金の力<本澤二郎の「日本の風景」(4498)

<1000万円届けると「ワシが警察を止める」でめでたく当選した徳田虎雄>

 何事もこの世はカネで動く。真実である。金集めのプロが時代を動かしてゆく。ということは、すべからく「人は詐欺師になれ」ということか。安倍晋三という出自がはっきりしない人間ほど、このような時代風潮に染まっていくことに気付き始めた昨今である。

 安倍の脳天から足底まで知っている清和会OBは、世界最大の病院グループを率いた徳洲会の徳田虎雄の特別顧問をしていた。彼の大敵は日本医師会だった。政治屋と官僚を金で動かす医師会は、徳洲会病院の建設を忌み嫌っていた。徳田は自ら国会議員になるしかなかった。

 しかし、何度も挑戦したが当選できない。彼は清和会秘書会のボスを秘書に雇った。以下は彼の証言である。徳田の弱点は、金を使うと、それが即座に警察に伝わって選挙違反となって、後援会の活動が広がることがなかった。現職の保岡興治を崩すことが出来ない。

 

 特別秘書は一計を案じた。安岡が所属する当時の田中派は、国盗りを目指す金丸信―竹下登の野望が、派内の軋みを生じさせていた。東京農大の柔道部出身の金丸攻略に目を付けた。金丸に徳田を引き合わせる作戦を強行した。これが成功して、徳田は当選した。

 

 この時、徳田は1000万円を金丸に包んだ。事情を聴いた金丸は「わかった。警察を止めてやる」で決着をつけた。金丸夫人には「大島紬を差し上げた」ことも大成功だった。「将を射んと欲すればその馬を射よ」である。

 正攻法がいいに決まっているが、悪党の世界では、これが常態化している。そしていえることは、日本の警察の正体がものの見事にあぶりだされていることだ。国民の生活を守るという治安の組織も、永田町からの視線だと、この程度なのだ。ちなみに「木更津レイプ殺人事件」を捜査しない事情もここにある。ことほど公明党創価学会は、正義や法治と無縁のカルト教団であることを裏付けている。「日蓮大聖人の裏切り」と批判する顕正会に分があろう。

 

<徳洲会からむしり取った三文作家・石原慎太郎>

 三文作家で知られる石原慎太郎の貪欲さを、清和会OBは「一族で3人もが血税で莫大な金集めをしてきた」と指弾している。確かにそうだ。中曽根でも二人だ。3人も血税を乗っ取って、優雅な邸宅と高級ヨット所有を知っただけでも、反吐が出るだろう。しかも、台湾派で尖閣問題を浮上させ、日中関係を破壊した極右だった。それなのに亡くなると、NHKから他の新聞テレビまでが石原礼賛報道に徹した。実に不思議な光景だった。これほどこの国が国粋主義に飲み込まれてしまった証拠に違いない。その隠れ資産は天文学的と見られている。国税庁の出番であるが、果たしてどうなるか?注視する国民は多い。

 こんな輩ゆえに、都知事選に絡んで、徳田虎雄から大金をむしり取っていた。徳田の特別秘書の証言である。東京都に徳洲会病院はいくつあるのか。興味があれば調べるといい。4億円どころではない。

 

<患者から吸い上げる悪徳病院・日本医師会・厚労官僚の面々>

 医療福祉には莫大な金が動く。その一部をくすねる悪党が必ずいる。法律のスキをついて、その道のプロが実行するため、第三者はわからない。内部抗争でも起きれば、内部告発によって表面化するが、悪党の連携は固い。

 

 患者と国民は、健康保険と介護保険を強制的にむしり取られている。それは山となって基金化すると、株屋が手を出してきて投資に回していく。アベノミクスとは、国民のなけなしの金に両手を突っ込んで、それを財閥に回して株高を演じているが、下落すると、何もなくなる。そんな場面を迎えている。

 それはともかく、患者・国民の金をその道のプロは、ちょろまかすことで暴利を手にする。病院・開業医・医師会・官僚が連携することで、それが可能なのだろう。その代表格が徳田だったともいえる。

 全国の首長から政治屋に金を流し込んで、自らもバッジをつけて、かき集めた金で行政をゆがめ、動かしてゆく。

 

<「今だけ金だけ自分だけ」の腐敗社会を変革する道は、人の道教育>

 人間はおしなべて貪欲に生きようとする。「別格は中国の官僚」だとしても、庶民も真似ようと、詐欺師になって金に執着する。「介護の仕事は」と聞くと、必ず「待遇が悪い」と撥ねつけられる。

 カルト教団も金というご利益で人をつり、金を集める。こんな精神に追い込んで恥じない宗教も、とどのつまりは「金集め」に狂奔している。「おがみ屋は資本など不要」だ。弱くて貪欲な人間が、カルトに引きずり込まれるのだろう。無知からも来ている。

 信頼できる無神論者の法律家は「今だけ金だけ自分だけ」という言葉をよく口にする。現代人を見事に暴いている。その好見本が政治屋であろう。選挙に棄権したいが、それでも「ムサシ」という怪しげな投票機械のある場所に行かねばならない。結局のところ、幼くして人の道を教え込む家庭・学校・地域社会を作り上げることが、21世紀の人類の使命であろう。

2022年7月8日記(東芝製品・サントリー・トヨタ・テスラ不買運動の会代表・政治評論家・日本記者クラブ会員)