ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

中山氏再出馬を巡って宮崎県自民党分裂か  民主党付け入るチャンス

2009年07月26日 | 時事問題
朝日新聞 2009年07月26日
森元首相が中山氏支援を強調/宮崎1区
 不出馬宣言から一転、衆院への立候補を表明した宮崎1区の自民前職、中山成彬・前国土交通相らの講演会が25日、宮崎市であり、同じ派閥の森喜朗元首相が出席。1区の公認問題について「県連が決めた立候補予定者を党本部は(予定者と)受け止めていない」と、中山氏支援を強調した。
 一方、自民党宮崎県連緒嶋雅晃会長は「上杉氏を公認しないと組織が成り立たない」と改めて中山氏を批判した。
 自民の分裂が決定的となるなか、無所属で民主、社民などが推す川村秀三郎氏(元官僚)の陣営は同日、宮崎市の事務所で「結団式」を開いた。

「道州制」は地方政府を作るというのか、新手の官僚支配か?

2009年07月26日 | 時事問題
朝日新聞 2009年7月25日11時50分
道州制議論熱く…御手洗経団連会長と橋下大阪知事が対談
 日本経団連の御手洗冨士夫会長と大阪府の橋下徹知事が25日対談し、道州制について議論した。地方活性化や行政システムの効率化のために道州制は有力な手段で、実現に向けて国民の理解を深める必要があるとの認識で一致した。
 御手洗氏は、「(道州制の導入で)削減した人件費を新たな投資に回せば地域で新産業が興る」と住民へのメリットを強調し、「草の根運動で理解を広めたい」と述べた。橋下氏は「道州制を争点にしなければ選挙に通らないというぐらい、政治家に圧力をかける国民の後押しが必要だ」と述べた。

「道州制」の議論は官僚発だ 要警戒!
「道州制」という言葉は新聞で何度も目にしてきた。内閣官房「道州制ビジョン懇談会」の報告などが新聞の第1面を賑わしたのもつい最近のことである。むかしから地方自治体ではなく地方政府(課税権と立法権の独立した)ということは話題になってきた。どうもそういう議論ではないようだ。アンチ東京一極主義が議論の対象である。中央集権型統治は後進国向けの社会主義的開発プログラムでは極めて有効に機能したが、ヒト・モノ・カネ・情報が東京に一極集中する現在、東京だけが繁栄発展して、他の地域は衰退貧困化の格差に埋もれてしまった。
行政改革は長年叫ばれるだけで、三位一体改革は、逆に地方に混乱と疲弊をもたらした。公務員改革は骨肉抜きで、何の形にも実現しない。まさに「中央官僚強し」というか、そもそも権力を握っている連中が自ら大政奉還するわけがない。官僚政治家はそんなモラルは持ち合わせていない。官僚機構は無駄を通り越して腐敗の域にある。日本が今必要としているには是までの延長線上の行政改革・財政改革・公務員改革ではない。道州制については提起されて以来、賛否両論が渦巻いている。利害得失がはっきりしているので永遠に議論は止まないだろう。ただ地方が東京の税収からお流れを期待しているような哀れな状態は何とかしなければならない。

麻生首相 高齢者問題で又失言か? 選挙戦序盤 まだまだでてくるよ

2009年07月26日 | 時事問題
朝日新聞 2009年7月25日20時57分
首相が配慮欠く発言、鳩山代表「また失言」と街頭で批判
これまで業界団体回りをしてきた麻生首相は屋内で「身内」の会合を重ねた。一方の鳩山代表は街頭演説に重点を置いた。その中で首相から高齢者への配慮に欠ける発言が飛び出し、鳩山氏はさっそく批判。舌戦は熱を帯びている。
 首相は、日本青年会議所主催の横浜市での会合で講演した時に次のような発言をした。「65歳以上の人たちは元気に働いていられるという、健康を持っている人。介護を必要としない人は実に8割を超えている」と指摘。その上で「その元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは働くことしか才能がないと思ってください」と、高齢者を揶揄(やゆ)したとも取れる発言をした。

