政治家・官僚・検察・メディアの闇権力とは 第6回 最終回
では鈴木宗男氏の場合の時代のけじめとは何なのだろうか。それは小泉内閣が内政においてはケインズ型公平分配路線(公共工事と福祉)からハイエク型傾斜分配型路線(新自由主義モデル、格差拡大)に転じたことである。族議員として鈴木宗男はもう古い議員なのだ。鈴木宗男氏は「政治権力を金に替える腐敗政治家」として断罪された。国民的人気(ポピュリズム)を権力基盤とする小泉政権では「地方を大切にすると経済が弱体化する」とか「公平分配をやめて格差をつける傾斜分配に転換することが国策だ」とは公言できない。そこで「鈴木宗男型腐敗汚職政治と断絶する」というスローガンなら国民全体の喝采を受けるとみたようだ。橋本龍三郎氏への日本歯科医師会の政治献金事件も格好の腐敗政治として宣伝され橋本氏と野中氏の政治的生命を絶った。外交的にも橋本・小渕・森と続いた国際協調的外交路線を、靖国神社参拝と北朝鮮の脅威と拉致問題の利用で排外主義的ナショナリズム路線へ一気に変換した。今回の国策捜査を命令したところ(小泉政権)が捜査が森元首相に及びそうになったところで突然捜査打ち切りを宣言した。そして2002年9月17日第1回公判がはじまり、鈴木宗男氏は2003年8月釈放、佐藤氏は10月に釈放された。2004年10月検察側求刑、11月弁護側最終弁論をへて翌2005年2月第1審判決となった。佐藤氏は懲役2年6ヶ月、執行猶予4年であった。
本書は分厚い割りに事実関係ばかり(といっても私には事実であるかどうか知りようもないが)で結構読みやすいので一日で読めた。鈴木氏は各所に反省の弁を入れている。箇条書きにまとめると
① 外務省をかばうあまり、官僚の不正や国民感覚のなさを知っていながら、これを正そうとしなかった点を深く反省する。
② 鈴木氏自体、国益が第1と国民的視線を忘れていた。外務省の特異性と思われることも国民の目には不正・腐敗である。
③ 個人情報保護法の対象として、政治家や高級官僚は対象から除外すべきである。彼らに私的活動は無いからである。
④ 政党資金規制法の政党助成金は官僚による政党活動管理に道を開き、政治資金報告書の記入ミスだけで政治家を逮捕起訴できる検察の介入を導いた。私的組織である政党が国家から金を貰うのは邪道である。政党助成金制度は廃止すべきである。
(完)
では鈴木宗男氏の場合の時代のけじめとは何なのだろうか。それは小泉内閣が内政においてはケインズ型公平分配路線(公共工事と福祉)からハイエク型傾斜分配型路線(新自由主義モデル、格差拡大)に転じたことである。族議員として鈴木宗男はもう古い議員なのだ。鈴木宗男氏は「政治権力を金に替える腐敗政治家」として断罪された。国民的人気(ポピュリズム)を権力基盤とする小泉政権では「地方を大切にすると経済が弱体化する」とか「公平分配をやめて格差をつける傾斜分配に転換することが国策だ」とは公言できない。そこで「鈴木宗男型腐敗汚職政治と断絶する」というスローガンなら国民全体の喝采を受けるとみたようだ。橋本龍三郎氏への日本歯科医師会の政治献金事件も格好の腐敗政治として宣伝され橋本氏と野中氏の政治的生命を絶った。外交的にも橋本・小渕・森と続いた国際協調的外交路線を、靖国神社参拝と北朝鮮の脅威と拉致問題の利用で排外主義的ナショナリズム路線へ一気に変換した。今回の国策捜査を命令したところ(小泉政権)が捜査が森元首相に及びそうになったところで突然捜査打ち切りを宣言した。そして2002年9月17日第1回公判がはじまり、鈴木宗男氏は2003年8月釈放、佐藤氏は10月に釈放された。2004年10月検察側求刑、11月弁護側最終弁論をへて翌2005年2月第1審判決となった。佐藤氏は懲役2年6ヶ月、執行猶予4年であった。
本書は分厚い割りに事実関係ばかり(といっても私には事実であるかどうか知りようもないが)で結構読みやすいので一日で読めた。鈴木氏は各所に反省の弁を入れている。箇条書きにまとめると
① 外務省をかばうあまり、官僚の不正や国民感覚のなさを知っていながら、これを正そうとしなかった点を深く反省する。
② 鈴木氏自体、国益が第1と国民的視線を忘れていた。外務省の特異性と思われることも国民の目には不正・腐敗である。
③ 個人情報保護法の対象として、政治家や高級官僚は対象から除外すべきである。彼らに私的活動は無いからである。
④ 政党資金規制法の政党助成金は官僚による政党活動管理に道を開き、政治資金報告書の記入ミスだけで政治家を逮捕起訴できる検察の介入を導いた。私的組織である政党が国家から金を貰うのは邪道である。政党助成金制度は廃止すべきである。
(完)