自治体の首長は堂々とワクチンを打て!公表遅れは「我欲」の現れ
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ワクチンの接種が始まったな。俺の処にも案内が届いたよ。どうにも申し込みが殺到して大変なんだろ。知り合いが言ってたよ、電話がちっともつながらなくて丸一日かかったとか、ネットでも何時間もかかってクタクタだとか。先着順はひとつの方法だけど、ありゃ不親切だって。申し込みで気疲れして具合が悪くなったら本末転倒だな(苦笑)。
そりゃあ俺だって85歳だし、ワクチンを打てるなら打ちたいけど、我先にって程でもないね。かかりつけの病院で定期的な健康診断も受けてて今の処は良好だし、基礎疾患があって不安とか、そういうワケでもないからさ。申し込みが落ち着くのを少し待ってみるよ。
打てるなら7月か8月あたりでいいかな。あ、いけねぇ、そのあたりは猛暑だな。ワクチン打ちに行く途中で熱中症で倒れちゃったなんてことになったら笑えないぞ。実際、そういうこと起きそうだろ。そしたら夏は避けて秋にするか。涼しくなってきてからにするかな。
あ、誰かがファイザーやモデルナじゃなくて、国産のワクチンが出来てから打ちたいって言ってたな。国産のほうが安心だろうって。うーん、それもいいかもしれないな。そしたら冬か、年越して来年春か・・・、ってこれじゃいつまで経っても打てないね(苦笑)。
先を争ってワクチンに飛びつく人々
共同通信社
そんな中で、先を争うようにしてワクチンに飛びつく人ってのも続々出てる。ルールが定まってないってのもあるんだろうけど問題になってるよ。ちょっと編集部、ワクチンを打つ順番で問題になったものを挙げてみてよ。
編集部)――まず、愛知県西尾市で近藤副市長が、地元の名士でもあるスギ薬局の会長(70歳)と夫人(67歳)のワクチン接種予約枠を優先確保するよう担当部署に指示していたことが発覚。スギ薬局の会長秘書が市をつついて優先予約を取り付けたようです。事の発覚を受けて西尾市は急きょ夫妻の予約を取り消しました。――
これ、秘書が会長夫妻をおもんばかってやった話になってるけど、そんな使い古された言い訳通じないよな。しかもそれを副市長が受け入れて便宜供与したと。こんなことすると「会長、ワクチン先に打てるようにしましたから次の市長選は応援頼みますよ」って話になるんじゃないの?
この会長も順番があるんだから待ちゃあいいじゃない。待てないもんかね。少なくともわかるのは、薬局で売ってるクスリでは「我欲」は治せないってことだな・・・。
先に接種する自治体首長は堂々とすればいい
編集部)――続いて、神戸市ではワクチンを冷温で保管しなくてはならないのを怠りまして、常温で数時間さらしてしまいワクチン960回分をダメにしてしまいました。――
もったいねえなぁ~。貴重なワクチンだからね。覆水盆に返らず、ワクチン元に戻らず。関係者が深々と頭を下げて謝罪してたな。神戸だけにコウベを垂れました、ワクチンだけにチン謝しました、ってね(苦笑)。
編集部)――続いて、茨城県城里町では、医療従事者用のワクチンでキャンセルが出た分を、町長、副町長、教育長、町職員が先に接種していました。キャンセルを想定したリストは全てワクチン接種チーム職員用で、町長たちは含まれてなかったそうです。それに対して町長は「自分も医療従事者の一員」と釈明してました。ちなみにこの町長、高齢ではなく42歳と年齢的にまだ若く、そのあたりも問題視されています。――
ワクチンを無駄にしないってことでは、間違ってないよ。問題なのは、説明がなかったとか、後から発覚したとか、現場の医療従事者を飛び越して、首長たちが打っちゃったってことだ。公職に就く者がコソコソしちゃダメだよ。そうすると「抜け駆けだ」「特権だ」「コネだ」ってことになっちゃう。
町長なんだからもっと堂々とするべき。打ったなら打ったで、その時にハッキリ言えば良かったんだ。「町長でございます、ワクチンが余ってもったいないので、急きょ先に打たせて頂きました」って。今はネットですぐに発信できるわけだろ。すぐに公表すれば良かったんだ。
それをしなかったってことは、どこか後ろめたさがあったんだろ。この町長、株を落としたな。いざ、っていう時に医療従事者や町民よりも、自分を優先する了見が見えちゃったんだから。
編集部)――あと、兵庫県神河町の町長も接種初日に、対象年齢ではないけどワクチン接種が発覚。埼玉県寄居町も町長、副町長、教育長が「医療従事者等」という立場で、すでに2回接種してました。他にもあちこちの市町村で・・・――
まあ、どれもこれも説明不足なんだよな。ワクチン不足で、説明不足で、稽古不足を幕は待たない、♪恋はいつでも初舞台~~~って、梅沢富美男さんになっちゃったよ(笑)。
ワクチン接種をめぐって、ズル、コネ、ケンカ、小競り合い、こっちが先だ、こっちに寄こせ、人間のイヤな部分がむき出しになっちゃう。そういう人間のイヤ~な「業」が消えるワクチンがあればいいんだけどね・・・。
高齢者はモルモット!? 横行する陰謀論
しかし、ワクチンについては誰もが気になる話題だからか、誰かと会えばその話になるよな。しかもそれぞれに言うことが少しずつ違ったりしてる。
その中でさ、年寄りが先にワクチンを打つってのは聞こえはいいけど、裏を返せばあれは実験みたいなもんで、まだわかりきってない副作用や副反応を試している・・・なんて言ってる人もいたな。高齢者はモルモットみたいなもんだって。コロナは高齢者がかかると重症化しやすいから、高齢者から先にワクチンを接種しましょうってのが政府の方針だ。だけどその裏で、国民に伝えない話があるっていうね。
なるほどねぇ~、そんなこともあるのかねぇ~、と最初は思ったけど、ちょっと冷静に考えたらさ、ワクチンを一番先に接種しているのは最前線でコロナを扱う医療従事者たちだよな。だとしたら日本政府は大事な医療従事者たちをモルモット扱いにしてるっていう、あまりにもバカげた論になっちゃう。
世の中が不安で不満があふれてる時って誰もが疑心暗鬼になりやすい。誰かが得して自分は損してるって考えやすいんだよな。そうすると、自分の不安や不満をぶつけるように、荒唐無稽な話を半分信じちゃったりする。そういう時はさ、少し冷静になってみることだな。
まあ、大きく考えれば、こんな世界規模のウイルスなんて100年に一度の未曾有の災難だし、わずか1年足らずでワクチン作って、それを世界中に行き渡らせようとしてるんだからね。もはや、あれが実験、これが実験ではなく、すべてがすべて大実験なんだよな。
ワクチン開発も実験だし、自国のワクチンをいかに確保するかも実験だし、接種をスムーズに進める方法も実験だし、ズルしてでも先にワクチンを打とうとする誰かに、いかに対処するかも実験だ。
俺たちみーんな実験の世の中を生きているってことだ。「我先に」であさましい姿を見せてしまうのも実験の記録として刻まれる。また100年後にパンデミックが起きたら、100年後の人々は過去の資料を調べるよ。「ああ、100年前の人はこんなことをしてたのか・・・」って。そこで鼻で笑われてしまわないよう振る舞いたいね。
それじゃあ、100年後の誰かに届くよう、今の現代人のホンネを詠んだ一句を記しておこう、
『ワクチンを 打ってなりたい ラクチンに』 毒蝮三太夫
(取材構成:松田健次)