれだけ多くの人々が生きやすくなることか・・・。

このような作品を多く見れば、少しは私たちの意識も変わっていくのかな・・・?

 

<Amazon prime videoにて>

「正欲」

2023年/日本/134分

監督:岸善幸

原作:朝井リョウ

脚本:港岳彦

出演:稲垣吾郎、新垣結衣、磯村勇斗、諸橋大也、宇野祥平、渡辺大知、徳永えり

 

普通逸脱度★★★★☆

満足度★★★★.5



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