おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

哭声/コクソン

2021-02-17 08:08:23 | 映画
「哭声/コクソン」 2016年 韓国


監督 ナ・ホンジン
出演 クァク・ドウォン
   ファン・ジョンミン
   國村隼
   チョン・ウヒ
   キム・ファニ
   チャン・ソヨン

ストーリー
のどかな田舎の村。
いつの頃からか、山の中の一軒家に一人の日本人(國村隼)が住み着き、村人たちの間にこのよそ者に対する不気味な噂が広まり始めていた。
彼がいつ、なぜこの村に来たのかを誰も知らなかった。
男についての謎めいた噂が広がるにつれて、村人が自分の家族を惨殺する謎の猟奇事件が連続して発生する。
殺人を犯した村人は、必ず濁った眼に湿疹で爛れた肌をして、言葉を発することもできない状態で現場にいるのだった。
気のいい村の警察官ジョング(クァク・ドウォン)は、よそ者の日本人が関係していると睨んで捜査を進めるが、ある日自分の幼い娘ヒョジン(キム・ファニ)にも犯人と同じ湿疹を発見する。
ジョングは娘を救うためによそ者を追い詰めていくが、そのことで村は混乱の渦となっていき、事態は思わぬ展開に向かっていく。
悪霊にとり憑かれた娘だけは何としても守らなければと、祈祷師のイルグァン(ファン・ジョンミン)を村に呼び寄せるジョングだったが…。


寸評
多発する猟奇的殺人の謎解きから始まり、話が進むにつれてこれはゾンビ映画かと思わせ、その次にはこれは韓国版「エクソシスト」だと思わせる展開はまったく先が読めない。
緊迫感にあふれ、おぞましく、迫力満点の映像が凄い。
「う~ん、韓国映画だ!」と叫びたくなってくる。
事件を担当するのが気のいい警官のジョングなのだが、このような警官はアメリカ映画には登場しないし、もちろん日本映画にも出てこない。
気がいいというより、どこかバカっぽいのだが、韓国映画ではこの様な警官の存在に違和感を感じない。
喜劇映画なのかと思わせるような笑いを誘うシーンがあったかと思えば、血糊べったりで全身に湿疹が出ている死体が登場して顔を背けさせる。
そしていよいよ、國村隼演じる謎の日本人が登場して猟奇趣味が一気に噴き出す。
パンツ1枚だけの裸で四つん這いになった國村隼が生のシカ肉をむさぼり食らいついているのだ。
冒頭では宗教映画の一面があるようなことを匂わせていたが、僕はこの時点で怪奇映画の世界に迷い込んでしまった。
この國村隼の異様な姿がジョングの悪夢だったり、村人の噂を映像化したものへと変化することで謎と恐怖を増幅している。

ジョングは娘を守るために頼りない男から強くなっていくが、強くなるだけでなく凶暴になって、家族を守るためにジョングは変貌を遂げていく。
娘にとり憑いた悪霊を追い払うために祈?師にすがるのは、まるで「エクソシスト」なのだが、あちらはシンプルな展開だったのに対し、こちらは非常に複雑だ。
祈祷師のイルグァンが登場してからの映像は益々迫力を増していく。
國村隼の怪演もすごいが、ファン・ジョンミンの祈祷師もすごい存在感を見せる。
登場人物は神なのか、悪魔なのか、善か悪かもわからず物語が混とんとしてきて僕の頭はパニック状態だ。
祈祷師と悪魔の対決があり、ヒョジンは悶え苦しむのはオカルト映画の王道的描き方だが、そこから「えっ?」となる展開で驚き、更にまた「えっ!」となる展開で僕の頭のパニックは治まらない。
事件の真相や謎は解明されずに終わるので、見終わってからのカタルシスは感じ取れないのだが、それを凌駕する余韻を残す結末である。
悪魔は人を疑ってしまうという我々の心の中にこそ潜んでいるのかもしれない。


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