イランとアメリカ。いよいよ両国の戦端が開かれた。開かれたこの戦端は、パンドラの箱になるのだろうか。
まず仕掛けたのは、イランのほうである。日本時間で8日午前7時半ごろのことだ。日本経済新聞は、次のように伝えている。
「米国防総省は7日、イラクにある米軍の駐留基地がイランから十数発の弾道ミサイルの砲撃を受けたと発表した。中西部アンバル州のアサド空軍基地と北部アルビルの基地の2カ所が標的となった。被害状況は確認中だとしているが、米CNNは米国人の被害はないと伝えた。」
注目すべきは、イランのミサイル攻撃による米軍の被害状況である。「米国人の被害はない」とされるが、このことは一体、何を意味しているのか。
第一に考えられるのは、この攻撃が(米軍を牽制する)ジャブの役割を持っていたことである。イランの最高指導者ハメネイ師が「(アメリカに)平手打ちを食らわせた」と述べたこと、また、イランの革命防衛隊が「われわれは傲慢なアメリカに警告する。アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく、破壊的な報復に直面することになる」と声明を出したことが、このことを裏打ちしている。
こうしたことから判るのは、イランがアメリカと本格的に事を構えることを望んでいないことである。イランのザリフ外相が「われわれは戦争のエスカレーションを求めていない」と述べる通りである。
実際、イランのミサイル攻撃に関しては、「米国人がいる場所を意図的に外した可能性がある」との指摘がある。国防総省の元高官も、「米国はイランからの事前通告を受けたため、防衛措置をとることができた」と分析している(日経1月9日)。
要するに、イランは米国との対立激化を避けるため、意図的に犠牲者を出さないよう攻撃を行ったということである。
ではこれに対して、アメリカはどう反応したのか。魚心あれば水心。日経(1月9日)は、次のように伝えている。
「トランプ米大統領は8日、ホワイトハウスで演説し、イランがイラクの米軍駐留拠点を攻撃したことの報復措置としてイランに追加の経済制裁を科すと表明した。『各国はイランによる中東での破壊的で不安定化を招く行動を許容してきた。その日々は終わった』と断じた。一方で軍事力を誇示しつつも『使うことを望んでいない』と語り、報復攻撃に慎重な立場もにじませた。
米国防総省によると、イランは8日にイラク中西部アンバル州のアサド空軍基地と北部アルビルの基地を弾道ミサイルで攻撃した。トランプ氏はこの攻撃による米国の死傷者が出なかったと明らかにした。『イランが身を引いているようだ』とも語り、イランがこれ以上の事態悪化を望んでいないとの見方を示した。」
イラン、アメリカ双方のこうした抑制的な姿勢をみれば、両国の対立が本格的な戦争にまで発展する可能性は少ないとみるべきだろう。しかし、世界の金融市場の反応はこれとは違っている。
「イランがイラクの米軍基地に報復攻撃したことで、8日の金融市場は動揺が広がった。原油先物価格は約9カ月ぶり水準に上昇、減速が鮮明な世界経済のさらなる重荷になるとの見方からアジア株式市場は全面安となった。東京市場では日経平均株価が急落し、前日比370円安で取引を終えた。米国とイランの対立激化は、昨年末まで広がっていた市場の楽観ムードに冷や水を浴びせている。」(日経1月8日)
さてさて、イランとアメリカの争いは、この先どうなりますことやら。トランプ米大統領はアメリカの世論をどう捉え、(秋に行われる)大統領選への備えに、これをどうつなげようとするのか。そのあたりにも要注目である。
まず仕掛けたのは、イランのほうである。日本時間で8日午前7時半ごろのことだ。日本経済新聞は、次のように伝えている。
「米国防総省は7日、イラクにある米軍の駐留基地がイランから十数発の弾道ミサイルの砲撃を受けたと発表した。中西部アンバル州のアサド空軍基地と北部アルビルの基地の2カ所が標的となった。被害状況は確認中だとしているが、米CNNは米国人の被害はないと伝えた。」
注目すべきは、イランのミサイル攻撃による米軍の被害状況である。「米国人の被害はない」とされるが、このことは一体、何を意味しているのか。
第一に考えられるのは、この攻撃が(米軍を牽制する)ジャブの役割を持っていたことである。イランの最高指導者ハメネイ師が「(アメリカに)平手打ちを食らわせた」と述べたこと、また、イランの革命防衛隊が「われわれは傲慢なアメリカに警告する。アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく、破壊的な報復に直面することになる」と声明を出したことが、このことを裏打ちしている。
こうしたことから判るのは、イランがアメリカと本格的に事を構えることを望んでいないことである。イランのザリフ外相が「われわれは戦争のエスカレーションを求めていない」と述べる通りである。
実際、イランのミサイル攻撃に関しては、「米国人がいる場所を意図的に外した可能性がある」との指摘がある。国防総省の元高官も、「米国はイランからの事前通告を受けたため、防衛措置をとることができた」と分析している(日経1月9日)。
要するに、イランは米国との対立激化を避けるため、意図的に犠牲者を出さないよう攻撃を行ったということである。
ではこれに対して、アメリカはどう反応したのか。魚心あれば水心。日経(1月9日)は、次のように伝えている。
「トランプ米大統領は8日、ホワイトハウスで演説し、イランがイラクの米軍駐留拠点を攻撃したことの報復措置としてイランに追加の経済制裁を科すと表明した。『各国はイランによる中東での破壊的で不安定化を招く行動を許容してきた。その日々は終わった』と断じた。一方で軍事力を誇示しつつも『使うことを望んでいない』と語り、報復攻撃に慎重な立場もにじませた。
米国防総省によると、イランは8日にイラク中西部アンバル州のアサド空軍基地と北部アルビルの基地を弾道ミサイルで攻撃した。トランプ氏はこの攻撃による米国の死傷者が出なかったと明らかにした。『イランが身を引いているようだ』とも語り、イランがこれ以上の事態悪化を望んでいないとの見方を示した。」
イラン、アメリカ双方のこうした抑制的な姿勢をみれば、両国の対立が本格的な戦争にまで発展する可能性は少ないとみるべきだろう。しかし、世界の金融市場の反応はこれとは違っている。
「イランがイラクの米軍基地に報復攻撃したことで、8日の金融市場は動揺が広がった。原油先物価格は約9カ月ぶり水準に上昇、減速が鮮明な世界経済のさらなる重荷になるとの見方からアジア株式市場は全面安となった。東京市場では日経平均株価が急落し、前日比370円安で取引を終えた。米国とイランの対立激化は、昨年末まで広がっていた市場の楽観ムードに冷や水を浴びせている。」(日経1月8日)
さてさて、イランとアメリカの争いは、この先どうなりますことやら。トランプ米大統領はアメリカの世論をどう捉え、(秋に行われる)大統領選への備えに、これをどうつなげようとするのか。そのあたりにも要注目である。