さて、その時、僕とイケメン貴島くん(29)、若い池澤くん(24)、御島さん(31)と、
辛辣姫ユキちゃん(28)は和食居酒屋の個室で、美味しいものをつつきながら、お酒を飲んでいました。
「わたしね。今、一番、仕事で大事だな、と思うのは、出来るだけ早くに」
「自分が一生かけて追求する「ライフワーク的な仕事」を見つけて、それを毎秒追求する生活に入る事だと思っているの」
と、御島さんが、日本酒を飲みながら言葉にしています。
「例えば、わたしで言えば、脱サラして、事務所を立ち上げて、事務所の社長と言う仕事に就いたでしょ?」
「最初はどうなるかと思ってけど、やってみたら、ほぼ天職だったし、やり始めてわかったけど、自分のお気に入りの」
「人間達をプロデュースするって仕事は本当にやりがいのある仕事なのよね・・・それを仕事を始めてみて知ったから」
「ある意味、いろいろ考えずに「えいや!」って始めてみるのも、ありなのかなって思っているの・・・」
と、御島さん。
「でも、それはたまたま、御島さんが他人をプロデュースするチカラに長けていたからですよね」
「僕には「えいや!」って感じで、新しい仕事を始めるのは、無理ですよ」
と、池澤くん。
「まあ、それは御島さんらしい言い方でさ・・・御島さんだって、プロデュース業に自分が向いていると感じたから」
「「えいや!」が出来たんだと思うよ。ねえ、そうですよね、御島さん!」
と、貴島くん。
「そうね。それはあるわね。やっぱり、自分の仕事と言う事を考える時、「好きこそ物の上手なれ」は一番に考えたモノ」
「そもそも、向いていない仕事だったら、やる気も起こらないし・・・」
と、御島さん。
「わたしは、サラリーマン時代、嫌だなって思ったのは、途中から、「やらされている感」を感じ始めた事なの」
「好きなテーマ、興味のあるテーマで、本を編集している時は、ドキドキ感やワクワク感で一杯だったし」
「それが本になれば・・・やり遂げた感も半端なくて、すっごく充実してたけど、少し年齢を重ねてきたら」
「そういうテーマを任されなくなって・・・少し固めのテーマって、言うか・・・そういう感じになってきたから」
「「やらされている感」がひどかったの。そんな時にゆるちょくんに出会って・・・」
と、御島さん。
「僕に出会った事が御島さんの脱サラのきっかけ?」
と、僕。
「ええ。そうよ。わたし、あなたに出会う迄、頭の固い女だったの。一旦就職したら、退職までは同じ職場で全うする・・・」
「そんなイメージを職場に関しては持っていたから・・・脱サラなんて一度も考えた事がなかったの」
と、御島さん。
「わたしもそれは同じですよ。ゆるちょさんが現れて、脱サラも自分のキャリアを高める有効な手段だと気付かされた時」
「わたしは躊躇なく脱サラしてましたから・・・」
と、辛辣姫。
「わたしも同じ。それは多分、ゆるちょくんが「人間はしあわせになる為の生まれるんだ」」
「「決して仕事をするために生まれてきたんじゃない。仕事は自分がしあわせになる為の一手段にしか過ぎないんだ」」
「「だからこそ、仕事は、「好きこそ物の上手なれ」で、選ばなければいけない」」
「「そもそも、やっていて、追求していて、自分がしあわせになれる仕事を選ばなければいけないんだ」って言う、仕事選びの論理を教えて貰ったからだわ」
と、御島さん。
「この話は、もう、皆と何度も話したけど・・・」
「「この仕事をやりたい。自分なら、きっと上手く出来る。ワクワクする!」って言う仕事と」
「「えー、これ、わたしやらなきゃ、いけないの?気が重い。「やらされてる感」半端ない」って言う仕事じゃあ」
「「やらされてる感」の仕事は単にストレス溜めるだけだし、自分のキャリアにプラスにもならないって悟ったのよね」
と、ユキちゃん。
「「ワクワクする」仕事は、すごい可能性をわたしにくれるし、キャリアアップに即つながってる」
「それがわかったからこそ、自分が追求すべき仕事をしっかり自分で選んで、そこに没頭出来る、今の環境を整備したの」
「やっぱり、そこは、「この仕事は、わたしにしか追求出来ない!わたしが一番上手くやれるの」って言う意識を」
「自分自身で作れる事が、大事なんだと思います」
と、辛辣姫。
「わたしは、ね・・・日本社会における「女性の30歳問題」を結構意識していたのよ・・・女性って日本社会だと」
「・・・まあ、オトコ社会じゃない、会社って。だから、扱いも変わり始めて・・・30歳を越えると、サラリーマンの場合」
「女性は女性としての優位が無くなって、単なる男性と同等の扱いを受けるようになるのよ・・・」