後期高齢者医療保険問題はどう見直したのか?
 2008年9月舛添厚生労働大臣と麻生首相は「後期高齢者医療制度」の見直しを約束したそうだが、化粧直し程度でお茶を濁すのか、法律を廃止して新法を作るのか、何処をどう改定するのかまださっぱり全貌は見えてこない。麻生首相の目線は高い。権力者が庶民を見下すような発言が次々出てくる。そして国民の総スカンをくう。自業自得と言うべきか。
 2008年4月制度施行によって1300万人が国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行した。扶養家族で世帯主の健康保険に入っていた高齢者が突然高額の保険料を請求され大騒ぎが発生したのである。政府は大半の人の保険料は安くなると云う宣伝をしたが所得の低い人ほど負担料が増えることが判明した。6月6日ねじれ国会の参議院で「後期高齢者医療制度廃止法案」が可決された。途中で75歳以上を後期高齢者と定義する根拠の政府説明が要領を得ず、「痴呆」、「終末期老人」と云う言葉に猛反発がおき、世間の8割が「後期高齢者医療制度」を評価しなかった(毎日新聞アンケート)。地方議会や日本医師会、全国保険医団体も制度の全面見直しを要求する決議や声明をだした。この制度の背景には高齢者人口の増加と保険料財政負担の増加がある事は隠す事はできない。現役世代と高齢者を分離した事自体が差別であるが、高齢者の現役世代と相応の負担を求める事も弱い者いじめになった。この制度により高齢者医療制度への支出を求められる健康保険組合の9割が赤字に転落する予定である。

読書ノート 江口克彦著 「地域主権型道州制」 PHP新書

2009年07月26日 | 書評
中央集権制を廃して、日本の新しい国のかたちを探る 第7回

中央集権システムにおける地方の限界 (3)

 地方自治体が中央政府に如何に制約されコントロールされてきたかを示す。地方自治の理念には相反する「自治の原則」と「均衡の原則」がある。自治の原則からすれば、特色あるカラーが出てきて当然なのだが、均衡の原則からは地方によってサービスのレベルが異なってはまずいという考えである。結局国の指導によってサービスは均一化され、そのためには国が地方に財政援助を行うのである。国はヒトからカネまで地方に供給するため、地方自治とは名ばかりの代行業務や出先機関にすぎなくなる。これを「集権的分散システム」といい、地方自治体の自己決定が国の全面的な関与によって制約されるが、公共サービスは地方自治体が供給するというシステムである。2000年4月以降「地方分権推進一括法」が施行されるまでは、自治体の仕事は「機関委託業務」、「団体委託業務」、「行政事務」、「固有事務」に分かれていて、地方自治体独自の仕事は「固有事務」だけであった。だから「一割自治」と揶揄されていたのだ。

 財政面から地方自治の限界を示す。地方自治の歳出は結構大きく、2005年度では国の歳出が40%、地方が60%であった。歳出だけを見ると分権が進んでいるようだが、歳入から見ると自前の税収入の割合が他国に較べて非常に少なく、国からの財政移転で埋められている。是は地方の責任ではなく、明治維新以来地方に税収権が与えられていないからに過ぎない。地方の自主財源である地方税の占める割合が約35%である。2007年度の地方自治体の歳入割合を見ると、一般財源が59%、特定財源が41%と大別され、一般財源では地方税が37.4%、地方交付税18.2%、地方特別交付金1.6%、地方譲与税2%、特別財源では国庫支出金12.8%、地方債11.2%、その他16.7%である。自治体は政府の許可なしには税を設定する事は出来ないし、地方税そのものも標準税率や制限税率なども勝手に決める事は出来ない。ところが地方にとってはありがたいことに、財政支出-財政収入=赤字(財政不足分)を普通交付税として国から供与されるのだ。また地方と国が協同して事業を行う時(義務教育、国政選挙、外国人登録、福祉、道路整備など)国庫負担金、国庫委託金、国庫補助金という国庫支出金が与えられている。こうなると国と自治体の責任の所在は不明瞭になり、交付を通じた国の関与が地方自治体の自主的な行財政運営を大きく縛っている事になる。事務処理も煩雑になり、事業毎の国のタテ割り行政の弊害を地方が受けるのである。事業負担率や認証基準を巡って陳情の対象となりやすく、利益誘導を招いて官僚出身の自治体首長が暗躍する母体になっている。
(続く)