ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ゴーン・ネタと朝日新聞

2020-01-05 11:33:51 | 日記
東京に住む娘の一家は、正月の2日に我が家に来て、きのう4日に帰っていった。その間、二人の孫がドタバタ騒ぎまわっているリビングでは、落ち着いて新聞を読む気にもなれず、ざっと読み飛ばすだけで済ませていた。

そんな中でも、「これは面白い、ブログのネタに使えるかも」と思う記事が二つあった。きょうは孫たちが去り、静けさを取り戻した老夫婦だけのリビングで、ここ数日分の新聞をとりだし、その記事を確かめてみた。

一つは、1月3日付の朝日新聞「天声人語」の一節である。カルロス・ゴーンの日本からの脱出について書いている。「あくまで潔白を言うのなら、日本の法廷で堂々と主張すべきだろう。多くの人を欺き、姿をくらますとは嘆かわしい」とある。この低級な認識には恐れ入った。天下の朝日の名物コラムがこんな認識とは、実に嘆かわしい。それとも、そんなことは先刻承知の上で、こんなデタラメを(デタラメと知りつつ)書いているのだろうか。

断固として潔白を主張しても、日本の法廷では有罪が前提され、自分の主張はマトモに聞いてもらえない、ーーそんな不条理な日本の現実にゴーン氏は業を煮やし、日本からの脱出を企てたのではなかったか。「多くの人を欺」かなければ日本から脱出できない固い岩のような現実があるから、ゴーン氏はこの岩を崩すために、あえてそれを実行に移したのではないのか。

もう一つは、翌1月4日付の朝日新聞に掲載されていた、山田紳氏の風刺漫画である。ゴーン氏の抜け殻が、日本の出入国検査官に取り押さえられている図に、「『ゴーンの抜け殻』プライドも何もかも振り捨てて逃げたんだね」という言葉が添えられている。有能な経営者だった矜持を振り捨て、恥も外聞もかなぐり捨てて国外に「逃亡」した恥ずべきカッコ悪い男、ーーそれが印象操作によって、この新聞がゴーン氏に貼り付けようとしているレッテルだが、この風刺漫画はそんな朝日新聞の意図をよく体現している。これぞプロの技と言うべきだろう。

きょうの読売新聞のメルマガで、ゴーン氏の海外脱出にはアメリカ陸軍特殊部隊「グリーンベレー」の元隊員が同行し、脱出をサポートしていたことを知った。この記事を読んで、私は007のジェームズ・ボンドを思い起こした。ジェームズ・ボンドが反撃のベスト・ポジッションを獲得するために、敵陣から脱出することを、人は「ボンドはプライドを捨てて、逃げたんだね」などと茶化すだろうか。そんなことを言う奴がいたら、「こいつは何も解っちゃいない」と我々は思うだろう。朝日の言い草は、これと何一つ変わらない。

一つ気になっていることがある。朝日の印象操作は、日本政府が望むところだろう。ふだんは政権批判の急先鋒に立つアカシ(赤紙)新聞のアサヒ新聞であるのに、ゴーン氏の件に限っては、なぜ政府の意に添おうとするのか。

日本政府の反応にも疑問がわく。朝日のような印象操作は、負け惜しみの強い政府の中枢が望むところだろうが、政府は今のところだんまりを決め込んでいる。ゴーン氏の反撃をよほど警戒しているのだろうか。
コメント
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