この村上牛の炭火焼はサーロインの部分で、そのままでも十分美味しいのだが、お好みでゲランドの塩か、からし醤油を付けて食べて下さいとのこと。両方で味わってみたがどちらを付けて食べても美味しいお肉だった。この村上牛は新潟県が誇るブランド牛で、先のG8サミット労働相会合の晩餐会にも出されたほどだ。もう一つの焼き物は鯖の棒寿司を焼いた、いわゆる焼き鯖寿司。これも美味しかったあー!
気がつくと、カウンター席は、男性二人連れが二組と女性の二人連れが一組、そして調査員の合計7人でほぼ満席になっていた。
どうでしたか、今回のホテル吾妻さんの宿泊体験記。これから佐渡への観光旅行を計画し、いいお宿を探している皆様のお役に立てたでしょうか?一泊2食約6万円のお部屋と12,000円のお部屋とでは快適度や満足度に差が出るのはいた仕方がない。しかし、両方の部屋のお客に対するホテル吾妻の従業員の接客態度やサービスに差があるわけではなかろう。本当のもてなしの心と言うものは誰に対しても均等に発露するものだからだ。マスメデイアが取材目的で来館する際は事前通告がある。従ってホテル側にもあらかじめ心の準備が出来ているので、従業員は万事そつなくこなすかもしれない。しかし今回は抜き打ちの訪問であったため、案の定いくつかのボロが出た。しかしそのボロは今後の経営改善に役立つボロだったのではないだろうか。ホテル吾妻さんに対しては随分と失礼な物言いもしてしまった。これらに関してはお詫び申し上げたいと思う。しかしながら、あえてそのようなことを申し上げるのは、ホテル吾妻さんが佐渡を代表する宿泊施設として発展し、より一層のサービス向上に努めて頂きたい、そう心より願うからに他ならないのです。
このホテル吾妻さん、数年前には一時経営が傾いたため、民事再生法を申請した。そして見事に再出発を果たしたと聞いている。一旦どん底を見、そこから這い上がってきた企業というのは強い!しかるに挫折を知らず、いまだに百万人観光の時代の夢を追い続け、旧態依然のサービスを繰り返す大型ホテルが島内にはまだ何軒かある。十年後、このうちいったい何軒が生き残っているのであろうか?
長かった「ホテル吾妻」の宿泊体験記は今回を持って終了いたします。
朝食後、ホテルの前庭を散歩してみた。お庭には芝生が敷かれていて、お庭から階段を降りて、直接海岸へ出ることができるようになっている。このような構造になっているのは、調査員の知る限り、佐渡フイシャーズホテルとホテル吾妻くらいではないだろうか。海岸はごつごつした岩場で、海水浴には不向きだが、簡単な磯遊び程度はできそうだ。親子連れが何組か散歩していた。海岸へ向かう階段の所で、磯蟹らしきものを発見!画像1は草の影に隠れてこちらの様子を窺う蟹さんをズームインして撮影したものです。敷地内には、この宿に逗留した俳人の山口誓子の歌碑などもある。
お庭の西側には館外に設置した貸切露天風呂が二つあった。日本海に沈み行く夕陽を眺めながら温泉に浸かるという趣向だ。こういう形式の露天風呂は、ホテル大佐渡などにもあるが、こちらは館内に付設してあり、貸切ではない。貸切の露天風呂は「佐渡グリーンホテルきらく」さんにもあるが、こちらは、加茂湖を眺めながら入浴できるとはいえ、夕陽の沈む彼方は金北山だ。地理的には、七浦海岸の最西端に位置する宿泊施設が「夕陽に一番近い宿」なのかもしれない。しかし、ホテル吾妻さんの言うところの「夕陽に一番近い宿」というコンセプトは、日本海に沈み行く夕陽を心地よくまじかに堪能できるお宿と言う意味なのであろう。お部屋しかり、露天風呂しかりということなのだ。この辺のこだわりは実際にホテルに宿泊してみないと分からないものなのである。
午前7時に朝食が運ばれてきた。秋秋刀魚のはしりであろうか、これを蒲焼にした一品が抜群の味付けであった。ホテルみさきの冬秋刀魚の蒲焼よりも脂がのっている分、旨みが増している。旬を先取りした献立はさすがである。いごねりは早助屋製で生姜醤油がかかっている。玉子焼きは板さんが焼いたばかりの熱々!そして、たらこと大根おろし、烏賊のお刺身、香の物。これにオレンジジュースとお茶。更に、加茂湖産の旬のアサリのお味噌汁とめかぶのお雑炊まで付いていた。全て美味しい!見た目も味も都心の高級ホテルの和朝食と遜色がありません。何となくパークハイアット東京の梢の和朝食を思い出した。これでホテルオークラの和朝食の半値の1,575円!激安です!おーっと、これで驚いていてはいけません。もう二品、海苔と納豆まで付いていた。納豆は茨城のシンコーフーズという会社の製品。私にとっては余分でしたが、「お好みでお召し上がり下さい」との仲居の弁。
