ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

内乱のイランでは

2020-01-15 14:12:25 | 日記
イランが今、大変なことになっている。アメリカとの間で戦争が、・・・という話ではない。イラン国内で起きている抗議デモのことである。これについてはきのうの本ブログでふれた通りだが、その実情を伝える記事を読んだ。

「イラン各地で先月中旬に起きた反政府デモを巡り、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは2日、死者が少なくとも208人に達したと明らかにした。政府は詳細を明らかにしていないが、7000人が拘束されたとの情報も伝えられる。市民の不満を強硬に抑え込んだにすぎず、米国の経済制裁が解除できない行き詰まりは解消されていない。」
(東京新聞2019.12.4)

イランのこのデモがどれだけ凄絶であるかは、先ごろメディアを賑わせた香港の抗議デモと比べれば明らかである。香港デモの逮捕者は6022人(香港政府の発表では2378人)、死者は1人(転落死によるもの、他に巻き添えで死亡した老人が1人)である。デモの参加者は、イランの場合が推定で20万人、香港の場合が主催者発表で200万人だという。

注目すべきは、イランの抗議デモにおける死者の数である。死者208人という数字は、イランの政府当局による弾圧・鎮圧のアタックがいかに激しかったかを示している。これはもうデモではない。デモの域を越えて、ほとんど内乱の域に達していると言えるだろう。

デモと呼ぶか、内乱と呼ぶかは別として、この騒乱の原因は、アメリカによる経済制裁である。上に引用した東京新聞の記事は、次のように書いている。

「中東メディアによると、イランは歳入の2~3割を石油売却収入が占めるが、米制裁の石油全面禁輸措置を受け、2018年に1日当たり250万バレルあった輸出量は今年9月に48万バレルまで激減。来年3月に始まる新年度予算は84億ドル(約9100億円)の歳入不足に陥る見込みだ。そのためガソリン価格を低く抑えてきた補助金を削減せざるを得なかった。
物価上昇率は30%を超えて市民生活を直撃。核合意を離脱し、経済制裁を再開した米国との対立が好転する兆しは見えない。」

アメリカのトランプ大統領は、イランが核開発をやめない限り、経済制裁を解除しない方向だが、長引く経済制裁の影響で困窮するイランの国民は、やがてイラン政府に対して、核開発をやめるように迫るだろう。

そうなればトランプ米大統領の思う壺だが、思い通りに進まないのが、この問題の難しいところである。

核開発と経済制裁という問題に関連して、即座に思い起こされるのは、もう一つのお騒がせ国家・北朝鮮の動向である。解決の見通しが立たない点では、イランも北朝鮮の場合も共通している。しかしその内実はといえば、天と地ほども違っている。政教一致のイスラム国家・イランでは(意外にも)激しい反政府デモが起こっているのに、(もっと困窮しているはずの)北朝鮮の国民は、なぜ反政府の抗議行動に立ち上がらないのか。厳しい弾圧政策の故、と頭では解っても、豚魔大王がいまだ政権を維持していられるホントの理由が、私には解らない。ウ〜ム。
コメント
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