「カンバセーション…盗聴…」 1973年 アメリカ
監督 フランシス・フォード・コッポラ
出演 ジーン・ハックマン ジョン・カザール
アレン・ガーフィールド ハリソン・フォード
テリー・ガー ロバート・デュヴァル
ストーリー
どこといって特徴のない中年の男の眼が、広場を散歩している1組の若い男女に注がれている。
だが、仲むつまじいカップルを監視しているのはこの中年男だけでなく、近くのビルの窓と広告塔の上から望遠レンズを持った男たちが2人の姿を追い、大きな紙袋を下げた別の男も、2人のすぐ近くをウロウロしている。
男は、アメリカ西海岸ではその道一番の腕ききといわれるプロの盗聴屋ハリイ・コールだった。
彼は依頼主の注文を受け、例の若い男女の会話をテープに収めているのだ。
平凡な恋人同志の語らいに、助手のスタンは立腹したが、ハリイは黙々と仕事を続ける。
その日の仕事が済むと、ハリイは久しぶりで恋人アミーを訪ねた。
アミーはハリイから毎月の生活費を貰うほどの間柄でありながら、彼が何者か、どんな仕事をしてどこに住んでいるのかさえ知らなかった。
他人のプライバシーに入り込むことを商売としている彼は異常なまでに自分のプライバシーを明かさなかった。
この夜、彼女がいろいろな質問をするためにハリイは怒ってアパートを飛びだした。
翌日、男女の会話を収めたテープを依頼主に渡すために豪華なオフィスを訪ねたが、当の依頼主である専務は不在だったため、秘書のマーティンが引きとめるのをふりきって、そのオフィスをでた。
そのときの秘書の脅しのセリフが、好奇心を捨てたはずのハリイに疑惑を抱かせた。
古い工場を改造した仕事場に戻ったハリイはそのテープに耳を傾けた。
そして雑音しか聞こえなかった部分から“彼に殺されるかも知れない”といっている男の声をキャッチした。
若い恋人たちは殺人事件に捲き込まれようとしているのだろうか?
寸評
ハリイは盗聴に関してはその世界で有名な男であるが、超人的な活躍を見せる盗聴者ではなく、むしろ普通の男のように見えるが、人の会話を盗聴するという仕事内容によってもたらされる変人性をも同時に持った男だ。
盗聴と言うプライバシーを侵害することをやっておきながら、自分のプライバシーには異常なくらい過敏だ。
冒頭で管理人が合い鍵を持っていることにも反発する姿が描かれていて神経質な面を見せている。
さらにハリイは孤独であるが、その孤独感は自ら生み出しているような面もある。
彼とより親密な交際を求める恋人とも別れることになってしまうのも、自ら孤独の世界へと向かってしまうからだ。
仕事においても仲間に心を打ち明けないし、仕事内容すら打ち明けない。
相棒のスタンがそんなハリイと袂を別かとうとするくらいだ。
ハリイの人物設定がサスペンス性を高めていく。
彼は時々自分の行ったことでもたらされた悲劇の幻想に悩まされる。
依頼されたことを行っただけではあるが、プライバシーの究極である会話の録音を依頼者に渡したことによって引き起こされた殺人事件などである。
かれは淡々と仕事をこなし、依頼内容への興味を全く示さない。
そのように描かれるから観客である僕たちは、何のために盗聴しているのかを想像しなくてはならない。
大掛かりな盗聴を仕掛けてまで知りたいこととは何なのかとの疑問が湧いてくる。
単なる浮気調査ならもっと安価で手短な方法があるはずだ。
機器は自分で開発するとハリイが言っていたが、それにしても盗聴機器としてこれに近いものが存在しているとしたら、街中での会話など盗聴し放題で、少し怖いものを感じる。
ウォーターゲート事件などを見ると、盗聴って思ったよりも世の中で行われているのかもしれない。
ハリイも公的機関からの依頼を受けていたことが描かれているから、政府機関も盗聴を駆使しているのだろう。
実際CIAが各国首脳の携帯通話を盗聴していたことが報じられた。
ハリイが依頼事項に無関心なのは無理やり装っているようでもあり、本当は人間らしくその背後にあるものを想像し悩んでいたのかもしれない。
ハリイは盗聴に関してはプロ中のプロである。
その彼が盗聴されていると思った時の混乱状態がすさまじい。
どこかに盗聴器が仕掛けられているかもしれないと疑った時に、プロだけに自分が仕掛けそうな所が気になって仕方がなくなってくる。
ここぞと思うところを探しまくるが、そうすることで自分の住まいが崩壊していく。
プライバシーを侵害すると言うことは、結局このようにその人の生活を崩壊させることになるということなのだ。
ハリイは益々孤独に落ちていき、そんな自分が孤独から逃れることが出来るのは、一人サックスを吹き演奏の世界に浸る時間だけだったのだろう。
そんなハリイという人物をジーン・ハックマンが渋く演じている。
サックスを吹く彼の姿が哀愁を帯びていた。
下積み時代のハリソン・フォードが出ているのも今となっては話題の一つ。
