佐渡の翼

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民宿「はやし荘」(佐渡市真更川)    投稿者:佐渡の翼

2011年11月18日 04時01分06秒 | 佐渡のお宿評価

10月9日、筆者は馬首集落を出た後、内海府海岸道路を北上し、北小浦で山居道へと入り、大佐渡山脈をショートカットして真更川集落に到達し、集落内にある民宿「はやし荘」に午後5時丁度に到着した。事前に民宿の方から宿泊確認の電話を頂いており、その際、夕食時にご飯は不要と伝えておいた。車から降りると宿のおばあさんが出迎えてくれ、2階のはまなすの間と言う8畳間に案内してくれた。お風呂に入り、午後6時頃から夕食開始。夕食会場には二人前のお料理がテーブルを突き合わせるような形で並んでいた。本日のもう一人の宿泊客と相席にしてくれたのだ。相席のおじさんは金のネックレスをぶら下げ、ヘアバンドなどをした若作りの還暦おじさんだった。このおじさん、筆者の氏素性、佐渡への来島目的、年齢、職業などを尋ねる事は一切せずに、ひたすら自身の身の上話を続けた。新潟の巻町から2年ぶりに佐渡を訪ねて来た釣り客だと言った。そして昨日からこの民宿に一人で泊まり込み、釣り三昧の毎日を送っているそうで、明日の午後4時5分発のカーフェリーで新潟に戻ると言った。

 

テーブルの上には鶏だか豚だか分らぬ肉を揚げた物以外は全て真更川の海で本日獲れたばかりの海の幸が並んでいた。アワビとさざえを煮た物には味噌が塗られていた。まずこれを一口食べてみたら、いや美味いのなんのって、もう言葉が出ません。煮魚も美味し!還暦おじさんは「こりゃソイかなあ~、食べてみれば分かる」と言いつつ齧ってみたが、「う~ん、何だろう?」、そして魚をひっくり返し、「この半身でしょ」と言いながらなかなか魚種を当てられないでいた。すると民宿のおじいさんが筆者用の瓶ビールを持ってきたので問うてみたら「それはめばるだ」と言った。おじさあ~ん、釣りマニアだとか言ってるけど、本当に大丈夫かあ~。お刺身は、本日、宿の主人が釣ったばかりの「ワラサ」である。やがてこのご主人もやってきて日本酒を飲みながら、我々の会話の輪に加わった。ベテラン漁師のご主人、林さんは「12月に獲れる寒ブリは脂が乗りすぎていて、2~3切れ食べると口の中が脂だらけになり、それ以上進みにくくなる。だから口の中をさっぱりさせるために大根おろしを添えるのだ」と言い、「今日のワラサのようにさっぱりとした脂身の方がむしろ美味しいよ」と続けた。確かに夏鰤とも称されるワラサはほんのりさっぱりの脂の乗りで実に美味い!筆者が、「これをカツにしてしまったら、せっかくのこの旨みが抜け落ちてしまい美味くもなんともなくなりますよねえ~」と言うと、ご主人は、頷きながら「ブリカツは佐渡の人には評判悪いですよ。僕もご当地グルメと言う事で夏に食べてみたんだが、生臭くてどうしようもなかった」と応じた。筆者が生臭い理由を問うと「夏は冷凍物を使用する場合が多いからさ」と答えた。夏はワラサやいなだの水揚げが少ない日もあり、冷凍物や他県産のそれらを使用しないと観光客の需要に応じきれないと言うのが真相のようなのだ。筆者が8月にブリカツバーガーを食べた時に生臭さを感じたのは冷凍物を使用していたからなのだとようやく合点がいった。御主人は「鰤は刺身で食べるか、表面を軽く炙って食べるたたき風がベストな食べ方」だと断言した。還暦おじさんは「10キロ以上なければ鰤とは言わんからね。佐渡ではキロ千円で取引されるが築地に直送すればキロ三千円になる。だから仲買人がほとんどの寒ブリを買い占めて築地に送る。冬に佐渡へ行って寒ブリにありつけない理由はそれさ」と続けた。おじさんはビールには枝豆が合うだろうと言いながら、自室に戻り、クーラーボックスから取り出した茹でた黒崎茶豆を持ってきて筆者に勧めた。この茶豆が一番美味しかったよ、おじさん。もずく、いごねり、漬物、野菜・あらめ・油揚げの煮物などを肴にビールを一本飲み干してしまった。還暦おじさんは、「粟島ってあるでしょ、あそこは福田組が公共工事を一手に請け負っているので通称福田島と言われてるんだよ。でも佐渡は近藤組が牛耳ってはいるが近藤島とは言わねえよなあ~」「釣りはさあ~、気が短い人に向いてる遊びなんだよ、だって釣れないとなると、ちょこまか針や餌を変えてみたり、竿の位置をずらしてみたりと色々釣れるような工夫をするからさ。ところであんた血液型は何型?俺はA型よ、Aは釣りに向いてんだ」「自動車の修理会社の社長をしてましたけどね、前妻に会社の金6億もってかれて、今は無一文。それでも何とか生きてますよお~。この「はやし」さんの人情味はねえ~、俺の心のよりどころ、癒しの場なんですよお~」と涙ぐみながら語りだし、「タバコ吸ってもいいですか?」と言いながら7本目のお銚子を空にした。筆者はここが潮時と判断し、おじさんに「ご高説の数々有難うございました」と礼を述べ部屋へと戻った。



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