「要は「女子アナ30歳定年説」と一緒よね」
と、御島さん。
「え、それって・・・具体的に言うと、どういう感じなの?」
と、僕。
「30歳になるまでは、わたしも、女性と言う扱いだから・・・会社は、割りと言う事を聞いてくれたんだけど」
「会社側とすれば、女性はあまり管理職につけたくないし・・・さりとて、簡単には辞めさせる事も出来ないから・・・会社は人事的に困ったりして」
「あからさまな会社では、肩たたきがもう始まるから・・・現場の一線から退かないといけない雰囲気になるのよね」
「それが嫌で・・・脱サラしたってところがあるって話よ。事務所の社長になってしまえば、日本社会とがっつり戦えるし」
「その場合、女性であると言う強みも生かせるからね」
と、御島さん。
「社内にいると、お荷物にされかねないけど、独立してしまえば、女性である事が却って武器になる・・・そういう事ですか?」
と、池澤くん。
「ま、有り体に言えば、そういう事ね」
と、御島さん。
「だから、女性の生き方って難しいのよ。そういう匂いを敏感に感じ取って先手先手で生き方を変えていく必要があるんだもの」
「編集の仕事だって技術職ではあると思うけど、30歳になったら、経理に回されて・・・今を生きる編集のセンスも無くして」
「今の仕事に埋もれていく、そんな先輩の女性も見てきたし、そういう境遇を見てるから」
「・・・日本社会の怖い所なのよ、そういうところが」
と、御島さん。
「逆に男性はこき使われますよね。安いお給料で、ぎりぎりの生活を強いられて・・・有能な上司程、部下をギリギリの所で」
「使います。出来るだけ短い時間で、高い成果を出させて、本人が壊れるか壊れないかの瀬戸際で、最大の成果を求める」
「楽しみはワンコインの昼食と、帰りにコンビニで買う、缶チューハイ二本と、うまい棒3個」
「・・・みたいな話、男性から、よく聞きますよ」
と、ユキちゃん。
「それって生活なのかしら?・・・そういう境遇って、わたしには無理だわ」
「でも、そういう旦那の奥さんは、ランチに2千円以上かけて、そういう主婦友同志、優雅な時間を楽しんでいるんでしょう?」
「しかも、「家事も子育てもやっているんだから、これくらい当然でしょ?」みたいな意識なんでしょ?」
「なんだか、家庭崩壊一歩手前って感じよね。っていうか、旦那が弱すぎよ・・・」
と、御島さん。
「わたしの家は・・・皆、「まず、相手の事を考えて、自分の事は後回し」って言う文化で育ったから」
「そういう考え方って、理解出来ないんです。だって、それって「まず、自分」って言う考え方じゃないですか」
「そういう文化はわたしには無いし、何より、子供にも悪影響を及ぼしません?」
「確か、ゆるちょさんの家も、ウチと同じ文化だったんですよね?」
と、辛辣姫。
「うん。そうだね。「まず、相手の事を考える」って言うのは、「相手の立場に立って考える」と言う事のトレーニングにも」
「なっているから・・・自然、それって普段でも、そういう考え方になるし、それは「情けは人の為ならず」と言う日本文化にも」
「つながってくるから・・・日本文化の中でしあわせになりたいなら、そういう躾けが子供の頃から成されているのは」
「当たり前だと思っていたけどね」
と、僕。
「最近、自分勝手な日本人が多いじゃないですか。僕も子供の頃から「他人様に迷惑をかけるような人間になってはいけないよ」」
「って、言われて育ってきましたし・・・でも、最近は、自分勝手に他人に迷惑をかけても、なんとも思わない人間が増えている」
「そういう感じがしますよ」
と、貴島くん。
「ま、でも、そういう人間て、結果的に社会から制裁を受けて、永久にしあわせは来なくなるから・・・」
「ま、自業自得こそ、日本社会の本質なんだけどね」
と、僕。
「そういう意味で言ったら、ゆるちょさんが心の師としている池波正太郎先生のエッセイには、しきりに」
「「我欲を持った女性は決してしあわせになれない」と言う表現が出てきますね」
と、ユキちゃん。
「まあ、池波正太郎大先生が生きた時代は今とは違うから、そこはあれだけど」
「女性の本質は「愛した男性をサポートし、一緒に目標に向かう事で、しあわせをゲット出来る」と言う事を」
「言いたかったんじゃないかな」
と、僕。
「じゃあ、その池波正太郎大先生の知恵からすれば・・・ワンコイン旦那のサポートもせず、高額ランチを食べる主婦は」
「旦那をないがしろにしている事になるから・・・一生しあわせになれないばかりか・・・家庭もふしあわせになると言う事かしら?」
と、御島さん。
