ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

「壊し屋」の正論 その真意はどこに

2024-05-23 10:45:42 | 日記
卓見である。「壊し屋」の異名をとる小沢一郎氏が、政治資金規制法の改正に関して、「たしかにそうだ!」と思わせる卓抜な正論を吐いている。

こんなニュースを聞いた。

政治資金規正法の改正をめぐり、立憲民主党の小沢一郎衆議院議員は、党が掲げる政治資金パーティーや企業・団体献金の禁止に反対するとしたうえで、政治資金の公開を徹底すべきだという認識を示しました。
(中略)
小沢議員は21日、記者団に対し『規制強化ばかりでは自縄自縛になり、どうしようもなくなる。政治資金パーティーもダメ、企業・団体献金もダメと何でもダメにすると、お金については潜りに潜って裏の話になってしまう』と指摘しました。
そのうえで『政治にカネがかかることは変わらず、このままでは大金持ちでなければ政治ができなくなる。解決策は政治資金を全部オープンにするしかない』と述べました。

(NHK NEWS WEB 5月21日配信)

パー券問題に関しては、(小沢氏の所属する)立憲民主党がこれを全面禁止にすべきだと主張し、公明党、日本維新の会は「購入者の公開基準額」を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げるべきだと主張しているが、きのうのブログでも書いたように、パー券収入は自民にとっては欠かせない「重要な収入源」である。したがってこれを禁止したり、大幅に規制することは、自民にとっては死活問題になる。

このような状況下で、パー券問題に関して「禁止や規制強化に反対!」という小沢氏の発言は、自民にとっては頼もしい援護射撃のように思われたに違いない。

だが、政局を離れて小沢氏の発言の趣旨だけを見ると、その一々が「お説ごもっとも」と肯ける。
とにかく政治にはカネが掛かる。その現実が変わらないのに、パー券収入という「重要な収入源」を絶てば、「大金持ちでなければ政治ができなくなる」という歪(いびつ)な現実が生じ、これでは日本国憲法が謳う平等主義の理念に反することになる。

注意しなければならないのは、小沢氏の発言の意図がどこにあるのか、小沢氏の発言は政局にどのように作用するかである。自民以外の各党の改革案は、パー券収入を禁止し、あるいは規制強化しようとするものであり、これは自民の党勢を大きく殺ぐことにつながるが、これに対して小沢氏の発言は、そのような野党の攻勢にブレーキをかけようとするものであり、この点からすれば、小沢氏は沈没寸前の泥舟自民に塩を送ろうとしているようにもみえる。

だが、なにぶんにも常日頃「野党を結集して自民から政権を奪取しよう!」と公言している小沢氏のことである。政敵の自民に塩を送るなどとは、考えにくい。

とすれば、「壊し屋」の異名をとる曲者・小沢氏の発言の意図は一体どこにあるのか。

とかく正論は美しい。正論を吐く自分は実にカッコいい。小沢氏が「正論を吐く自分」のカッコよさに酔ってしまっている可能性はないだろうか。
自分の口に出す理念が、策略家の自分をぶち壊すという、究極的な「壊し屋」の構図である。
正論を吐く自分が自分の足を引っ張ることもあるということ、ーーそのことが見えなくなるほど、小沢氏はおボケになられたのだろうか。

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