映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

フィッシュストーリー

2018年05月27日 | 映画(は行)

とあるバンドの売れなかった曲が・・・

* * * * * * * * * *

伊坂幸太郎作品の映画化。
原作は読んでいるのですが、映画は見ていませんでした。

1975年。
早すぎたパンクバンド「逆鱗」。
世間に理解されぬまま最後に「FISH STORY」という曲を残して解散。
しかしこの中に何故か1分間の無音の部分が。
時は流れて2012年。
彗星激突の危機に見舞われた地球を救った影には「FISH STORY」の存在が・・・。

 

本作の冒頭は、世界の終わりまであと5時間。
とある中古レコード店内のシーン。
ここで緊迫感を出して、私達をひきつけて・・・と言いたいところですが、
この店長には緊迫感もなにもなく、まあ、そんなところから伊坂幸太郎ワールドが始まるわけです。
1975年 逆鱗の「FISH STORY」
1982年 気の弱い大学生。
1999年 世界の終わりの予言
2009年 シージャック事件
そして2012年 中古レコード店内
これらのエピソードが、一つの曲と関わり合いながら絡み合い
因果関係を結びつつ、収束する様、まさに伊坂幸太郎の原作世界を再現しています。
セルフ引用で申し訳ないですが、原作本の感想が、
今にしても的を得ていると思うので、再掲。


「いくつかの章立てがしてありまして、
二十数年前
現在
三十数年前
十年後
という風に、時系列が正しく並んでいないのです。
そこがこの作品のおもしろいところ。
だから、話はそれぞれ独立していて、一見脈絡がないように思える。
でも、最後まで読むと、ああ、そういう話だったのかと、
ジグゾーパズルが完成したみたいに、最後に全体像を見渡すことができる。
これがなんだか快感なのです。
ストーリーとしては、たとえば「風が吹けば桶屋が儲かる」そんな風。

ある売れないロックグループが、解散寸前にレコーディングをする。
その中の一曲、なんと数十秒もの無音部分ができてしまったのだけれど、
どうせ売れないし、解散だから・・と、
やけくそのようにそのまま発売されてしまいました。
確かに全然売れなかった曲なのですが、
その曲が後々地球を救うことに貢献するという、これは壮大なお話なのです。
そんなことある~? なんて野暮なことはいいっこなし。
だって、これはフィッシュストーリーなんですから。
やはり、井坂幸太郎。
短編でもあなどれませんねー。」



それにしても、本作のキャスト、今にしてみればやけに豪華ではありませんか。
パンクバンドのリーダーに伊藤淳史、
ボーカルが高良健吾、

シージャックされた船の乗客に多部未華子、

気弱な学生に濱田岳、
正義の味方になるため修行を積んだ男に森山未來、

レコード店長に大森南朋・・・
いずれも主役クラス。
こういう価値が出てくる作品もアリなんだなあ・・・。

フィッシュストーリー [DVD]
伊坂幸太郎,林民夫
ショウゲート



<WOWOW視聴にて>
「フィッシュストーリー」
2009年/日本/112分
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
出演:伊藤淳史、濱田岳、森山未來、大森南朋



最新の画像もっと見る

コメントを投稿