映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ペーパー・ムーン

2011年03月18日 | 映画(は行)
詐欺師と女の子のロードムービー

         * * * * * * * *

1973年のこの作品。
時代背景が1930年代なので、モノクロ作品で雰囲気を作っています。

詐欺師のモーゼは昔の恋人の葬儀に出向き、
その遺された9歳の娘アディを
親類の家まで連れて行くようにと押しつけられてしまいます。
人々は皆このモーゼこそが実の父親なのだろうと推測したようなのですが、
真実はモーゼにも解りません。
詐欺師と女の子のおかしなロード・ムービーの始まり始まり・・・。


さて、このモーゼの詐欺の手口がなかなか興味深い。
彼は新聞の死亡広告の出ていた家に赴きます。
亡くなった人から頼まれて聖書を届けに来たというのです。
少し前にご主人から特製の聖書を頼まれていた・・・と。
その聖書には奥さんの名前が刻まれている。
それは死亡広告でわかっているので、自分で印字したのです。
亡き夫からのプレゼント・・・と感激した奥さんは、
ちょっとくらい高くてもそれを買ってしまうという次第。
インチキですが、だまされた方も結構しあわせな気分になれる、
なかなかしゃれた詐欺ですよね。

さて、ところがアディにも詐欺の才能が・・・。
すっかり詐欺師の相棒に収まった彼女は、
相手の経済状況を一目で見極めて、
相手によって聖書の値段をつり上げたり、
時にはただにしてしまったり。
目をむくモーゼですが、次第に相棒として彼女を頼りにし始めます。
そんなとき、モーゼは巨乳の美女と知り合い、
旅を同行することになるのですが、
車の助手席を奪われてしまったアディは面白くない。
何とか、この二人を破局させようと・・・。


紙でできたつくりものの月のように、
本物ではない親子が、
本物以上に気持ちがつながっていく、
心温まるドラマです。

このライアン・オニールとテイタム・オニールは本物の親子。
本物の親子が偽物の親子を演じる、という趣向も、オシャレです。
ベッドの上でスパスパタバコを吸うテイタム・オニール。
今ならこんなシーンはNGかもしれません。
まるで少年のようでもあるおとなびた少女が愛らしい。

ペーパー・ムーン [DVD]
ピーター・ボグダノヴィッチ,アルヴィン・サージェント
パラマウント ジャパン


「ペーパー・ムーン」
監督:ピーター・ボグダノビッチ
出演:ライアン・オニール、テイタム・オニール、マデリーン・カーン、ランディ・クエイド



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