監督 フランシス・フォード・コッポラ
出演 ジーン・ハックマン ジョン・カザール
アレン・ガーフィールド ハリソン・フォード
テリー・ガー ロバート・デュヴァル
ストーリー
どこといって特徴のない中年の男の眼が、広場を散歩している1組の若い男女に注がれている。
だが、仲むつまじいカップルを監視しているのはこの中年男だけでなく、近くのビルの窓と広告塔の上から望遠レンズを持った男たちが2人の姿を追い、大きな紙袋を下げた別の男も、2人のすぐ近くをウロウロしている。
男は、アメリカ西海岸ではその道一番の腕ききといわれるプロの盗聴屋ハリイ・コールだった。
彼は依頼主の注文を受け、例の若い男女の会話をテープに収めているのだ。
平凡な恋人同志の語らいに、助手のスタンは立腹したが、ハリイは黙々と仕事を続ける。
その日の仕事が済むと、ハリイは久しぶりで恋人アミーを訪ねた。
アミーはハリイから毎月の生活費を貰うほどの間柄でありながら、彼が何者か、どんな仕事をしてどこに住んでいるのかさえ知らなかった。
他人のプライバシーに入り込むことを商売としている彼は異常なまでに自分のプライバシーを明かさなかった。
この夜、彼女がいろいろな質問をするためにハリイは怒ってアパートを飛びだした。
翌日、男女の会話を収めたテープを依頼主に渡すために豪華なオフィスを訪ねたが、当の依頼主である専務は不在だったため、秘書のマーティンが引きとめるのをふりきって、そのオフィスをでた。
そのときの秘書の脅しのセリフが、好奇心を捨てたはずのハリイに疑惑を抱かせた。
古い工場を改造した仕事場に戻ったハリイはそのテープに耳を傾けた。
そして雑音しか聞こえなかった部分から“彼に殺されるかも知れない”といっている男の声をキャッチした。
若い恋人たちは殺人事件に捲き込まれようとしているのだろうか?
寸評
ハリイは盗聴に関してはその世界で有名な男であるが、超人的な活躍を見せる盗聴者ではなく、むしろ普通の男のように見えるが、人の会話を盗聴するという仕事内容によってもたらされる変人性をも同時に持った男だ。
盗聴と言うプライバシーを侵害することをやっておきながら、自分のプライバシーには異常なくらい過敏だ。
冒頭で管理人が合い鍵を持っていることにも反発する姿が描かれていて神経質な面を見せている。
さらにハリイは孤独であるが、その孤独感は自ら生み出しているような面もある。
彼とより親密な交際を求める恋人とも別れることになってしまうのも、自ら孤独の世界へと向かってしまうからだ。
仕事においても仲間に心を打ち明けないし、仕事内容すら打ち明けない。
相棒のスタンがそんなハリイと袂を別かとうとするくらいだ。
ハリイの人物設定がサスペンス性を高めていく。
彼は時々自分の行ったことでもたらされた悲劇の幻想に悩まされる。
依頼されたことを行っただけではあるが、プライバシーの究極である会話の録音を依頼者に渡したことによって引き起こされた殺人事件などである。
かれは淡々と仕事をこなし、依頼内容への興味を全く示さない。
そのように描かれるから観客である僕たちは、何のために盗聴しているのかを想像しなくてはならない。
大掛かりな盗聴を仕掛けてまで知りたいこととは何なのかとの疑問が湧いてくる。
単なる浮気調査ならもっと安価で手短な方法があるはずだ。
機器は自分で開発するとハリイが言っていたが、それにしても盗聴機器としてこれに近いものが存在しているとしたら、街中での会話など盗聴し放題で、少し怖いものを感じる。
ウォーターゲート事件などを見ると、盗聴って思ったよりも世の中で行われているのかもしれない。
ハリイも公的機関からの依頼を受けていたことが描かれているから、政府機関も盗聴を駆使しているのだろう。
実際CIAが各国首脳の携帯通話を盗聴していたことが報じられた。
ハリイが依頼事項に無関心なのは無理やり装っているようでもあり、本当は人間らしくその背後にあるものを想像し悩んでいたのかもしれない。
ハリイは盗聴に関してはプロ中のプロである。
その彼が盗聴されていると思った時の混乱状態がすさまじい。
どこかに盗聴器が仕掛けられているかもしれないと疑った時に、プロだけに自分が仕掛けそうな所が気になって仕方がなくなってくる。
ここぞと思うところを探しまくるが、そうすることで自分の住まいが崩壊していく。
プライバシーを侵害すると言うことは、結局このようにその人の生活を崩壊させることになるということなのだ。
ハリイは益々孤独に落ちていき、そんな自分が孤独から逃れることが出来るのは、一人サックスを吹き演奏の世界に浸る時間だけだったのだろう。
そんなハリイという人物をジーン・ハックマンが渋く演じている。
サックスを吹く彼の姿が哀愁を帯びていた。
下積み時代のハリソン・フォードが出ているのも今となっては話題の一つ。