あるニヒリストの思考

日々の思いを綴る

情念と理念(自我その77)

2019-04-04 19:35:09 | 思想
大衆は、情念によって動く。情念とは、心に深くまとわりつく悲喜・愛憎・欲望などの激しい感情を言う。ヒットラーは、ドイツ人の愛国心を利用し、ユダヤ人を直接の敵とすることによって、団結力を高め、ヨーロッパ各地に攻め入った。日本の明治以来の政治家・軍人の軍国主義政府は、日本人の愛国心を利用して、朝鮮・中国を直接の敵とすることによって、団結力を高め、中国大陸に攻め入った。それにアメリカ政府が異議を唱えると、アメリカに戦争を仕掛け、完膚なきまでに叩きのめされた。しかし、戦後になっても現在においても、大衆の朝鮮・中国憎しの気持ちは変わらない。だから、朝鮮・中国憎しの自民党政権が長期政権を維持し、朝鮮・中国憎しの頂点にある安倍晋三政権が現在三期目に入っているのである。戦後の自民党政権は、朝鮮・中国に対抗するために、アメリカに力を借りようとし、媚びを売り続けているのである。日米同盟と言うが、決して、そうではない。アメリカと日本は主従関係にある。もちろん、アメリカが主人で、日本は家来である。いや、日本は奴隷と言っても良いだろう。日本政府は、アメリカ軍関係者に、主婦や若い女性が殺され、女子小学生や若い女性がレイプされても、アメリカ軍に基地を自由に使わせているのである。日本政府は、アメリカ軍と自衛隊が共同して戦う場合の指揮権をアメリカ軍将校に委ね、アメリカ軍基地の設置場所・軍事訓練場所・軍事訓練時間をアメリカ軍の選択に任せ、アメリカ軍基地の軍事費用の七割を負担し、アメリカ軍人の日本への出入を自由にさせ、アメリカ軍に基地での核の保管と日本への核の持ち込みを許し、アメリカ軍基地からの他国への出撃を許しているのである。世界に、こんな国はどこにあるだろう。日本は独立国ではない。隷属国にしてもほどがある。アメリカの完全な奴隷国である。これらの奴隷事項は、吉田茂首相、岸信介首相、佐藤栄作首相が、アメリカ政府と密約で決めたものである。吉田茂は麻生太郎副大臣の祖父であり、岸信介は安部晋三首相の祖父である。佐藤栄作は岸信介の弟である。岸信介は、太平洋戦争を起こした東条英機内閣の商工大臣であり、当然のごとく、戦後、A級戦犯に指定され、数年間、巣鴨刑務所に入っている。安倍晋三首相はこの岸信介・佐藤栄作に繋がり、麻生太郎副大臣はこの吉田茂に繋がり、自民党議員全員が戦前の軍国主義政府家に繋がっているから、朝鮮・中国憎しの情念を受け継いでいるのである。かてて加えて、安倍晋三首相は、集団的自衛権でアメリカの戦争に自衛隊を送ることを可能にし、特定秘密保護法で密談・密約を結ぶことを自由にでき、国家安全保障会議で首相・外相・防衛相・官房長官の四者で戦争を起こすことができるようにした。それでも、大衆は、安倍晋三政権を支持しているのである。愛国心による、朝鮮・中国憎しからである。戦後の大衆も、戦前の大衆の朝鮮・中国憎しに繋がっているのである。アメリカ政府・アメリカ軍によって、徹底的に、日本が収奪されているのに、朝鮮・中国憎しから、それに気付かないのである。愛国心があれば、むしろ、アメリカ憎しとならなければいけないのに、アメリカを友好国、同盟国だと思っているのである。そして、ネットで、朝鮮・中国を盛んに誹謗中傷しているのである。戦前の大衆も哀れであった。太平洋戦争において、兵士は、戦闘死よりも餓死・病死の方が多かった。戦闘の苦悩を、中国人の虐殺・レイプ・略奪、朝鮮人女性・中国人女性の慰安によって、忘れようとした。日本の占領地がアメリカ軍に占領されようとなると、民間人の大人はもちろん未成年の男女まで、日本軍人によって、青酸カリ・手榴弾で自決するか、岸壁からの投身自殺を強要された。日本国内では、軍事政府によって、食糧・金属類が巻き上げられ、軍需工場で働かされた。選挙権のない若者六千人が、16歳の未成年者であろうと、飛行訓練を十分させてもらえないうちに、敵艦に特攻死するよう強要され、命を失った。戦後、日本の兵士はよく戦ったと日本人同士で慰め合っている。しかし、戦争でよく戦わない国民は存在するだろうか。日本の兵士や特攻隊員の死があったから、戦後の日本の繁栄があると言う人も多い。しかし。太平洋戦争を起こさず、日本人兵士の死も無く、特攻隊員の死もなければ、もっと、日本は繁栄していただろう。戦前の大衆も、愚かだった。軍国主義政府・日本軍によって、マスコミに扇動され、天皇の赤子という言葉に動かされ、愛国心に駆り出されて、中国・アメリカ憎しの気持ちで、勝てるはずのない中国・アメリカと戦ったのだから。戦前の大衆にとって、太平洋戦争は自業自得の戦争であった。そして、戦後の大衆も愚かである。自民党政権によって、産経新聞。読売新聞などのマスコミに扇動され、愛国心に駆り出されて、戦前の大衆の情念を受け継ぎ、朝鮮・中国憎しの気持ちで、アメリカ軍の指揮の下、アメリカの戦争に巻き込まれようとしているのだから。戦後の大衆にとって、これからの戦争は自業自得の戦争である。しかし、戦前においても、真の知識人は、命を賭けて、戦争に反対した。そのため、特高や憲兵によって、百人以上が拷問死している。これからも、真の知識人は、命を賭けて、戦争に反対するだろう。それは、彼らは、情念ではなく、理念で行動するからである。理念とは、物事がどうあるべきかについての根本的な考え方を言う。似非知識人は、情念で考えるから、短絡的な愛国心で、安倍政権を支持するのである。しかし、真の知識人は、理念を基に、自らの真理のために生き、そして、死ぬのである。それは、ガンジーが言ったように、自分の力では政治は変えられないかも知れないが、政治によって自分が変えられないようにするためである。