ホテル吾妻の朝食に対する私の評価は勿論★★★です。全く手抜きというものを感じませんもの。朝食だけでの比較しかできなかったが、吾妻さんのお料理は旅館浦島さんのそれを遥かに凌駕していた。
「佐渡の語り部」という名前によく似た名前の某ブログサイトがあります。そこのコメント欄に、「板前が最も力を入れる夕食で評価せずに、朝食だけでその宿泊施設のお料理のレベルを評価するのはおかしい」と言った趣旨のコメントを書き込んでいた人がいた。夕食に力を入れる板前のいる宿泊施設ならば、朝食とて決して手抜きはしないものだ。裏を返せば、朝食で手抜きをしたがる宿泊施設は夕食に関してもどこかで手を抜いたお料理を提供している可能性が高いのだ。これは調査員の経験則から割り出した定理と言ってもいいかもしれない。従って、その宿泊施設のお料理のレベルの評価は朝食だけでも充分可能なのです。夕食を豪華にするからその分朝食は簡素なものになっても我慢して欲しいという態度がみえみえだと、豪華な夕食は質素な朝食を食べさせるための免罪符でしかなくなるのではないだろうか。
お部屋には、ホテルニュー喜八屋と同じく、顧客満足度調査のためのアンケート用紙が置かれてあった。このホテルはお客の不満や要望を吸い上げるシステムをきちんと確立している。このブログで低い評価に終わっただけで、その宿泊施設の擁護派と思われる輩が、当ブログに宛てて、単なる嫌がらせやいいがかりとしか思えないようなコメントを寄せたり、全く無関係な他のサイトに、当ブログに対する誹謗中傷めいた攻撃発言を繰り返しているようだが、このホテル吾妻さんは、そのような輩が支持する宿泊施設とは全く格の違う大人のホテルである。
CS調査をきちんと行う宿泊施設や、客の不満や苦情を吸い上げて、それを経営改善に生かす努力をしている外食産業は、例外なく成長している。逆に、自分の腕前に自信を持つ料理人ほどそうなのだが、自身の作った料理にケチをつける客の意見には耳を傾けようとはしない。自身にとって耳の痛い辛辣な意見ほど素直に聞くべきものなのだが、頑固一徹で意固地な料理人ほど、そうした意見を汲み取ろうとする度量に欠けている。自分の作る料理に満足する人だけに来てもらえればそれでいいと考えているのかもしれないが、そのような料理屋はそこそこ行くかもしれないが、長い目で見ると、客の心は次第に離れていってしまうものなのである。
話は少しそれたが、このホテル吾妻は、快適度は勿論。お料理の内容も抜きん出ている。加えて客からの苦情や要望を機敏に吸い上げる度量を有し、それらをサービスの向上に生かすという努力を怠らない。宿根木の花の木さんが低価格路線ながら、質の高いお料理と快適さで、リピーターの数を増やしているが、このホテルは、標準価格帯の上に更に高級路線を加え、都会の富裕層の取り込みにも成功しているようだ。ホテル吾妻は、花の木さんと佐渡で1、2を争う素敵なお宿であると断言して間違いはなかろう。
ホテル吾妻のロビーには、24時間使用可能なパソコン(マッキントッシュ)が置いてあります。普段使用している機種とは違うので少し使いづらいのですが、ちょっとした情報を得るのには便利なツールです。閲覧用のブラウザーはサファリ。このようなサービスは佐渡両津のシーサイドホテルさんでも展開していましたね。このようなサービスに出会ったのはこのお宿が2件目です。夕食を終えて8時半頃に、ロビーでパソコンを操作していたら民謡ショウが始まりました。
夏休みとあって、家族連れがほとんどです。お子さん方は皆さん大変お行儀がよろしい。親子共々、このホテルの客層はおよろしいようです。パソコンがフリーズしたため、再起動をかけたら、インターネットへの接続ができなくなった。何度やっても同じことだったので諦めて、席を離れたら、小学6年生とおぼしき賢そうな男児がすーっとパソコンの前に座り、いとも簡単にインターネットに接続しているではありませんか。調査員がこの男児に「僕、どうやって接続したの?」と尋ねたら、「この磁石マークをクリックしたらできました。あのおーお使いになりますか」との親切なお返事。調査員は、「いえいえけっこうです。どうぞそのままお続け下さい」と言って部屋へ戻った。非常に躾けが行き届いているなあーこの子。何だかほのぼのとしたものを感じた調査員だった。