「そもそも、家庭がしあわせになるキモって何なんですかね?」
と、池澤くん。
「わたしは、女性が気に入った男性をサポートして、この日本社会で、ドンドン成長させて行って、世界一を目指すって」
「そういう事だと思う。そして、もちろん、女性は気に入った男性を尊敬している・・・そういう構図が必要だと思うわ」
「それは事務所の社長として、肝に銘じている話だもの・・・」
と、御島さん。
「それはつまり・・・家庭も事務所と一緒で、奥さんが旦那さんを気に入って・・・尊敬して、この日本社会でドンドン成長させる」
「サポートを毎日する事こそ・・・旦那も奥さんも子供もしあわせになる方法だって言う事ですか?」
と、ユキちゃん。
「わたしはそう思う。さっき、ゆるちょくんとユキちゃんが言及していたけど、「まず、相手の事を考えて、自分の事は後回し」って」
「そういう文化は、この日本でしあわせになりたい限り、ぜひ必要なソフトウェアだとわたしも思っているわ」
「つまり、我欲の強い人は・・・特に女性は、しあわせになれないのよ」
と、御島さん。
「結局、高額なランチを取る、専業主婦って、ふしあわせだからこそ、そういう高額ランチを取る羽目になるのよ」
「旦那を気に入っていて、旦那を愛していて、旦那を尊敬していたら、自然と旦那の事を先に考えて」
「自分は後回しって・・・そういう考えになるじゃない」
と、御島さん。
「そう言えば、僕の好きなシリーズで、東海林さだおさんの「あれも食いたい、これも食いたい」って言う食エッセイのシリーズがあるんですけど」
「昔の主婦は、夜ご飯を用意した後に、水を一杯だけ飲んで・・・後は旦那や子供たちの笑顔の為に」
「自分を後回しにして、料理を並べたり、ご飯をよそったりした・・・って言う原風景を、しあわせな風景として」
「語ったりしていましたね」
と、貴島くん。
「それって、僕も子供の頃、普通に見る風景だったな。お母さんが嬉しそうなんだよね、そういう時」
「ご飯をおかわりでもしようもんなら、嬉しそうに、ごはんをよそってくれる」
「父も母も僕もしあわせな時間だった・・・それが僕の夕食時のしあわせの原風景だったような気がするな」
と、僕。
「わたしもそうです。家で夕飯を皆で食べる時って、やっぱり、ハレの時間っていうか・・・皆、ごきげんで」
「いろいろな話をして、楽しんでいた・・・そんな風景を思い出しますね」
と、辛辣姫。
「そうよね・・・それがしあわせの原風景よね。でも、最近の食卓からは、そういう原風景が消えつつあるの」
「まあ、前から言ってるけど、孤食の風景・・・すべては父親が家庭をコントロール出来なくなった末の不幸の風景だわ」
と、御島さん。
「わたしは家族がしあわせになるには・・・やっぱり、母親を本能的に笑顔に出来る父親の存在が最も重要だと思っているの」
「強力な「サル山のボス力」を発揮する父親の存在・・・モノを言わなくても、母親も子供たちも圧倒してしまう」
「そして、そういう母親と子供たちを守れる本能的な強さを持つ父親がいるから、母親も子供たちも安心できると言う・・そういうオスとしての強さが」
「・・・家庭のしあわせの原風景を生むのよ・・・」
と、御島さん。
「なるほど・・・逆に「サル山のボス力」の無いオスだから、母親にも、子供にもバカにされて」
「結果、孤食の風景になっている・・・そういう話なんですね?」
と、ユキちゃん。
「オトコは何も言わなくても、女性や子供を圧倒出来なければいけないわ。今のオトコ達はそれが出来ないから」
「言葉で妻や子供たちをコントロールしようとするけれど、それすら、出来ないから、父と、母及び子供たちとの関係を」
「理性的な友達関係にしてしまう・・・結果、子供達は、家庭内で、先輩に対する敬意も勉強出来ないから」
「子供達は社会に出て、大先輩なんかにタメ口をする・・・そういう結果になってるのよ」
と、御島さん。
「って事は父親がまず、ダメだって事ですか?今の日本がおかしくなってる・・・ふしあわせスパイラルな男女が増えている理由は!」
と、池澤くん。
「そうよ。ネットに逃げ込んでいるオトコ達なんて皆そうじゃない?」
「「サル山のボス力」を持っていないから、女性も説得出来ない・・・結果、お一人様の世界ってわけよ」
「だから、さらにダメな・・・ううん、家族すら、作れない・・・永久に独身の男性や女性が増えてくるって結果になるわよね」
と、御島さん。
「でも、そういうダメな遺伝子は、家族を作れないから、結果、淘汰される・・・そういう話じゃないですか?」
と、貴島くんがしれっと言う。
