「ひとりぼっちの青春」 1969年 アメリカ
監督 シドニー・ポラック
出演 ジェーン・フォンダ マイケル・サラザン スザンナ・ヨーク
ギグ・ヤング レッド・バトンズ ボニー・ベデリア
ブルース・ダーン ロバート・フィールズ
ストーリー
1932年、不況真っただ中のアメリカ。
ハリウッドに程近い海岸のダンスホールで賞金のかかったマラソン・ダンス大会が開催される。
世の中は失業者の群れでいっぱいだったが、その中の1人、ロバートはマラソン・ダンス場に流れこんだ。
マラソン・ダンスとは1時間50分踊って、10分休憩し、昼夜ぶっ通しで踊り続け、最後に残った者に賞金が与えられるものであった。
プロモーターはロッキーで参加者を募っていた。
参加者のグロリアは連れが病気で困っていたが、ロッキーがロバートと組ませてダンスが始められた。
グロリアとロバートは踊り続けるうちに次第に心安くなっていた。
ダンスは数日間続けられ、脱落者も増えていったが興奮は高まっていった。
見物人を楽しませるための「ダービーレース」が取り入れられた。
それは4組のダンサー達の耐久力比べで、最後の1組が勝ち残るレースであった。
ロバートとグロリアも参加したが、やがてロバートは足の筋がつって踊れなくなった。
グロリアは、今までの苦労が水の泡になると言って彼を引きずって踊った。
ロバートはヘトヘトになり、彼女から離れてアリスと休んだのでグロリアは怒っていた。
やがて「ダービーレース」でアリスと組んだ船乗りが心臓発作で倒れた。
ロバートとグロリアは和解して再び組んだ。
ロッキーは2人に余興として結婚式を挙げれば1,000ドルの報酬を出すという話を持ちかけた。
しかし式の費用は2人持ちとなっていて、2人はかつがれていた。
優勝しても一文にならないことを知ってグロリアは怒って出ていき、ロバートは後を追った。
2人の精神状態はついに限界に達し、グロリアはロバートに殺してほしいと頼み、彼は彼女の頭を拳銃で撃ち抜いた。
近づいた警官に、彼は子供の頃の記憶を思い出して「廃馬は撃つものでしょう?」と語る。
寸評
1930年代、不況下のアメリカを舞台に、高額の賞金を求めて当時流行したマラソン・ダンスに参加した男と女の執念を描く。
何日間も不眠不休で繰り広げられるマラソン・ダンスで、ふとしたきっかけから、ロバートとグロリアはパートナーを組み踊る事になった。
賞金を目当ての参加者は、身重の女、船乗りなどさまざま。
ダンスが上手とか、二人の息があっているとか、そんなことは関係ない。
最後まで踊り続けた人が勝ちというのがマラソン・ダンス大会で、最後まで残ったカップルに1500ドルの賞金が与えられる。
過酷なレースは参加者を次々と振り落としていく。
時間の経過に伴って心身共に激しい疲労にさいなまれ、まともに立っていることもできない。
参加者はうつろな表情で、よたよたしながらなんとなく体を揺らしているだけとなってくる。
一人で立っていることもできず、パートナーに寄りかかってなんとか倒れずに済んでいるという状態だ。
とてもダンスとは言えず、ただ、ゆらゆら、ゆらゆらとしているだけだ。
このダンスシーンの描写のすごさが最後の海を引き立てている。
踊り続けて、疲労でぼろぼろになっていく参加者たちを、観客が喜んで見ている。
他人の不幸を楽しめてしまう人間の醜さだ。
狂気じみた競技に参加する人々、それを観戦する人々、どちらも狂っている。
やっと勝ち残った勝者が手にした賞金とは・・・。
ジェーン・フォンダの冷たく鋭い眼差し。
深く冷たい画面のトーン。
次のシーンの音声がかぶりながら切り替わる画面の不安感など、私は一級品だと思っている。
二人の行動によって、冒頭で馬が撃たれて倒れるシーンの意味が分かる。
邦題はいただけない。
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