ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

中東の乱 拡大の火種が

2020-01-12 14:07:57 | 日記
アラビア海は危険に充ちている。先日、こんなことがあった。

米海軍は10日、ロシア軍の艦船が9日、アラビア海北部で活動中の米駆逐艦に異常接近したと明らかにした。米艦からの警告を無視してロシア艦が接近を続け、衝突の危険性を高めたとしている。
(CNN1月11日配信)

米中ロの艦船が異常接近する事例は、世界のあちこちの海で日常茶飯事だというが、なぜこんなことが起こるのか。

私は次のようなケースを思い起こした。新宿の雑踏で、互いに権勢を張りあう二人のチンピラ。「てめえ、オレにガンを飛ばしやがったな」、「なんだと、ガンを飛ばしたのは、てめえのほうじゃねえか、この野郎!」

人の世はかくのごとく小から大まで、下から上まで「力への意志」に駆られ、権勢を競いあう。それが人の世のならいであり、人間が作る組織というものの本性なのだ。

などと言ったら、20世紀末の大思想家・ニーチェ先生に失礼だろうか。

それはともかく、謎かけふうに言えば、「アラビア海での艦船異常接近」とかけて、「繁華街でのガンの飛ばしあい」と解く。その心は「力への意志」ということになる。

私が心配なのは、荒くれ同士がガンを飛ばしあう新宿、もといアラビア海に、我が海上自衛隊が出張って行くことである。なにせ相手は百戦錬磨の強者(つわもの)である。武術の心得が多少あるとはいえ、実戦の経験がない我が自衛隊が、こうした猛者に太刀打ちできるだろうか。まあ「情報収集」と称して、アラビア海の隅っこをうろついてお茶を濁し、恙(つつが)なく帰還することを願う。

ところで、謎かけふうにもう一つ「中東の乱」について言うとすれば、「ウクライナ機撃墜」とかけて、「ルアーに飛びつくブラックバス」と解く。その心は「疑心暗鬼」ーーというのはいかがだろうか。

きのうの報道によれば、イラン軍がウクライナの旅客機にミサイルを発射したのは、この飛行機を敵国アメリカの爆撃機と思い誤ったからだという。薄暗い路上に(曲がりくねった)縄を見れば、「蛇だ!」と思い、暗闇に背後から靴音を聞けば、「俺をつけているのだ」と思う、あの疑心暗鬼の心理が働いたのだ。この心理は条件反射的に、瞬時に起こる心の動きだから、知性によってブレーキを掛けることができない。

厄介なのは、この疑心暗鬼が海の上で起こることである。アラビア海で権勢を張ろうと異常接近を企てる艦船の、その操舵手が疑心暗鬼にかられ、「ヤバい!敵艦が砲撃を仕掛けてくる!」と思い込んでしまったら、一体どういうことになるのだろうか。
コメント
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