連載・特集 » 浅野秀弥の未来創案
大阪日々新聞2015年11月30日
旧態自民ではもう勝てぬ
今の日本は政治に対して失望と無関心がバブル経済崩壊以降増え続けている。世の中自体も日本の伝統文化や旧来型政治のあり方が変わって来た。「旧態依然の政治を変えてほしい」との声は日増しに広がっている。しかし現実は、魔法のようにすべてを一挙に変える事はできない。いるはずの青い鳥を求め、期待感を抱かせるだけの政治は、有権者を失望させればサーッと潮が引くように表舞台から退場させられる。
今回の府知事・大阪市長ダブル選挙の結果、大阪維新の会に対する府民からの高い期待感継続が証明された。私はことあるごとに維新政治の問題点を個々個別に指摘し続けてきたが、思いは届かなかった。
「民意は示された」と総括し、方向転換で流れに乗るのはやさしい。われわれは「大阪の改革は維新主導ではダメだ」と断じてきたが、結局はその旗手としてふさわしい無党派の候補者を擁立できず、自民党の市議・府議という選択をしなければならなかったところにボタンの掛け違いがあった気がする。
官邸から推薦状を受け、2人の選対本部を組織した自民党府連は、“反維新”で連携しなくてはならない民主や共産の人々を排除することだけに精力を費やし機能不全を起こして、一致団結した戦略戦術も政策指針もなかった。自民党支持者を半分程度しか取り込めなかったのに、野党支持者は自民色を前面に打ち出されたことで次第に白け「維新もいや、自民も嫌い」と棄権に回ってしまい、前回選挙と都構想住民投票に比べ大幅な投票率低下を招いた。
大阪自民党は、国政選挙の単県得票率で全国平均をはるかに下回る最低クラスの25%程度しかない。ところが国会、府会、市会の各議員はバラバラで調整役もリーダーもいない。候補者のイメージ作りも演出家やリーダー不在でまったく手に付かなかったのだから勝てる道理がない。
党単独推薦候補者を“党営選挙”で勝たせようとしたこと自体がむちゃだった。自民党府連はダブル選敗北の責任を徹底分析し、出直しに向け真剣に反省すべきだ。
あさの・ひでや(フリーマーケット=FM=社社長、関西学生発イノベーション創出協議会=KSIA=理事長)1954年大阪市生まれ。わが国のFM創始者で日本FM協会理事長。関西経済同友会幹事。数々の博覧会等イベントプロデュースを手掛ける。