最近、暇を見ては、古い衣類を整理するようにしているのだが、
きょう、押入の奥のほうから、姑の使っていた肌着類を出してみたら、
綺麗なキャミソールとか、お洒落なネグリジェなどがいろいろとあって、
私はとても感心してしまった。
私の記憶にある元気な頃の姑は、確かに、普段から身綺麗な人で、
外出しない日でも朝からきちんとお化粧しているような老婦人だったが、
洋服やアクセサリーだけでなく、下着や寝巻きも、
こうして様々に選んで装うほどお洒落な人だったのだ、と改めて思った。
もし私が年老いて、娘が私の衣類を整理することがあったら、
彼女は、きっと、ほとほと呆れるだろうと思う。
恥も外聞もないオバシャツ各種、裏起毛のスウェット、
ヨレったレッグウォーマー、猿股かと訊きたくなる奇妙なスパッツ、
水虫用ではなく防寒用の五本指ソックス。
こんなものばかり後生大事に……、と娘は脱力するだろう。
ま、私がある意味、とんでもない人間だということは否定しない。
娘はその点については、諦めるべきだろうと思う。
しかし一方で、このくらい驚くには当たらない、とも私は内心で思っている。
というのも、私の父方の祖母が、実におかしな下着を愛用していたからだ。
後にも先にも、あんなものを私は目撃したことがない。
私程度では、とてもじゃないがあの奇抜さには叶わない、と思う。
それは、女性用ショーツの、要するに股の部分に、
自分で切り込みを入れ、開閉できるように改造したシロモノだった。
祖母は、この加工済み下着を「パンツ」ではなく「パンスー」と呼んで、
常に愛用していたのだ。
なぜパンスー?それは、どっから来たネーミング!?
西暦1900年生まれだった祖母は、とっくに土に還ってしまったので、
残念ながら、パンスーの起源その他、各種の謎は迷宮入りだ。
惜しいことをしたと思う。もちょっと追求しておけば良かった。
あまりに見慣れていたので、当時はうっかりとこちらが鈍感になっていた。
などと思いながら、なんとなくネットで検索してみたら、
「特殊Tバック」とか「玉付きショーツ」等の妖しい下着を売っている某HPに、
『クロッチ部分がスライドするショーツ』が「イチオシ」として掲載されていた。
私は、しばし呆然とそのページを眺めていたが、俄に
『それの正式名称はパンスーかもしれません』と投稿したい衝動にかられた。
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