猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

彼女たちの事情。 〜Nの『献身』〜

2017年08月12日 04時15分05秒 | ルーツ

 

頑固な、『弱さ』

 

 

Nの家は一見『普通の家庭』。

父親と母親、それと、祖父母、弟という構成で、
旧家が並ぶ一角に、立派な家を持っていた。

が、実際は、父親はほとんど働いたことがなく、
母親も同様。

Nがいうには、支配的な祖父のもと、
皆、逆らうことも出来ず暮らしているのだということで、
深い事情はおそらく、まだ中学生のNにもわからなかったのだろうが、
生活に困る、という様子でもなかったことから、
おそらく祖父母に、余裕があったということだったのだろう。

N自身は親に対してよりも、
威圧的な祖父の存在を忌み嫌って、道をそれた感じだが、
学校でもまた、弱々しく、可愛らしい感じが、
校内の悪い女子勢力に睨まれて、
私やR、Mとつるむようになったのだった。

絵がうまく、ユーモアがあって、新しいものが好き。

内向きのパワーは、他人には理解され難いものだったが、
もしあれが、違う形で放出されたなら、
彼女のその後もまた、違うものになったのだと思う。

しかし、私と同じ高校を受験するも叶わず、
少し離れた学校へ通い始めた頃から、
彼女は自分の居場所に迷い始め、
タチの悪い男の間を幾人も、渡り歩くようになった。

そして事故に巻き込まれ、
大怪我をし、まるで自家中毒のように、
行ってはいけない方向へ、魅入られたように進んでいった...

ある日突然、
「Mと同様、風俗嬢になった」
と、悪びれもせず、
経験談を交えて話してきたNの『ユーモア』は。

かつてのそれとは、ずいぶんと違うものになっていた。

純粋培養の、
怖さを知らない無防備さが。

彼女に、『献身』を誤解させたのだと思う。

ボロボロになれば、『役に立てた』と思えたのか。

私がNと、最後に話した際に聞いたのは、
若いうちに父親が亡くなったこと。

未亡人である母親に、すぐ恋人が出来たこと。

彼女が歳下の男に『尽くし続けている』ということだった。





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