「そういう事なの。結果、日本社会から、淘汰されると言う話よ。簡単な話ね」
と、御島さん。
「じゃあ、家族がしあわせになるには・・・どうしたらいいんですか?」
と、ユキちゃん。
「そうね。まず、日本社会の多くのハードルを乗り越えてきた、叩き上げの男性を見つける事よ」
「そういう男性は多くのハードルをクリアしてきた結果、たくさんの経験知を持っているし」
「人間性は大きく成長しているし、精神的にもタフになれているわ。この、「たくさんの経験知を持っている事」」
「「人間性が大きく」、「精神的にタフ」・・・これが家族をしあわせにする為に必要な絶対的アイテムと化すわね」
と、御島さん。
「「たくさんの経験知」、「大きな人間性」、「タフな精神力」・・・ですか?」
と、ユキちゃん。
「これとは逆に・・・「経験知が無く」、「人間的な器が小さく」、「精神的にも弱い」・・・これは子供要素アイテムだから」
「この要素を持っている人間は・・・まだ、10代や20代前半なら、許されるけど、30歳を超えて、これだったら」
「男性失格よね。結婚相手として考えては、いけいないわね」
と、御島さん。
「じゃあ、レベル30を越えたら、「たくさんの経験知」、「大きな人間性」、「タフな精神力」と言う大人要素アイテムを装備しろ」
「・・・と言う事ですか?」
と、池澤くん。
「そうね。ドラクエ的には、そういう理解の仕方になるわよね」
と、御島さん。
「そして、もちろん、最も大事なしあわせアイテムは「サル山のボス力」」
「・・・これはキラキラお目目の「ヒカルの君の目」を装備する事で、一緒についてくる・・・」
「と言うより、たくさんの女性に注目を受けても、ビクともしない大きな人間性とタフな精神力を備えると」
「貰える「サル山のボス力」・・・そして、それを貰えるとご褒美としてついてくる「ヒカルの君の目」」
「・・・これは女性を恋に落とすマジックアイテムだから・・・日本人の男性だったら、ぜひ装備したいアイテムになるわよね」
と、御島さん。
「って言う事は、「ヒカルの君の目」を装備した男性を・・・結婚相手にすれば、その家族はしあわせになると言う事ですか?」
と、ユキちゃん。
「そういう事ね。だから、日本人の男性を見る時、「ヒカルの君の目」なのか、「死んだ魚の目」なのかを」
「しっかりと確認する事が大事なのよ・・・女性にとっては、ね・・・」
と、御島さん。
「なるほど・・・「ヒカルの君の目」を持つ男性を相手に出来れば、自然、女性は、相手に恋し、相手をオスとして」
「自然に尊敬するから・・・女性として、最大限のサポートを当然しようとするし、旦那の成長の為に、すべての施策を」
「優先にするから・・・旦那が夕飯に帰ってくれば、女性も子供も、「サル山のボス力」に守られ、安心を感じ」
「夕食における、しあわせ原風景も戻ってくる・・・そういうからくりになっているんですね?」
と、貴島くん。
「そういう事ね。結局、男性達が、子供要素アイテム・・・「死んだ魚の目」、器の小さいオトコ、精神的にも弱いオトコ」
「そして、少ない経験知しか持ててないから・・・妻にも子供にも、そっぽを向かれる・・・そういう事ね」
と、御島さん。
「それがお一人様の原因か。わかりやすく解答が出ちゃった感じだな」
と、僕。
「結局、それって、一歩を踏み出す「一歩力」が無い事が、すべての原因になっているわ」
「「リアルライフ力」が無いって言うか・・・「あのさ、何しているの?」って男性が誰かに言う勇気が無いから」
「そういう事になっているのよね。女性だって、「ねえ、わたしも仲間にいれて!」って言えないから」
「そういう「一歩力」が無いから、ふしあわになっているのよ・・・男女共「一歩力」が無いから、ふしあわせスパイラルに」
「落ち込んでいってるって事なのね・・・」
と、御島さん。
「そういう意味じゃさ・・・御島さんの事務所の社長って言う職業は、やっぱり、僕らをしあわせにしてくれるって意味じゃあ」
「事務所のおふくろさん・・・って言った方がいいのかもしれないね」
と、僕。
「そうね。何でもわかってるおふくろさん・・・それってしあわせを導ける最高の栄誉を受ける女性って意味だもんね」
「いいわ、これからは、おふくろさんって呼び方も、あり!にしておくから」
と、御島さん。
「じゃ、おふくろさんに、これからも、僕らをしあわせに導いて貰いましょう」
と、貴島くん。
「お願いします」「お願いします」「お願いしまーす」
と、僕と池澤くんとユキちゃんは、言葉を返した。
御島さんは、幾分、恥ずかしそうに、皆を見ていた。
(おしまい)