猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

さすらいの料理人

2021年05月22日 11時48分14秒 | つぶやき

 

早く大手を振って、自由に旅がしたい。

 

 

私たちが旅に出るのは、

何も、自分たちが楽しいから、だけではない。

 

そこで出会うもの、食材、料理。

 

それらがあると信じてこそ、

走り回る意味がある。

 

新しいものを知り、刺激を受け、

ヒントを得て、料理に生かす。

 

冒険をして、あちこち突っ込み、

起こった出来事を、次の話題にし、

分かち合う。

 

『旅の中毒者』だと、

自他共に認めるジャンキーだけど、

それは結局、仕事の中毒者だということだ。

 

レンタカーで狂ったように走り回ったあとは、

帰りの空港への途上、

今度は狂ったように買い物をする。

 

普通、『さすらいの料理人』とは、

「包丁一本であちこち渡り歩き、

料理で誰かの人生を変えたりしてゆく」

人物のことを指すのだろうが、

うちの場合は

「さすらいまくって食材を集め、

 それを持ち帰って料理して出す」タイプの、

『さすらいの料理人』である(笑)

 

ああ、あれは〇〇さんが好きそうだ、

あら、これは〇〇に使えそうだ、と、

そのワクワクが、私たちを突き動かし、

食材を持ち帰らせた。

 

トランクにも、担いだリュックにも、

クーラーボックスにも。

 

挙句、それでも足りずに、

現地で貰った八方スチロールや、

段ボール箱にも。

 

帰れば店があって、

お客様が楽しみに待っていてくれて、

それで、鍋をふるゴンザの腕には力が入り、

私はいつも以上に、洗い物そっちのけで喋りまくる(笑)

 

さすらいに付きモノの『狂ったような強気の買い物』は、

営業ありき、喜んでくれる人ありき、で、

『過剰摂取』にも似た快楽を我々にもたらしたのだ。

(つまりこれ以上やると死ぬ(店が潰れる)んじゃねぇ?っていう・笑)

 

なのに...

 

「仕事をしてはいけない」と言われた今では、

何の甲斐もない。

 

食材を見て、持ち帰っても、

食べてくれる人はいないのだ。

 

一日の疲れをほぐす、酒や雑談と共に。

 

行き場を失った私たちの情熱は、

もはや、不安に飲まれて、

消え入りそうになることがある。

 

今や、さらに『さすらいの料理人』の意味は変わり、

いずれは、帰る場所も失いそうである。

 

おそらく、同業の誰もが抱える思い...

 

 この騒動が終わったら、

 元の場所に帰れるだろうか?

 

 何よりお客様は帰ってきてくれるだろうか...

 

私たちの思いはさすらう。

 

『水商売』と蔑まれようが、馬鹿にされようが、

屁とも思わずにいられたのは、

仕事による喜びがあったからである。

 

どうか、たくさんの『さすらいの料理人』が、

一日も早く、自分の場所に帰れますように。

 

 

そして普通に仕事がしたい。

(+自由に飲みたい・笑)

 

 

コメント
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