転妻よしこ の 道楽日記
舞台パフォーマンス全般をこよなく愛する道楽者の記録です。
ブログ開始時は「転妻」でしたが現在は広島に定住しています。
 



先日、青木るえか著『主婦の旅ぐらし』を読んでいたら、
『「夜は左手」ってなんだ?』というページがあった。

白洲次郎が亡くなる直前のことを書いた、夫人の正子の文章に、
「ベッドへ入る前に、看護婦さんが注射しようとして
『白洲さんは右利きですか』と問うと、(次郎は)
『右利きです。でも夜は左……』と答えたが、看護婦さんには通じなかった」
というのがあるのだそうで、青木るえか氏は
「これが私にも通じなかった。夜は左手ってなんのことだ?」
と書かれていた。

私も、『夜は左手』という言い回しは知らなかったが、
特に夜とかけているのだから『晩酌をする』の意味ではないかなと考え、
主人に訊いてみた。そうしたら、
「そだよ?酒飲みのこと『左党(さとう)』っての、あんた知らん?」
と主人はさも意外そうに言った。

そうだったのか(汗)。
いや私は酒は全然、一滴も飲まないので。
って関係ないか。

しかしなぜ「左」であるかについては、諸説あるようだ。
酒好きはなぜ「左党」?
左党の左の意味もとさかや酒店

いやはや、ごろ寝して『主婦の旅ぐらし』を読んだ御陰で、
私は、ひとつ賢くなったことだった(笑)。
簡単な語彙で、実に面白い表現ができるものだと改めてわかった。
『主婦の旅ぐらし』そのものは、平成16年に出ているので、
青木氏も今は既に、『夜は左手』の意味を解明されているかもしれない。

しかし、夜は左手……、だけでなく、私はこの本の御陰で、
もうひとつ、新しいものに興味を持つことになった。
それは白洲次郎を語る箇所で登場した、白洲正子だ。
白洲正子と言ったら、私のイメージでは、昔バブリーだった頃、
能や着物や骨董に目覚めた女の子たちが、喜んで読んだ作家、
……だったのだが、青木氏の定義はそんなものではなかった。
青木氏は、彼女の自伝を絶賛し、推薦なさっているのだ。
家柄バアさん昔語りモノのベスト5の筆頭として(爆)。
また青木氏は、『森茉莉と白洲正子の対決が見たかったのに』
という意味のことも書かれていた。
どちらも自分の生まれに自信満々、美意識にも相当なものがあるが、
その方向が全然違うように思われる、と。

それで私は昨日、買い物のついでに書店に寄り、さっそく、
白洲正子自伝』を買ってきた。
これが今夜から私の、ごろ寝読書の友だ。
白洲正子が、ブっ飛んだ世界をきっと見せてくれる筈だ、
と私は期待している。
これが面白かったら、森茉莉の『父の帽子』も読んでみようかしらん。


後日記:『白洲正子自伝』読後感想は、こちら

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